Lenovoが「ThinkPad P1 Gen 8 (16型 Intel)」と「ThinkPad T1g Gen 8 (16型 Intel)」を発売しました。P1は「Pシリーズ」なので「モバイルワークステーション」、T1gは「Tシリーズ」で「ビジネス・スタンダードノート」という位置づけになりますが、両者はGPUが異なるだけの兄弟機です。P1はNVIDIA RTX PROシリーズを、T1gはNVIDIA GeForce RTXシリーズを搭載しています。
1. スペック表
項目 | 仕様 |
---|---|
OS | Windows 11 Home/Pro |
CPU | Intel Core Ultra 5 235H Core Ultra 7 255H / Core Ultra 7 265H Core Ultra 9 285H ※235H/265H/285HはvPro対応 ※T1gはCore Ultra 5の設定なし(10月11日現在) |
GPU | T1g: NVIDIA GeForce RTX 5060 Laptop GPU NVIDIA GeForce RTX 5070 Laptop GPU P1: 外部GPUなし NVIDIA RTX PRO 1000 Blackwell Laptop GPU NVIDIA RTX PRO 2000 Blackwell Laptop GPU |
RAM | 16GB/32GB/64GB (CAMM2 LPDDR5X-8533MT/s) ※最大64GB |
ストレージ | 256GB/512GB/1TB/2TB/4TB SSD ※M.2 2280 PCIe-NVMe Gen4/5 TLC ※M.2 2280スロット空きあり、増設可 |
ディスプレイ | 16.0インチIPS (1920×1200) 100%sRGB 16.0インチIPS (3840×2400) 100%DCI-P3 16.0インチOLED (3200×2000) 100%DCI-P3, タッチ |
無線通信 | Wi-Fi 7、Bluetooth |
ポート類 | USB Type-C (Thunderbolt 5)✕2 USB Type-C (Thunderbolt 4) USB 3.2 Gen 2 Type-A HDMI、オーディオジャック SDカードリーダー |
カメラ | Webカメラ (500万画素) 顔認証対応 |
バッテリー | 90 Wh |
サイズ | 354.4×241.2×20.6(最厚部)mm |
重量 | 1.84 kg~ |
2. OS/CPU
OSはWindows 11 Home/Proのほか、「後日出荷予定」として、Ubuntu Linux LTSを選択できます (10月11日現在だとUbuntuは選択できません)。
CPUはIntel Core Ultraシリーズ2 (Arrow Lake-H)のCore Ultra 5/7/9で、vPro対応の型番も選択できます。ただし、T1gは10月11日現在、Core Ultra 5の設定がありません。Arrow Lake-HはCPU/GPU性能が非常に高いですが、NPU性能はそれほど高くはなく、最大13TOPSなので、Copilot+ PCの要件 (40TOPS以上)は満たしません。
3. GPU
GPUはP1とT1gで異なります。P1はNVIDIA RTX PRO 1000/2000 Blackwell Laptop GPU (外部GPUなしも選択可)、T1gはGeForce RTX 5060/5070 Laptop GPU搭載です。
NVIDIA RTX PRO (旧Quadro)は、GeForceと同じNVIDIA製のGPUですが、GeForceがDirectXに最適化されていて主にゲームや一般的なマルチメディア用途に向くのに対し、RTX PROはCADや3DCG、CAEなど業務用ソフトが多く採用するOpenGLやVulkan向けに最適化されています。
個人ユーザーの場合、「外部GPUはゲーム用」という人が少なくないと思います。個人購入でRTX PROを選ぶニーズがあるとすれば「3D CADや非常に高度な動画編集」に使うケースでしょうか。このあたり、P1がワークステーション、T1gがビジネスノートと位置づけられている所以です。
4. RAM/SSD/ディスプレイ
RAMは16GB/32GB/64GBで「CAMM2 LPDDR5X-8533MT/s」という規格です。CAMM2というのは「LPDDR系の省電力メモリを、モジュールとして交換可能にした仕組み」のことで、ウインタブでもライターの渋谷Hさんが解説記事を書いています。
一応、P1とT1gのCRU (Customer Replaceable Unit)リストに「CAMM2 メモリー・モジュール」という記載がありますが「Optional-service CRU (技術的にはユーザーが交換できるが、Lenovoまたは認定サービスによる交換を推奨)」に分類されているので、RAMの増設・換装は容易ではないだろうと思います。
SSDはM.2 2280スロットが2つあり、注文時に2枚のM.2 SSDを搭載することも可能です。また、「PCIe-NVMe Gen5」という超高速な規格も選べます。ちなみにP1で「256 GB SSD M.2 2280 PCIe-NVMe Gen4」という標準構成を「4 TB SSD M.2 2280 PCIe-NVMe Gen5」に変更すると追加料金は407,000円です…。

ThinkPad P1 Gen 8
ディスプレイは16インチで3種類が用意されます。最低でも1920×1200解像度、100%sRGBの色域対応と高品質で、3200×2000解像度、100%DCI-P3の色域対応の有機ELタッチパネルと3840×2400解像度、100%DCI-P3のIPSパネルも選べます。
5. 筐体
P1とT1gの筐体は同じです。ここではP1の画像を使って説明します。
天板はアルミ製で、筐体はMIL規格 (MIL-STD-810H)準拠の堅牢性を備えています。また、非常にスペックの高い製品ではありますが、筐体の厚さは20.6 mm、重量は1.84 kgと比較的薄型・軽量です。
キーボードです。16インチサイズながらテンキーはつきません。この画像では英語配列ですが、日本仕様は日本語配列と英語配列を選べます。それと、タッチパッド部分が「いつものThinkPadではない」ですね。おなじみのクリックパッドではなく「触覚タッチパッド」が採用されています。ただし、赤いデベソ(トラックポイント)はあります。
側面と入出力ポートの構成です。Thunderbolt 5が2つ、Thunderbolt 4が1つありますね。Thunderbolt 5というのはまだほとんど見かけませんが、データ転送速度が最大80 Gbps (片方向であれば最大120 Gbps)、給電能力も最大240Wと、Thunderbolt 4から大幅な性能アップを果たしています。…それに見合う周辺機器を持っていれば、ということではありますけどね。
また、SDカードリーダーも装備していますが、有線LANポートがなく、WWAN (LTE/5G)にも対応しません。
6. 価格など
Lenovo ThinkPad P1 Gen 8/T1g Gen 8はLenovo公式サイトで販売中で、10月11日現在の価格はP1が396,198円から、T1gが377,828円から、となっています。
CPU/GPUの構成だけ見れば「高い」んですが、それ以外の仕様も最新かつハイエンドなものになっているので、高いか安いかはなんとも言えないです。
7. 関連リンク
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
▶ サイト紹介・ウインタブについて
コメント