こんにちは、ゆないとです。今回はXperia 1 IIの実機レビューをお届けします。発売日から既に約8ヶ月以上が経過しており、今さらのレビューと感じるかもしれません。今回は、遂にAndroid11へのバージョンアップを果たした記念ということで実機レビューをすることにしました。
私は、この製品特有の機能を活用してのウインタブでの実機写真撮影用とスマホゲーム周回用、(防水機能があるので)お風呂での動画や記事閲覧用に使用しています。このレビューでは、たくさんある要素の中から「カメラと充電関連」にスポットを当ててレビューします。
目次
1.この記事の要約
■SONY αシリーズに似たUIの「Photography Pro」アプリは被写体に合わせた設定をすることができ、標準のカメラアプリより自由度が高く思い通りの写真撮影が“しやすい”です。ウインタブでの実機レビュー用写真撮影に欠かせません。
■「いたわり充電」は充電の上限設定ができ、バッテリー寿命を長持ちさせることができる便利な機能です。私は上限80%に設定して使用しています。
■「HSパワーコントロール」はゲーム周回の強力な味方です。バッテリーではなくシステムに直接電力を供給するため、発熱によるバッテリー劣化を無くしバッテリー寿命を長持ちさせます。ゲーム以外にもZoomなど長い間稼働するアプリにも有効です。
2.スペック
SONY Xperia 1 II | |
カラー |
フロストブラック(SIMフリーモデルのみ)、ブラック、 ホワイト、パープル(docomo/SIMフリーモデルのみ) |
OS | Android10(Android11バージョンアップ可) |
SoC | Qualcomm Snapdragon 865 |
RAM | 8GB / 12GB |
ストレージ | 128GB / 256GB |
ディスプレイ | 6.5インチ 4K HDR 有機EL シネマワイドディスプレイ、アスペクト比:21:9 |
バンド |
4G:B1/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/21/26/28/38/39/40/41/42 5G:n77/n78/n79 ※SIMフリーモデルのバンドです。キャリア版は異なります。 |
SIM |
キャリア版:nano-SIM ×1 SIMフリー版:nano-SIM ×2(microSDカードと排他利用) |
ネットワーク | Wi-Fi6(802.11 a/b/g/n/ac/ax)、Bluetooth 5.1 |
入出力 | USB Type-C ×1、オーディオジャック |
カメラ |
フロント:8MP(f/2.0) リア:12.2MP(メイン24mm)+12.2MP(超広角16mm)+12.2MP(望遠70mm)、3D iToFセンサー |
バッテリー | 4,000mAh |
サイズ | 72 × 166 × 7.9mm |
重量 | 約181g |
カラーのラインナップは少し複雑です。どこでも購入できるのはホワイトだけで、パープルはdocomoとSIMフリーモデル限定、ブラックはdocomoとauのみです。また、SIMフリーモデルのみ「ブラック」ではなく「フロストブラック」になります。
発売当初Android10だったこの機種は、2021年1月にauモデルが、2月にdocomoモデルがバージョンアップでAndroid11になりました。大きな追加点としては、いたわり充電の設定項目が増えたこと、SONYの一眼レフなどの外部ディスプレイになる機能の追加でしょう。その他、スクリーンショットの操作方法が増え、電源OFFにするときのメニュー画面のデザインが変更されたのが目に見えてわかる変化です。
キャリア版は「RAM 8GB / ROM 128GB」で、SIMフリー版が「RAM 12GB / ROM 256GB」です。ディスプレイは変わらず21:9という縦長ディスプレイで、6.5インチの4K HDR有機ELディスプレイを搭載します。画面設定でクリエイターモードにすれば、映像制作の基準器として使われているソニーのマスターモニターで培った技術でBT.2020の色域、10bit入力に対応しているため、クリエイターの意図する色調を再現します。最近トレンドの90Hzや120Hzの高リフレッシュレートには対応しておらず、残像低減技術で擬似的な90Hz相当になります。
USB Type-Cの入出力の他に、3.5mmのオーディオジャックも搭載します。スマホでも有線でイヤホンを使いたい場合は安心です。SONYと言えばWalkmanでも有名ですが、それらに搭載されている、圧縮音源を高解像度音源に変換できる「DSEE Ultimate」を搭載しているため、高音質が楽しめます。フロントステレオスピーカーで偏りなく音を出力でき、Dolby Atmosにも対応しているためスピーカーでもコンテンツを楽しめるでしょう。
カメラは3つのレンズと3D ToFセンサーで構成されていて、有名メーカー「ZEISS(ツァイス)」のレンズを採用しています。また、“T*(ティースター)”と呼ばれるコーティングを施して不要な反射光を低減するような作りになっています。また、SONYのカメラ“α(アルファ)”シリーズの機能が搭載されていて、瞳AFや最高20コマ/秒でAF/AEしたまま追従する高速連写、低照度撮影などはαシリーズの技術を継承しています。専用のカメラアプリ「Photography Pro」や動画アプリ「Cinematography Pro」には、本当の一眼レフのように詳細な設定項目があります。
リアカメラはどれも1220万画素のレンズで、標準の24mmと超広角の16mm、望遠の70mmを切り替えて使用します。標準と望遠のレンズは光学式と電子式のハイブリッド手ブレ補正に対応していて、まさしくスマホにデジタルカメラが入った、という感じです。3D ToFセンサーは低照度撮影などに使用されます。
バッテリーは「4,000mAh」と比較的大容量です。重量は約181gと、長時間持ち続けても苦ではないでしょう。横幅は72mm、厚さは7.9mmと持ちやすいサイズだと思います。
3.外観
私が購入したのはdocomo版のパープルです。
ディスプレイです。ノッチはなく、上下に細いベゼルがあります。上下のエッジ付近にスリッドがありますが、この部分がスピーカー口です。上部のベゼルにはフロントカメラとセンサー、右端にはLEDインジケーターがあり、通知などがある場合は点滅してわかりやすいです。
カラーはパープルなのですが、鏡面仕上げになっていて周囲の景色が映り込むことはもちろん、傾けない限りはシルバーのようにも見える不思議な色です。周囲の光の明暗の加減や、横から見てやっとパープルらしい色味となります。中央にはSONYのロゴ、下部には”docomo 5G”とロゴがあります。左上にはカメラ、その上部にはフラッシュライトが搭載されています。Felicaの場所は、このカメラユニットの右隣に空いたスペースに配置されています。
なお、発売当初はこの背面のエッジ部分において、原因は不明ですが、ガラスの内側、内部塗装が剥げてしまう個体があるという情報がありましたが、幸いにも私の個体では発生していません。
上部側面には、オーディオジャックがあります。
左側面には、SIMカードスロットがあります。嬉しいことに先の細いピンで取り出すタイプではなく、爪を引っ掛けてカバーを外すタイプなので、SIMの入れ替えがとてもしやすいです。しかしながら、カバーはSIMカードスロットにくっついているものの完全に固定はされていません。おそらく取り出す際などにカバーの向きがある程度変えられるような柔軟さを備えるためだと思うのですが、気をつけないとカバーとスロットが外れてしまいそうなくらいの強度で心配になります。
右側面です。左側から、ボリュームキー、指紋認証センサー兼電源ボタン、一番右がカメラのシャッターボタンです。ボタンはしっかりしていてグラつきは少なく、強度はそれなりにありますね。カメラのシャッターボタンは、長押しするとカメラを起動するという設定もできます。また、手に持った時に指がかかりづらい場所にあるため、誤って長押しとなり、カメラが起動してしまうことは少ないです。
下部側面はUSB Type-Cのポートがあります。
カメラ部分です。それよりも如何でしょう。撮影をしてみたのですが、手がばっちりと映り込んでいますね。カメラ部分がフォーカスされているためぼやけていますが、実際は鏡の代わりにできるくらいはっきりと映り込みます。カメラは縦に並ぶように配置されていて、“ZEISS T*”ロゴの下には3D ToFセンサーが配置されています。カメラユニットの厚さですが、SIMカード1枚分くらいはあります。何も付けないとガタガタするので、置いて操作したい場合はカバーも必要です。
私は、歴代Xperiaの中でも「Xperia Z3」が一番好みのデザインで気に入っています。当時もキャリア版だったのですが、弄くり回していたらタッチパネルが反応しなくなり電源だけが付く板になりました。まだ手元に持っていたので並べてみます。こうしてみると、Z3の側面は丸みを帯びていますが、Xperia 1 IIはフラットです。しかし、見た目は結構似ていて、今回のモデルで「やっと元に戻った」と個人的には嬉しく感じています。これを待っていたのです。
4.使用感
Android標準のカメラアプリもあるけど、Photo ProはUIも操作もデジカメ
通常のAndroid標準とも言うべきカメラアプリもあります。このアプリ1つで写真も動画も撮影ができるものです。UIも大きな違いは無く、設定も困ることはありません。
最も語るべき特徴とも言えるのが、専用のカメラアプリ「Photography Pro」と動画アプリ「Cinematography Pro」でしょう。
「Photo Pro」の方はデジカメなどのカメラに似たUIで、モードの切り替えやホワイトバランス、ISOの変更などから、レンズの切り替えなど必要な操作はこの画面に揃っています。そのため、わざわざメニューを開かなくても設定変更できるのが使いやすいポイントです。また、通常のカメラアプリよりも細かい調節ができるため自由度が高く、思い通りの写真撮影がしやすいと思います。
さらに、今回のAndroid11バージョンアップにより、よく使う設定を保存しておいて必要な時に読み込むモードも追加されました。しかし、まだまだカメラの知識が自身に定着しておらず、どれがよく使う設定かも定まっていないので使えていないモードです。デジカメまたはミラーレスを過去に使用したことがあるので、どこに何の設定があるのかなどは困りませんでしたが、ほとんどがスマホのカメラを使いあまりカメラ製品を触ったことがないような人には、フォーカスエリアや測光モードのアイコンなどは、どういうものなのかわかりづらいかもしれません。
その他の頻繁に変更しない項目については設定メニューの中に入っています。
また、操作していないときは約15秒で自動終了してくれる機能があるのですが、ウインタブの実機レビューに使用する実機写真を撮影する際、少し位置を調整したりしていると戻ったときには終了しているため、起動し直す必要がある点は使いにくいです。なお、自動終了までの時間を変更するような設定はありません。
Photography Proなどカメラの仕様は面白いものですが、最近よくあるAIシーン判定ではなく、ユーザー自身で設定を変更する必要があるため、実際に撮影して作り出される画像は好みの分かれるものになると思います。GalaxyシリーズやiPhoneシリーズなど、オートで撮影しても、前述の通りAIシーン判定のような、色味がハッキリとしていて誰がみても綺麗に撮れていると感じるような写真にはなりません。光の当たり方や明暗、距離など本当にデジカメやミラーレスで撮影するように考えて撮影をする必要があると感じます。
オートモードもありますが、それ以外は自分の腕次第です。光の当たり具合や被写体との距離、レンズの種類などでも撮影した画像は結構変わります。ただし、ある程度適当に撮影しても、やや落ち着きのあるクールな色味の画像で、“アート”な感じに撮影ができるのは気に入っています。
「Cinema Pro」もまた、動画撮影の知識が必要になると感じるようなアプリです。こちらも必要な設定項目が表に出ていて、メニュー画面が開かなくても調節が可能です。
しかし、撮影を始めてしまえばメニューが隠れてしまいます。また、使用するレンズの変更もできないですし、ズームなども働きません。そのため、このアプリを活かすには、事前にどのような構図や展開で撮影するのか、広角で撮影をする必要があるシーンなのかというような、動画撮影のノウハウが必要だと思います。
また、動画の色味もプリセットが多くあり、例えばSONYのハイエンドシネマカメラであるVENICEというモデルの開発チームが監修した“VENICE CS“という設定もあります。勝手なイメージとしては、やや青みがかった色になるものの、おしゃれなVLOGやPVにあるようなかっこいい画作りができる感じがします。
いたわり充電の設定が増えて、バッテリーの劣化も抑えられる
「いたわり充電」はバッテリーの劣化を抑えて長い間使えるようにする機能です。ついついやってしまう就寝中の充電ですが、以前は100%に達した後、満充電の状態が継続してしまうことはバッテリー劣化に影響があると言われてきました。最近の端末ではバッテリー制御のおかげで満充電の継続をしないようになっているようですが、Xperia 1 IIの方は明確に設定することが可能です。
設定の内容は、自動で端末側が未使用時間を判断してそれに合わせて制御するパターンと、ユーザー側で使用しない時間を設定してそれに合わすパターンがあります。ユーザー側で設定をする手動のパターンでは、例えば23:00~6:00と設定をすれば、その時間内に充電を開始すると丁度6:00になる頃に100%となるよう緩やかに充電を制御します。
また、Android11バージョンアップを適用すると、バッテリーの上限を設定できるようになりました。最近では、20%~80%の間を維持すると高い効率でバッテリーが使用でき、寿命も長持ちすると言われています。今まで0%~100%の方が良いと思っていましたが、こちらのほうが劣化への影響が大きいようです。それを防ぐ方法としてこのバージョンアップは素晴らしい追加だと思います。設定できるのは80%か90%かです。自宅で使用することが多いため私は80%で設定をしています。
HSパワーコントロールはスマホゲー周回の強力な味方!
カメラと並ぶ、この端末の最大の特徴の1つがこの「HSパワーコントロール」です。通常、充電をしながらスマホを使う際、その間は一度バッテリーへ供給されて、バッテリーから電力を消費します。HSパワーコントロールが有効になると、バッテリーを通さずシステムへ直接供給するので、発熱によるパフォーマンス低下や電池の劣化を抑えることが出来るのです。
なお、この設定の有効化は設定アプリからアクセスするのではなくて、独自のゲームランチャーからアクセスする必要があるため、基本的にはゲームアプリにしか働きません。しかし、ゲームランチャーへアプリを追加する事が可能なのですが、画像のとおりゲーム以外も追加可能です。そのため、HSパワーコントロールを併用したいアプリがあれば手動で追加をすれば問題ありません。例えば、Zoomなど長い間バッテリーを使うアプリなどではとても有効だと思います。私も何度か利用しています。
私の場合の使い道としては、ゲームの周回用です。スマホゲームは結構なバッテリー消費をしますし、最近のタイトルはパフォーマンスも必要であるため発熱もすごいことになります。そのため、バッテリーを通さず直接電力を供給するこの機能はバッテリー劣化を抑えて長い間ゲーム用端末として活躍してくれそうな予感です。
少し気をつけたいのは、バッテリーの発熱はなくなるもののCPUによる発熱はあるので、数時間にも及ぶ連続使用は控えたいところです。
5.まとめ
今回は、たくさんの要素の中から、カメラとバッテリー、そしてゲーム周回用としての視点からレビューをまとめてみました。どれも「Xperia 1 II」の大きな要素です。この他にも、4K HDRに対応したディスプレイを活かして、Netflixなどの動画コンテンツを楽しむ端末にできますね。もちろん、ゲームではありませんがゲームランチャーへアプリを追加することができますので、直接供給による長時間の使用が可能です。ドラマ一気観用端末としての使い方もあるのではないでしょうか。
価格ですが、フラッグシップ端末なだけあり、例えば中古スマホを販売しているイオシスであれば白ロムが8万円~9万円台の価格とやや高めな印象です。前モデルのXperia 1くらいの中古価格になるのはもう少し先かもしれませんね。そうは言っても性能は2020年のフラッグシップで、メイン機として使えるUIやデザインなので手にする価値はあると思います。予算があれば、各キャリアのバンドにも対応しているSIMフリーモデルも魅力的ですね。SIMフリーモデルの新品価格は124,000円(税込136,400円)で、ソニーストアで販売中です。
6.関連リンク
Xperia 1 II:ソニーモバイル 製品ページ
Xperia 1 II(XQ-AT42):ソニーストア
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