Blackviewのニューモデル、BV8900の実機レビューです。FLIR製のサーマルカメラや大容量バッテリーを搭載するタフネススマホです。サーマルカメラを搭載するタフネススマホは他にもありますが、概して価格はやや高めになっており、発売記念セールの価格が4万円を切るBV8900はコストパフォーマンスに優れた製品と言えます。
なお、レビュー機はBlackviewからの提供品です。
・FLIA製サーマルカメラ搭載
・動画撮影時に光学式手ぶれ補正を利用可能
・完成度が高くなったDoke OS 3.1
・より長く使える充電制御機能
・技適あり
ここがイマイチ
・スピーカーはパワー不足
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目次
1.Blackview BV8900 スペック
スペック表
Blackview BV8900 | |
OS | Doke OS 3.1 (Android 13ベース) |
CPU | MediaTek Helio P90 |
RAM | 8GB |
ストレージ | 256GB |
ディスプレイ | 6.5インチ(2,400 × 1,080) |
LTEバンド | FDD:B1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18 19/20/25/26/28A/28B/66 TDD: B34/38/39/40/41 |
SIM | nanoSIM x 2(SIM2はmicroSDと排他) |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth |
入出力 | USB Type-C、microSDカードリーダー |
カメラ | イン16MP/アウト64MP+5MP+Thermal by FLIR |
バッテリー | 10,000 mAh |
サイズ | 172.4 × 82.2 × 19.8 mm |
重量 | 398 g |
コメント
OSはAndroid 13ベースのDoke OS 3.1です。ウインタブでも実機レビュー済みのOSCAL C70にもDoke OS 3.1が搭載されていましたが、ベースになるOSがアップデートされたことにより、アプリごとの表示言語切り替えや新しい通知ランタイムといった新機能が利用できるようになりました。
CPUはMediaTek Helio P90です。2019年にリリースされた型番のため、現在だと「エントリークラスのいいほう」くらいの性能で、凝ったグラフィックのゲームをプレイするには厳しいですが、それ以外の動作でストレスを感じることはありませんでした。RAMは8GB、内蔵ストレージは256GBで、MicroSDカードスロットも備えています。また、RAMは拡張機能があり、最大16GBまで拡張可能です。
モバイルネットワークは国内4大キャリアの主要バンドをフルサポートしています。今回の実機レビューではドコモ系MVNOのOCN モバイルONEのSIMカードを挿入して動作確認しましたが、VoLTEも問題なく利用可能でした。
バッテリー容量は10,000 mAhです。33W出力のSuper Charge急速充電をサポートしています。リバースチャージ機能もあり、モバイルバッテリーとしても活用できます。
2.Blackview BV8900 筐体と使用感
付属品はUSB-C to Cケーブル、ACアダプター(海外プラグ)、SIMトレイ取り出し用工具、マニュアル(日本語表記あり)でした。なお、日本から購入する場合は日本のコンセント形状に合う変換プラグを同梱してくれると思います(変換プラグは100均でも購入できます)。
前面です。ベゼル幅は太めですが、ティアドロップ型ノッチではなくパンチホールノッチが中央に配置されています。いい意味でタフネススマホらしくないデザインで好感を持てました。
背面です。カメラバンプ部の形状がiPhoneに似ていますが、その点を除けばタフネススマホとしては標準的なデザインです。
左側面はSIMトレイ、プログラムキーがあります。SIMトレイは一見すると手で開けられそうに思えますが、固めに取り付けられているので付属の専用工具を使用する必要があります。
右側面には電源ボタン、ボリュームボタン。電源ボタンは指紋センサーを兼ねています。
上部には何もありません。
下部にはマイク、USB-Cポート、スピーカーがあります。
システム
プリインストールアプリはAndroidシステム標準、Google純正アプリ、Doke OS独自アプリ(マルチテックメモ、FanGameCenterなど)、ニュースアプリ「PQQ」、サーマル撮影アプリ「MyFLIR」です。OSCAL C70ではゲームロフトのゲームタイトルやWPS Officeも含まれていましたが、BV8900にはプリインストールされていませんでした。
タフネススマホではおなじみ「Toolbox」アプリです。翻訳が怪しい箇所が見受けられますが、分度器や騒音チェック、コンパスといったアウトドアシーンで活用できる便利なツールがまとめられています。
FunGameCenterアプリではBV8900でもプレイできる動作が軽量なゲームをプレイできます。アプリはダウンロード・インストールする必要がないインスタントプレイ形式で配信されているのでストレージ容量を消費することなく楽しめます。
配信されているのは「Among Us Online Edition」や「Temple Run 2」などの人気タイトルや、「Ultimate Sudoku」といった休憩時間中気軽にプレイできるタイトルなどがあります。
変わったところではヘルスケアアプリが用意されていて、スマートウォッチを持っていない方でも毎日の運動や睡眠といったデータを記録することが出来ます。ただし睡眠記録は手動で入力する必要があります。
工場出荷時のシステム情報です。OSバージョンはAndroid 13で、Androidセキュリティパッチは2023年5月5日と比較的新しめのものが適用済みです。
リセット直後のストレージ容量です。プリインストールされているアプリのデータ容量は15GBと大きめですが、256GBと大容量ストレージを備えているので空き容量は余裕があります。使い方にもよりますが基本的にMicroSDカードを追加しなくても容量不足で困ることはないでしょう。
ディスプレイ
ディスプレイは6.5インチサイズで、解像度はFHD+(2,400 × 1,080)です。パネルはOLED(有機EL)ではありませんが、解像度が高いので画像や動画も高精細な表示が可能です。
設定から色温度や画面最適化の設定を変更でき、自分の好みに合った色合いに調整できます。
BV9300ではリフレッシュレートが120Hzでしたが、BV8900では設定に項目が存在しておらず、おそらく60Hzに留まっていると思われます。普段使いで特に困ることはないのですが、ミッドレンジモデルでも高リフレッシュレート表示をサポートする端末が増えてきているのでこの点は少し物足りなさを感じました。
スピーカー
スピーカーはモノラル出力です。Smart-PA BOXスピーカーを搭載しており、メーカーの説明では「より豊かな低音とより明るい高音」とあったのですが、低音が軽く迫力に欠ける点が残念に感じられました。
極端に音質が悪いというわけではないのですが、音楽や動画コンテンツを楽しむには物足りないので有線ヘッドフォンやワイヤレスイヤホンと組み合わせるのがいいと思います。
バッテリー保護機能について
BV8900にインストールされているDoke OS 3.1では充電保護機能も備わっていて、夜間にバッテリーが80%以上充電されたら一時中断し、最適な時間に100%まで充電を再開したり、充電できる最大容量を70%〜90%に制限することができます。
リチウムイオンバッテリーはその仕組み上、長く使っているとどうしても劣化していき、フル充電を何回も行うのは良くないとされているので、バッテリー保護の観点からもここを設定しておくと良いでしょう。
カメラ
BV8900ではカメラアプリが2つ用意されています。標準カメラアプリは「美顔モード」や「ナイトモード」などの機能が一通り備わっています。
日本国内で販売されている端末ではシャッター音を完全に切るにすることが出来ない場合が多いのですが、BV8900では設定から無効化できます。あまり大きな音を出せない場面で役立つと思います。
サーマル撮影は「MyFLIR」アプリから行います。BV8900では「MyFLIR Lite」がインストールされていますが、以前実機レビューをしたBV6600 Proに含まれていた「MyFLIR」アプリと比較すると「スーパーファインコントラスト(MSX)」モードが備わっていないという機能差があります。
カメラはイン16MP、アウト64MP + 5MP + サーマルレンズです。アウトカメラはトリプルレンズ構成ですが、メイン以外はサーマルとサーマル補助用なので実質通常撮影で使えるのはメインレンズのみとなります。
最近のBlackview製品の流れに沿い、ArcSoft 4.0アルゴリズムが採用されていて、美しい写真が撮影可能です。ただし食品の写真は若干実物と色合いが変わっている印象を受けました。
ファイルサイズが大きくなってしまうのでブログやSNSでの利用には向いていませんが、64MP撮影モードを使用すればより高精細な写真も撮影できます。
夜景もノイズが少ないきれいな写真が撮れます。後述するサーマルカメラを売りにしている端末なのでカメラ性能はあまり期待していなかったのですが、これならメインでも問題なく活用できそうです。
BV8900では光学式手ぶれ補正も備え、動画撮影時に安定した動画を撮影できます。タフネススマホなので自転車に装着してアクションカメラとして活用するのも面白い使い方かもしれません。
比較的高額な端末に搭載されることが多かったサーマル撮影も可能です。BV8900の売りはここでしょう。普段使いだとニーズのある人は多くないかもしれませんが、端末レビュー時はいろいろと役立ってくれるんですよね…。
上の写真は野外でほんのり熱くなっているROG Phone 5sを撮影したものです。CPUがある上部あたりが特に熱くなってることが一目でわかります。
前述の通りBV8900にインストールされているMyFLIR Liteアプリではスーパーファインコントラストモードが利用できないのですが、5MPの補助用レンズを備えることによりキーボードの文字などもはっきりと確認できます。
3.Blackview BV8900 性能テスト
参考:
Redmi Note 11 Pro(Helio G96):336,280
POCO M4 Pro 4G(Helio G96):311,030
Redmi Note 11S(Helio G96):307,755
realme narzo 50(Helio G96):287,043
Redmi Note 11(Snapdragon 680):277,105
Blackview OSCAL C70(UNISOC T606):230,995
Blackview A95(MediaTek Helio P70):227,817
DOOGEE S98(Helio G96):277,159
CHUWI HiPad Plus(MT8183):172,713
Samsung Galaxy Note FE(Exynos 8890):177,984
Blackview BV6600 Pro(Helio P35):102,808
OUKITEL C22(Helio A22):99,664
AGM H3(Helio P22):84,184
BlackView A55S(Helio A22):78,630
geanee ADP-503G(MT6737M):46,316
今回も最新バージョンのAnTuTu Benchmark v10ではなく、旧バージョンのAnTuTu Benchmark v9.6.2でベンチマークテストを実施しました。総合スコアは203,298点で、ほぼメーカー公称値通りの数値です。
2023年現在だと「エントリークラスの上の方」の性能です。GPUテストではすべてのデモで激しい処理落ちが発生していたため、3Dを駆使したゲームをプレイするのは厳しいですが、SIMカードを挿入して実際にサブ機として運用してみたところかのあゆが普段行っているWEBブラウジングやTwitter公式アプリの利用では特にストレスを感じることはありませんでした。
そもそも「原神」のような明らかに動作が重いゲームをプレイする用途でHelio P90のBV8900を選択することはないでしょうし、この端末が活躍するアウトドアシーンでの利用などでパフォーマンス不足に感じる場面は少ないかと思われます。
4.Blackview BV8900 まとめ
Blackview BV8900はAliExpress内のBlackview Official Storeに製品ページがあり、6月12日午後4時(日本時間)からワールドプレミア(セール)が開催されます。セール価格は259.99ドル(37,870円)です。
CPU性能は低めですが、この価格でサーマルカメラを備えているのは魅力的だと思います。通常のカメラ撮影性能も高く、長時間稼働する大容量バッテリーやMIL-STD-810H準拠のタフネス性能も備えているのでアウトドアシーンで使用する端末としては心強い存在になってくれるのではないでしょうか。個人的にもサーマルレンズは端末レビューで使う機会が多いので一台あってもいいかな…と感じました。
Doke OSもバージョンを重ねるごとに使い勝手が良くなっているので、これからもBlackview製品には注目していきたいと思います。
5.関連リンク
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