こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回は長期にわたって試用させていただいている「TJC StarQ Pad W01J(以下、W01Jといいます)」の実機レビュー第2回です。レビューのテーマは「Windows 10にアップグレードしたあとの使用感」となります。はじめにお断りしておきますが、W01Jに起因すると思われる問題点はほとんどなく、実機レビューと言いながら、「8インチタブレットとWindows 10の相性はどうか」という感じで、すこし普遍的な内容になってしまいます。どうかご了承ください。また、W01Jに関しては標準でインストールされているWindows 8.1環境下での実機レビューと、Windows 10にアップグレードした際の状況報告、ということで2回記事を書いておりますので、そちらもあわせてご覧ください。
TJC StarQ Pad W01J - 総額2万円を切る8インチWindowsタブレット(実機レビュー)
Windowsの小ネタ - 8インチWindowsタブレットにWindows 10をインストールしてみた
StarQ Pad “W01J”: TJC公式サイト W01J特設ページ
1.アップグレードはノートラブル
前回書いた記事と少し重なってしまうのですが、W01JのOSアップグレードは全くのノートラブルで、非常にすんなり完了しました。苦労したところといえば、アップグレード要件である「ストレージの空き容量16GB以上」を実現するために、ストアアプリやデスクトップソフトウェアの大部分をアンインストールしなくてはならなかったことくらいです。
W01Jはストレージの空き容量さえ確保すれば、USBメモリーやSDカードといった外部ストレージを用意する必要はなく、Windows 10のダウンロードサイトにアクセスし、インストーラーの指示に従うだけでアップグレードが完了します。
私自身経験はないのですが、一部の8インチタブレットでアップグレードがうまくいかない事例がウインタブにも寄せられていることを思えば、W01Jのアップグレードに関しては心配はいらないでしょう。
2.実施した設定
Windows 10にはタッチ操作に最適化された「タブレットモード」というのがあります。タブレットモードではない通常のモードについては特に名称が決まっていない(あるいは単に「デスクトップ」と呼ぶようです)ようなのですが、この記事では便宜的に「PCモード」と表記します。私はW01Jをタブレットとしてタッチ操作で使うことがほとんどなので、起動時に自動的にタブレットモードで立ち上がるように設定しています。なお、上の画像にある「デバイスがタブレットモードのオンとオフを自動的に切り替えるとき」というのが「Continuum」という新機能なのですが、この機能は現在ごく一部の2 in 1PCしか対応しておらず、W01JにUSBキーボードを接続している環境では使えません。残念ですけどね。
W01JはRAMが1GBのため、できるだけ複数の処理を同時並行で動かしたくありません。要するにマルチタスク環境をできるだけなくしたい、ということですね。バックグラウンド処理を完全に止める、ということにはなりませんが、簡易的に「通知を表示させない」というのは多少効果があると思います。
ストアアプリのうち、ゲームアプリでバックグラウンド処理を許可するとめちゃめちゃ通知が飛んでくる、みたいなウザいのをなくす意味でも、バックグラウンドでの動作はできるだけ許可しないほうがいいと思います。とはいえ、バックグラウンドで動いてもらわないと困るアプリもありますし、必要な通知は受け取る必要があると思うので、上の画像の「通知と操作」で(実際に試しながら)調整します。
なお、私は基本的にアプリのバックグラウンド動作を許していません(アプリをインストールすると、最初に起動するときに必ず確認メッセージが出ます)が、おそらくバックグラウンド動作を許可すると上の画像にそのアプリが表示され、通知のオンとオフを切り替えられると思います。
W01Jは比較的長期間試用できることになっていたため、アプリは通常の試用時よりも多めにインストールしています。ストアアプリのインストールに関してはいつも書いているのですが、タブレットだから遅い、とかは経験したことがありません、ほぼすべてのアプリで快適に動作します。W01Jも基本的にはそういう考え方で大丈夫ですが、ごくまれにインストール要件が「RAM2GB以上」というのがあるので、そういうのはインストール出来ません。ま、あまり不自由しませんけどね。
3.タブレットとして
自分が使いたいアプリをインストールしたあと、スタート画面のタイルを編集しました。タブレットモードでのWindows 10のスタート画面は見た目Windows 8.1にそっくりなので、たいていの場合は違和感なく使うことができますね。でもちょっと異なるのは、左側に小さなアイコンがあり、電源オンオフやアプリ一覧を表示させる仕組みになっています。
これがアプリ一覧を出したところですが、8インチタブレットの場合、一覧表示がかなり小さめなので、少し操作性が悪くなります。アイコンやメニューが小さめなので、誤タッチしやすいですね。
チャームはなくなりました。代わりに画面右端から左にスワイプして出てくるのは「アクションセンター」です。アクションセンターには例えばTwitterの通知やスケジュールのリマインドなどを通知してくれる機能がありますが、通知機能だけでなく、画面の下側にあるアイコンで各種の設定が可能になります。アイコンのサイズが少し小さめですが、慣れてしまえばかなり快適に操作できます。
画面左端から右にスワイプすると出るのが現在起動中のアプリ一覧です。この機能はWindows 8.1にもありましたが、Windows 8.1とは表示の方式が異なっていますし、同じことをWindows 8.1で行う場合、スワイプ操作がデリケート(ちょっとだけスワイプという意味)だったので、Windows 10のほうが操作性が向上したと思います。
不便なのはチャームにはあった「共有」がなくなったことです。例えばブラウザであるサイトを見ていて、その内容をTwitterでツイートする場合、Windows 8.1ではチャームを開いて共有を選択し、Twitterクライアントを使ってツイートできたのですが、Windows 10ではそれができず、例えばedge(Windows 10の標準ブラウザ)ならばedge内のメニューからになってしまいます。
W01Jでの操作感ですが、ごく普通の挙動だと言えます。普通すぎて書くことがないくらいです。あと、(Aspire Switch 10でも同様のことが起きているため)おそらくW01J固有の問題ではなく、Windows 10の問題だと思うのですが、タッチ操作の感度が若干悪いような気がします。それに加えて、Windows 10をタッチ操作で使う場合、上に書いてきたようにアイコンのサイズは少し小さくなっているため、狙った操作がうまくできないことがたまにあります。Windows 10はこの後も頻繁にアップデートされていくはずなので、近い将来にはこのあたりの操作性も改善されるものと思いますが、現状は少しだけ不満を感じます。また、新ブラウザedgeですが、こちらはタッチ操作をあまり考慮してくれているとは言えないインターフェースなので、Windows 8.1の標準ブラウザーであったモダンUI版のInternet Explorerのほうが格段に操作性がいいと思います。
4.ノートPCとして
W01Jに外付けUSBキーボードを接続し、ノートPCとして使いはじめると操作性は一変します。キーボード+マウス使用時のキビキビ感はタッチ操作のそれとは異なり、感度が悪いとかはまったく感じません。参考までに10インチ 2 in 1のacer Aspire Switch 10でも同じ印象です。
W01Jは総額で2万円を切る格安の製品なので、Microsoft Officeは付属していません。しかし、Windows 10にアップグレードしたことにより、ストアアプリ版のOffice(基本的にはWord、Excel、PowerPoint、そしてSway、OneNote)を使うことができます。ストアアプリ版のOfficeはマクロ(VBA)やピボットテーブルの新規作成といった高度な機能はありませんが、例えば「売上集計ファイル」を作るとして、前年比(比率でも差額でも)とか目標達成率とかを自動計算して見栄えよく編集するとかなら全然問題ありません。
また、デスクトップソフトウェアも画像加工用のフリーソフト「Gimp」を試してみましたが、レイヤー数枚で白抜きをするとか、メニューにあるエフェクトをかける程度なら大丈夫です。ただし、レイヤーを数十枚使って緻密で高度な画像加工をするのは難しいと思います。このへんはWindows 8.1を使っていたときと変化はありませんね。
5.結論
Windows 10はPC環境で使うのがメインであれば軽快ですし使い勝手も非常にいいですが、タブレットで、タッチ操作で、ということになるとまだ若干完成度が低いような気がします。個人的な考えなのですが、もともとWindows 8というOSはタッチ操作のほうを重視しすぎてPCユーザーにそっぽを向かれたわけで、それって逆にいえばタッチ操作時の使い勝手はめちゃめちゃ考えられていたわけですよね。Windows 10はPCでの操作性を高める、というのがミッションなので、タッチ操作での使いやすさが若干後退してしまった、ということも言えるような気がします。
W01Jは、といえばWindows 10へのアップグレードから始まって、試用を続けても大きなトラブルがなく、安定して動いてくれました。アプリが途中で落ちるとか、ボタン操作の反応が鈍い、というのはありましたが、それはWindows 10というOSのせいなのか、W01Jのせいなのか、切り分けが難しいですし、それを差し引いても十分合格点をあげられると思います。
結論として、TJC StarQ Pad W01JでのWindows 10環境は、インストールから始まってしばらく持ち歩いて試用してみた感想として、全く問題ないどころか、十分期待にこたえる働きぶりだったと思います。しかし、W01Jが、ということでなく、一般論として、8インチタブレットでタッチ操作で使う前提では現状はまだWindows 8.1のほうが使いやすいのではないか、と思います。幸いW01Jは標準インストールがWindows8.1であり、Windows 10に簡単にアップグレードできる、という形態で購入することになりますし、Windows 10にアップグレードしたあとでも1カ月以内であればWindows 8.1に戻せるので、安心して両方のOSを試すことができますね。
6.関連リンク
StarQ Pad “W01J”: TJC公式サイト W01J特設ページ