OLADANCE AUDIO INC.(本社:米国カリフォルニア)のオープンイヤーワイヤレスイヤホン「Oladance OWS Pro」の実機レビューです。OLADANCEの製品をウインタブでご紹介したり、レビューをしたりするのは今回が初めてです。この記事のトップ画像を見ていただくと、「ちょっと変わってる」と感じられる製品ですが、さて、その使い心地はいかに…。
なお、この記事はメーカーよりサンプル提供していただいたレビュー機で実施しています。
・耳を塞がないので装着感が素晴らしい
・周囲の音が聞こえるので、屋外でも安全に利用できる
・製品の構造を考慮すれば素晴らしい音質
・カラフルな筐体色を選べる
ここはイマイチ
・製品価格は高め
・構造上やむを得ないが、騒音には弱い
関連サイト
OWS Pro:Oladance 公式サイト 製品紹介(英語)
Oladance OWS Pro ワイヤレス イヤホン:Amazon
1.製品概要
Oladance OWS Proの「OWS」とは「Open Wearable Stereo」の略称で、耳に挟み込み装着する完全オープン型のイヤホンということを意味します。耳を塞がないので周囲の環境に気を配りながら音楽を楽しむことができます。外耳道に入ることなく空気を通じてサウンドを内耳に伝えるため、圧迫感や閉塞感がなく、長時間使用でも疲れにくいという特徴があります。
オープンイヤー型のイヤホンは(あまり数は多くないですが)他社でも作っていますし、最近だと「骨伝導イヤホン」も人気です。
次にスペック表をご覧ください。
Oladance OWS Pro | |
ドライバー | 23 × 10 mm ダイナミックドライバー |
Bluetoothバージョン | 5.3 |
接続可能距離 | 最大10メートル |
Bluetoothマルチポイント接続 | 2台まで可能 |
稼働時間 | イヤホン:2時間の充電で16時間再生可能 専用ケースと併用で最大58時間再生可能 |
急速充電対応(イヤホン) | 15分間の充電で6時間再生可能 |
バッテリー容量(イヤホン) | 150mAh |
充電端子 | USB Type-C |
サイズ | イヤホン:57 × 45 × 22.5 mm 充電ケース:88 × 74 × 29 mm |
重量 | イヤホン (片側):13.8 g 充電ケース:73.6 g |
カラー | ブラック、ホワイト、シルバー、ピンク、グリーン |
材質 | 本体:チタン合金メモリーワイヤー 耳掛け部分:医療用液体シリコン |
防水 | IPX4 |
メーカーの開示情報に再生可能な音域やコーデックの説明がないので、オーディオ好きな人には物足りないと思いますし、特段オーディオに強い関心がない人ならなおさらこれだけ見てもピンとこないと思います。
手持ちのスマホGoogle Pixel 7で確認したところ、対応コーデックはSBCとAACでレビュー期間中はAACで接続されていました。LDACやaptX HD(いずれもPixel 7が対応しているコーデック)には対応していないようで、したがってハイレゾイヤホンではありません。
「23 × 10 mm カスタムドライバー」というのはこれです。新振動板構造を採用し、「滑らかで優雅な高音と深くてパワフルな低音がしっかり表現」できるとのこと。
で、このイヤホン、カナル型とかインイヤー型のイヤホンを使っている人にしてみればちょっと変わった外観であり、かなり変わった装着感です。このあたり、これからご紹介していきます。
その前にもう一つだけ。この製品「カラバリがめっちゃ元気」です。今回のレビュー機はその中でも個人的に最も元気な色と思われる「グリーン」でした。いい色ですよー。
2.外観
まずは外箱から。梱包材は脱プラスティックで、ちょっとおしゃれな感じです。
開封するとこれ。ずいぶんポップというか、凝った外箱だと思います。画像の下部に派手な色味のケース(中にイヤホン本体が入っています)、上部にその他の付属品が入っていました。
同梱物です。ペーパー類では取扱説明書、保証書、そして右上にあるオプション品のカタログが入っていました。あとはUSB Type-A – USB Type-Cの充電ケーブル。
ケースです。レビュー機の色は「グリーン」ですが、実機を見ると「ほとんどイエロー」でした。…いい色なんじゃないでしょうか。いやほんと。ケースの素材は開示されていませんが、おそらくプラスティック製だと思います。前面(上の画像)の中央にLEDインジケーターがあり、充電中とケース開口時に光り、残量を教えてくれます。
背面(下の画像)には充電用のUSB Type-Cポートがあるだけです。メーカーのロゴはあるものの、装飾は一切なく、柔らかく丸みを帯びた形状に好感が持てました。ケースサイズは一般的な完全ワイヤレスイヤホンのケースよりは二回りほど大きいですが、これはイヤホン本体のサイズも大きいので仕方のないところです。ただし、バッグとかポケットに入れても邪魔になるような大きさではありません。
ケースを開けるとイヤホン本体が出てきます。
ご覧の通り、とても個性的なデザインです。画像左が左耳用、右が右耳用ですが、これだけ見てもピンとこない人のほうが多いんじゃないかと…。
Amazonの製品ページにあった装着イメージ画像です。これを頭に入れて以下を読むように、と「上から目線」でお願いしておきます。
上から見たところです。左右に細長いシルバーのボタンが見えますよね?このボタンは装着時に人差し指(別に他の指でもいいんですけどね)でちょうど押せる位置に来ます。物理ボタン兼センサーボタンで、ボタンの上で指をスライドさせることと音量調整、カチッと押すと一時停止や曲送りができます。他の完全ワイヤレスイヤホンと同様、押す回数によって異なる操作になります。
Amazonにあった説明画像です。これを見ていただければ一目瞭然ですね。
下から見たところです。ここにスピーカー(と書いていいんですよね?)があります。
表(表)面です。非常に光沢があり、筐体色がグリーンであることもあって「目立ちます」。質感も見た目と同じくツルツルで気持ちがいいですね。
本体には電源ボタンもついています(左右のユニットのいずれにもあります)。ただし、ケースに入れるとスマホ(などの接続デバイス)との接続が切れ、ケースから出すと自動的に接続されるので、普段使いでは電源ボタンを操作することはほとんどありません。
また、別売りでミニケースも用意されています。標準のケースだとちょっと大きいと感じる人はミニケースを購入されることをおすすめします。なお、ミニケースと合わせる場合は本体の電源ボタンで電源ON/OFFをします。
Oladance ミニケース:Amazon
3.アプリ
Oladance OWS Proはアプリが用意されています(Google PlayにAndroid用、App StoreにiOS用があります)。OWS Pro専用ではなく、Oladance製品共通のものになりますが、デバイスを認識した後はほぼ専用アプリという感じで使えます。
上の画像の左側がいわゆる「トップ画面、ホーム画面」で、イヤホンのバッテリー残量が表示されている下に4つのボタンがあります。左の「指でボタンを押すアイコン」を押すと、右側の画像の画面になります。ここでイヤホンのボタン操作をカスタマイズできます。
真ん中の「人物の上半身のアイコン」を押すと「集中モード(フォーカスモード)」に入ります。これはOladanceの独自技術によるノイズ低減機能をオンにすることによって外部雑音の影響を抑制してくれるモードです。この機能については後ほど。
右側の「イコライザーのアイコン」を押すと音質の調整ができます。画像左が「プリセットから選択」で、一番下の「カスタマイズ」を選ぶと画像右のグラフィックイコライザー画面が表示され、ここでお好みの音質にすることができます。
一番下の「六角形のアイコン」を押すと設定メニューが出ます。ここ、かなり細かい設定項目があります。また、取扱説明書もここで閲覧可能です。
あと、ウォーキートーキー(スマホをトランシーバーのようにして使う機能)やアドレス帳機能なんかもありましたが、はっきり言って「あえてこのアプリでやることではない」と思います。
4.使用感
イヤホンやヘッドホンの使用感とは、「音質と装着感のトレードオフ」かと思います。音質を追求するのなら大型の密閉型ヘッドホンが最適でしょうし、装着感を追求するのならできるだけ小さくて軽量なもの、また骨伝導イヤホンや今回のレビュー機のようなオープンイヤー型イヤホンになると思います。また、製品価格ももちろん関係があるでしょうね。
要は使う人が限られた購入予算の中で、音質と装着感の「落とし所」をどこにするか、ということでしょう。Oladance OWS Proは外観を見る限り「装着感優先」の製品であると考えていいと思います。その前提で、どこまで優れた音質になっているのか、ということが評価のポイントになると言えます。
なお、以下の記載はあくまでも「私の主観的な評価」で、実際の使用感には大きな個人差があると思われますので、この点あらかじめご了承ください。
音質
私は骨伝導イヤホンの使用経験はありますが、オープンイヤー型イヤホンは初めて使います。しかし、外観とか耳を塞がないという仕様を考慮すると、音質は「素晴らしい」の一言です。骨伝導イヤホンよりもずっと音質がいいですし、私が使っているカナル型イヤホンと比較しても遜色がありません。ただし、製品価格(10月13日現在、Amazonで34,800円)なりのイヤホンやヘッドホンと比較してしまうと、耳の肥えた人であればその差は認識できるのではないか、と思います。
Oladanceのスマホアプリの出来もいいです。私は個人的に「低音好き」なのですが、アプリで音質を「迫力のある低音」に設定すれば明らかに音質が変化し、力強い低音を聴かせてくれました。
オーディオマニア向けの製品ではないとは思いますが、私のような「それほど音質にこだわりがない」人間には十分すぎる音質だと評価します。
装着感
上記の音質評価の前提として「抜群の装着感」というのがあります。密閉型のイヤホンにせよカナル型のイヤホンにせよ、長時間使っていると耳が痛くなったり、耳穴が蒸れたりしますよね?Oladance OWS Proはオープンイヤー型で耳穴を塞がないので、耳穴が蒸れることもありませんし、長時間使っていても疲れません。
「耳に引っ掛ける方式」なので、メガネを使ったことがない人だと多少違和感を感じるかもしれませんが、それでも「耳を塞がない気持ちよさ」のほうが数段勝ると思います。
一点ケチを付けさせていただくと、イヤホン本体のボタン操作には慣れが必要です。これ「音量調整はタッチ(スライド)操作、一時停止や曲送りは物理ボタン操作」なんですけど、物理ボタンとして使う場合は「カチッ」とした手応えがあるまで押し込めばいいのですぐに慣れるものの、音量調整のスライド操作はいまだにうまくいきません…。私が不器用なだけかもしれませんが、スライド操作の感度は低いと言わざるを得ません。
利用シーン別
レビュー期間中、主に自宅でPC作業をしながらOladance OWS Proをスマホに接続、Spotifyアプリで音楽を聴いていました。また、実際にOladance OWS Proで音楽を聴きながら最寄り駅まで歩き、電車で2つ先の駅に行き、大衆食堂で昼食を取りました。
まず、室内で使う場合は非常に快適です。上に書いた通り、音質は十分に満足でき、比較的小さめの音量で3時間くらい音楽を聴きっぱなしでも全く疲れませんでした。また、音漏れについてもスマホの音量を30%くらいにしておくぶんには家族に音漏れを指摘されることもありませんでした。というか、見た目よりも音漏れは小さめですね。
次に屋外で使う場合ですが、場所によっては厳しいです。構造上周囲の音が「普通に聞こる」ので、騒々しい場所では音楽がかき消されてしまいます。一応「集中モード」というノイズ軽減機能はありますが、一般的なイヤホンのANC(アクティブノイズキャンセリング)には到底及びません。
私が乗った電車は京王線で地上を走行していましたが、スマホの音量を50%くらいにしても音楽を気持ちよく聴ける感じではなかったですね。一方で音量をあまり大きくしてしまうと今度は音漏れが発生すると思うので、隣の人に迷惑がかかりそうです。耳にも良くないでしょうし…。都心部の地下鉄だとさらに騒音が大きくなると思いますので、もはやOladance OWS Proは実用的とは言えません。
大衆食堂でも状況はあまり変わりませんでした。やはりスマホの音量を50%くらいにしても周囲の騒音のほうが勝る、という感じで、ゆっくり音楽を聴ける感じではなかったですね。
ダメ元でパチンコ屋さんにも入ってみましたが「やっぱりダメ」でした。パチンコ屋さんだと音量を最大に上げても音楽がかろうじて聴けるくらいでした。まあ、街なかでは最も騒々しい場所ですからね。
なので、Oladance OWS Proが適した利用シーンは自宅などの屋内、ランニングなどのエクササイズといったところだと思います。電車の中での利用には向きません。
5.レビューまとめ
Oladance OWS ProはAmazonや家電量販店で販売中で、10月18日現在のAmazonでの価格は34,800円です。
記事中にも書きましたが、Oladance OWS Proは装着感に重きを置きつつも音質面でも高く評価できる製品だと思います。残念ながら他のオープンイヤー型イヤホンとの比較はできないのですが、正直びっくりするくらいの音質でした。特にヘッドホンやイヤホンを使っていて耳が疲れるとか蒸れる、という悩みを抱えている人には適していると思います。
また、骨伝導イヤホンと同様、耳を塞がないので屋外で使う場合でも一般的なイヤホンより安全である、ということは言えます。なので、屋外でのエクササイズの際に使うのにも向きます。
それと、個人的に「レビュー機の色」は最高だと思いました。この製品は豊富なカラバリが用意されているというのもなにげに大きな魅力だと思います(10月18日現在のAmazonだとブラック、ホワイト、グリーンの3色のみですけど)。
6.関連リンク
OWS Pro:Oladance 公式サイト 製品紹介(英語)
Oladance OWS Pro ワイヤレス イヤホン:Amazon
Oladance ミニケース:Amazon