DOOGEE V Padの実機レビューです。SoCにDimensity 7050を搭載する、低価格帯(3万円前後)のタブレットとしては高性能な製品で、モバイル5G通信にも対応します。
なお、このレビューはメーカーよりレビュー機のサンプル提供を受け、実施しています。
・高性能SoC、Dimensity 7050を搭載
・発色がいいディスプレイ
・プレーンでクセのないUI
・Wi-Fi 6に対応
ここはイマイチ
・WidevineがL3
・スピーカーの音質は「並」レベル
1. スペック
スペック表
項目 | 仕様 |
---|---|
OS | Android 15 |
SoC | MediaTek Dimensity 7050 |
RAM | 8GB(拡張機能により最大32GB) |
ストレージ | 256GB |
ディスプレイ | 12インチ(2,000 × 1,200)90Hz |
バンド | 5G NR:n1/3/7/8/28/38/41/77/78 FDD: B1/3/5/7/8/20/28A/28B TDD: B34/38/39/40/41 |
無線通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 |
ポート類 | USB Type-C、microSDカードリーダー |
カメラ | 前面:8MP/背面:13MP |
バッテリー | 8,800 mAh (18W急速充電) |
サイズ | 279.5×175×7.95 mm |
重量 | 572 g |
特徴
冒頭に記載した通り、SoCにDimensity 7050を搭載しており、競合する価格帯の中国タブレットよりもワンランク上の性能を備え、モバイル5G通信にも対応するのが大きな特徴です。
ディスプレイは12インチとやや大きめで解像度も2000×1200と高いですが、WidevineがL3です。この点はAmazonプライムビデオやNetflixなどの動画サブスクリプションサービスの利用時にはユーザビリティが下がる(SD画質になってしまう)ため、動画サブスクリプションサービスを利用している人はご注意ください。なお、YouTubeならWidevineのレベルにかかわらず、HD、FHD画質での視聴が可能です。
2. 外観と使用感
同梱物
箱です。特にコメントすべき点はありませんが、箱の内部に保護材が十分に使われ、筐体がしっかり保護されていました。
同梱物です。画像上のペーパー類は左から取扱説明書、SAR(放出される電磁波が人体にどれくらい吸収されるかを数値化した安全基準)の証明書、保証書、SIM/microSDカードスロットのイジェクトピンです。
画像下の左が充電器で18W出力です。V Padは18Wの急速充電に対応しますので、それに見合う充電器が付属する、ということですね。その右がUSB Type-C – USB Type-Cのケーブルです。なお、V Padには液晶保護フィルムとタブレットケースは付属しません。
前面・ディスプレイの使用感
前面です。ベゼル幅は「2025年の上位クラスの」中国メーカー製Androidタブレットとしては標準的くらいでしょうか。ただし、タブレット製品の場合、極端にベゼル幅が細いと操作性を損なう(「持ち手」を置く部分がなくなる、誤操作を招きやすい)ので、このくらいの太さが妥当だと思います。
ディスプレイの発色品質は高いと評価できます。手持ちのPCモニター (27インチIPS液晶、100%sRGBの色域のもの)と比較しても色合いはほぼ同じで、鮮やかでクセも感じられませんでした。
設定項目に「カラー」というのがあり、発色の調整ができますが、よくある「ビビッド」「ナチュラル」など「彩度」の項目はなく「暖色・寒色」のみ調整ができます。ただ、上にも書きましたが、発色はよく、個人的にはクセも感じられなかったので、このくらいの機能で問題ないだろうと思います。
なお、DOOGEE V PadでAmazonプライムビデオを視聴してみました (アニメの「ダンダダン」とメジャーリーグベースボール中継)。やはりWidevine L3 (SD画質になります)なのでアニメでは粗さを感じます。ディスプレイが12インチと大きめで品質も高いのが災いしているように思いました。一方野球中継の場合はそこまで画質が気になりませんし、そもそもSD画質だから汚くて耐えられない、というものでもないので、特に不満は感じませんでした。また、YouTubeではWidevineの制限はなく、SDよりも高い画質で視聴できます (設定上は4K/2160pも選べますが、表示はV Padのディスプレイ解像度2,000×1,200にダウンスケールされます)。
背面
背面です。DOOGEE V Padはブラックとブルー、2種類の筐体色があり、レビュー機はブルーでした。筐体は金属製で上部と下部の素材感が異なります。
この画像でもわかりにくいかもしれません、すみません。背面の上部はざらついた加工、下部はスムースな加工になっています。
側面・スピーカーの使用感
(横向きに持った際の)上側面です。オーソドックスに電源ボタンと音量ボタンがあります。
下側面にはマイク穴があり、それ以外にポート類やボタン類はありません。
左側面にはスピーカーが2つ。
右側面にもスピーカーが2つあり、その右側にUSB Type-CポートとSIM/microSDスロットがあります。
SIM/microSDトレイはよくある「nano SIM×2もしくはnano SIM+microSD」のタイプです。
DOOGEE V Padは左右側面に2つずつ、合計で4つのスピーカーを搭載しています。実際に動画や音楽を視聴してみましたが、ステレオ感はしっかり出るものの、音質は「それほどでもない」です。…いや、タブレット製品として低水準というわけではないのですが、「4スピーカーなんでさぞかし…」という期待には応えられないですね。低音は弱く、高音は伸びず、ちょっと薄っぺらな音質です。
3. システム
ホーム画面とアプリ一覧画面です。OSはAndroid 15で、DOOGEE独自のプリインストールアプリはほとんど見当たりませんが、Office互換アプリのWPS Officeがプリインストールされています。
設定アプリ内のデバイス情報画面とストレージ画面です。デバイス情報画面はプレーンなAndroid OSから手が加えられており、一覧性が高いものになっています。
なお、V Padにはメモリ拡張機能(ストレージの一部を仮想メモリとして使える機能)があり、最大24GBの拡張が可能(物理RAMとあわせて最大32GB)です。ユーザーが「一部だけ拡張する (例えば4GBだけ拡張する)」ことはできず、「拡張しないか、拡張するか (最大24GBの範囲でシステムにおまかせ)」という設定しかできません。
設定項目はプレーンなAndroid OSと大差ありません。V Padならではの機能、記事でぜひ取り上げたい機能というのは見受けられませんでした。
4. カメラ
DOOGEE VPadのカメラは前面8MP、背面13MPと、中国タブレットとしては標準的な画素数です。また、カメラアプリは「かなりシンプル」ですね。HDRはありませんし、ホワイトバランスなどを調整できる (いわゆる)プロモードもありません。静止画では手ブレ補正機能はついてますね。
撮影した写真を掲載します。すべて背面カメラで画素数は13MPで撮影したものを掲載用に1,200×900px (1.08MP)に縮小しています。
割とキレイに撮影できていると思いますが、少し白っぽくなっていて、コントラストが弱いですね。V Padのカメラアプリはコントラストや露出などを調整できる機能がないため、タブレット本体での補正は効きません。Google Photoなどの外部アプリ・機能で補正してやると改善すると思います。

2倍ズーム

4倍ズーム
V Padのカメラは最大4倍までのズーム撮影が可能です。2倍、4倍にすると当然画質は落ちますが、それでも低価格帯タブレットとしてはかなり健闘していると思います。なお、この画像で白い「もや」のようなものが見えますが、これはコントラストの影響でも心霊写真でもなく、暑さ対策のために商業施設で使われる「ミストシャワー」です。
5. 性能テスト
Antutuベンチマークスコアは581,691点でした。Nanoreviewが公表しているスコアが595,924点なので、ほぼほぼ期待通りのパフォーマンスが出ていると思います。
中国メーカーの低価格帯タブレットの多くが搭載するUNISOC T606のスコアが25万点前後、Helio G99のスコアが40万点前後なので、それらよりも確実に高い性能と言えます。どんなゲームもサクサク動く、とは言えません(原神などは低画質設定にする必要があると思います)が、人気ゲームタイトルも含め、ほとんどの操作は快適にこなせると思います。
6. レビューまとめ
DOOGEE V PadはAmazonと楽天で販売中で、9月7日現在の価格は29,900円です。この記事公開時点で楽天スーパーSALE開催中 (9月11日23:59まで)ということもあり、通常よりも安くなっているようです (製品価格については下のボタンからAmazon、楽天の製品ページにアクセスしてご確認ください)。
SoC性能が他の低価格帯タブレットよりも高く、モバイル5G通信にも対応する、というのがV Padの最大の特徴です。またディスプレイの発色品質も高く評価できます。一方で、セールスポイントの1つでもある4スピーカーは「ステレオ感はしっかり出るが、音質はそれほど高くない(ただし、競合製品よりも劣るというわけでもない)」と評価します。
UIは素直でBlackviewのDoke OSのように独自機能多数、ということはありません。どちらかと言うと「プレーンなAndroid」です。「独自機能がなくてつまらない」とも言えますし、「余計なことをしていないので使いやすい」とも言えます。このあたりはお好み次第かと。
残念なのはWidevineがL3であるということです。Widevineは動画サブスクを使っているか否かで重要性が変わってきますが、国内では相当数の人が動画サブスクを使っていると思います (AmazonプライムビデオはAmazonプライム会員であれば使えますしね)。以前TeclastのタブレットがOTAアップデートでWidevine L1に対応した事例がありますので、できればDOOGEEにもWidevine対応をしてもらいたいところです。
SoCやディスプレイなどの品質がいい製品ですし、特にSoC性能に関しては価格の割に「いいもの」が搭載されていると思いますので、動画サブスクは使っていない、という人にはおすすめできる製品です。
7.関連リンク
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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