こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回は珍しく高級なキーボード「Azio Retro Classic(エイジオレトロクラシック)」の実機レビューです。実はこの製品、クラウドファンディング「Makuake」で支援を募集中(目標金額は達成済み)の製品です。もともと英語配列の製品が海外で販売されているものを、「日本語配列」かつ「USB有線とBluetoothの両対応」するニューモデルをクラウドファンディングに出品しています。今回お借りした製品は、「英語配列でUSB有線とBluetoothに対応」するもので、クラウドファンディング出品中のものと基本的に同じですが、配列のみ異なります。
1.製品概要
この製品はスペック表だけで理解することが難しいのですが、基本的な仕様だけは押さえておきます。USB有線接続でもBluetooth接続でも使えるメカニカルキーボードで、キースイッチはCherry MXではなく、オリジナルのものが採用されています。打鍵感は後述しますね。USBで接続する場合に限りますが、Nキーロールオーバー(複数のキーを同時押しして、すべて認識させることができる。この製品の場合は6つのキーの同時押しが可能)にも対応します。対応OSはWindowsとMacです。Macユーザーも安心ですね!
サイズは完全にデスクトップ用、というか据え置きタイプです。テンキーもついた大型の製品で、メカニカルキーボードらしく重量は1.5 kgオーバーと、堂々たる重量級ですね。
最近たまに見かける「レトロ」なタイプの製品で、キートップは昔のタイプライターのように丸いものが採用されています。筐体色は4色ですが、「色」だけでなく使用されている素材も異なります。今回は「EL WOOD」をお借りしました。EL WOODはキーボード面が天然クルミ材の一枚板、フレームが亜鉛アルミ合金製となっており、天然素材を使っている関係上、すべての製品の木目模様が異なる、という、まるで工芸品のような仕上げになっています。詳しくはこのあと…。
2.筐体
高級品ということもありますので、まずは外箱から。厚紙でできていますが、高級なPCが入っているかのような感じがします。ただ、レビュー機は海外仕様なので、国内向けには多少デザインが変わるかもしれないですね。
外箱を外すと内箱w 個人的には箱関係には全然関心がないのですが、3万円以上のキーボードを購入するわけですから、製品の保護とか購入した喜びを感じるために、こういった豪華な包装にも意義がありますね。
同献物です。キーボード本体のほか、取扱説明書、シリアルNo.の入ったライセンスカード、クリーニングクロス、USB Type-C(オス)- USB(オス)のケーブル(PCとの有線接続および充電用です)、予備のキートップ(後述します)が入っていました。
取扱説明書は日本語の表記もありましたが、すべての項目を網羅できているわけではありません。この製品をクラウドファンディングに出品しているOffice GHによれば、日本語配列の製品リリースにあわせ、より日本語の記載を増やした説明書を用意しているとのことです。
ケーブルは先端部分が金メッキされていて、ちょっと豪華な感じです。
「予備のキートップ」ですが、正確には「予備」ではなく、MacOSに準拠したキートップです。デフォルトではWindowsに準拠したキートップがついていますが、MacOSを使っている人は必要に応じてキートップを交換することになります。
キートップはキーボード本体にマッチするデザインにはなっていますが、素材はプラスティックで、金属製ではありません。
また、この製品はメカニカルキーボードですが、キースイッチが奥まったところにありまして、構造がよく見えません。またCherry MXスイッチではないので、軸色も「あえて言えば白」ですね。
そして、このような構造なので、キープラー(キートップを引き抜くための器具)は同梱されません。実際、キートップは手で簡単に着脱できます。
これがキー配列です。もっともレビュー機は英語配列になっているので、クラウドファンディング出品中のものとは異なります。キートップが丸いため、ややトリッキーな印象がありますが、配列そのものは特にクセのあるものではありません。なお、キーピッチは手採寸で上下、左右とも約19 mmと標準的なフルサイズキーボードの間隔、それ以外の仕様は下記のとおりです。
変荷重:50±10gf(荷重40-85gf)
アクチュエーションポイント:1.6±0.5mm
キーストローク:3.6±0.3mm
動作寿命:50,000,000サイクル
打鍵感については後述しますが、感覚としては比較的青軸に近いものでした。
キートップは2種類の形状になっています。スペースキーやShiftキーなど、大きめのものはキートップがフラット、アルファベットキーや数字キーのような、普通の大きさのものはキートップの中央が少し凹んだ形状です。
「RETRO CLASSIC」と書かれた金属製のプレートがあしらわれます。
キーボード面の右上にはLEDインジケーターがあります。「N」はNumLock、「C」はCapsLock、「S」はScrollLock、「W」はWindowsキーのロックという基本機能のほか、Bluetoothのペアリング時の状態表示や充電ステイタスなどを表示してくれます。
この製品にはバックライトがつきます。バックライト色はホワイトで、明るさの調整も可能です。製品のレトロな雰囲気を壊さないものだと思いますし、暗所での実用性も高めてくれます。
底面です。外版はプラスティックですね。もちろんメカニカルなんで内部に金属板が入っているとは思います。四隅に大きめのゴム足がついています。
このゴム足は周囲のリングを回すことによって高さを3段階に調整することができます(上部の2つのみ)。
ゴム足で角度を調整しつつ側面の画像を撮影してみました。画像上から「無調整」「中間」「最大」です。私の感覚では、最大まで角度をつけても少し足りない感じでした。このへんは個人差があると思いますが、もう少し大きく角度調整できると良かったかもしれません。
ちょっとアングルを変えて、側面を拡大してみます。キートップとキーボード面の位置関係はこんな感じで、透明なキートップ側の支柱のようなものが見えます。ただ、構造上キースイッチは奥まったところにありますので、スイッチがむき出しになっているというわけではありません。あくまでもキートップのデザイン上、浮いて見えるということですね。
上部の側面にはスイッチ類があります。画像左が「Bluetooth」「USB有線」「OFF」の切り替えスイッチですが、この製品は単にUSBケーブルをつないだだけでは反応してくれません。この切り替えスイッチを「USB」の位置にしてやる必要があります。また、Bluetooth接続も試してみましたが、私の使っているPCではサクッと一発ペアリングで、接続方法も容易(「Fnキー」と「-キー」を同時押しするだけ)でした。
真ん中のスイッチは見ての通り、MacとPC(Windows)の切り替えをします。また、一番右にあるUSB Type-CポートはUSB有線接続、そして充電の際に使います。
一応、下面の画像も掲載しておきますが、特に説明すべきところはないです…。
一通り筐体をチェックしてみましたが、高級感あふれる、という感じですね。特に天然クルミ材の一枚板を使ったキーボード面は本当に素晴らしい質感です。また、エッジ部分の金属素材は耐腐食性があるものの、経年で色が剥げたりすることになりますが、これがまたいい味を出すのだ、という説明がありました。さすがに色落ちするまで試用するわけにも行きませんので、そのへんの状況についてはなんとも言えませんが、間違いなく吟味された素材を使っていると思いますので、使い込んでいくのが楽しみかと思います。
3.使用感
手持ちのPCに接続して、しばらく使ってみました。USB有線接続とBluetooth接続を切り替えつつテキストライティングをしています。Bluetooth接続の安定性ということに関しては、まったく問題はないと思います。あと、Bluetoothキーボードの場合、「反応の遅延」を気にされる人もいるかと思いますが、オンラインゲームをシビアにプレイする、ということでもない限り、遅延に気づくことはないだろうと思います。少なくとも私の感覚ではUSB有線接続と同じ感覚で使うことができました。
次に気になるであろう「丸いキートップ」です。これはね、確かに最初ミスタイプを誘発します。「キートップの中心」からズレてタイプすると隣のキーとか斜め上のキーを打鍵しちゃいますね。ある程度意識して打鍵すれば大丈夫ですが、いつものような感覚で高速にタイピングするとミスタイプしやすくなります。ただし、どんなキーボードでも使い始めのうちはこんなもので、1時間くらい使っていると慣れてきます。なので、このキートップのデザインについてはあまり警戒しなくてもいいと思います。
打鍵感ですが、私がいつも使っている青軸そして赤軸のメカニカルキーボードとは少し感覚が異なります。青軸の場合、しっかりとしたクリック感(スイッチを押しているような底打ち感)がありますが、この製品でもクリック感は感じられます。その意味でいうと似ていますが、クリック感は青軸ほどはっきりしたものではなく、やや曖昧です。ただし、赤軸よりはしっかりクリック感があります。なので、「ちょっとクリック感が薄めの青軸」という感じでしょうか。
ただし、クリック感が薄いと感じるせいか、打鍵音は小さめです。動画を撮影してみましたので、こちらをご参照ください。
こんな感じで、メカニカルでないキーボードよりは打鍵音は大きくなりますが、メカニカルキーボードとしてはかなり静か、と言っていいでしょう。
「打鍵の気持ちよさ」という点でも納得です。メカニカルキーボードでは青軸が最も騒々しく、そのかわり打鍵時の爽快感が最も大きいと個人的には思っていますが、この製品は青軸にやや近い感覚で打鍵できますので、かなり気持ちよく打鍵することができました。
4.まとめ
Azio Retro Classicは、クラウドファンディング「Makuake」に出品され、支援を募集中で、6月14日現在の支援額(事実上の価格です)は税込み30,088円から、となっています。
キーボードとしてはかなり高額な部類に入る製品なので、機能の高さだけでなく、何らかのプラスアルファがないと買えないですよね。まず機能面では高品質なメカニカルキーボードであると評価できますし、USB有線とBluetoothの両対応、WindowsでもMacOSでも使え、使用するOSに合わせた予備キーが同梱されていることなど、実用品として高く評価できます。
一方で「プラスアルファ」についてですが、これは言うまでもなく筐体構造であり、「雰囲気」であると思います。私はかつてこれほど上質で高級感のあるキーボードを使用したことはありません。ある意味工芸品のような佇まいがあります。天然素材と古いタイプライターをモチーフにしたデザインはよくマッチしていると思います。
つまるところ、この製品の価値は「プラスアルファ」にあると思います。贅を尽くした筐体素材とレトロなデザインが気に入ったのなら3万円を出しても後悔することはないでしょう。使えば使うほど味が出る素材を使用しているので、長く付き合っていけると思います。キーボードとしての基本的な品質と機能性に関しては間違いない、ということも言えますしね。
コメント
有線モデルを秋葉原で見たことが有ります。
たしかに作りがよく高級感があるように感じました。
ただ、残念なことにJIS版はUS版とキーの数が変わらず変態配列なんですよね。
スターアップで該当のところを見えないようにして、募集している様はどうかと思いました。
無理やりなJIS版を使うぐらいなら、素直にUS版をカスタマイズした方が使いやすいかと思われます。