LenovoはThinkPad Aシリーズの12.5インチモバイルノート「A285」を発売しました。ThinkPad AシリーズというのはCPUにIntelではなくAMDのものを搭載しているのが特徴で、前身モデル「A275」からモデルチェンジするのにあたり、新鋭CPU「Ryzen PRO」が搭載されています。毎週末掲載しているLenovo直販サイトのクーポン情報記事では「A275はいま買わないほうがいい。もうすぐA285が発売されるはず」ということをここ2カ月くらいの間ずーっと書き続けてきたのですが、どうやら狼少年にはならずにすんだようです…。
1.スペック
A285はLenovo直販サイトで9月21日に個人向けに発売されることになっていて、9月19日現在だと「販売代理店モデル(法人向けと考えていいです)」のみスペックが公表されていますので、この記事では販売代理店モデルをもとに、ウインタブの予想も含めて説明していきます。
まず、この製品は前身機のA275がThinkPad X270と同一筐体であったのにならい、ThinkPad X280と同一筐体が使われています。2機種を並べてじっくり比較したわけではありませんが、外観上の違いを見つけることができず、筐体サイズも同じ(X280のほうが重量が10 gほど重いものもありますが、無視していいでしょう)です。
OSはWindows 10 Proのみとなっていますが、個人向けの直販モデルだとほぼ確実にHome版も設定されると思います。CPUはAMD Ryzen PROの「3 / 5 / 7」が搭載されます。Ryzen PROはビジネス向けのCPUで、セキュリティ機能や安定性(信頼性)、そしてパフォーマンスが向上しているとのことですが、ウインタブではPROのつかないRyzenのほうもレビューしたことがないので、特にパフォーマンス面で無印のRyzenと比較してどのくらいの性能アップになっているのかはなんとも言えません。ざっくりRyzen 3はCore i3、Ryzen 5はCore i5、Ryzen 7はCore i7(第8世代で型番末尾Uのもの)といい勝負、くらいに考えておけば大きくミスリードすることはないと思います。
RAMは8GB、ストレージは256GB SSDで、販売代理店モデルの場合はこれ以外の選択肢がありませんが、直販モデルの場合はRAM4GBあるいは16GB、ストレージは128GBや512GBという容量も用意されるものと思います。
また、GPUは「なし」と記載していますが、Ryzenはメーカーでは「APU」と呼ばれており、グラフィックチップを内蔵しています。これはIntelのCPUがIntel HD GraphicsやIntel Irisといったグラフィックチップを内蔵しているのと理屈上は同じですが、Ryzenのグラフィックチップは「Vega 6(Ryzen 3 PRO)」「Vega 8(Ryzen 5 PRO)」「Vega 10(Ryzen 7 PRO)」という名称になっています。
ディスプレイは12.5インチでTN液晶のHD解像度とIPS液晶のFHD解像度が設定されています。直販モデルの場合、ディスプレイ形式もカスタマイズ対象になるのはほぼ確実だと思います。なお、タッチパネルについてはX280のほうに設定がありますが、全モデル自由にタッチパネルを選べるという設定にはなっていませんので、A285ではどのように扱われるのかよくわかりません。
入出力ポートは12.5インチのモバイルノートとしては充実しているほうで、USBが合計で4つ(うち2つがType-C)、HDMIもあります。ただし、有線LANについては本体に装備されるイーサネット拡張コネクターに別売りのアダプターを接続する必要があります。また、ポートに関しては、X280とちょっと違いがありまして、X280はUSB Type-Cのうちの1つがThunderbolt 3になっているのに対し、A285はThunderbolt 3ではありませんので、この点は注意が必要です。
バッテリー稼働時間はX280と比較するとかなり短めです。X280が15時間程度の長時間稼働が可能と公称されているのに対し、A285は7.4時間から10.9時間と短くなっています。まあ、7時間とか10時間でも、公称値に近いくらいに使えるのであればいいんでしょうけどね…。
サイズはX280とほとんど変わりません。タテ、ヨコ、厚さはピッタリと一致します。また、重量も1.13 kgというのは同じで1.26 kgというのがX280では1.27 kgと10 gだけ重くなっています。なお、1.13 kgと1.26 kgという重量差は液晶形式(TNが重く、IPSが軽い)が要因のようです。
2.筐体
正面から見たところです。X280と同じですが、12.5インチサイズにして横幅が307.7 mmということもあり、そんなに絞り込まれたものではありません。ベゼル幅なんてむしろ太めですよね。また、上部にカメラのレンズが見えますが、このカメラにはThink Shutterというスライド式のカバーがついています。セキュリティ対策ということで、ThinkPadシリーズにはこのカバーが装着されるモデルが増えています。
天板です。ThinkPadシリーズはどれも似通ったデザインなので、特にコメントすべきこともないかな、と思います。これがカラフルになってしまってもThinkPadファンは困ると思いますけどね。
キーボードです。ここも「very ThinkPad」という感じです。ThinkPadのキーボードはキーサイズがやや大きめでキーピッチとキーストロークが十分に取られ、非常に打鍵感がいいです。また、中央の赤いでべそ(トラックポイントというポインティングデバイスです)もまた、ThinkPadのトレードマークと言えます。好みの問題はあるでしょうが、私はこのでべそはマウス以外で唯一使えるポインティングデバイスだと思っています(タッチパッドを愛用する皆さん、ごめんなさい)。
この画像は英語配列ですが、ThinkPadシリーズのほとんどがそうであるように、A285も注文時に日本語配列と英語配列を選べるはず。また、X280では日本語配列と英語配列のそれぞれにバックライトの有無を選べるようになっていますので、A285でもそれは引き継がれるでしょう。
側面と入出力ポートです。この画像を見ると、この製品には独立したDC-INはなく、USB Type-Cポートの1つがDC-INを兼ねていることがわかります。また、画像上部(左側面)のUSB Type-Cポートの隣に、なにやら2つのポートがくっついて配置されていますが、これはイーサーネット拡張コネクター兼ドッキングコネクター(ドッキングステーションを接続するためのもの)としての役割もあります。
3.価格など
Lenovo ThinkPad A285は9月21日からLenovo直販サイトで発売される予定で、現時点で判明している販売代理店モデルの価格(定価)は下記のとおりです。
Ryzen 3 PRO/TNディスプレイ: 178,000円
Ryzen 5 PRO/TNディスプレイ: 203,000円
Ryzen 5 PRO/IPSディスプレイ: 223,000円
Ryzen 5 PRO/TNディスプレイ: 218,000円
※RAM/ストレージはすべて8GB/256GBです
※税抜価格
ただし、この価格は正直なところ、直販モデルを購入する個人ユーザーには「全然参考になりません」。この製品と筐体を同じくするX280は週末クーポンで最大50%OFFという大きな割引率になっていますし、前身期のA275も「ほぼ半額」くらいまで安くなっています。
ウインタブの予想として、おそらく今週末には10万円を切る価格から購入ができると思います。もちろん上位の構成を選ぶと10万円は超えるでしょうが、比較的購入しやすい価格に感じられることは間違いないでしょう。
X280はThinkPadのクラムシェルノートとしては最小サイズ(日本で販売されている製品としては)で、歴代のX2○○シリーズに多くの固定ファンがいることを考えても、筐体品質は抜群だと思います。そのX280のCPUをRyzenにしたものがA285であり、筐体の使用感はX280と同等だと思いますので、X280の購入を検討している人も、A285も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
4.関連リンク
ThinkPad A285:Lenovo