ASUSが8月25日に発表したノートPC「ASUS Vivobook Pro 15X OLED K6501ZM 」の実機レビューです。つい先日、この製品とよく似た名称の「Vivobook 15X OLED X1503ZA」という製品をレビューしたばかりですが、今回レビューする「Pro」のほうは外部GPUのGeForce RTX3060を搭載しており、パフォーマンス面では大きな違いがあります。また、筐体も一見すると似ていますが、「実は全然別物」です。 Vivobook Pro 15X OLEDはビジネス用、学習用としてはもちろん、ゲーム用やクリエイティブワーク用としても頼りになる、高性能なスタンダードノートです。
・GeForce RTX3060搭載のゲーミングノートと同等のパフォーマンス
・有機ELディスプレイの発色品質は圧倒的、リフレッシュレートも120Hz
・作りがよく、気持ちよく使えるキーボード
・予算20万円以下でいろんな用途で使うなら、この製品がベストなのでは?
ここがイマイチ
・さすがにバッテリー駆動時間はやや短め
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ASUS Vivobook Pro 15X OLED K6501ZM (K6501ZM-MA052W):ASUS Store
目次
1.Vivobook Pro 15X OLED スペック
スペック表
Vivobook Pro 15X OLED |
|
OS | Windows 11 Home |
CPU | Intel Core i7-12650H |
外部GPU | NVIDIA GeForce RTX3060 Laptop |
RAM | 16GB(DDR5-4800) |
ストレージ | 512GB SSD(PCIe3.0 x2接続) |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 15.6インチOLED(2,880 × 1,620)120Hz |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.1 |
入出力 | USB Type-C(Thunderbolt 4)、USB 3.2 Gen2 Type-C(PD、映像出力対応)、USB3.2 Gen2、USB3.2 Gen1、HDMI、オーディオジャック、LAN(RJ45)、microSDカードリーダー |
カメラ | Webカメラ(207万画素) |
バッテリー | 76Wh(約9時間) |
サイズ | 355.4 × 239.8 × 20.9-21.9 mm |
重量 | 2.17 kg |
どこが「Pro」?どこが「X」?
ASUSの「Vivobook」はスタンダードノートの製品ブランドです。ASUSとして何かを明言しているわけではなく、ウインタブの勝手な理解ではありますが、要は「ビジネス専用とか娯楽専用といった特定の用途に特化しておらず、汎用に使えるノートパソコン」がVivobookです。Vivobookはワイドバリエーションで、15.6インチサイズの製品のみに絞っても「Vivobook 15」「Vivobook 15 OLED」「Vivobook Pro 15 OLED」「Vivobook 15X OLED」そして今回レビューするニューモデル「Vivobook Pro 15X OLED」があります。
これら「Vivobookの15.6インチ」の中でVivobook Pro 15X OLEDは最上位の製品と言えます。で、どこが「Pro」で、どこが「X」なのかと言いますと…
Vivobookシリーズで製品名に「Pro」がつく製品はほとんどが外部GPU(GeForce)を搭載しています。一部外部GPU非搭載のモデルも存在しますが、その場合でもCPUの型番が一般的なスタンダードノートとは異なり、高性能タイプ(型番末尾が「H」のもの)です。レビュー機Vivobook Pro 15X OLEDはVivobookシリーズとしては最高性能となるGeForce RTX3060を搭載します(ASUSにはROGやTUF Gamingといったゲーミングブランドもあり、これらのゲーミングPCはRTX3060よりも高性能なGPUを搭載しているものが多いです)。
次に「X」です。やはりCPUが高性能タイプになっていますが、多くの場合外部GPUは搭載していません(搭載モデルもあります)。そして、Vivobook 15及びVivobook 15Xとレビュー機Vivobook Pro 15Xは「筐体構造が全然違います」。要するにVivobook Pro 15X OLEDは筐体構造・筐体品質が「完全にワンランク以上も上」です。詳しくはこれからご説明します。
それと、搭載CPUのCore i7-12650Hはウインタブとしては「初」となる型番です。
これはPassmarkが公表しているベンチマークスコアです。日本ではゲーミングノート用として最もメジャーと思われるCore i7-12700Hと比較してみました。これを見るとCore i7-12650Hはスコアが8.8%ほど低く、コア数/スレッド数も少ないことがわかります。ただし、24,651というスコアはゲーミングPC用のCPUとしても何ら不足のない、十分に高いスコアです。
それと、Core i7-12650Hの内蔵GPUはIris Xeではなく、Intel UHD Graphicsです。よって、CPUのみでのグラフィック性能はCore i7-12700Hよりもかなり劣りますが、Vivobook Pro 15X OLEDは外部GPUのGeForce RTX3060を搭載していますので、この点は全く問題ありません(高いグラフィック性能が必要な場面では自動的にGeForceに切り替わります)。
2.Vivobook Pro 15X OLED 筐体
同梱物
同梱物です。ACアダプターはスタンダードノート用としては大型で240W出力、電源ゲーブル込みの実測重量は714 gでした。このあたり、CPUの性能が高く外部GPUも搭載しているために「仕方のないこと」ではあるのですが、出張や旅行の際にVivobook Pro 15X OLEDを持っていく場合はACアダプターも一緒に持ちだすことになると思いますので、「結構重い」ということは認識しておくほうがいいでしょう。
ペーパー類は取扱説明書(画像左下)、保証書(中央下)、「必ず初めにお読み下さい」の一枚物(右下)、設定アプリMyASUSの案内(左上)、そしてWPS Officeのライセンスカード(右上)です。それと、なにやら茶封筒が…。
封筒の中にはこのように「元気のいいカード」が入っていました。これで本体をデコレートすると楽しそうです。
天板と底面
天板です。この製品は色名がユニークで「0°ブラック」と言います。この画像だと単に真っ黒にしか見えませんが…。
天板右側にはこのようなプレートがついています。ロゴの印字は筐体とほぼ同色で、光を当ててようやく判別できる感じですね。他のVivobookシリーズとは異なり、「目立たないが高級感がある」仕上がりです。なお、筐体素材は天板が金属製、他の部分は樹脂製です。
底面です。画像下部左右にスピーカーグリルが見えます。この製品はHarman Kardon製(チューニング)のステレオスピーカーを搭載しています。また上部にはオレンジ色のゴム足があり、デザインアクセントにもなっています(ASUSは底面のデザインにも手を抜きません)。
それと、この製品「デュアルファン」です。先日レビューしたVivobook 15X OLEDは「スピーカーがHarman Kardonではない」「シングルファン」でしたから、見えにくい部分できっちり差別化がされています。
側面
前面と背面です。これらの面には入出力ポートはありません。背面には大きな通気口があり、中央に「READY TO EXPLORE」と印字されています。
天板の後部は少し凹んだデザインになっています。これ、ASUSのROGシリーズやTUF Gaminigでも見られる形状です。
左右の側面です。左側面(上の画像)には左からDC-INジャック、有線LAN、USB Type-A、microSDカードリーダーがあり、右側面には左からイヤホンジャック、USB Type-A、HDMI、USB Type-C、USB Type-C(Thunderbolt 4)があります。
入出力ポートの構成はスタンダードノートとしては特筆すべきものです。USBポートはThunderbolt 4が1つにGen2規格が2つと高速かつ数が多く、有線LANポートやmicroSDカードリーダーも備えています。この点に関してもVivobook 15X OLEDとは「段違い」の水準ですね。
なお、2つのUSB Type-Cポートはどちらも本体への給電/充電に対応しています。ただし、付属のACアダプターが240Wですから、モバイルバッテリーや低出力の充電器では給電できない可能性が高いです(手持ちの100Wの急速充電器からは給電可能でした)。
ディスプレイ
Vivobook Pro 15X OLEDのディスプレイは15.6インチで解像度は2,880 × 1,620と高精細、パネルは有機ELです。
ASUSが昨年から力を入れている「有機ELディスプレイ」は非常に高い発色品質を備えています。ディスプレイ品質に関しては「一般的なIPS液晶とは全くの別物」と言えるくらいに美しく、特に「黒がしっかり黒い」ので原色も極めて鮮やかに表示されます。
PANTONE認証やDisplay HDR True Black 600認証も取得していますので、プロのクリエイターの人も納得の品質と言えるでしょう(後述しますが、ディスプレイのキャリブレーションも可能です)。また、別にプロでなく一般人が仕事用に使う場合でもこのディスプレイの恩恵は十分に感じられると思います。唯一「グレア(光沢)タイプなので、設置場所によっては映り込みが気になるかも」ということを指摘できますが、これだけの発色品質のディスプレイなので、「グレアやむなし(ノングレアだと発色品質が若干落ちます)」でしょう。
また、リフレッシュレートが120Hzになっていますので、ゲームプレイはもちろん普段使いでもなめらかな描画が楽しめます。
キーボード
キーボードは「102キー日本語キーボード (イルミネートキーボード)」と開示されています。左側とEnterキーの近辺の記号キーがグレーに、ESCキーがオレンジ色になっていて、見た目も楽しいですし視認性も高いです。アルファベットキーのキーピッチは手採寸で約19 mmと、標準的なサイズになっています。また、キーストロークもノートPCとしては標準的な深さだと感じました。
ASUSの「イルミネートキーボード」と言うのは「バックライトがついています」という意味です。Vivobook Pro 15X OLEDには輝度を3段階に変更できるホワイトのバックライトが装備されています。また、この画像だとわかりにくいと思いますが、キートップにはわずかなくぼみがあり、指のかかりが良くなっています。
キーボード品質は「ゲーミングノートに近い」です。つまり、頑丈にできていて打鍵音も静かです。ゲーミングノートって、見た目とは裏腹にキーボードは静音に近いくらいに静かなことが多いんですよね。おそらく頑丈に作られていることの副産物だと思います。また、頑丈であることは打鍵感の良さにもつながっています。ウインタブだけの感想かも知れませんけど「ゲーミングノートのキーボードって、なにげに文書作成でもかなり快適」です。先日レビューしたVivobook 15X OLEDよりは明らかに気持ちよく使えるキーボードです。
筐体その他
ヒンジを最大開口したところです。開口角度は十分に大きいものの、180°(水平位置)までの開口はできません。
3.Vivobook Pro 15X OLED アプリ
Vivobook Pro 15X OLEDにはASUSの純正アプリが複数インストールされています。ここではその中から代表的なものをいくつかご紹介します。
MyASUS
ASUS製品には基本的にすべて「MyASUS」というアプリが入っています。各種のシステム設定から製品登録や保証のアップグレード、システム診断など、PCを使う上で必要な機能はすべてMyASUSにある、と言ってもいいくらいです。操作方法は特に難しいものではなく、初めてPCを買うという人も使いやすい、親切な設計になっています。
ここでぜひご紹介しておきたいのが「ディスプレイ関連の設定」ですね。Vivobook Pro 15X OLEDは有機ELディスプレイを搭載しており、抜群の発色品質になっていますし、なにげにリフレッシュレートも120Hzありますので、ゲームプレイも快適にこなせます。
ただし、有機ELは一般的な液晶よりも少し気を使ってやる必要がある、とされます。特に気になるのが「焼き付き」ですよね。MyASUSではディスプレイを保護するための機能がたくさん搭載されていますので、購入したらすぐにこの項目に目を通し、ディスプレイ保護機能を活用していくのが安心でしょう。
また、単に「保護」だけでなく、「色域(sRGBやDCI-P3など)」の指定も可能です。何もしなくても十分すぎるくらいに美しいディスプレイですが、特にクリエイターの人はMyASUSでお好みの色域に設定してやるとさらに使いやすいと思います。
ProArt Creator Hub
ASUSのゲーミングPCやゲーミングスマホには「Armoury Crate」という設定アプリが入っていて、全機種同じ仕様というわけでもないのですが、GPUのパフォーマンスをブーストするなど、通常より高いパフォーマンスで稼働させるようなこともできます。しかし、Vivobook Pro 15X OLEDにArmoury Crateは入っておらず、クリエイター向けの「ProArt Creator Hub」というアプリが入っています。現状Armoury Crateほどの機能はなく、タスク管理機能やよく使うアプリのグルーピング(必要なアプリ群を指定し、それらを一度に起動させるなど)、ファンモードの指定(Armoury Crateのようなブースト機能はありません)などができるくらいです。
また、色校正(キャリブレーション)も可能です。ただし、別途ハードウェア(キャリブレーター)が必要となり、しかも特定のもののみの対応です。
Dolby Access
Vivobook Pro 15X OLEDのスピーカーはHarman Kardon、音響アプリにはDolby Accessがインストールされています。Dolby Accessは非常によく出来たアプリですし、もともとハードウェアとしてのスピーカー品質もかなり高いので、音楽鑑賞も十分可能なくらいの音質になっています。BGMなどを流す程度であればDolby Accessをあまり調整する必要は感じられず、そのままでも十分満足できると思いますが、グラフィックイコライザーもありますので、よりお好みに合わせた設定も可能です。
4.Vivobook Pro 15X OLED 性能テスト
ベンチマークテスト
ベンチマークテストの実施に際し、レビュー機を純正のACアダプターで電源接続し、ProArt Creator Hubのファンモードを「フルスピード」に設定しました。また、個別ゲームのベンチマークテストを除き、ディスプレイの解像度は2,880 × 1,620にしています。
表計算ソフトやビデオチャット、画像加工など、実際のビジネスシーンをシミュレートしたテスト、PC Markのスコアです。どちらかというとビジネス系のPCの性能測定で重視すべきベンチマークテストと言えます。このテストではCPU性能の影響が大きいとされますが、テスト内容にグラフィック系のシミュレーションも含むため、GeForceなどの外部GPU搭載機のほうが高いスコアが出ます。
参考:
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H、RTX3080Ti)7,943
ASUS ROG Strix SCAR 17 G733ZX(Core i9-12900H、RTX3080Ti):7,773
ASUS ROG Zephyrus M16(Core i9-12900H、GeForce RTX3070Ti):7,720
MSI Katana GF66 12U(Core i7-12700H、RTX3070Ti):7,417
ASUS ROG Strix G15 G513RW(Ryzen 9 6900HX、RTX3070Ti):7,347
Lenovo Legion 760(Ryzen 9 5900HX、RTX3080):7,129
MSI GP66 Leopard 11U(Core i7-11800H、RTX3080):7,054
ASUS ROG Strix G15 G513RM(Ryzen 7 6800H、RTX3060):7,037
ASUS ROG Flow X16 GV601(Ryzen 7 6800HS、RTX3070Ti):6,881
GIGABYTE A7(Ryzen 9 5900HX、RTX3070):6,827
ASUS TUF Gaming A17 FA706QR(Ryzen 7 5800H、RTX3070):6,744
MSI Stealth 15M B12U(Core i7-1280P、RTX3060):6,675
ASUS ROG FLOW X13(Ryzen9 5900HS、RTX3080):6,544
Lenovo Legion 560(Ryzen 7 5800H、RTX3060):6,488
HP OMEN X 2S 15(i9-9880H、RTX2080 Max-Q):6,447
ASUS TUF Dash F15(i7-11370H、RTX3070):6,225
Lenovo Legion Y740(17)(Core i7-9750H、RTX2080Max-Q):6,151
MSI GE66 RAIDER(i7-10875H、RTX2070):6,081
ASUS ROG Strix SCAR 15 G532LWS(i9-10980HK、RTX2070SUPER):6,023
ASUS Zenbook 14x OLED Space Edition(Core i9-12900H):5,905
MSI Pulse GL66 11U(Core i7-11800H、RTX3060):5,810
dynabook RZ/HV(Core i7-1260P):5,564
dynabook GZ/HV(Core i7-1260P):5,468
MSI Modern 14 C12M(Core i7-1255U):5,366
VAIO SX14(Core i7-1195G7):5,278
ASUS Vivobook 15X OLED(Core i7-12700H):
Lenovo ThinkPad X13(Core i7-1165G7):5,205
Lenovo IdeaPad Slim 550 14(Ryzen 5 5500U):5,076
ASUS VivoBook 15 K513EA(Core i7-1165G7):5,017
dynabook MZ/HS(Core i7-1165G7):4,967
外部GPUを搭載するゲーミングノート、クリエイターノートでスペックの高いものだとスコアが6,000点越えとなることが多いです。また、第11世代のCore i7-1165G7を搭載する製品だと5,000点前後、第12世代のCore i7の場合、「外部GPU非搭載でバランスタイプ(型番末尾P)や省電力タイプ(型番末尾U)だと、(サンプルが少ないですが)いまのところ5,000点台の半ばくらいですね。
Vivobook Pro 15X OLEDのCPU、Core i7-12650Hを搭載するPCをウインタブでテストするのはこれが初めてです。上でご紹介したPassmarkスコアだとCore i7-12700Hよりも少し低いスコアになっていましたが、PC Markのスコアは6,802と非常に高いものになりました。過去にスコアが7,000点以上をマークしているPCはすべてGeForce RTX3070Ti以上を搭載していますので、Core i7-12650H/RTX3060という組み合わせにしては「素晴らしい!」の一言です。
続いて、CPU性能のみを測定するCINEBENCH R23のスコアです。このテストは外部GPUの搭載有無は関係ないとされています。
参考:
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H、RTX3080Ti):1,918、17,827
ASUS ROG Strix SCAR 17 G733ZX(Core i9-12900H):1,916、19,344
ASUS ROG Zephyrus M16(Core i9-12900H):1,891、17,881
MSI Katana GF66 12U(Core i7-12700H):1,800、15,593
ASUS Zenbook 14x OLED Space Edition(Core i9-12900H):1,755、12,843
MSI Stealth 15M B12U(Core i7-1280P):1,659、13,793
dynabook GZ/HV(Core i7-1260P):1,655、7,586
dynabook RZ/HV(Core i7-1260P):1,634、8,524
ASUS Vivobook 15X OLED(Core i7-12700H):1,619、12,152
ASUS ROG Strix G15 G513RW(Ryzen 9 6900HX):1,580、14,830
ASUS ROG Strix G15 G513RM(Ryzen 7 6800H):1,520、14,027
MSI GP66 Leopard 11U(Core i7-11800H):1,491、12,210
dynabook MZ/HS(Core i7-1165G7):1,477、5,526
VAIO SX14(Core i7-1195G7):1,441、6,039
MSI Bravo 15 B5(Ryzen 7 5800H):1,422、11,241
Lenovo Legion 560(Ryzen 7 5800H):1,348、11,419
Lenovo IdeaPad Slim 550 14(Ryzen 5 5500U):1,170、6,973
Microsoft Surface Laptop 4(Ryzen 7 4980U):1,116、7,862
※左からシングルコア、マルチコアのスコア
マルチコアのスコアはCore i7-12700Hを搭載する製品にやや劣るものの、シングルコアのスコアはほぼ同等ですね。この結果を見る限り、Core i7-12650HはCore i7-12700Hとあまり遜色のない実力があると評価できそうです。
グラフィック性能を測定する3D Markのスコアです。このテストはGeForceなどの外部GPUを搭載するゲーミングノートのスコアが圧倒的に高くなり、外部GPUを搭載しないノートPCのスコアが低くなります。
参考(ハイスペックゲーミングノート):
ASUS ROG Strix SCAR 17 G733ZX(Core i9-12900H、RTX3080Ti):12,849、28,768、7,999
Lenovo Legion 760(Ryzen 9 5900HX、RTX3080):12,070、26,488、7,622
MSI GP66 Leopard 11U(Core i7-11800H、RTX3080):11,730、24,606、7,513
ASUS ROG Strix G15 G513RW(Ryzen 9 6900HX、RTX3070Ti):11,088、26,107、6,904
ASUS ROG Zephyrus M16(Core i9-12900H、GeForce RTX3070Ti):10,974、25,158、6,562
ASUS ROG FLOW X13(Ryzen9 5900HS、RTX3080):10,698、19,394、7,346
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H、RTX3080Ti)10,614、23,960、6,520
MSI Katana GF66 12U(Core i7-12700H、RTX3070Ti):10,516、23,619、6,589
GIGABYTE A7(Ryzen 9 5900HX、RTX3070):10,393、23,177、6,394
ASUS ROG Flow X16 GV601(Ryzen 7 6800HS、RTX3070Ti):10,259、24,084、6,277
ASUS ROG Strix G15 G513RM(Ryzen 7 6800H、RTX3060):9,359、21,320、5,363
MSI GS66 Stealth(i9-10980HK、RTX3080):9,276、20,063、5,873
ASUS TUF Gaming A17 FA706QR(Ryzen 7 5800H、RTX3070):8,981、21,434、5,488
ASUS ROG Strix SCAR 15(i9-10980HK、RTX2070SUPER):8,435、20,017、5,049
Lenovo Legion 560(Ryzen 7 5800H、RTX3060):8,273、18,927、-
Lenovo Legion 750i(Core i7-10750H、RTX2080SUPER Max-Q):8,156、18,070、-
MSI Stealth 15M B12U(Core i7-1280P、RTX3060)):8,023、18,153、4,491
ASUS TUF Dash F15(i7-11370H、RTX3070):7,767、17,671、5,136
MSI Pulse GL66 11U(Core i7-11800H、RTX3060):6,974、15,408、4,088
HP ENVY 15(i9-10885H、RTX2060 Max-Q):5,597、13,382、3,150
※左からTime Spy、FireStrike、Port Royalのスコア
3D Markは「搭載するGPUに応じた、素直なスコア差」になることが多いです。Vivobook Pro 15X OLEDについても「RTX3060搭載らしい」あるいは「RTX3060搭載機としてはやや高め」のスコアが出ました。冒頭に書いたようにVivobook Pro 15X OLEDはゲーミングノートという位置づけの製品ではないのですが、ベンチマークスコアを見る限り、「スペック通り、ゲーミングノートとしても使える」実力があると思います。
次に個別ゲーム「ファイナルファンタジー15」のベンチマーク結果です。このソフトウェアは、というか一般的なゲームソフトはすべてそうなのですが、ディスプレイ解像度によってスコアが大きく変化します(上にテストした3D Markはディスプレイ解像度の影響がほとんどありません)。そのため、一般的なゲーミングノートの解像度1,920 × 1,080と、この製品の最大解像度に近い2,560 × 1,440について測定しました。
参考(ハイスペックゲーミングノート):
ASUS ROG Strix SCAR 17 G733ZX(Core i9-12900H、RTX3080Ti):11,839
MSI GP66 Leopard 11U(Core i7-11800H、RTX3080):11,658
Lenovo Legion 760(Ryzen 9 5900HX、RTX3080):10,966
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H、RTX3080Ti):10,605
ASUS ROG FLOW X13(Ryzen9 5900HS、RTX3080):10,371
ASUS ROG Zephyrus M16(Core i9-12900H):10,260
ASUS ROG Flow X16 GV601(Ryzen 7 6800HS、RTX3070Ti):10,039
MSI Katana GF66 12U(Core i7-12700H、RTX3070Ti):9,451
ASUS ROG Strix G15 G513RM(Ryzen 7 6800H):9,349
GIGABYTE A7(Ryzen 9 5900HX、RTX3070):9,063
MSI GS66 Stealth(i9-10980HK、RTX3080):9,004
ASUS ROG Strix SCAR 15(i9-10980HK、RTX2070SUPER):8,946
ASUS TUF Gaming A17 FA706QR(Ryzen 7 5800H、RTX3070):8,879
Lenovo Legion 750i(i7-10750H、RTX2080SUPER Max-Q):8,431
MSI GE66 RAIDER(i7-10875H、RTX2070):8,230
MSI GP75 Leopard(i7-10750H、RTX2070):7,995
ASUS TUF Dash F15(i7-11370H、RTX3070):7,869
MSI Stealth 15M B12U(Core i7-1280P、RTX3060)):7,513
ドスパラ GALLERIA GCR2070RNF(i7-9750H、RTX2070):7,440
MSI Pulse GL66 11U(Core i7-11800H、RTX3060):7,138
※過去データは1,920 × 1,440解像度で測定しています
ここでも高いスコアが出ました。RTX3060搭載機ではROG Strix G15 G513RMに次ぐスコアになっており、ゲーミングPC用の設定アプリを搭載していないにも関わらず素晴らしい結果だと思います。
おそらく「AAAタイトル」と言っていいであろう、オープンワールドレースゲームの重量級タイトル(ソフトウェアの容量が大きく、快適な動作には高いPCスペックを要求する、という意味です)「FORZA HORIZON 5」のベンチマークモードの結果です。このタイトルは初回ゲーム時にベンチマークモードを実行することにより、そのPCに適した設定を推奨してくれます。
2,880 × 1,620解像度、及び1,920 × 1,080解像度でテストしてみましたが、ゲームが推奨する設定は「最高」でした。…「最高」って一番上だと思いますよね?でも実は「最高」の上に「エクストリーム」という設定がありまして、「最高という名称だけど2番めの設定」です。
それはともかく、このゲームがここまで高い設定でプレイできるのであれば、ほとんどのゲームは「最高画質か上から2番めくらい」の設定でプレイできると思います。あとは「フレームレート」ですね。FORZA HORIZON 5は「メキシコの景色を愛でる」性格もありますので、個人的には「そこそこのフレームレートで十分」だと思いますが、FPSゲームなどでは「画質よりフレームレート」を優先したい人も多いと思いますので、その場合は解像度やグラフィック品質を適宜調整することになると思います。
最後にSSDの読み書き速度を測定するCrystal Disk Markのスコアです。Vivobook Pro 15X OLEDのSSDは「PCI Express 3.0 x2接続」という仕様ですが、その割にこのスコアは高いと思います。最新のゲーミングPCだと「PCI Express 4.0 x4接続」という仕様のものが増えており、それらとの比較では低めのスコアではありますが、ゲームプレイも含め、実用上で遅さを感じることはまずないでしょう。
バッテリー駆動時間
Vivobook Pro 15X OLEDはCPU性能が高く、外部GPUも搭載していますので、基本的には電源接続して使うべき製品と言えます。しかし、ビジネス利用などを想定し、GeForceが動かないような比較的ライトな作業をバッテリー駆動でやってみました。
ProArt Creator Hubのファンモードを「スタンダード(4段階ある項目中、2番めに省電力なモード)」に、ディスプレイ輝度を70%に、スピーカー音量を35%に、キーボードのバックライトを一番暗い状態で点灯させ、Web閲覧とブラウザー上でのテキスト入力を40分、YouTubeでの動画視聴を20分やってみてバッテリー消費は32%でした。
この使い方だと単純計算でバッテリー駆動時間は3時間程度、ということになります。あとはディスプレイをさらに暗くしたり、スピーカーをOFFにしたり、キーボードバックライトを消灯したりすればもう少し駆動時間は伸びると思いますが、出先で終日(5時間以上)作業するような場合は電源の確保が必要でしょう。
発熱とファン音
ProArt Creator Hubのファンモードを「フルスピード」に設定してゲームプレイやベンチマークテストをすると、ファン音はかなり大きくなり、60dbを越え、65dbくらいに達することもありました。この音量は多くの人にとって耳障りに感じられると思います。ただし、ゲームプレイ中はヘッドセットをつけたり、スピーカーでも然るべき音量にすると思いますので、少なくとも「使っている本人」はあまり気にならないでしょうね。また、「そのおかげで」表面温度は安定しており、キーボード面上部と底面が50℃台後半(60℃までは行きませんでした)となりました。この製品は純粋なゲーミングノートではありませんが、長時間のゲームプレイも問題なくこなせると思います。
一方、Office系のソフトウェアを使って作業をしたり、動画を視聴したりといった用途では発熱、ファン音とも気にする必要はありません。ファン音は静かですし、キーボード面にもあまり熱は感じません。
5.Vivobook Pro 15X OLED レビューまとめ
ASUS Vivobook Pro 15X OLEDはASUS Storeで販売中で、8月26日現在の価格は税込み179,800円です。また、ASUS Storeでは9月30日までの期間「30日間返品保証キャンペーン」を実施中なので、初期不良などの理由ではなく、「思っていたのとイメージが違う」とか「イマイチ気に入らない」といった理由でも返品が可能です(ただし、箱を破損しない、同梱物をなくさない、製品に傷をつけないなど、最低限のマナーは必要です)。
レビューを終えてみて「予算20万円以下でPCを買うなら、これでいいんじゃない?」と思いました。パフォーマンスはGeForce RTX3060を搭載するゲーミングノートと比較しても全く遜色はありませんし、有機ELディスプレイはクリエイターの利用にも向くくらいに極めて発色品質が高いだけでなく、リフレッシュレートも120Hzなので、ゲームプレイはもちろんのこと、普段使いでも描画がなめらかです。
また、入出力ポートの構成も素晴らしく、筐体も派手すぎず、ちょっと高級感があって様々な用途で便利に使えると思います。この製品、ウインタブとしてはビジネスノートとしてもクリエイターノートとしてもゲーミングノートとしても必要な水準を軽くクリアしている、と評価します。
6.関連リンク
ASUS Vivobook Pro 15X OLED K6501ZM (K6501ZM-MA052W):ASUS Store