こんにちは、natsukiです。今回は、ちょっと変わったレビューの話をいただきまして、なかなか面白そうでしたので引き受けさせていただきました。なんと! 自動掃除機です。「ウイン」とも「タブ」とも、かすりもしないジャンルですが、面白ガジェットをいじくり倒す精神は変わりませんので、たまにはこんな毛色の違った記事にもお付き合いください。
そんなわけで、今回レビューするこの「MOOKA I3」は、製造元のMOOKAより提供していただきました。このような楽しい機会をいただきましたこと、この場を借りてお礼申し上げます。MOOKAは深圳の家電を専門とする新興企業のようで、日本にはAmazonを通じて販売を行っているようです。3月末現在、複数の販売業者がありますが、いずれもAmazonが在庫管理を行っている形式での販売(「Amazon.co.jp が発送します」と書かれているもの)なので、配送面での心配は要らないでしょう。18ヶ月保証ということも明記されています。
また、後述しますが、付属マニュアルや本体のシールなどもきちんとした日本語で書かれていて、日本への出荷品は、はじめから「日本向け」の製品として製造されていることがうかがえます。Amazonの商品説明ページもきれいに作ってありますね。ただ……
「ロポット掃除機」には大爆笑。いや、他の部分はきちんと作られてますよ、ほんと。いきなりの出オチでしたが、それでは、レビューに入っていきたいと思います。
目次
1.ロボット掃除機について、ざっと予習
注目ポイント
ロボット掃除機というと、「ルンバ」の大ヒットにより、雨後の竹の子のごとく様々な企業が類似品を開発し、一気に一大ジャンルに成長した分野ですね。大まかな形状は、みんな似たり寄ったり。じゃあ、いったいどこが違うのか。ざっと調査してみて、また、今回実際に使ってみて、実用面で差が出るのは以下のような部分だと思います。なお、拭き掃除機能は、ちょっと根本的に性質が異なってくるので、考慮してません。
・吸引力
・面の掃除能力
・スミの掃除能力
・行動範囲(複数の部屋を掃除できるか)
・踏破能力(段差、絨毯)
・落下回避能力
・障害物回避能力
・ソフト面(掃除モード、スマホアプリ連携、タイマーなど)
このあたりに注目して、レビューしていきましょう。
価格帯
一口にロボット掃除機といっても、ものによって価格に相当な差があります。王者「ルンバ」からして、実売で約4万円から十数万円まで、いくつものバリエーションがあります。ジャンル全体を見ると、安いものは数千円(笑)なんてものまである。じゃあ、何を基準にすればいいんだ? ってところですが、ルンバ最下位機種とHITACHI、TOSHIBA、パナソニックなどの国内大手メーカーのが約4~5万円ってのは、参考にはなりますね。あと、ウインタブ読者の皆さんにおなじみのメーカーだと、実用レベルの下限ギリギリ、「この価格なら、まぁ」と「やっぱり残念」の境界線を衝くことに定評のあるドンキホーテ(褒めてるつもり)のロボット掃除機が、税別14,800円です。
Amazonをざっと見た限りだと、2万円前後というところに一つのボリュームゾーンがあるようです。ここはあまり名を聞かないメーカーの機種がひしめいていて、「ルンバや大手家電メーカーより、ブランド力で劣る分安くするから買ってね」という価格帯でしょう。約20,000円の本機も、そこに属するというわけです。
2.箱と筐体
箱は、こんな感じ。
中は、発泡スチロールではなく、型紙でしっかり固定されています。
同梱物一覧です。ブラシとフィルターの予備に、オレンジ色のものは、内部清掃用のハケです。ブラシ交換用のドライバーまで付いているのは親切ですね。
「日本向け」として作られています
箱にでっかく日本語で「ロボット掃除機」と書かれていることからも分かるように、この製品はちゃんと「日本向け」として作られています。
取扱説明書は多言語ですが、日本語は、一部のややこしい表現に変な部分があるものの、全体的にはほぼ完璧です。中国語マニュアルがない事から、はじめから輸出用として製造されていることが分かります。細かいことですが、機体底面の製造番号や定格電力などを示したシールも、日本語「のみ」で書かれていました。ここは、日本の大手家電メーカーの製品でも、英語だったり多言語併記だったりする場合も珍しくないですからね。
総じて、「輸入品」ということを意識しなくていいように、きちんと作られています。当たり前かもしれませんが、新興メーカーなのであえてこの辺はきちんとチェックさせていただきました。
頭一つ抜けたデザイン性
MOOKAというのは、デザイン性がウリのメーカーのようですが、これは、さすが、といってよいと思います。
バンパーも含めて完全に円形に納め、全身黒一色、上部もメーカーロゴとボタンだけのシンプルなデザイン。Amazonでロボット掃除機を検索してずらっと並べてみると、本機がかなりデザイン面にこだわっているというのが一目で分かるでしょう。
リモコンも、分かりやすく最小限のボタンで、使いやすさとともにデザイン性も配慮されていますね。リモコンの電源は単4電池×2ですが、残念ながらこれは付属していません。
引き出しタイプのゴミタンク
ゴミタンクは、引き出しのような構造になっています。。
ゴミタンクは裏返して取り出すタイプと、本機のように横に引き出すタイプがあるようですが、当然、本機のように横に引き出すタイプの方が扱いやすいです。ただし、容量はさほどないので、毎回ちゃんと捨てましょう。
なお、ゴミタンク、フィルターともに水洗い可能です。
3.性能チェック
では、いよいよ、動かしていきます。
清掃能力 ― 掃除残しはなし、吸引力はそこそこ
まずは、清掃能力。論より証拠、ゴミをばらまいて動かしてみます。
ばらまくのは、このネコ用トイレ砂。
これを、このように、ザラっとバラまきます。では、スタート。
このくらいの粒だと、1回では吸いきれないものの、2回目でほぼ吸いきりますね。また、動画中に出ていますが、高さ7cmで、うちのソファーなら、ラクラク下に潜り込んでいきます。なお、直径は31cm。これは、他の機種もほぼ変わりません。微妙なサイズで、うちのイスの脚の間には、ギリギリ入れませんでした。それでは、一通り走り回った後の結果は?
ご覧のとおり、平面をまんべんなく清掃するのは完璧と言っていいでしょう。ただし、スミを見ると、粒が残っています。要は、ブラシの先端部分の力が弱いので、毛やホコリなどを「絡め取る」ことは出来るんですが、粒状のものを「掻き出す」力は限られるみたいです。平面であれば粒状のものまで十分吸い取りますが、スミはホコリや毛などの軽いものまで、となるようです。
純粋な吸引力としては、フローリングやウレタンマット上でホコリや毛を集める分には、十分な吸引力があると思います。ただし、じゅうたんを掃除するには、ちょっと弱いかなぁ。うちは、ネコを飼っていて子供2人が駆け回るという、ある意味、掃除機のレビューには理想的な環境(笑)なんですが、LDK+1部屋の1日分で、本機に一回りさせるとゴミタンクいっぱいに「ごっそり」採れます。あまりに見苦しいので画像は控えます(笑) ともあれ、視覚的に達成感が得られるくらいの量は集めてくれますよ。
清掃範囲は、連続したフロアまで
1週間ほどLDK周りを中心に運用してきました。うちは、LDKに、一部屋が隣接する構造になっているのですが、その隣接する部屋までは、スミまできちんと清掃してくれます。廊下にも出て行って、出てまっすぐの部分は掃除するんですが、曲がった先や別の部屋までは行きません。
ということで、基本的には「連続する一つのフロア」までです。向かい合わせなど、直線行動で行けるなら、隣の部屋までやってくれます。明らかに部屋の構造を学習している動きをしているので、長く使っていると覚えていくのかもしれませんが、1週間程度の運用では、「廊下を曲がって別の部屋へ」というのはできないようです。ただ、自分がいる部屋の中であれば、棚、ソファーやテーブルの足、ネコのトイレなどでかなり複雑な地形になっていても、きちんと隅々まで入り込んでいきます。
踏破能力 ― 柔らかマットが苦手、段差は対応
これも、分かりやすく動画を見ていただきましょう。
これは、構造上、高価格の製品でも変わらないでしょう。ロボット掃除機の特性と言える部分だと思います。「芯のある」タイプの、硬めの絨毯ならラクラク乗り越えていくのですが、このように「軟らかい」タイプは、グシャグシャっとしてしまうので、鬼門です。動画では、すでに学習済みなのですぐにあきらめて引き返していますが、初めての場合はもっと強引に突っ込んでいきます。あと、足拭きマットみたいな小さいマットも、乗り越えずに押していってしまうので、どけておいた方がいいですね。
一方、段差の踏破能力ですが、公称19mmとのこと。実際、動画のように、厚さ約1cmのウレタンマットくらいなら、ものともせずに乗り越えます。なお、うちの玄関は4cmという微妙な段差なんですが、この高さだと後述の落下防止機能も反応せず、降りたまま戻れませんでした。玄関は特殊な例として、一般的な厚めのマットや敷居などの段差なら、問題なく走破できるでしょう。乗り越え能力は、公称通りとみてよいようです。
落下回避能力はきちんと機能
私のようなマンション暮らしでは関係無いんですが、階段のある家だと重要なのが、この落下回避能力。これも、論より証拠、ちゃぶ台の上で動かしてみます。
特に、説明するところはないですね。念のため下に布団をひいてますが、危なげなく、ちゃんと落下を回避しています。
障害物回避能力は、ない
皆無です。動きを見る限り、壁は、非接触式のセンサーではなく、バンパーによる「体当たり」で認識しています。そのため、避けるどころか、むしろあえてあちこちにぶつかるような動きをします。部屋の形を認識した後も、おそらくは追加学習のために、けっこう積極的に壁に当たっていきます。そりゃそうだ、別の部屋で使うかもしれないし、置いておいたものをどかすかもしれませんからね。あげくに、上記の落下回避能力のテストみたいなこともしているわけですから。なお、部屋の形を学んでいるというのは、真ん中の面を掃除するときには、壁を回避した動きをすることから分かります。
このため、ぶつかるとこぼしたり倒れたりするようなものを置いている場所には致命的に向きません。幸い、うちのネコのご飯の定位置は台の上なので、我が家では問題ないのですが、ペットのご飯皿や水飲み皿などを床に置いている場合には、何らかの対処が必要でしょう。
シンプルなソフト面
スマホによる専用アプリ操作はありません。
リモコンで、いくつかのモードでの動作が可能です。もう一度、リモコン画像を掲載します。
リモコンを使ってできるのは、
・3つの清掃モード
・スケジュール設定
・手動操作
です。
まず、右下の家マークのボタンは、掃除を強制的に切り上げるボタンです。充電器に自分で帰って行きます。
上の矢印キーを使って、ラジコンのように手動で操作することもできます。ただ、これは実際に使うことはあまりないでしょう。
スケジュールは、リモコン左下のボタンで時計を合わせ、下段真ん中のボタンで清掃開始時刻を設定し、決まった時間に自動で掃除します。これは、我が家では使わないです。というのは、ネコはどうしても、ときどき吐くんですよね…… そこをやられると悲惨なことになるので。
3つの清掃モードを解説しておきます。ひとつは、通常の「自動クリーニングモード」。リモコン上側左端のホウキマークのボタンです。本体のボタンを直接押した場合も、このモードで清掃します。完全にAIにお任せです。
二つめは「エッジクリーニングモード」。リモコン上側真ん中の四角マークに矢印の入ったボタンです。その名の通り、スミを重点的に掃除します。
三つめは「一部屋クリーニングモード」。リモコン上側右端の家の中に矢印の入ったマークのボタンです。狭い範囲を重点的に掃除する、というモードです。
実際に使ってみると、三つめの「一部屋クリーニングモード」がお勧めですね。というのは、「自動クリーニングモード」だと、キッチンや棚が密集していたりといった、複雑な地形の場所を何回も掃除して、なかなか終わりません。動きを見ていると、どうも、学習アルゴリズムの関係じゃないかという感じがします。一方、「一部屋クリーニングモード」は、「一部屋」といいながら、リビングの隣の部屋まできっちりやってくれました。1LDKの範囲で、所要時間はだいたい30~40分といったところです。こちらも挙動を見ていると、通常の「自動クリーニングモード」に比べて、追加学習を程々にして切り上げているようです。はじめは「自動クリーニングモード」で清掃して、だいたい部屋の形状を学んだようであれば「一部屋クリーニングモード」を使う、というのが効率よい使い方のようです。
そこそこうるさい駆動音
静かではありませんが、普通の掃除機よりはずっと小さいです。同じ家の中なら別の部屋にいても聞こえるけれど、家の外にはまず聞こえない、というくらいの音量ですね。音の質は、掃除機というよりモーター音っぽいです。先ほどの、落下回避能力テストの動画をご覧ください。マンションやアパートで夜に動かしても、近所に気をつかう必要は無いけれど、自分は眠れない、といったところです。
バッテリーは十分
バッテリー容量は2600mAhで、連続稼働時間は90~120分とのこと。先述のように、廊下を曲がって他の部屋に行くことはできないので、120分連続稼働するような状況はちょっと考えにくいです。どのみち、電池が足りなくなったら自分で勝手に充電しに行くので、十分な稼働時間と言ってよいでしょう。
手軽なメンテナンス
まず、ゴミタンクとフィルターに関して。フィルターはゴミタンクと一体なので、ゴミ捨て時にタンクごと軽く振ってやれば、フィルターのほこりも落とせます。何回かに1回は専用のハケではらってやり、先述のように水洗いが可能なので、汚れが気になってきたら洗ってしまえばよいでしょう。
メインローラーに髪の毛が絡まりやすいのは、普通の掃除機と同じ。ただし、普通の掃除機と比べて、メインローラの状態が清掃能力に直結するので、ここはまめに髪の毛を取ってやった方がいいでしょう。
いずれも、構造は非常に単純で、メンテナンス時に迷うことはないと思います。これって、案外重要なことだと思います。
4.まとめ
自動で動くものって、やっぱり単純な楽しさがありますね。子供は、追いかけ回したり、通せんぼしたり、上に色々載っけたりと大喜びです。動画は、ほんとは駆動音を流した方がいいんでしょうけれど、音楽に差し替えているのは、いくら「今撮っているから静かにして」といっても、テンションが上がってムリだからです。ちなみに、うちのネコは、はじめは警戒MAXでしたが、ご飯皿が居間にあるので、何日かすると、稼働中でも同じ部屋にしぶしぶやってくるようになりました。近寄る気は無さそうですけど。通常の掃除機だと、同じ部屋には絶対来ないので、これも騒音の目安になる?
「ルンバ」をはじめとする高価格帯の高級機と比べてみると、あくまでスペック上の比較になりますが、明らかに差があると思われるのは、「吸引力のパワー」「障害物回避能力」「複数の部屋掃除」の3点ですね。「吸引力」については、先述のように、フローリングの毛やホコリレベルなら十分ですが、じゅうたんだと、毛足の長いものには非力かもしれません。障害物回避能力は、高級機でもクセのある部分。変な工夫をするより、台の上に載っければいいだけですね。決定的な違いは、どこまで広いエリアの清掃を求めるか、という部分でしょう。
結論を言えば、直線的運動で行き来できる配置で、1LDKから2LDKくらいまでのエリアであれば、このクラスのロボット掃除機で、十分期待に応えられると思います。回り込んでの移動が必要な複数の部屋の掃除を求めるなら、高級機の検討が必要でしょう。
この「MOOKA I3」の価格は、3月26日現在Amazonで19,990円です(注:クーポンコードをいただいていますので後述します)。はじめに書いたように、この価格はロボット掃除機のボリュームゾーンでして、同ランクの機種がひしめき、スペックだけを見てどれを選ぼうかというのはなかなか迷うところ。そこで、実際に使ってみてどうかというのは、ここまでご紹介した通りです。本機は、独特の機能はないものの、このランクの機種としては「ハズレのない」性能を確保していると思います。何より、日常的に使う物なので、操作・メンテナンスともに、ややこしいことを考えずに手軽に使いやすいよう作られているのが評価できます。あとは、やはりデザイン性。この、ダースべイダーの足下を走り回っていても違和感のないデザインにピンとくるかどうか、ですね。
5.関連リンク
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コメント
ロボット掃除機を使う事によって得られる最大の効果は
床に物が置けなくなって部屋がスッキリする
まさしく、その通りですね。さらに、子供には「吸われちゃうよ」と脅せます(笑)