こんにちは、吟遊詩人です。AvidPad A60の実機レビューです。本機は1万円台前半で購入できるいわゆる低価格帯の製品です。しかし、質感や画面の発色など、低価格帯の中ではキラリと光るタブレットとなっています。
なお、このレビューは機材のサンプル提供を受け、実施しています。AvidPad様にはこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
・1万円前半なのにメタルボディで質感は良好
・横置き時にステレオになる向きのデュアルスピーカー
ここはイマイチ
・10.1インチのIPS液晶だが、1280×800ピクセルでFHD未満の解像度
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目次
1.概要
スペック表
AvidPad A60 | |
OS | Android 15 |
CPU | UNISOC T615 |
RAM | 4GB(+12GBメモリ拡張機能) |
ストレージ | 128GB (UFS) |
ディスプレイ | 10.05インチIPS(1,280 × 800)60Hz| |
LTEバンド | — |
SIM | — |
ネットワーク | Wi-Fi5(802.11 a/b/g/n/ac)、Bluetooth 5.0 |
入出力 | USB Type-C、オーディオジャック、microSD |
カメラ | イン8MP/アウト8MP |
バッテリー | 6,000 mAh |
サイズ | 245 x 155 x 7 mm |
重量 | 456 g |
コメント
現時点でのAndroidの最新OSであるAndroid15を採用しています。もちろん新機能(プライベートスペースやアプリペアなど)は実装されています。SoCは「俺達のUNISOC T606」の兄貴分(後継CPU?)T615です。このT615ですが、はっきり言ってT606と大差はありません。他のタブレットと比較検討する際はT606だと思って問題ありません。
2.外観
同梱物は本体、マニュアル、保証書、電源アダプター(Type-A/5V2A出力)、USBケーブル(Type-A⇔Type-C)、SIMピン(ただし本機にSIMトレイはありません。microSDは直接取り付け可能です)となっています。
マニュアルは、完全日本語でしっかりしたものです。Androidタブレット初めての人でも戸惑わないと思います。とはいえ、(Android OSの基本操作説明がメインなので)ウィンタブの読者さんにはおそらく無用なものです。
金属ボディで質感がすごく良いです。はじめ、え、これ本当に1万円のタブレット?って思ってしまいました。本体は薄くて、野暮ったさなど全くありません。そして、最初から保護フィルムがしっかりと貼ってあります。全面にわたり気泡なども全くなく、はがす(貼り替える)必要性は全く感じません。
本体側面です。上面には電源とボリュームボタンがあります。下面にはスピーカーの穴が2か所あります。横向き時にステレオになります。左側面には、MicroSDスロット、USB-TypeC、マイクがあります。MicroSDは直接差し込めます。また、画像の左端にイヤホンジャックがあります。右側面には特に何もありません。
フロントカメラは、横置きした際に中央に来るようになっています。当然保護フィルムもカメラ部分が綺麗に切り抜かれています。フロントカメラはZoom等のwebミーティングには「まあ、何とか使えるかな」というものです。
Google Meetを試しましたが、背景分離などはしっかりと動きバーチャルな背景は綺麗に表示されます。ただ、カメラが暗いんですよね。常に顔色が悪い!体調不良で休む時にはこれで連絡すればばっちり!? …本機で顔出しでwebミーティングをする場合は別途リングライトなど外部照明の使用をお勧めします。
ベゼルの幅はそれなりです。各辺で12mm程度あり、大して細くはありません。ただ、10インチ級のタブレットにベゼルレスはだれも望んでいないと思うので「これでいい」です。
実際、手に持って操作する際にはベゼルがないと「意図せぬタッチ」になってしまい、誤操作を招くこともあります。まあ、10インチをずっと手に持ってということはないと思いますが、全く手に持たないわけもないので。
3.使用感
システム
ホーム画面とアプリ一覧画面です。メーカー独自のプリインストールアプリはなく、ほぼ完全にプレーンな状態でした。
空き容量的にも、今後のセキュリティアップデート的な観点からもこれは非常に歓迎できます。
Androidでは現在最新のAndroid15です。タブレット情報画面はカスタマイズされています。そのほか設定系の画面はほぼ素のAndroidとなっており、アイコンがちょっと違うくらいで戸惑うことはないと思います。
Androidの新機能、プライベートスペース、アプリペア機能はちゃんと実装されています。アプリペア機能はタブレットを使い込んでいくと欲しくなる機能なので歓迎できます。
ディスプレイ
ディスプレイの発色は良好です。設定に「色とコントラスト」という項目があり、ここである程度の調整が可能です。ただ、解像度が1280×800なので、他の高精細なディスプレイと並べて使うとやはりジャギー感はありますが、それは「比較するから」であり、本機のみで使う分にはジャギー感がありすぎるということはありません。
公式にはWidevine L1をうたっていますが、DRM Infoで調べた結果はWidevine L3でした。この点についてメーカーに問い合わせたところ「DRM InfoではL3と表示されるが、これは原因不明。実際の動画再生ではHD画質視聴が可能」という回答でした。
これを受け、Amazon Prime Videoで確認しましたが、明確な数値は表示されなかったものの、目視した限りHD画質レベル(SD画質まで下がっていない)とは感じられました。
タッチ感度とスクロール感度についても特に違和感などはありません。ちなみに同時タッチは7点です。ディスプレイリフレッシュレートは60Hzと標準的でちらつきがすごいなど感じることはありません。というか本機で120Hzのリフレッシュレートがあったとして何用だ?!と思いますw
スピーカー
横置きにした際にステレオ感が出る配置ですので、普通に使って動画を見るときにステレオになります。構造上低音は大して出ません。本機の音楽視聴用ではなく、ながら再生の動画鑑賞用という感じです。要するにそんなに期待してはいけないということです。ただ、ちゃんとステレオ感はあり、過大な期待をしなければ問題なく鳴ります。
カメラ
リアカメラは8MPです。カメラアプリ自体は意外に頑張っており、従来のUNISOCカメラアプリにありがち(?)だった謎の日本語はありませんでした。画像透かし、タイムウォーターマークなどちゃんと意味の通るものです。怪しいのは構成ライン(グリッドライン)、Level(水準器)、Video Stabilization(ビデオ手振れ補正)位でしょうか。
※カッコ内が対応する機能です。
撮影画像サイズは2448×3264(4:3)です。他に選べる画像サイズは2448×2448(1:1)のみです。カメラアプリを起動すると問答無用で縦置きの画面に切り替わります。
また、画面内の特定の個所にピントを合わせようと、タッチするとシャッターが切られます。ピントを合わせたい場合は、タッチではなく長押しする感じで触ってください(これでカメラフォルダが謎のピンボケの写真で埋め尽くされていますw)。
ピクチャープロファイル(?)は標準で撮っているのですが、それでもかなりビビットな仕上がりです。
中央部を等倍で切り出したのがこちら。雨上がりの水滴が思った以上によく映っています。ただ、花びらをよく見るとちょっとのっぺりしてしまっています。
スターバックスでコーヒーとドーナツを食べた際に撮影しました。店内なので外の撮影よりは暗い環境です。コーヒーカップに書かれているスタバのロゴマークがかなりつぶれてしまっていますし、粒状感もあります。
同じシーンをPixel8で撮影したものです。うん、やっぱり写真はスマホに任せましょう。さらに言えば、タブレットだとまず撮影時にサイズ的にも、構えるのもしんどいです。ただ、これだけ写るのであれば、一太郎PadでOCRするために撮影するといった用途には十分すぎると思います。
4.性能テスト
Antutuベンチマークスコア
Antutuベンチマークスコアは24.3万点でした。UNISOC T606のスコアは25万点~26万点なので兄貴分であるはずのT615であるにもかかわらず、スコアは振るいませんでした。仮想メモリの量を変えたりしながら何度か計測しましたが、大体この値でした。公式サイトの29万は少し盛りすぎかなと感じました。
Geekbenchベンチマークスコア
GeekBenchでも計測してみました。T606のスコアが大体370/1350(出典:GeekBench)なのでシングルコアの性能は結構ありそうです。マルチコアは誤差の範囲で同等といっていいかなと思います。シングルコアの性能が高いからか、Antutuのベンチマークスコアから感じるほど遅い感じはしませんでした。
ただ、そうはいってもエントリー機種ですので、ゲームをガンガンやるような機種ではありません。
5.レビューまとめ
ユースケース(コンテンツ消費)
本機は1万円前半で買えるエントリークラスのタブレットです。ただ、本体質感や薄さはかなりいいです。10インチ級なので、常に持って使うというには大きすぎます。使うなら何か台座を買って使うといいでしょう。そうした場合、Youtube動画を垂れ流しておくとか、仕事用PCとは別にSNSや予定を常に表示しておくとかそういった使い方がメインになるかなと思います。
ユースケース(クリエイター)
コンテンツ消費系ではなく本機で何かする!という場合は、外付けのキーボードを強くお勧めします。外付けキーボードなしの場合はスクリーンキーボードで入力することになると思いますが、これで画面の半分が埋まってしまいます。しかし、外付けのキーボードを使えば全画面を見ながら入力が可能です。
Bluetooth接続のキーボードとマウスを使うか、吟遊詩人のようにポインティングデバイスがついているキーボードを使えば画面まで手を伸ばさなくてもタッチできます。
※ちなみにキーボードをUSBケーブルで接続しても使うことができます。
本機はAndroidの画面分割が使えるので、ブラウザで調べ物をしながらメモを取るといったことが簡単にできますので捗ります。しかもAndroid15の新機能であるアプリペア機能を使えば、ブラウザとメモを一つのショートカットとして画面に保存できますので、従来のように両方を別々に起動してからタスク切り替えから画面分割を選ぶという手間も省けます。
これはすごく便利です!!
ただ、そうすると、本機の解像度が非常に惜しいです。横1280ピクセルしかないので半分に分割すると、640ピクセルになってしまいます。もちろん、分割位置は変えることができますが、片方を増やせば他方は当然減ります。フローティングウインドウ機能があればいいのですが今のところなさそうです……。
また、本機でワードやパワーポイントの資料を作成などは考えないほうがいいでしょう。どちらかというとテキストメモなどメモを取っておき、PCにもっていってから仕上げるというフローになると思います。もちろん、ワードやパワーポイント、エクセルが動かないわけではないですが、微妙な機能制限があったりして厄介です。それでもという場合は、Googleのドキュメント、スライド、スプレッドシートなどをお勧めします。
総評
とても1万円前半で変えるタブレットとは思えない良い製品です。吟遊詩人は2023年11月に8インチタブレット(Android13)を購入してこの時には感動したものですが、それよりも安くこの品質の製品が出てくるとは驚きです。もちろん完璧とは言えないところもありますが、致命的にダメな点があるわけでもないです。本機にするかどうかは10.1インチで1280×800の解像度を許容できるかどうかにかかっているといえます。
10.1インチで1280×800の場合画素密度は149ppiになります。
10.1インチで1920×1080なら画素密度は224ppiです。
それなりに違います。ただ、最近目が悪くて、結局表示文字を大きくして使う(ウインタブ注:それ私のことですか?)というのであれば最初から1280×800にしても悪くないと思います。
6.関連リンク
AvidPad A60:Amazon
コメント
最近の中華タブはメモリ拡張が当たり前になってますが4G+12Gって実際に使い物になるんですか?
それともないよりマシ程度ですか?
感覚的に話になってしまいますが、メモリ拡張をしていると複数アプリを起動して使っている際に、バックグラウンド側に行ったアプリを呼び出したときに初期化されにくい(メモリ不足でKillされにくい)と感じます。
ただ、メモリ拡張をしていると、時々なんかもっさりしてない?と感じるときがあります。
吟遊詩人は4GBしかないなら、ないなりの過ごし方をすればいいじゃん派なのでそもそもそんなにいっぱいソフトをインストールしないで特定用途用の機材として使っています。
A60は動画垂れ流し(バックミュージック代わり)&(スケジュール or SNS)を表示しつつテレワークしてることが多いです。
youtubeなんてCM全部見ちゃうぞ!w
こういう使いかたならメモリ拡張不要です。
ワードっぽい奴みたいに入力しつつ、使うけどアプリのサイズがデカめのやつを使うなら拡張メモリを使ったほうが入力したデータが飛ぶ可能性を下げれると思います。
これはこの手のアプリがバックグラウンド側にいった場合、メモリ不足になるとよく殺される気がします。
※被害が甚大だったのでそういう印象が残ってる可能性がありますが……。
あとは、アプリを切り替える前に保存する手癖を付けると、より幸せになれます。
以上より、ある程度は効果があるが、大きな期待をしてはいけないでしょうか。