どうも。ひつじです。今回はイヤースピーカー「Mu6 Ring」の実機レビューをお送りします。Mu6の製品は以前「Space1」や「Space2」を紹介しており、どちらも非常に良質な製品です。私個人としてもSpace2はプロジェクターと組み合わせる形で愛用しており、お気に入りの製品だったりします。
今回の「Ring」はそれらとは異なった性質の製品で、後頭部に装着するタイプのイヤースピーカーです(メーカーのGenHigh社によれば、骨伝導式ではなく、空気伝導式とのこと)。どちらかと言えば外音を取り込みつつ音声を聴ける点がメリットだと感じる人向けの製品だと言えます。その分高音質を実現するのは難しいであろう仕様なのは予想ができます。果たして実際のところはどうか、といったところでしょう。
今回のレビューにあたりGenHigh社より実機を提供頂いております。ありがとうございます。
1.良い点と気になった点
Mu6 Ringについて、良いと思った点と気になった点は以下の通りです。
良い点
・装着してもずれにくい
・信号強度が比較的高い
・骨伝導式のような振動から来る違和感がない
・想像より音漏れしない
・大音量時の音質(+特定の楽曲ととても相性が良い)
気になった点
・充電端子がMicroUSB
・耳の上部に当たる箇所の分厚さ
・防水性はない
1.スペック
ドライバー:16mm
Bluetoothバージョン:5.0
対応コーデック:SBC
対応プロファイル:A2DP、HFP、HSP、AVRCP
通信距離:10m
充電端子:MicroUSB
再生時間:9時間
待機時間:200時間
充電時間;1時間30分
バッテリー容量:190mAh
重量:35g
サイズ:157×121×20mm
防水性がない点、充電端子がMicroUSBである点は少し残念かな、と思いますが他はワイヤレスヘッドホンやイヤホンとほぼ同等の内容を有しています。その上でバッテリー持ちはなかなか優秀に見えます。TWSタイプのイヤホンと比較してケースがない代わりに筐体が大きいのでその分バッテリー容量にも余裕があるのでしょう。
ノイズキャンセリング機能がない点や対応コーデックがSBCのみである点はこの製品の特性を考えれば特に欠点とは言えません。気にする必要はないでしょう。
また、Mu6 Space1やSpace2にあったような対応アプリは特にありません。
2.筐体
デザイン性やカラーリング等は良好だと感じる人が多いと思います。素材感が良い、といったわけではありませんが万人受けする見た目でしょう。
3.使用感
信号強度
駅で検証までは出来なかったのですがこの点についてはおおよそ問題がないでしょう。外出で使用しても接続不良はほぼ無く、なんとスマートフォンを電子レンジに入れても1m程度の距離なら接続を維持します。一般的に電子レンジは電磁波遮断をきっちり行っている製品ですから、Bluetoothイヤホンの多くはこの場合接続維持が出来ない場合が多いのですがこの機種はそういったことはありませんでした。
スマートフォンから数メートル離れた別室にいても接続できています。日常の使用範囲であればまず問題ない信号強度だと言えます。
装着感
側圧がやや強めながら耳をふさがない点が良いですね。基本的に不快感がありませんし頭を振ってもずれたりしません。ただ耳の上部にヘッドバンドが当たるのですが、この箇所が少し分厚いので耳輪付近が外側に向いてしまう点は気になります。また、眼鏡のツルを掛ける場所とヘッドバンドの位置が基本的に被りますので眼鏡を常用している人はその点を考慮しておいた方がよいでしょう。少なくとも装着感や音質に影響は出るかと思います。
接続性・操作感
シンプルで良好です。Bluetoothの一般的な機器と同様の手順で接続可能ですし、マルチペアリングも可能です。ボタンの立て付けなども問題はないのですが唯一気になるのはボタンを2度押して音声アシスタントを呼び出す際に多少反応が悪いシーンがあります。(ただこれは必ずしもイヤースピーカー本体のせいとは言えないかもしれません)
音質
ドライバーと耳との位置関係が音質に大きく影響します。また、そもそもとして音質を訴求するタイプの製品ではないのは明らか。
そう、明らかなのですが…。ドライバーを耳に近づけてかつ、音量をかなり上げて使用すると曲によっては豹変します。期待していなかった分ちょっと驚きました。
シンプルな構成の楽曲、特にピアノやスネア、(エレキギターを含む)ギターのアルペジオなどではなかなか良い表現力を発揮していますね。価格を踏まえても目(耳?)を見張るシーンがありました。決して解像度が高い方ではないので、厳密に聴き込めば細かいディテールの抜け落ちはあるんですが、大枠として描いて欲しい表現はちゃんと行なってくれています。
なお、小音量だと音質の印象は「製品コンセプトの範疇」には落ち込みますが、それでも構造を考えれば頑張っている方です。こういった製品の泣き所になりやすい低域も、弱いながらベースラインなども追いかけられる程度には表現が出来ています。いずれにしても価格に見合うだけの作り込みはなされていると感じますね。音作りの傾向はMu6 Space2にも近く、極端な脚色もない印象です。
それと、この機種は定位が非常に面白いです。表現が難しいのですが左右ドライバーを繋ぐ一本線の頭内定位と、ドライバー外側に発散される頭外定位で構成された変わった定位感や空間表現があります。また、ドライバー外側に発散されるのは楽器パートというよりは高域を主とする余韻。主軸となる中音域は頭内、もしくは左右耳のドライバー位置付近に留まっているような印象。
この高域と中音域の混合具合で楽器の位置取りが変わっているような感覚があります。得意とする音域だけでなく、この空間表現がピアノやアコースティックギターの音の広がり方に近いのか、より美しく聴こえるのでしょう。逆に高域をカットオフしているエレキギターや低域~中音域が軸となるドラムのスネア等は耳の近くで表現がされるので情報量が多いと感じるような印象を受けます。
楽曲そのものの楽器パートが増え情報量が多くなるとこの位置取りの混乱が解像度不足感を生み出してしまっている気もしますが、こういった癖がある意味で非常に面白い製品だと思います。テストした中ではヨルシカの「憂一乗」のようなシンプルな構成の楽曲や、Toeの「Ordinary Days」「孤独の発明」のような楽曲では非常に惹かれるシーンがありました。「Ordinary Days」なんかは曲の印象自体変えかねない位「ツボにハマっている曲」なので特におススメしたいところです。
逆に一聴すると相性が悪そうな、密度の高いロック系の楽曲でも周りに嫌がられる位ボリュームを上げるとCD音源でも音圧と空間表現から小さいライブハウスのライブ感を感じることが出来たりします。そういう意味でも面白い製品ですね。
その他
上記音質評価を見て頂ければ「ツボにハマると面白い音質特性」であることが伝わるかと思いますが、使う上で便利だろうなと感じたのは「家事をしながらテレビの音声を聴く」とか「発言の要らなさそうな遠隔会議をマイクミュートのまま聞きつつサボる」みたいな用途です。他にも「複数の相談事をマルチタスクでこなさなきゃいけない人」(※私の上司)なんかにもいいでしょう。
再生ボタン2回でスマホの音声アシスタントが起動できる点もこういう使い方には非常に良く、防水性に懸念はあるものの料理のレシピを聴きながら調理をしたりする際にも大活躍です。
音漏れについては骨伝導タイプのイヤホンやヘッドホンとそう大きく違いはないですね。一昔前流行った耳掛け式のヘッドホンと同等程度と思えば大きくは外さないと思います。ちょっと電車などで使うのは厳しいかな、とは思いますが散歩等では十分に使えるでしょう。
4.まとめ
Mu6 RingはAmazonにて7,980円で発売されていますが、2021年3月3日現在、10%OFFとなるクーポンを配布しています。また、このクーポンとは別に使用期限無しの5%OFFクーポンをMu6社さまより頂いております。
5%OFFクーポンコード:XJ9GPKED
製品ページにある10%OFFクーポンのところにチェックを入れ、カート画面で上記クーポンコードを入れると税込み6,783円で購入ができます。
単純に音質だけを語るのであれば、「ツボにハマる曲はとても素晴らしい」という評価になります。逆にそうでない楽曲、あるいは常識的な音量で使用する限りは「想像よりは音が良い」位のイメージでしょうか。ただ音質を問わずとも使用用途として「ながら聴き」に有用な点がありがたいです。本気を出せばすごいんだぞこいつは…。なんて思いながら日々の仕事のお供に使う、なんていかがでしょうか。
5.関連リンク
Mu6 Ring:Amazon