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ノートPCだけが正解?据え置きならミニPCを選ぶ理由が増えています

オピニオン

ノートPCだけが正解?据え置きならミニPC「パソコンを買う=ノートパソコンを買う」。これは今や多くの人にとって「常識」になっています。統計資料によると2024年の第1・第2四半期(4月から9月まで)のパソコン(PC)の出荷台数は約349万台、うちノートPCが実に86.2%を占めています(出所:JEITA)。この統計資料には個人・法人の内訳がありませんが、おそらく個人向けに絞ればさらにノートPCの比率が高くなるのではないか、と思います。

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特にPCに強いこだわりがない人であれば「もはやデスクトップPCは眼中にない。PC購入検討にあたって選択肢にすら入らない」というのが実態でしょう。

さらに最近では、動画視聴・ネットショッピング・簡単なゲームといったことの多くがスマートフォンで完結してしまうため、「PCは家で据え置きで使うだけ」という人も珍しくないでしょう。仕事や学校の授業などを別にすれば、(個人利用で)わざわざノートPCを持ち歩く機会がなくなっていると思います。

ウインタブも基本的にノートPCの製品紹介や実機レビューが記事の大半を占めていますが、最近はミニPC(超小型デスクトップPC)の製品紹介や実機レビューの機会も確実に増えています。しかし、ミニPCはその小ささゆえに「性能が低そう」とか「パーツの交換が難しそう」と思われたり、ノートPCとの比較で「使いこなしが難しそう」「周辺機器を揃えるのが面倒そう」などと思われがちです。

しかし、多くのミニPCをレビューしてきたウインタブとしては「そうでもないよ」と言いたくなります。

この記事では、「据え置き利用」を前提に、ノートPCとミニPCを比較し、「ノート一択」という前提が本当に合理的なのかを考えてみます。

1.ノートPCが選ばれる理由と、実はそこにある落とし穴

Lenovo ThinkPad X13 Gen 4 ディスプレイ

Lenovo ThinkPad X13 Gen 4

据え置き用途でもノートPCが選ばれる主な理由です。

本体だけでPCとして完結している
 モニター・キーボード・バッテリーを内蔵し、周辺機器を用意しなくてもすぐ使える
・初期設定や設置が非常に簡単
 開封して電源を入れるだけでOK。PCに不慣れな人でも扱いやすい
・省スペースでどこにでも置ける
 デスクでもリビングの食卓テーブルでも、専用の作業スペースがなくても設置可能
・バッテリー駆動により柔軟な使用ができる
 バッテリーを内蔵しているので、一時的な場所移動ができ、停電時も使える
・見た目がスッキリしている(生活空間になじむ)
 ケーブルが少ないため、リビングなどでも違和感なく使用できる
・家族間での共用がしやすい
 本体ごと別の部屋に持ち運べるため、1台を複数の人で共用できる
・店頭で現物を見て選びやすい
 家電量販店での展示が豊富で、購入前に触って確かめやすい

ところが、これらの「理由」の中に「制約」になっているものもあります

・モニターやキーボードの品質に不満があっても交換できない
 例えば、より高画質のディスプレイへの交換は「できなくはない」が現実的ではない
・排熱設計に余裕がなく、長時間使用で性能が制限されやすい
 消費電力が抑えられがちで、発熱に応じて性能が抑えられることがある
・一体型ゆえに、部分的な故障でも全体の買い替えが必要になりやすい
 液晶ディスプレイやメモリ不足、バッテリーの劣化がPC寿命に直結しやすい
・外付け機器を追加すると、配線が増えて“省スペース性”が失われる
 モニターやキーボードを後付けすると結局ごちゃつく

つまり、据え置き用途ではノートPCのメリットが逆にデメリットに感じられてしまう場面もあります。

2.ミニPCの再評価 - いまは「普通に快適」

GMKtec EVO-X1 AI ミニ PC レビュー

GMKtec EVO-X1

ウインタブではこれまでにたくさんのミニPCをレビューしており、それらのレビュー品を高く評価しています。以下、ミニPCのメリットを列挙します。

・エントリーからハイエンドまで、スペックを自由に選べる
 Intel N100などの低価格モデルから、Ryzen AIやCore Ultra搭載の高性能モデルまで幅広く選択可能
・排熱設計に余裕があり、安定して性能を引き出せる
 筐体内部に空間があり、TDPの設定変更が可能な機種も多い(GMKtec製品など)
・RAMやSSDの増設・換装が容易
 ユーザー自身でRAMやSSD・HDDの交換がしやすく、長期的な拡張・維持が可能
・拡張性に優れ、周辺機器の接続がしやすい
 USBを多数装備し、HDMI、LANポートなどもついているので、周辺機器の接続がしやすい
・非常に小型で、設置スペースを選ばない
 手のひらサイズでモニター裏に取り付けることも可能
・モニターやキーボードを好みに合わせて選べる
 予算とニーズに合わせて自由に選べる。特定のパーツで「一点豪華主義」も可能
・周辺機器を流用・買い替えしながら長く使える
 本体を含め、一部の機器だけを更新できるため、コスト効率にも優れる

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3.実際にいくらかかる?費用比較

では、同等スペックのノートPCとミニPCの価格を比較してみます。ただ、やってみると「同等スペック」の製品が簡単には見つかりませんでした。

例えばノートPCの場合、Ryzen 7 8845HSという型番を搭載するものは少ないです。この型番はゲーミングノートに搭載されることが普通、と言っていいでしょう。ノートPCではRyzen 7だと8840Uや7735Uといった「末尾Uの省電力タイプ」が多いです。一方でミニPCの場合は電源接続が必須となることから、末尾Uの型番が搭載されるケースは少なく、IntelでもAMDでも末尾H系の型番が搭載されることが普通です。

ということで、「CPUの型番を合わせる」ことを優先して、下記の2機種で比較してみました。

ノートPC:

・Lenovo IdeaPad Slim 5 Gen 10(14, AMD):134,860円
・構成:Ryzen 7 8845HS/RAM32GB/1TB SSD/有機ELディスプレイ
 (ウインタブ紹介記事Lenovo製品ページ

ミニPC:

・GMKtec NucBox K8 Plus:75,000円
・構成:Ryzen 7 8845HS/RAM32GB/1TB SSD
ウインタブレビュー記事楽天製品ページ
 +モニター:約12,000円(23.8インチ)
 +キーボード:約5,000円
 +Webカメラ:約3,000円
 +スピーカー:約3,000円
※本体+周辺機器一揃えで約98,000円

なお、ミニPCの周辺機器の価格を「一応掲載」しましたが、それぞれの周辺機器の価格帯は「めちゃめちゃ幅広い」です。例えばキーボードは1,000円を切るものもあれば10,000円以上するものもあります(1,000円のものでも普通に使えますけどね)。これら周辺機器は上の例では合計23,000円となっていますが、実際は2万円以下から6万円、10万円といった組み合わせもありえます。

ただ、費用は高くなりますが、「モニターを高リフレッシュレートにしたい」「超ワイド(超横長)の大型のものにしたい」とか「メカニカルキーボードにしたい」「スピーカーをソニーのサウンドバーにしたい」といった「こだわりの選択」ができるのはミニPCを選ぶ上で大きな「楽しみ」になると思います。

ノートPCにせよミニPCにせよ、どんな構成を選ぶかによって価格が大きく変動しますので、一概には決めつけられませんが、ウインタブの認識では「ミニPCのほうが割安」と判断できます。

また、価格だけでなく「本体まるごと使い捨て」になりがちなノートPCと比べ、ミニPCはパーツ(周辺機器)ごとの買い替えがしやすいので長期利用に向く、ということは言えると思います。

4.まとめ - 据え置き用途なら、ミニPCも優秀

ノートPCは確かに便利です。本体だけで完結し、初期設定も簡単。リビングに置いてもスッキリ使えるのは大きな魅力です。しかし、据え置き利用が前提であれば、ミニPCも非常に優れた選択肢と言えます。価格が割安で性能もよく、モニターやキーボードを自分の好みに合わせて選べ、多くのモデルがRAMやSSDの換装に対応しており、長期的な拡張性にも優れています。

つまり、据え置き用途では「使いやすさ」「コスト」「自由度」のバランスにおいて、ノートPCを上回るところも多いです。家に据え置きでPCを使う、という前提なら「とりあえずノートPC」という発想から一歩踏み出して、ミニPCも選択肢に加えてみてください。思っている以上に「快適で合理的な選択」になるかもしれません。

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