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EarFun Air Pro 4i レビュー - ノイズキャンセリング特化で、使い勝手のよいオーソドックスなイヤホン

アクセサリ

EarFun-Air-Pro-4i
こんにちは、natsukiです。EarFunが「ノイズキャンセリング特化型」と称して送り出すワイヤレスイヤホン、EarFun Air Pro 4iのレビューをお届けします。この製品は、価格がおおむね7,000円台と、昨今のシングルドライバの製品としては上位に属する製品です。価格帯と特性が以前にレビューした「SOUNDPEATS Air5 Pro」とかなり重なる製品でもあります。今回のレビューはメーカーよりの提供サンプルにより行っていますが、EarFunもSOUNDPEATSも定評あるブランドなので、実際に使ってみて分かる製品ごとの個性の差も適宜比較したいと思います。

おすすめポイント
・シングルドライバとしては文句なしの高度な表現力
・音の解像度感が高いシャープな響き
・電車内でクラシックが楽しめるレベルの、高性能なノイズキャンセリング
・雑音を抑えた、実用性の高い外音取り込みモード
・ワイヤレス充電対応
音の傾向
・残響感は少なく、音の解像度が高い
・中高音が良く鳴り、低音は重みよりシャープな感じ
・音色忠実表現よりは、曲の主張を際立たせるタイプ
ここは注意
・aptX系コーデックは非対応
・ノイズキャンセリングは高性能だが、やや圧迫感や音色変化あり
・アプリのイコライズ選択がやりにくい
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1.スペック

スペックは次の通りです。

項目 仕様
形状 カナル型
ドライバー 11mmチタンコーティング
複合ダイナミック・ドライバー
Bluetoothバージョン Bluetooth 5.4
対応オーディオコーデックなど SBC、AAC、LDAC
Hi-Res認証
ノイズキャンセリング EarFun独自
QuietSmart 3.0ハイブリッドANC
-50dB
通話ノイズキャンセリング 6マイクAIノイズキャンセリング
マルチポイント 対応
ゲームモード 対応
再生時間 LDACオフ — 最大9.5時間、充電ケース込み最大40時間
LDACオン — 最大6.5時間、充電ケース込み最大27時間
ワイヤレス充電 対応
防水性能 IP55

カタログスペックは、このクラスのワイヤレスイヤホンとしてオーソドックス。気になる穴はなく、一方で突出した特徴もなくといったところ。再生時間が、他社同ランク機よりやや長めなくらいですかね。オーディオコーデックがaptX系に対応していないのは残念ですが、最近はaptX対応でLDAC非対応というスマホはあまり見ないので、音質重視の場合はLDACを選べばいいでしょう。なお、LDACを選択した場合は、2機種自動切り替えのマルチポイント機能が使えなくなり、これは他社製品でも同様です。ノイズキャンセリング機能は、数値では-50dBで、独自のアルゴリズムで前世代機よりも特に低周波の騒音を低減するとのこと。ちなみに、SOUNDPEATSの同世代製品は-55dBをうたいますが、このくらいの数値は誤差の範囲内です。実際の実力については、後ほど。防水性能はIP55、水をかけるくらいなら大丈夫だが水没はダメという、いわゆる生活防水レベルです。

2.本体

box
では、本体を見ていきましょう。

bundled-items.jpg
同梱品一覧です。イヤーピースはデフォルトのものも含めて5種類と豊富。装着感の微調整が可能です。

case
ケースです。ツヤ消しブラックの、シンプルで落ち着いたたたずまいを見せます。なお、カラーバリエーションは、このブラックの他に、ホワイトもあります。

size
サイズ感はこのくらい。

open
蓋を開けた状態です。イヤホンの取り出し、収納もスムーズです。

earphones
イヤホンです。ワイヤレスイヤホンとしてよくある形状で、スッキリとしたデザインです。タッチセンサー部に突起がついていて、触覚でタッチセンサーの当たりを付けやすくなっています。

3.音質評価

総評 ― ドンシャリでシャリ強めのシャープな響き

先に、音質の評価をしてしまいましょう。SOUNDPEATS製品、特に価格帯と構成の近いSOUNDPEATS Air5 Proと聴き比べると、かなり音の造りの方向性が違い、それぞれの個性が際立ちます。

EarFunの方がやや高音が強く、また残響感は少なめでシャープな響きに感じます。低音もスッキリとした感じで、重低音を響かせるタイプではなく、ベースラインの輪郭を立たせる聴かせ方です。良くも悪くも、やや人工的なキラキラした表現で、ヴォーカルは十分に存在感を放ちます。例えば、西川貴教「FREEDOM」では、西川兄貴の絶唱をぞんぶんに堪能できる一方、冒頭の低音をブリブリ響かせる前奏は少し物足りないかもしれません。米津玄師「Plazma」のようなテクノ系の曲は、サイバー感増し増しで相性がよいと言えるでしょう。

表現はイコライズである程度調整可能とはいえ、総じて、解像度感はEarFunに、音色の再現性はSOUNDPEATSに軍配が上がるでしょう。このあたりの聴こえ方の違いは、特にクラシック音楽を聴くと顕著です。どちらがいいかは完全に好みですが、音の情報量を細部まで感じ取りたいならEarFun、より実際の演奏に近い響きを聴きたいならSOUNDPEATSというところでしょうか。

ノイズキャンセリング ― 強力!ただし多少音質に影響も

ノイズキャンセリング特化!というだけあって、ノイズキャンセリング能力が非常に強力なのは間違いありません。ノイズキャンセリングには、アプリで選択可能な「ディープANCモード」「バランスANCモード」「AI適応型ANCモード」「ウィンドカットANCモード」があります。おおむね、強力さはディープ>AI適応型>バランス>ウィンドカットの順です。

実際に「AI適応型ANCモード」にして電車内で色々と聴いてみました。音量変化のさほど激しくないポップス系の曲であれば、かなり騒音のある電車内でも、十分に音楽として楽しめます。また、クラシック音楽でも、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」第1楽章ファゴットによるppppppの表現からAllegro vivoの展開部へ、シューベルト交響曲第8番「未完成」第1楽章冒頭と再現部や、ベートーヴェン交響曲第9番「合唱付き」第4楽章喜びのテーマを低弦が提示してからの長大なクレッシェンド、マーラー交響曲第1番第3楽章のコントラバスの主題に多様な響きが順番に重なっていく様など、音量差のある表現を聴き取ることも可能です。

ただし、強力な分、特に「ディープANCモード」では、圧迫感がそれなりにあり、また音質もややこもったように聴こえてきます。特に木管のアンサンブルなどは、ずいぶん音色が変わって聴こえます。もっとも、実際に使う際に、ノイズキャンセリングが必要な騒音のある環境では、このような音質の変化はあまり問題にならないでしょう。一方で、すでにある程度静かな環境で、更に静寂を求めて耳栓のように使う場合は、圧迫感と相まって気になるかもしれません。その用途の場合は、軽めの「ウィンドカットANCモード」を選択するとよいでしょう。

外音取り込みモード ― 雑音が少なく文句なしに優秀

外音取り込みモードは、ノイズも少なく文句なしに優秀です。また後述のように、ノーマル、ノイズキャンセリング、外音取り込みの3つのモード切替は、使わないものを省くこともできます。

4.使用感

装着感

装着感は、オーソドックスな形状だけに、違和感なく十分な固定性があります。上記のように、イヤーピースが5段階もあるので、より合ったサイズを模索するとなお良いでしょう。

ペアリング

初回ペアリング時には、最寄りのスマホ(?)に接続のためのポップアップが表示されるので、いちいちBluetooth設定画面を開かなくても簡単に接続可能です。

マルチポイント

2台接続切り替えのマルチポイント機能も、パソコンとスマホにつないで確認しましたが、ストレスなく機能します。ただし、コーデックがLDACの場合は、この機能は使えません。

ワイヤレス充電対応

wireless-charge
ケースは、ワイヤレス充電に対応します。ワイヤレス充電機器を揃えている人にとっては便利。

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5.アプリ

基本メニュー

google-play
専用アプリ「EarFun Audio」は、さすがにイヤホン定番メーカーだけあって、非常に高機能です。

EarFun Audio - Google Play のアプリ
EarFunワイヤレスイヤーバッド・オーディオ製品向けの操作しやすいアプリ
EarFun Audioアプリ - App Store
App Store でEarfun Technology (HK) Limitedの「EarFun Audio」をダウンロード。スクリーンショット、評価とレビュー、ユーザのヒント、その他「EarFun Audio」みたいなゲームを見ることが...

基本メニューはご覧の通り。

app_menu
いずれも直感的に理解と操作がしやすくなっています。

多様な音響モード

ノイズキャンセリングは、先述のように4種類も用意されています。迷ったときにはAI適応型ANCモードが比較的使いやすいかと思いますが、適宜、環境に応じて使い分けるとよいでしょう。

ゲームモードは、遅延を低減しますが、当然、完璧ではありません。雑なゲームには十分、リズムゲームには向かない程度です。

シアターモードは、その名の通り、強引に残響感を加えて空間の広がりを加えるモード。演出としては面白いながら、当然、音響は不自然な部分も出てしまうので、音楽そのものを聴きたいというよりは、動画視聴用の機能と考えましょう。

カスタマイズ性の高いタッチ操作

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タッチ操作のカスタマイズ性は十分に高く、左右のイヤホンそれぞれ「シングルタップ」「ダブルタップ」「トリプルタップ」「長押し」で機能を割り当て可能です。

touch-setting2
特筆すべきは、「ノーマル」「ノイズキャンセリング」「外音取込」モードの切り替えについて、使わない機能は省略が可能です。例えば、「ノイズキャンセリング」「外音取込」のみしか使わないという設定ができます。これは、SOUNDPEATSのアプリには無い機能ですね。

イコライズは十分優秀ながらインターフェースが残念

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イコライズは、多様なプリセットが用意され、もちろん自分でカスタマイズすることも可能です。ただ、ご覧のようにスライド式で選ぶインターフェースになっているので、そもそもどういうプリセットがあるのかが分かりづらく、目的のプリセットを選択するのも面倒です。ここは単なるユーザーインターフェースの問題なので、デザイン性よりも操作性を考えて何とかして欲しいところ。

環境音あり

nature sound
面白いところでは、環境音を流すことができます。ただ、個人的には、イヤホンから環境音を流すというのはかえって不自然な感じがしてあまり実用性を感じないんですが、どうなんでしょう? まあ、機能としてあって損はないので、お好みで。

6.まとめ

このEarFun Air Pro 4iは、ノイズキャンセリング特化という触れ込みに違わず、価格帯からすると強力なノイズキャンセリングを備えるイヤホンです。強力であるがゆえに、音質への影響も多少ありますが、ノイズキャンセリングの種類だけで4種類もあるので、状況に合わせて使い分けるとよいでしょう。

音質は、シングルドライバのイヤホンとしては総じて十分に優秀な上で、残響感の少ないシャープな響きです。音の解像度が高く、ヴォーカルが際立つ一方、生楽器の音色の再現や、重低音をブンブン鳴らすのはやや苦手とします。この傾向は、ノイズキャンセリング機能をONにした場合は、さらに強まります。レビュー中で触れたように、クラシック音楽の音量差の表現に十分耐えうる表現力を持つ製品ですが、音響の相性がいいのは、どちらかというとヴォーカル重視の曲でしょう。同価格帯のSOUNDPEATS Air5 Proがオールマイティな音響なのに対して、EarFun Air Pro 4iは、ヴォーカル重視の個性が強めという印象です。

基本的なスペック面では、ワイヤレス充電に対応しているのは、嬉しいところ。コーデックでaptX系に対応していないことは、スマホの種類によっては注意が必要です。

EarFunブランド共通のアプリは、性能的には十分。タッチコントロールによる「ノーマル」「ノイズキャンセリング」「外音取込」モードの切り替えについて、使わないモードを省略できるのは、利便性の面で優れる点です。一方で、イコライズ選択がやりにくいインターフェースなのは残念なところ。使うかどうかはさておき、環境音を流せるのは面白い試みです。

価格は、記事執筆現在、Amazonブラックフライデーセールで、6,425円となっています。最近はイヤホンの性能がどんどん高まっていて、単純な音響だけでコスパを評価するのが難しくなってきていると個人的に感じているのですが、EarFun Air Pro 4iについては、ノイズキャンセリング機能という明確なアピール点があるので、価格に対して分かりやすく満足感の得られる製品だと思います。

基本的な能力は十分優秀な上で、「ノイズキャンセリングにこだわりたい」「聴くのはヴォーカル曲がメイン」という人に、特にマッチした製品です。

7.関連リンク

執筆者:natsuki ウインタブをきっかけに、海外通販で奇天烈なガジェットを漁ることにハマる。趣味は旅行(自然も史跡も)、アマチュアオーケストラなど。自分の知識欲も満たせるので、楽しんで記事を書いています。興味を持ったもの、面白いと思ったものを、読者の皆さんと共有できれば幸いです。
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