こんにちは、かのあゆです。OUKITELが8月に発売した「C17 Pro」は約1.5万円で購入可能なエントリーモデルながらパンチホールノッチや3眼トリプルカメラを搭載しています。積極的に国内展開を開始しているUMIDIGIと比べると目立っていない印象ですが、OUKITELも日本人ユーザー向けにAmazon.co.jpにて国内公式ストアを展開しており、一部端末に関しては技適も取得済みです。C17 Proに関しても発売から間もない端末であるにも関わらず、すでに技適を取得しており、ドコモのプラチナバンドであるB19などもサポートしています。そんなOUKITELのC17 Proをサブ機として購入したので実機レビューさせていただきたいと思います。
1.スペック
搭載OSはAndroid 9 Pieです。中華スマートフォンは全体的にOSのメジャーアップデートは行われておらず、C17 Proに関しても現時点で最新バージョンとなるAndroid 10へのアップデートが行われるかどうかわかりませんが、比較的新しいOSを搭載しているといえます。セキュリティアップデートも比較的頻繁に配信しているようなのでこの点に関しても安心して使っていけそうです。
搭載CPUはMediaTek Helio P23です。Helio P23に関しては2.0Ghz駆動のMT6763Vと2.3GHz駆動のMT6763Tが存在していますが、C17 ProではMT6763Vが採用されています。RAMは4GB、内蔵ストレージは64GBと数年前のハイエンドや現在のミッドレンジ向け製品と同じスペックとなっており、MicroSDカードによるストレージ拡張にも対応しているため、一般的な利用方法であれば容量不足で困ることはないでしょう。
ディスプレイは6.35インチサイズで視野角の広いIPSパネルを採用しており、解像度はHD+(1,560 x 720)となっています。エントリーモデルということで解像度は控えめになっていますが、以前レビューしたSamsung Galaxy Feel 2やXiaomi Redmi 6同様ディスプレイを近くで見ないとドットが識別できないので、表示が荒いということはありません。また近年ディスプレイに「ティアドロップ(涙目)型ノッチ」を採用した製品が増えていますが、C17 ProではSamsung Galaxy S10シリーズやHuawei nova 5Tに見られるような「パンチホールノッチ」を採用しており、高級感のあるデザインと大画面表示を実現しています。
カメラはイン5MP、アウト13MP(標準) + 5MP(超広角) + 2MP(深度)構成で、アウトカメラ側の標準レンズにはソニー製CMOSセンサーを採用しています。AIによるシーン自動識別機能も搭載するほか、珍しい機能として「モノクロ」モードを搭載しており、味のある写真を撮影することが可能です。実際の撮影例に関しては後述いたします。
ネットワーク面はドコモ、ソフトバンク、auの主要LTEバンドをフルサポートしています。ただし、auに関しては相互通信テストを通過していないと必要バンドをサポートしていても接続することができず、C17 Proに関しては現時点では通過していないためauに関しては実質利用できないと考えたほうがよさそうです。C17 Proは発売直後の2019年9月9日に技適を通過しており、現在Amazon.co.jpの公式ストアで販売されているC17 Proは技適の電磁表示も可能となっているため、日本国内でも安心してネットワーク通信を行うことが可能です。
OUKITEL C17 Proの技適情報 : 総務省 電波利用ホームページ
内蔵バッテリーは3,900mAhです。コネクタとしてUSB-Cポートが採用されており、イヤホンジャックは廃止されています。海外販売サイト経由で販売されているC17 Proに関しては変換アダプターが標準で付属していますが、Amazon.co.jpの公式ストアで販売されているC17 Proには付属していないため別途用意する必要があります。
2.筐体
OUKITEL公式ストアが販売するC17 Proには国内仕様のACアダプター、USB-Cケーブル、マニュアル(日本語表記あり)、純正TPUケース、SIMピンが付属しています。海外販売サイトで購入すると海外仕様のACアダプターが付属しているのですが、国内販売モデルに関してはPSEマーク取得済みのACアダプターが付属しています。その代わり海外販売サイトで出荷されているC17 Proに付属しているUSB-C to 3.5 mmヘッドフォンジャック変換アダプターは付属していませんでした。
前面です。OUKITELが公式に用意しているプレスイメージ画像はさすがに盛りすぎではあるものの、左右ベゼルはかなり狭くなっています。また2万円を切る価格帯でありながらパンチホールノッチを採用しており、ぱっと見低価格モデルとは思えない高級感のあるデザインです。ディスプレイに関しては強化ガラスとして旭硝子のドラゴントレイルが採用されていますが、液晶保護フィルムは標準では付属していません。PDA工房ですでにC17 Pro用の液晶保護フィルムが製品化済みなので一緒に用意しておくとよいかもしれません。
OUKITEL C17 Pro専用液晶保護フィルム各種 : PDA工房
前述のとおり解像度はHD+(1,560 x 720)ですが通常利用の範囲ではドットが目立つということもなく、視野角の広いIPSパネルを採用していることもあり表示品質も高い印象でした。
背面パネルはプラスチック素材が採用されていますが、光沢加工が施されており一見するとそうは見えない高級感のあるデザインです。筐体色としては「グラデーション・ブルー」「オレンジ」「ブラック」の3色が用意されていますが、かのあゆは「オレンジ」を選択しました。色合い的にはオレンジというよりはメタリックレッドに近い色合いですが、なかなかきれいな筐体色に仕上がっていると思います。
左側面にはSIMトレイが配置されています。
右側面にはボリュームボタン、電源ボタンが配置されています。
本体上部です。上部に何かセンサーのようなものが配置されていますが、マニュアルを確認したところこれは「Proximity Sensor(接近センサー)」のようです。
下部にはUSB-Cポートとモノラルスピーカーが配置されています。エントリースマホではまだMicro USBポートを採用している機種も多いのですが、C17 ProではしっかりUSB-Cポートが採用されており、好感が持てました。オーディオジャックは廃止されているため、有線ヘッドフォンを使用するにはUSB-Cタイプのヘッドフォンを利用するか別途USB-C to 3.5mmヘッドフォンジャック変換アダプターを利用する必要があります。
3.使用感
システム
OUKITEL C17 Proに搭載されているAndroidバージョンは9 Pieです。標準ランチャーやロック画面がカスタマイズされているものの、基本的には「素の」Androidに準拠した内容です。標準ランチャーに関しては初期設定ではHuaweiのEMUIやXiaomiのMIUIのようにインストールしたアプリがホーム画面にそのまま配置される仕様になっていますが、ドロワー形式に変更することも可能です。
プリインストールされているアプリはGoogle関連のアプリとOukitel独自の最適化ツール、フラッシュライト、FMラジオアプリ、MediaTek純正のOTAアップデータという構成で、それ以外の余計なツールは一切インストールされておらず、シンプルな構成です。
パンチホールノッチ搭載機ということで、標準で含まれる壁紙にはパンチホールノッチを生かしたデザインのものが含まれていますが、権利的に微妙そうなものも含まれており、この辺は中華メーカーらしいかなぁというのが正直な感想です。
設定項目もMediaTek端末に標準搭載されていることが多いバックグラウンドアプリ管理ツール「DuraSpeed」とジェスチャー関連の設定が組み込まれているものの、それ以外に独自要素はありませんがAndroid 9 Pie搭載端末でも標準搭載されていない端末も多い「Digital Wellbeing」が標準搭載されています。
OUKITEL独自アプリとしてプリインストールされている最適化ツール「Basic Service」では不要なキャッシュファイルやタスククリーン、電源管理などを総合的に管理することが可能です。
アップデート関連に関しては定期的に配信されているようで、最新のファームウェアアップデートは2019年10月23日にリリースされています。OSメジャーアップデートを行うかどうかは微妙なところですがバグフィックスやセキュリティパッチの配信に関してはきちんと提供されている印象で安心して使っていくことができそうです。
この記事を執筆している時点での最新ファームウェアでのAndroidセキュリティパッチレベルは2019年10月5日付のものが適用されています。
工場出荷直後のストレージ容量です。内蔵ストレージが数年前のハイエンドと同等の64GB搭載していることもあり、空き容量はかなり余裕があります。
64GBと余裕のあるストレージを搭載しているC17 Proですが、珍しくMicroSDカードのストレージ拡張をサポートしています。実は日本国内のOUKITEL公式ストアでは販売していませんが、「Pro」名称のつかない内蔵ストレージ16GBモデルも用意されており、この辺の仕様に関しては共通のものになっているのかもしれません。通常の外部ストレージとして利用することももちろん可能ですが、後述するカメラアプリの仕様からMicroSDカードを拡張ストレージとしてフォーマットしたほうが使い勝手は良いかもしれません。
microSDカードを「内部ストレージ化」して、ストレージ16GBのAndroidスマホをより快適に!(かのあゆ)
スピーカー
内蔵スピーカーはモノラルです。中華スマートフォンでも近年販売されている端末に関しては音質が向上してきている印象ですが、C17 Proに関しては残念ながらそこまで音質は高くなく、全体的に音圧が軽いのと、ボリュームを上げていくと音が割れてしまう点は個人的に残念に感じました。正直内蔵スピーカーで定額配信サービス配信されている音楽を流し聞きするのも厳しいというのが正直な感想です。できればBluetoothスピーカーやイヤホンを使用するか、USB-C to 3.5mmイヤホンジャック変換アダプターを用意して有線イヤホンを使用するほうがいいと思います。
バッテリー
バッテリーは3,900mAhと大容量のものを搭載しており、データSIMカードを挿入した状態でWEBブラウジングやTwitter、写真撮影などの通常利用で使う分には一日半は余裕で持つ印象でした。またMediaTek CPUを搭載したスマートフォンは急速充電規格に「Pump Express」に対応しているものが多いのですが、C17 ProではUSB-Cポートを搭載したことによりUSB PDによる急速充電もサポートしており、実際にウインタブでレビューしたUSB PD対応ACアダプター「AUKEY PA-D5」で急速充電が可能でした。大容量バッテリー搭載でありながら急速充電に対応しているのは非常にありがたい限りです。
カメラ
標準カメラアプリはビューティモードやボケモードなど、必要最低限の機能は実装されています。ただし広角レンズを採用しているにもかかわらず「広角モード」が用意されておらず、またアプリ上から広角に切り替えることもできないため、その性能を引き出せていないのは残念です。また以前レビューしたElephone A4 Mini同様ストレージ保存先が指定できず、位置情報の記録に対応していない点、AIによるシーン識別に対応しているものの、標準設定で無効になって有効化しても設定が保存されないなど調整不足な点が目立つのは残念なところです。ただしこの点に関してはファームウェアアップデートで改善される可能性もあるので今後の調整に期待したいところです。
カメラアプリの仕様に不満はあるものの、C17 Proで撮影できる写真はエントリークラスのカメラとしてはかなり満足度の高いものになっています。特に暗所でもノイズこそあるものの明るく撮影できるのは完全に予想外でした。低価格帯の中華スマートフォンのカメラといえば画質が残念なものが多い印象ですが、近年の端末に関してはこのクラスの製品もかなり性能が向上している印象です。この画質なら個人ブログでの利用も十分可能でしょう。
C17 Proの標準カメラアプリには「モノクロモード」も搭載されており、このように味のあるモノクロ写真を撮影することも可能です。
深度レンズを搭載しているということで「ボケモード」も標準搭載されていますが、効果としては不自然なボケ方で通常モードで撮影したほうがうまくぼけてくれる印象すらあります。ボケ効果についてはあまり期待はしないほうがいいかもしれません。
4.性能テスト
参考:
ASUS Rog Phone 2(Snapdragon 855+) : 487,784
Samsung Galaxy S10e SM-G9700(Snapdragon 855) : 410,899
Sony Xperia XZ2 Compact SO-02K(Snapdragon 845) : 289,484
Samsung Galaxy S8 SC-02J(Snapdragon 835) : 237,841
Huawei Mate 10 Pro(Kirin 970) : 210,485
Apple iPhone SE(Apple A9) : 193,246
UMIDIGI S3 Pro(Helio P70):179,103
Smartisan U3 Pro(Snapdragon 660) : 167,968
Teclast M30(Helio X27) : 116,771
Xiaomi Redmi 6(Helio P22) : 83,181
KYOSERA Android One S4(Snapdragon 430): 68,802
Antutu v8.0.4でのベンチマークスコアです。C17 Proに搭載されているMediaTek Helio P23は前述のとおり低クロック版のMT6763Vで、計測されているスコアは先日レビューしたHelio P22を搭載するXiaomi Redmi 6より1万ほど高いスコアを計測しています。正直Redmi 6も快適に動作している印象だったのですが、C17 Proに関してもWEBブラウジングやSNSアプリの利用はストレスなく利用できます。
実際に「PUBG Mobile」をC17 Proでプレイしてみました。初回起動時のグラフィック設定は「快適」ではなく「標準」に設定されていましたが、この設定ではフレーム落ちが目立つ印象です。ただグラフィック設定を「スムーズ」、フレームレート設定を「高」に設定したところフレーム落ちも目立たなくなり、十分プレイ可能でした。eスポーツの出場選手など、本格的にプレイするのであればROG Phone 2などゲーミングスマートフォンのほうが最適でしょうが、息抜き程度にプレイする程度であればC17 Proでも十分遊べそうです。
5.まとめ
OUKITEL C17 ProはAmazon.co.jpにて15,999円(税込)で販売中ですが、現在1,000円引きになるクーポンが発行されており14,999円(税込)で購入可能です。またBanggoodでも12,255円で販売中です。付属するプラグが海外仕様になってしまうものの、Banggoodではセールを行うこともあるためこちらで購入するのもありだと思います。
OUKITELに関しては現在先代モデルとなる「C15 Pro」と今回レビューした「C17 Pro」で日本人ユーザー向けに技適を取得して販売しており、C17 Proに関しては国内キャリアの主要バンドもサポートするなど、今後UMIDIGI同様本格的に日本人ユーザーに売り込んでいく方針に向かっているのかもしれません。全体的に標準カメラアプリや内蔵スピーカーのつくり込みに不満はあるものの、低価格モデルでありながらパンチホールノッチと高級感のある背面パネルを採用した筐体デザインや普段使いには十分なパフォーマンス、セキュリティアップデートをきちんと配信しているなど、メイン端末としては厳しいかもしれませんがサブ端末としては十分使っていけそうな一台に仕上がっています。
UMIDIGIやOUKITELに限らず、中華端末メーカーも技適をきちんと取得するメーカーが増えてきたのはいい傾向だと思います。中華スマートフォンならではの癖はあるものの、それを理解したうえで選択するのであれば十分魅力的な選択肢になりそうです。デザインに一目ぼれして購入しましたが久々に面白い中華スマートフォンに出会えたと思っています。
6.関連リンク
OUKITEL C17 Pro: Amazon.co.jp(OUKITEL公式ストア)
OUKITEL C17 Pro : Banggood