FOSSiBOTのAndroidタブレット「DT 2」の実機レビューです。最近になって中国メーカー各社から続々とリリースされている「タフネスタブレット」ジャンルで、10.4インチというディスプレイサイズながら重さ1キロをオーバーする「ゴツさ満点」の製品です。
また、ウインタブでFOSSiBOT製品のレビューをするのは今回が初となります。なお、レビュー機はメーカーからサンプル提供されたものを使用しています。
ここがおすすめ
・Helio G99搭載、中国タブとしては高いスペック
・重量級で迫力ある外観
・イン32MP/アウト64MPの高画素数カメラを搭載
・アウトドアで便利なライト・各種ツールを搭載
ここはイマイチ
・Androidの大画面デバイス向けUIを採用していない
・FMラジオが日本の周波数に合っていない
・分厚くて重いので、アウトドア利用をしない人には不向き
販売サイトはこちら
FOSSiBOT DT 2:FOSSiBOT Official Store(AliExpress)
1.製品概要
スペック表
FOSSiBOT DT2 | |
OS | Android 13 |
CPU | MediaTek Helio G99 |
RAM | 12GB(拡張機能により最大20GB) |
ストレージ | 256GB |
ディスプレイ | 10.4インチ(2,000 x 1,200) |
LTEバンド | FDD:B1/2/3/4/5/7/8/12/17/18 19/20/25/26/28A/28B/66 TDD:B38/39/40/41 |
SIM | nanoSIM × 2(SIM2はmicroSDと排他) |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.0 |
入出力 | USB Type-C、microSDカードリーダー、オーディオジャック |
カメラ | イン32MP/アウト64MP |
バッテリー | 22,000 mAh |
サイズ | 253.4 × 163.25 × 20.5 mm |
重量 | 1,065 g |
コメント
OSはAndroid 13、SoCはHelio G99と、最近の中華タブ上位モデルによく見られる構成です。RAMは12GBで拡張機能により最大20GBとして使え、ストレージは256GBです。また、ディスプレイは10.4インチで解像度2,000 × 1,200なので、ここまでの構成はBlackview Active 8 Proとかなり似通っています。
実機を確認したところ、技適マークがついており、LTEでは日本の通信バンドをしっかりカバーしています。一方でWidevineはL3(レベル3)でした。L3だとAmazonプライムビデオやNetflixなどの動画サブスクリプションサービスでHD以上の画質で視聴ができません(SD画質になります)。最近の中華タブのニューモデルはWidevine L1になっているものが多く、この点は少し残念ですね。他社の事例ではOTAアップデートでWidevineがL1になった、というケースもありますので、今後に期待したいところです。
カメラはDT2の大きなセールスポイントです。イン側が32MP、アウト側が64MPと、タブレット製品としては最高水準の画素数になっています。実際の撮影品質が気になるところですね。
バッテリーは22,000 mAhと超大容量で、Blackview Active 8 Proと同じです。ただし、競合製品だとOUKITEL RT7 Titan(5G / 4G)が32,000 mAhなので、「クラス最大」ではありませんw また、66Wの急速充電にも対応し2.5時間で満充電にできる(理論値)とのことです。それと、実機でリバースチャージにも対応していることを確認しました。
では、ゴツい筐体から見ていきましょう。
2.外観と使用感
まず、同梱物から見ていきます。ペーパー類は取扱説明書(日本語もあり)、保証書、「最初に使う前に充電してね」と書かれた一枚ものが入っていました。他にはACアダプターとUSB Type-C – USB Type-Cのケーブル、ハンドストラップ、SIMピン、そしてハンドストラップを背面に固定するためのネジとドライバーです。ACアダプターは66Wと高出力なものでした。また、ストラップの取り付けについては後述します。
なお、この66WのACアダプターを使って充電してみたところ、おおよそ45Wで充電されていることを確認しました(詳細な計算式は省きますが、バッテリー残量の変化と時間、DT2のバッテリー容量から計算しています)。まあ、この手の製品としては良好な部類だと思います(PCやスマホの充電時の供給電力はたいてい公称値よりも小さくなります)。
前面です。四隅がしっかり補強されているのがわかります。ただ、形状としては普通のAndroidタブレットですね。Webカメラは中央上部(横持ち時の上部ベゼル中央)にあります。
前面にはあらかじめ保護フィルムが貼られていました。ちょっと浮いてますねw 気になる場合はあとで交換するとして、当座はこのフィルムで問題なく使えます。前面のガラスについて「ゴリラガラス」などの説明はありませんでしたが、おそらく強化ガラスが使われているはずです。
ディスプレイの発色品質は悪くありません。手持ちのPCモニター(27インチIPS液晶、FHD解像度で100%sRGBの発色品質のもの)と比較すると原色がやや淡く感じられますが、単体で画面を見ている限り不満は感じられませんでした。また、設定で「ナチュラル」「ブースト」「ビビッド」の3種類の発色の調整が可能ですが、個人的には「ナチュラル」が文字通り最も自然な発色と感じられました。
背面です。タフネススマホらしい、ゴツいデザインです。背面の素材は黒い部分が樹脂製、中央の「X」の部分(シルバーの部分)が金属製でした。また、左右に2つずつ、ストラップを取り付けるためのネジ穴があります。また、アウトカメラはあたかもマルチレンズのように見えますが、実際はシングルレンズです。…まあ、デザインとしてはカッコいいですけどね…。
カメラバンプを拡大してみました。ちょっとわかりにくいですが、端の部分に突起があり、下向きにおいてもレンズが接地しないように配慮されています。DT 2はおそらくカバーなしで運用することになると思いますので、この構造はありがたいですね。
(横持ち時の)上面です。画像右から電源ボタン、音量ボタン、少し離れて指紋センサーです。
音量ボタンには滑り止めと思われるギザギザの加工が施されていました。DT 2は手袋をつけた状態でもタッチ操作が可能なので、それを考慮した形状なのでしょう。
下面です。こちらにはポート類やボタン類はありません。画像右側に写っている穴はマイク穴と思われます。
右側面です。中央にUSB Type-CポートとSIM/microSDスロットがあり、いずれもパッキンで覆われています。防水のためにパッキンで覆うのはいいんですが、DT 2はUSB Type-Cポートを使って充電しますので、充電のたびにパッキンを開けるのは少々面倒なのと、繰り返しパッキンを開閉することによる劣化が少し心配です。もちろん短期間のレビューでパッキンの劣化は確認できませんでした。
それと、ポート/スロットの外側にスピーカーグリルがありますね。
左側面です。こちらにはスピーカーグリルが2つあるのみ。DT 2は左右側面に2つずつ、合計で4つのスピーカーを搭載しています。
スピーカーの音質はいいです。筐体が大きいせいか低音がしっかり出ますので、音圧という点では(タブレット製品の割に)高水準です。ただし、少しクリアさに欠けるように思われました。少しこもり気味、という意味です。音量を最大にすると少々音割れしますが、かなり大きな音が出ます。このあたりもタフネスタブレットらしい、と言えます。
さて、ストラップを取り付けてみます。上で掲載した画像の中の、ビニール袋に入っていたのがこれ、小さなマイナスドライバーとネジが6つ。実際に使用するネジは4つなので、2つは予備です。
取り付け作業はごく簡単ですw こうやって金具を置いてネジを締めるだけ。付属のマイナスドライバーだけで作業ができ、数分で終わります。
ストラップを通してみました。一本のバンドを上で取り付けた金具に通し、ベルクロで留めてで「輪」を作る構造です。ベルクロの長さに余裕があるので、多少であれば長さ調整もできます。
ストラップに手を入れてみました。結構しっかり固定されますし、締め付けられて手が痛くなるようなこともありません。先日レビューしたBlackview Active 8 Proもそうですが、タフネスタブレットはかなり重い(約1キロ)ので、ストラップをつけておくほうが使いやすいですね。落下も防止できますし。ちなみに、レビュー機にストラップを取り付けた状態での実測重量は1,112 gでした…。
画像が見にくくて申し訳ありません。背面のライトを点灯してみました。ライトの点灯はアプリ(アプリ一覧画面のToolBagというアプリの中にFlashlightというアイコンが入っています)で行います。このライト、非常に明るく、しかし明るさの調整はできません。キャンプとか(最近あんまり聞かなくなりましたけど)停電時には役に立ってくれると思います。また、SOS点滅も可能です。
3.システム
ホーム画面とアプリ一覧です。ご覧の通り、プリインストールアプリは非常に少ない、と言いますか、メーカー独自のものがほとんどありません。アプリ一覧(画像右側)の下から2列めのところに「ToolBag」というのがあり、メーカーが用意したタフネスタブレット向けのものです。
ToolBagに入っている機能は下記の通りです。
Compass:コンパス
Sound Mater:騒音計
Pic Hanging:壁掛けした絵の傾斜をチェック
Gradienter:測斜計
Height Measure:測高計
Magnifier:拡大鏡
Warning:警告ブザー、フラッシュ
Plumb Bob:鉛振り(てんば)
Protractor:分度器
Flashlight:ライト
Stepcount:歩数計
筐体説明のところで背面のライトを点灯させた画像を掲載しましたが、ライトの操作はToolBagの中にあるFlashlightで行います(画像右)。GradienterとかPlumb Bobについてはニーズの有無、また要求される精度は人それぞれだと思いますが、キャンプなどのアウトドアレジャーではそれなりに役立つのではないかと思います。
DT 2はAndroid 13搭載ですが、「大画面デバイス向けUI」は採用されていません。しかし、設定メニューはUIが少しカスタマイズされていましたね。でも機能面で特殊なものは見受けられませんでしたし、RAM拡張機能(画像右)や上にご紹介したToolBagなどの独自機能は日本語化されておらず、英語表記でした(ToolBagの一部機能については英語が苦手な方は当初「調べながら」使う感じです)。
それと、アプリで「FMラジオ」が入っていました。しかし、日本の周波数にあっておらず(87.5MHzより上の周波数でないと受信できない)、また、(アンテナとして使う)有線イヤホンの接続が必要ですが、その割にDT 2にはイヤホンジャックがありません。アウトドアでの利用が想定されるタフネスタブレットなので、FMラジオについては日本向けに調整してもらいたいところです。
4.カメラ
イン32MP/アウト64MPというのはタブレット製品としては非常に高い画素数です。そのため、撮影品質が気になるところですが、結論から書くと「キレイに撮影できるが、スマホには及ばない」ですね。
カメラアプリはタブレット製品としては多機能な部類…ではあるのですが、不親切なところもあります。画像左にあるように設定項目は割と普通で、モード(画像中)も結構多彩です。Proモードでは露出、ISO、ホワイトバランスをマニュアル調整できますが、スマホのProモードほどの調整余地はなく、写真撮影に凝る人には不満に感じられると思います。また、ナイトモード(夜景モード)もついています。
不親切なのは「画面サイズの変更余地が小さいこと」です。画像左の一番上に[4:3]と表示されていますが、この際は「9,216 × 6,944(64MP)」となり、[5:3]に変更すると「4,640 × 2,784(13MP)」となります。インカメラでは[4:3]が「6,528 × 4,896(32MP)」で[5:3]が「2,880 × 1,728(5MP)」です。静止画で設定できる画面サイズはこれだけで、パノラマモードとか1:1モードはありません。また動画ではアウトカメラが「2K/1080p/720p/480p」インカメラが「1080p/720p/480p/CIF」の解像度を選べます。
先日レビュー記事を公開したHeadwolf HPad 5とFOSSiBOT DT2を携えて外出し、何枚か写真を撮影してみました。基本的には初期設定のままで撮影しました。
マジで雲ひとつない晴天だったのでアラが出にくいというのはあるんですけど、タブレット製品としてはかなりキレイに撮影ができていると思います。Headwolf HPad 5と比較しても白飛びが少なく、落ち着いた感じに仕上がっています。
私、48MP以上の画素数のスマホをいくつか使っていますが、高画素数設定(そのスマホの最大画素数)にするとズームが効かなくなることがほとんどです。でもDT 2は64MPのままズームできちゃうんですよね。ズーム範囲は1倍~4倍で、1倍よりも小さな倍率にはできません。2倍、4倍とも「十分見られる」画質になっていると思います。
やはりHeadwolfと比較すると白飛びが小さく、落ち着いた画質になります。DT 2に限った話ではありませんが、しっかり作られたスマホカメラ(今回はタブレットですけど)の場合、13MPとかでも全然キレイに写りますよね。街なかとかキャンプ場でスナップ写真を撮影するぶんには64MPって特にいらないのではないかと思います。
ナイトモードでも健闘しているとは思いますが、Pixel 8と比較してしまうとその差は一目瞭然。全ての撮影シーンでPixel 8と比較するような嫌らしい真似はしませんが、DT 2の作例だけ見れば「キレイ」と感じられるものの、Pixel 8と比較すると「いちいち差が出る」ような感じになります。なので、上にも書いた通り「キレイに撮影できるが、スマホには及ばない」です。ただ、Headwolf HPad 5との比較ではDT 2のほうが高品質だと感じました(Headwolf HPad 5もタブレット製品としては十分に合格点をあげられますけどね)。
5.性能テスト
FOSSiBOT DT 2のSoCはHelio G99です。Antutu Ver.10のスコアは40万点を少し越える数値となりましたが、Helio G99搭載機としては「妥当な範囲内で高い」と言えます。このくらいのスコアであれば「3Dグラフィックの、いわゆる重量級ゲーム」では画質設定をかなり落とす必要がありまして、要するに「画面が汚い(荒い)状態でのプレイ」となり、はっきり言って楽しめません。
少し古いゲームタイトルとかパズルゲームであればきれいな画質で楽しめます。なので、Helio G99を搭載しているからと言ってどんなゲームも快適に楽しめるわけではありません。一方で、DT 2が求められるアウトドアシーンの利用、またご自宅でのゲーム以外の利用であればほとんどのことが快適にこなせるはずです。
6.レビューまとめ
FOSSiBOT DT 2はAliExpress内のFOSSiBOT Official Storeに製品ページがあり、12月11日午後5時(日本時間)より発売記念セールが開催されます。セール価格は239.99ドル(1ドル150円として約36,000円)です。また、先着100名にはワイヤレスイヤホンがプレゼントされます。また、PayPalで支払う場合、さらに4ドルが割り引かれるとのことです。
ちなみに記事執筆時点で、比較的スペックの近いタフネスタブレット、Blackview Active 8 ProのAliExpressでの価格は254.95ドルでした。
SoCにHelio G99を搭載していますのでパフォーマンスは高めです。また、カメラは画素数が非常に高く、実際の撮影品質もタブレット製品としては高水準でした。とはいえ、重量が1キロを越える重量級のタブレットですから、外に持ち出すことを利用の前提としていない人にははっきり言って向きません。それなら先日来レビューしているBlackviewやTeclast、DOOGEE、Headwolfなどの「普通の形のタブレット」のほうがずっと使いやすいと思います。
DT 2が真価を発揮するのはやはりアウトドアシーンですね。頑丈でカメラ性能もよく、明るいライトもついていますし、大容量バッテリーで他のガジェットのモバイルバッテリーとしても使えます。個人的には2023年はキャンプに出かける機会が多かったので、次回のキャンプにDT 2を持っていくのを楽しみにしています。
7.関連リンク
FOSSiBOT DT 2:FOSSiBOT Official Store(AliExpress)
コメント
1kgは相当な重さですね…(笑)