Blackviewのスマートフォン「OSCAL TIGER 13」の実機レビューです。この製品の従来モデル「TIGER 12」もウインタブでライターのオジルさんが実機レビューをしており「価格はエントリー、スペックはミッドレンジ機なみ」という、素晴らしいコスパの製品でしたが、このTIGER 13はウインタブではまだ取り上げたことのないSoC「UNISOC T760」を搭載する5Gスマホとなりました。また、発売記念セールの価格も2万円強と低めです。
この製品は現在ライターのかのあゆさんの手元にありますが、「ドコモとauで音声通話ができない」旨の報告がありました。今後ファームウェアのアップデートで音声通話に対応する可能性はありますが、現時点では「音声通話に問題あり」とお考えください。なお、モバイルデータ通信は問題ないので、LINE通話などは利用可能です。
なお、このレビューはBlackviewより実機のサンプル提供を受けて実施しています。
・UNISOC T760の性能は期待以上、Antutuスコア48万点オーバー
・価格の割に筐体品質がよく、高級感あり
・HD+解像度ながら発色が良く、リフレッシュレートも90Hzのディスプレイ
・ケースとガラスフィルムが付属するのはうれしい
ここがイマイチ
・テザリングの品質が悪い(相性がある?)
・WidevineはL3
販売サイトはこちら
OSCAL TIGER 13:Blackview Official Store(AliExpress)
1.概要
スペック表
OSCAL TIGER 13 | |
OS | DokeOS 4.0(Android 14ベース) |
CPU | UNISOC T760 |
RAM | 8GB(拡張機能により最大24GB) |
ストレージ | 256GB |
ディスプレイ | 6.67インチ(1,604 × 720)90Hz |
バンド | 5G:n1/2/3/5/7/8/20/26/28 38/40/41/66/77/78 LTE:B1/2/3/4/5/7/8/12/17/19 20/26/28ab/38/39/40/41/66 |
SIM形式 | Nano SIM × 2(SIM2はmicroSDと排他) |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth |
入出力 | USB Type-C、microSDカードリーダー、オーディオジャック |
カメラ | イン8MP/アウト50MP+2MP+2MP(深度測定) |
バッテリー | 5,000 mAh |
サイズ | 164.8 × 75.6 × 8.65 mm |
重量 | 200 g |
コメント
もっとも気になるのは「UNISOC T760」のパフォーマンスでしょうか。5G通信に対応するUNISOCとしては上位クラスの型番で、ウインタブではまだこのSoCをテストしたことがありません。
RAMは8GBで拡張機能により最大16GBとして使え、ストレージも256GBと悪くない容量です。ただ、ディスプレイ解像度がHD+と低めなのが気になるところ。また、中国メーカーのスマホは概してカメラ品質が「イマイチ」なケースが多いので、この点についても要チェックです。
では外観から見ていきましょう。
2.外観
外箱です。特にどう、ということはないですが、「タイガーっぽい」配色がいいですよね。
同梱物です。画像右端にクイックスタートガイドがあり、日本語での説明もありました。その下にSIMイジェクトピン、そして左にACアダプターとUSBケーブル。ACアダプターは出力18Wのもので、OSCAL Tiger 13の急速充電能力18Wに合致します。ただし、レビュー機のACアダプターはEUプラグだったので、そのままでは日本のコンセントでは使えません(読者の方々が購入された場合は日本のコンセント形状にあるACアダプターもしくは日本のコンセントで使える変換プラグが付属するはずです)。USBケーブルは片側がType-A、もう一方がType-Cです。
ACアダプターの左にケース。特に高級感はなく、ご覧のように柔らかい素材です。中国メーカーのスマホはサードパーティ製のケースの入手が簡単ではないので、このようにケースが付属するのはありがたいです。
そして液晶保護フィルムです。「ガラスフィルム」なのがうれしいです。
本体を見ていきます。まず前面。ベゼル幅がわかりやすいように設定メニューを開いています。ベゼル幅はそれほど細くはありませんが、製品価格を考慮すれば十分かと思います。前面のカメラは水滴型ではなくパンチホールです。
背面です。OSCAL TIGER 13の筐体色は「ブラック(Hurricane Black)」と「バイオレットブルー(Violet Blue)」の2色がありますが、レビュー機はブラックでした。やや光沢があり、質感は悪くないですね。価格の割に高級感があり、気に入りました。
上面と下面です。画像を見ていただくと分かる通り、OSCAL TIGER 13は上面と下面に1つずつ、ステレオスピーカーを搭載しています。この配置だと横持ちで動画視聴をする際にステレオ感・臨場感がしっかり出ます。また、下面にはUSB Type-Cポートの他にイヤホンジャックもついています。
右側面です。筐体色が黒で見にくいのでアングルを変えて2枚掲載しました。…でも電源ボタンと音量ボタンがある、ごくオーソドックスな配置です。なお、電源ボタンは指紋センサーも兼ねています。
左側面です。この画像も見にくいのですが、左側面にはSIM/microSDスロットがあります。スロットで使えるのは「nano SIM × 2」もしくは「nano SIM+micro SD」です。
最後にケースについてちょっと苦言を。この画像、おわかりいただけますでしょうか?電源ボタン付近がたわんでいます。実用上特に問題はありませんけど、せっかくのケースがこれだとちょっと興醒めですよね。もう少し考えてほしかったかなあ…。
3.システム
ホーム画面です。画像左は素直な、というか素のAndroidという感じですが、右側(ホーム画面から右に一度スワイプしたもの)には歩数とか大きなフォルダが表示されています。もちろんホーム画面のレイアウトはお好みに合わせて設定可能です。
アプリ一覧です。Google関連のサービスは一通り揃っており、他にWPS Office(Office互換アプリ)、DokeOS独自のものとして「システムスチュワード」「フォーカスモード」「マルチテックメモ」「ワークスペース」などが入っています。
DokeOSの独自機能(アプリ)を一部ご紹介します。この画像は「フォーカスモード」で「モード中に起動を禁止するアプリ(画像中央)」を指定したり、逆に「利用を強制する(稼働時間を測定する機能で、無理やり使わせる、というものではありません)アプリ(画像右)」を指定できます。ついついゲームをやってしまうとか動画を見てしまう、という方にはいいんじゃないでしょうかw
画像左は「システムスチュワード」で、不要なキャッシュファイル、重複ファイルの削除、バックグラウンドアプリの終了を一括で実行できるツール、画像中央は「健康アプリ」で歩数計やごく簡単なエクササイズ(ランニング、速歩き、サイクリング)の実行時間や距離をモニターしてくれる機能です。スマートウォッチのエクササイズ機能のように充実したものではありませんが、歩数計だけでも役に立つかな、と思いますね。画像左は「ワークスペース」で、2つ目のプロファイル(仕事用)を作り、アプリのクローンを置ける機能です。例えばXなどのSNSやゲームで別アカウント運用ができます。
これらの機能が役立つかは人それぞれかと思いますが、個人的には「歩数計」や「ゲームで複数アカウントが使える」のは役に立つかなあ、と思います。
デバイス情報画面と初期状態のストレージ情報です。RAMは8GBで、RAM拡張機能により最大16GBを拡張でき、合計で最大24GBとして使えます。この画像では+5GBになっていますが、24GBも使わないですよね…。
それと、中国メーカーのスマホやタブレットのレビューでよくご紹介しているんですが、「FMラジオ」はなにかと便利だと思っています。アンテナ代わりとして有線イヤホンを接続する必要がありますが、インターネット環境がない場所でもラジオが使えますので、普段使いだけでなく非常時にも頼りになると思います。
ただ、中国製品の場合、ラジオアプリの周波数が日本のものと合わず(一番下が90MHzだったりします)、日本のFMラジオ局が聴取できないケースも多いです。Blackview製品の場合、この画像にあるように一番下が76.0 MHzなので、日本のラジオ局はほぼ全て聴取できます。
4.カメラ
カメラアプリは中国メーカーのスマホとしては標準的かなと思いますが、一応「AIシーン認識」機能もついています。OSCAL TIGER 13のアウトカメラの最大画素数は50MPですが、50MPを使う場合、ズームや細かい画質の設定はできません。この挙動は他社スマホの高画素数モードと同じですね。
普段使いでは画像右にあるように4:3・12.5MPというのが最大画素数となります。
では、OSCAL TIGER 13で撮影した写真を何枚か掲載します。注釈のないものは全て4:3・12.5MPでAIシーン認識機能をオンにして撮影しました。
私の感想としては「悪くない」と思います。ただし、私がメインで使っているGoogle Pixel 8と比較すると発色品質は「今一つ劣る」と感じますし、ズームは最大で4倍まで、4倍にする場合は「メモ用」くらいの画質になります。ただPixel 8は置いておいて「ずっとこのスマホカメラを使え!」と言われても特に不満は感じないですね。
5.性能テスト
Antutuベンチマークスコアは488,658点でした。数回テストしましたがすべて48万点台となりました。このスコアは最近の中華スマホ上位モデルに使われているHelio G99(だいたい35万点~40万点です)よりも高いです。
ゲーム「オーディン:ヴァルハラ・ライジング」をプレイしてみましたが、Helio G99搭載機とは明らかに挙動が異なり、高画質でプレイしても処理落ちや画面のシャギーが目立ちませんでした。Helio G99だと画質が少々粗くなり、多少処理落ちも発生するんですよね。
ライターのnatsukiさん(原神を相当やり込んでいます)のHelio G99搭載機のレビューを見ると「(Helio G99搭載機で原神は)画質『最低』なら、十分プレイ可能なくらい動きますが、画質『低』だと、戦闘時には目に見えてFPSが低下し、他も要所でちょいちょいカクつきます」との記載が見られましたが、OSCAL TIGER 13であれば少なくともワンランク上の「低」でも割と快適にプレイできるんじゃないかと思います。
6.使用感
ディスプレイ
OOSCAL TIGER 13のディスプレイはFHD+ではなく、ワンランク下のHD+です。そのため、画面表示に粗さを感じる可能性がある、ということを認識したうえでWebブラウジングや動画視聴、ゲームなどを試しました。私は視力が悪いこともありますが「全然粗さを感じなかった」ですね。また、リフレッシュレートも90Hzありますのでスクロールの滑らかさにも不満は感じませんでした(ただし、この点についてはどうしても個人差はあると思います)。
発色についても全く不満はありませんでした。一応設定メニューに「色温度と画面最適化」というのがありまして、ここを調整するとかなり大きく色味を変えることができますので、それを踏まえるとほとんどの方は発色品質には納得できるんじゃないかと思います。
ただし、OSCAL TIGER 13はWidevineがL3です。ここも「視力の悪い私の感想」になりますが、タブレットと比べてディスプレイサイズが小さいので、HD画質でなくとも特に気になりませんでした。ただし、スマホでNetflixやAmazonプライム・ビデオなどをよく視聴される方は「HD画質視聴ができない」ということは認識しておくべきかと思います。
スピーカー
音質は低価格帯のスマホとしては悪くありませんが、逆に高く評価できるというほどではありません。しかし、スピーカーの位置が「横持ち時の左右」にありますのでステレオ感がしっかり出ます。なので、動画視聴の際には臨場感も出ます。まあ、ハイエンド機と比べてしまうと可哀想ですし、合格点はあげられますね。
テザリングに相性問題?
この点はきちんと指摘しておくべきでしょう。私はOSCAL TIGER 13を2週間ほどSIM運用しました。上の写真作例にあるように東京ゲームショウにも持参しました。で、何度かテザリングしました(OSCAL TIGER 13のWi-FiアクセスポイントをONにしてノートPCに電波を飛ばした)が、ノートPCのWi-Fi接続先に「OSCAL TIGER 13」が表示されるのは「よくてONにしてから5分後くらい、悪いと永久に繋がらなかった」です。これね、仕事でテザリングする場合は発狂しますよ。普通にWi-Fiを使うぶんには問題がありませんでしたが、この点は見過ごせないですね。スマホを使ってテザリングされる方は十分注意してください。
レビュー記事公開後、OSCAL TIGER 13はライターのかのあゆさんが使用しています。かのあゆさんがMicrosoft Surface Laptop Go(初代)を使ってテザリングを試したところ、問題なく接続できたとのことです。そのため、「接続する機種との相性」があると思われます。
7.レビューまとめ
Blackview OSCAL TIGER 13はAliExpress内のBlackview Official Storeに製品ページがあり、10月21日午後4時(日本時間)から発売記念セールが予定されています。セール価格は139.99ドル(1ドル150円として約21,000円)です。
5G対応SoCのUNISOC T760の性能は高く、どんなゲームもサクサク動く、とまでは言えませんが、Helio G99よりも快適にプレイできるゲームの数は確実に増えていると思います。また、当初少し心配していた「ディスプレイ解像度(HD+)」も個人的には粗さを感じることなく、十分にキレイと感じられました。筐体品質やカメラ品質についても価格を考慮すれば合格点をあげられると思います。
注意したいのは「WidevineがL3である」という点と「(ウインタブの環境では)テザリングがうまく使えなかった」という点です。ここが気にならないのであれば性能面や筐体品質面で「2万円で買えるスマホとしては高く評価」していいと思いました。あと、タイムリーにXiaomiが「Redmi 14C」という、OSCAL TIGER 13とほぼ同価格帯の製品を発売しましたが、おそらく「Xiaomi製品の仕様経験上、カメラ性能はRedmi 14Cのほうが上」だと思います。しかし、OSCAL TIGER 13は「5G通信に対応している」というメリットがありますし、SoC性能もRedmi 14Cより上です。なのでブランド力はともかくとして、OSCAL TIGER 13にする、という選択肢は「大アリ」だと思います。
8.関連リンク
OSCAL TIGER 13:Blackview Official Store(AliExpress)
2014年、低価格な8インチWindowsタブレットに触発されサイト開設。企業でユーザー側代表としてシステム開発や管理に携わっていました。「普通の人」の目線で難しい表現を使わず、様々なガジェットを誰にでもわかりやすく紹介・レビューします。
コメント
Wi-Fiチャンネルが中国仕様(周波数帯が日本と一部異なる)のままなのでは?
今日(11月1日)、Aliアプリで見ていたら16282円で売ってます。
クーポン1500円使えば14782円ですね!
Wi-Fiについては、ちょっと厳しいことを書きすぎたかな、と思っています。レビュー記事なんでいいことも悪いことも書くのが正解なんですけど、この製品のWi-Fiについては「個体の問題」である可能性も否定できませんし…。この製品についてはこのあとライターのかのあゆさん(記事内容によってはかのあゆブラックさん)に渡し、追加レビューなど、何らかの形で読者に情報提供していく予定です。
ちなみに14,782円は「激安」です。5G対応するとか50万点に迫るAntutuスコアとかを考慮すれば、買わない手はないかと。
こちらの記事大変助かりました!
実は私もtiger13を買いまして、テザリング(基地局化)ができなくて困っていたのです
起動方法は
その他のワイヤレス接続→ホットスポット→wifiアクセスポイントの使用をON
で合ってますよね?
もしそれで合ってるなら、私のiPhoneSE(第2世代)やMacbookProでは電波が飛んでいるのが見れないので、そもそもアクセスポイントとして正常に立ち上がってないのではないかと考えております
もちろん何度も再起動等は試しております
回線は楽天モバイルで、通信等は問題なくできており、VoLTE経由で通話もできています
私も他の投稿者の方のように、wifiチャンネルが中国仕様で周波数帯が違うのかな、などと考えています
>>nakさん
情報ありがとうございます!自分の環境でもMacbook Air(M1)だとアクセスポイント一覧にOSCAL Tiger 13が出てこないことを確認しています。
ただ、Surface Laptop Goだと通常通り接続できたので、テザリングの挙動がよくわからないんですよね・・・ファームウェアで修正可能であれば対応してほしいところですが・・・
ちなみにですけれども、Bluetoothテザリングであれば、
Tiger13を経由してiPhoneSE(第2世代)で通信ができることを確認しました
(Fast.comで300Mbps出ています)
その他のワイヤレス通信内で、ホットスポットはオフにした状態で
BluetoothテザリングをONにして、端末同士でBluetooth接続をしたら、
iPhoneに2つの輪みたいなテザリング受信状態マークが表示されました
その後色々調べましたが、恐らく他の方々の記事にも多々見られる、
2.4GHzWi-Fiの14ch立ててる問題によるものではないかなと考えています
私の環境では現状Bluetoothテザリングで問題なさそうなので、
こちらで様子を見たいと思います
>>nak
BluetoothテザリングやUSBテザリングであれば問題は発生しなさそうですね・・・
チャンネル周りの問題は5~6年前の中華スマホでも同じような挙動になっているようなので最適化されていないようですが、ソフトウェアアップデートで改善できそうではあるので今後の対応に期待したいですね・・・