こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回はMSIの15.6インチゲーミングノート「GF63 Thin」をレビューします。MSIのゲーミングノートって、割と高価なイメージがありますが、このGF63 ThinはMSI PCの中でもエントリークラスに位置づけられ、最下位構成のモデルは10万円を切る価格で購入ができます。また、他社に先駆けて第10世代(Comet Lake-H)のCore iプロセッサーとNVIDIAの最新GPU、GeForce GTX1650Tiを搭載するモデルもあり、その処理性能が気になるという人も多いと思います。
今回のレビューでは、それら最新のCPUとGPUを搭載する上位モデルをお借りできましたので、ベンチマークスコアはもちろん、いろんな使い方を試してみたいと思います。
1.スペック
レビュー時点で、GF63 Thinには複数のバリエーションモデルが存在しますが、ちょっとややこしくなりますのでこの記事ではレビュー機のスペックに絞って説明します。他のバリエーションモデルのスペックについて知りたい人はこちらの紹介記事をご覧ください。
レビュー機は「GF63-10SCSR-007JP」というモデルで、GF63の中では最も高いスペックになっています。CPUは第10世代(Comet Lake-H)のCore i7-10750Hで、GPUはGeForce GTX1650Ti Max-Qと、いずれもウインタブとしては初めてレビューさせてもらう最新の型番です。
RAMは標準で16GB、ストレージは512GB NVMe SSDです。RAMとストレージに関してはMSI指定販売店で増設が可能です。オンラインゲームをたくさんインストールするのであればストレージは1TBあってもいいかとは思いますが、さしあたりこのRAM/ストレージ容量で問題なくゲームプレイが可能と思われます。
ディスプレイは15.6インチのFHD(1,920 × 1,080)解像度で、リフレッシュレートは120 Hzです。最近のゲーミングノートだと、エントリーモデルはリフレッシュレート60 Hz(普通のノートPCはこれです)、中上位モデルだと144 Hzのものが増えていて、MSIのハイエンドマシン「GS66 Stealth」だと300 Hzなどという、すごいリフレッシュレートになっていますが、あるメーカーのご担当者によれば「120Hzあればゲームプレイで支障はないはず。また120 Hzと144 Hzの差を体感できるとも思えない。ただ、ゲーム大会では240 Hzの機材が使われることが多いので、大会を目指しているような人は240Hzに合わせてPCを選ぶといいのでは?」とのこと。なので、大会クラスの人は別として、この製品の120 Hzというリフレッシュレートはゲーミングマシンとして十分な水準だと思います。
ネットワーク関連では無線がWi-Fi6に対応しています。現状Wi-Fi6対応のルーターを使っている人はまだ多くないと思いますが、この先主流になっていくと思いますし、オンラインゲームでは通信環境が非常に重要なので、Wi-Fi6対応というのは歓迎したいところです。
入出力ポートは15.6インチノートとしても、ゲーミングPCとしても十分な構成になっていると思います。また、配置に関しては後述しますが、なかなか面白いというか、便利そうに感じられます。
サイズは15.6インチゲーミングノートとしてはかなりコンパクトと言えるでしょう。タテ・ヨコ・厚さとも標準的なノートPCよりも少し小さめ、という感じですが、重量の1.86 kgというのはかなり軽量な部類と言えます。特にこの製品は外部CPUを搭載し、冷却にも気を配った設計になっていると言えますので、それでこの軽さというのは高く評価してもいいでしょう。
レビュー機のシステム構成です。スペック表と同じく「Windows 10 Home/Core i7-10750H/RAM16GB/512GB SSD」という構成で、GPUはGeForce GTX1650Tiでした。
2.筐体
同梱物です。取扱説明書などペーパー類の入ったビニール袋は全くの未開封だったので、開封していません。ACアダプターはゲーミングノートらしく大型で120Wあり、重量は電源ケーブル込みで560 gでした。
天板です。ブラックの筐体色にレッドの「ドラゴンのロゴ」が入っています。ただ、このロゴは通電時に光ったりはしません(「模様(塗装)」です)。
天板の素材はアルミ合金で、このようにヘアライン加工が施されています。この製品の筐体素材はオールアルミではなく、おそらく天板とキーボード面のみアルミ、あとはプラスティックと思われます。ただし、ゲーミングノートらしく、しっかりした質感があり、頑丈そうな印象です。
底面です。底面の素材はプラスティックですね。やや複雑な造形ですが、MSIではこのデザインを「Xカットのエアスリット」と呼んでいます。確かにXの形です。中央部分に白いシールが貼られていて「FACTORY SEAL」という記載があります。まあ、「勝手に開口するなよ!」という意味でしょうね。この製品は筐体内部にRAMの空きスロット(1つ)や2.5インチSATA接続の空きドライブベイがあり、慣れた人なら自分でRAMやストレージの増設が可能と思われますが、MSIの指定販売店に頼まないと、開口した時点で保証が切れてしまうはずです。
また、この画像の下側左右にスピーカー穴が見えます。この製品はステレオスピーカーを搭載しています。
左側面です。薄型といいながらも角ばっていて、ゲーミングPCっぽさを感じます。この面には入出力ポートは少なめで、画像左からDC-IN、USB Type-Aがあるのみです。その横にあるのは充電インジケーターですね。
背面です。ここ、ちょっと面白くて、HDMIポートがポツンとあります。HDMIは言うまでもなく外部ディスプレイ接続用ですから、この位置にあるのは理にかなっていると言えます。また、右側にのみ通気口がありますが、この製品がシングルファン仕様であることもわかります。
右側面です。こちらにはポートがたくさんあります。画像左からイヤホンジャック、マイクジャック、USB Type-A × 2、USB Type-C、有線LAN、セキュリティロックスロットです。やや右側面にポートが集中している感がありますが、左側にもUSBポートがあるので、使いにくいということはないでしょう。なお、この製品にはSD(microSD)カードリーダーはありません。
前面です。こちらにはポート類やボタン類はありません。
キーボードです。15.6インチですがテンキーはありません。アルファベットキーは手採寸でキーピッチが19 mm強(19 mm~19.5 mmの間くらいです)、キーストロークは標準的な深さです。ご覧のようにキートップが赤く印字されていて、バックライト色も赤で輝度を3段階に調整可能です。この製品のキーボードはRGB(カラフルなもの)ではなく、ビジネス用に白く光らせることもできません。ENTERキーの右に一列あるタイプで、英語配列の名残が感じられますが、配列そのものはそんなにクセはありません。ただ、Fnキーが右側にしかないんですよね。キーボード面でディスプレイ輝度やボリューム調整、バックライト輝度の調整が可能ですが、これらはFnキーと同時押しなので、ちょっと不便に感じられる人もいるかも知れません。
キートップはフラットです。また、キートップの周辺部も赤くなっていますので、ちょっと派手ですね。見た感じSteelSeriesっぽく見えますが、Windowsキーが左側にありますので、SteelSeriesじゃないと思います。
正面から見たところです。左右のベゼル幅はかなり細くなっていますが、下部ベゼルが太いのが特徴です。ただし、視認性には悪い影響はありません。人によってはディスプレイ位置が高くなるので歓迎できるんじゃないでしょうか。
ヒンジを最大開口するとこんな感じです。ごく一般的なもので、使用していて特に便利だとか不便だとかはないと思います。
一通り筐体を確認してみました。サイズは15.6インチノートとして小ぶりなほうで、やや薄型と言えますが、実機を見てみると、ゲーミングノートらしさを感じますね。基調色がブラックでキーボード面が赤、という時点でゲーミングノートです。また、筐体も頑丈な雰囲気がありますし、キーボード面もしっかりしていて打鍵時にたわんだりしませんので安心感もあります。
ゲーミングノートとしては満足できる仕上がりだと思います。ゲーム時以外だと、どうしても少し派手な印象を持つ人もいるかも知れないですね。
使用感
ソフトウェア
MSIのゲーミングノートには「Dragon Center」という設定アプリがインストールされています。ここでゲームモード(手動でゲーム登録が必要)のオン/オフ、ユーザーシナリオの切り替え、システムモニターの表示などができます。
ユーザーシナリオは「Extreme Performance」「Balanced」「Silent」「SuperBattery」」「User(パフォーマンスレベルとファン風量の調整が可能)」を選べます。
Extreme Performanceモードではオーバークロックが可能です。ただし、Core i7-10750Hはオーバークロック可能ではないはずなので、おそらくGPUのオーバークロックのみ可能ということになると思います。MSIに限らず、ゲーミングノートのパフォーマンス設定って、イメージするほど強力なものではないです。SilentとかSuperBatteryなど、明らかにゲームプレイ以外に使うモードとの比較は別として、オーバークロック機能などを使っても、劇的にベンチマークスコアが上がったりしません。もちろん無理にオーバークロックするのは危険ですから「安全運転」を前提に設計されているわけで、「気持ちパフォーマンスが上がる」というくらいの効果になると思います。
このほか音響アプリのNahimic(後述します)はもちろん、Cybermedia社のAudio Director、Power Director(動画編集ソフト)、Color Director、Photo Director(画像加工ソフト)といった編集ソフトもプリインストールされていました。ユーザー登録が必要だったので試していませんが、おそらく無料で使えるものと思われます。
ディスプレイ
この製品のディスプレイは15.6インチのFHD解像度で、実機を確認した限り視野角が広く、角度をつけても白っぽくなりませんのでほぼ間違いなくIPS相当のものが使われています。
いつものようにブラウザーのEdgeで「花」をBing検索し、手持ちのディスプレイ(23.8インチIPS液晶・FHD解像度・ノングレア、14インチIPS液晶・FHD解像度・グレア)と比較してみました。また、今回はCS:GO(Counter-Strike: Global Offensive)とDOA5(DEAD OR ALIVE 5 Last Round)という、無料プレイが可能なオンラインゲーム2つをプレイし、手持ちのゲーミングノート(MSI GP65 Leopard)と比較してみました。
発色はあまりよくありません。花の画像にせよゲーム画面にせよ、全体的に淡い色調で、花の画像では赤系がやや弱く、輪郭も少し甘い感じがします。ゲームをしてみてもこの印象は変わらず、淡いというか薄い、と感じました。他機種と比較せず、単体で使用しているぶんには気になることもないのですが、画像の評価や調整を仕事にしている人には少し物足りないと思います。
この製品はゲーミングノートなので、リフレッシュレートが一般的なノートPCのディスプレイよりも高くなっていて、もちろんノングレアタイプです。ゲームプレイ優先という事情もありますし、製品価格も考慮すれば悪くないとは思います。
キーボード
15.6インチながらテンキーを装備していないこともあり、キーピッチには十分な余裕があり、キーストロークも標準的です。テンキーがないぶん、ホームポジションが筐体のほぼ中央となるため、テキスト入力は非常に快適ですね。一方で15.6インチでテンキーがない、というのは数値入力が多いという人には不満かもしれません。ゲーミングノートなので、個人的にはこれでいいと思いますけど。
打鍵音はかなり小さめです。静音といってもいいんじゃないでしょうか。MSI製品だけでなく、ゲーミングノート全般に言えることですが、キーボード面がかなり頑丈に作られていることもあってか、見た目に反して打鍵音が小さいものが多いです。要は頑丈に作られているために雑な音、余計な音が出ない、ということだと思います。
バックライトが赤のみ、というのは人によっては少し気になるかも。赤というのは必ずしも落ち着く色とは言えないので、ビジネスで使う場合は慣れが必要かもしれません。ゲーム専用機なら「これでいい」んでしょうけどね。
配列は割と素直で、「あれ?あのキーどこだ?」という場面はほとんどないと思います。というか私は配列に違和感を感じませんでした。
特徴的なのはFnキーが右側にしかないという点と、右のShiftキーが小さく、その横の「ろ」キーも非常に小さい、という点くらいでしょうか。このあたり、英語配列の名残があるのだろうと思います。どうしても少し慣れが必要というのはあると思いますが、このくらいであれば特にクセが強いとは思いません。
スピーカー
この製品は底面にステレオスピーカーを装備しています。スピーカーに関してはウインタブの検証機「MSI GP65 Leopard」の出来があまりよろしくないと評価していたこともあり、あまり期待していなかったのですが、実は「かなりいい」です。
MSI製品の定番音響アプリ「Nahimic」はこの製品にも搭載されていて、イコライザーで細かく音質調整できないものの、使い勝手が非常にいいです。音質調整の効果もしっかり体感できました。重低音は無理にせよ、低音から高音までバランスがよく、じっくり音楽を聴くこともできると思います。私の印象では上位モデルのGP65 Leopardよりも上ですね。
あと、Nahimicで面白いのが「サウンドトラッカー」の機能です。ある程度メジャーなゲームしか対応しませんが、「ゲーム内の足音や銃声音などの音がどの方角から発生していたか視覚的に表示してくれる」機能なんです。
CS:GOはサウンドトラッカーに対応していますが、こんな感じで右下(デフォルトの位置)に表示されます。私の腕前だとあまり恩恵はありませんが、視覚的に銃声などの位置(方向)を知ることができるので、スコアアップにつながるかもしれませんね。知らんけど。
バッテリー
この製品はゲーミングPCで、モバイルノートでもないので、バッテリー稼働時間をシビアに評価することはしません。というか、GeForceが仕事を始め、ファンの風量が上がってくればあっという間にバッテリーを消費するはずですし、それが普通です。ただ、一応非ゲーミング時のバッテリー消費をチェックするだけしてみました。
ディスプレイ輝度を50%、バックライト輝度を最大に設定してブラウザーでYouTubeの音楽をボリューム30%で流しつつ、webでの調べ物やテキストライティングを1時間ほどやってみました。また、Dragon CenterでのシナリオはSuperBatteryにしていました。
この状態でバッテリー消費は1時間に50%でした。「まあ2時間」でしょうね。ディスプレイをさらに暗くするとか、音を一切出さないとか、バックライトを消すとかで延命はできると思いますが、バッテリー稼働でなんとかなる作業時間は仕事用として決して十分ではないと思います。おとなしくACアダプターを接続しましょう。
性能テスト
今回はいつもの実機レビューとは少し違うテスト項目にしました。また、CPUとGPUが適合していない(ソフトウェア側で未対応?)なのか、PC Markが動作しませんでした。すみませんがご了承ください。また、以下のテストはDragon Centerのシナリオを「Extreme Performanceモード」にし、オーバークロック項目も全て最大値に設定しています。
参考:
Lenovo Legion Y740(17)(i7-9750H、RTX2080Max-Q):7,655、16,867、39,482
HP OMEN X 2S 15(i9-9880H、RTX2080 Max-Q):7,545、16,652、40,212
ドスパラ GALLERIA GCR2070RNF(i7-9750H、RTX2070):7,219、16,668、35,109
マウス NEXTGEAR-NOTE i7901BA1(i7-7700K、GTX1080):6,703、17,345、37,589
ASUS ROG Zephyrus S GX502GV(i7-9750H、RTX2060):6,566、15,229、36,469
Lenovo Legion Y740(15)(i7-9750H、RTX2070 Max-Q):6,508、14,067、36,491
MSI GP65 Leopard(i7-9750H、RTX2060):6,397、14,646、35,296
OMEN X by HP(i7-7820HK、GTX1080):6,283、15,476、30,804
MSI GL63 8SE(i7-8750H、RTX2060):6,205、14,838、33,985
ASUS ZenBook Pro Duo UX581GV(i9-9980HK、RTX2060):5,850、13,667、28,140
GALLERIA GCR1660TNF-E(i7-9750H、GTX1660ti):5,837、13,402、34,468
Lenovo Legion Y540(15)(Core i7-9750H、GTX1660Ti):5,777、13,259、34,332
ドスパラ GALLERIA GCR1660TGF-QC-G(i7-9750H、GTX1660Ti):5,610、12,852、34,583
ドスパラ GALLERIA GCF1070GF(i7-8750H、GTX1070):5,583、15,146、36,268
ドスパラ GALLERIA GCF2060GF-E(i7-8750H、RTX2060):5,453、13,800、33,609
ドスパラ GALLERIA GKF1070NF(i7-7700HQ、GTX1070):5,280、14,030、30,686
DELL ALIENWARE 17(i7-7700HQ、GTX1070):5,257、13,233、29,845
HP Pavilion Gaming 15-dk0000(i7-9750H、GTX1660Ti Max-Q):5,096、11,802、26,814
ASUS ROG Zephyrus G GA502DU(Ryzen7 3750H、GTX1660Ti):4,219、10,223、20,073
ドスパラ GALLERIA GCF1060NF(i7-8750H、GTX1060):3,965、10,506、29,442
ドスパラ GALLERIA GKF1060GFE(i7-7700HQ、GTX1060):3,808、9,888、26,344
Lenovo Legion Y7000(i7-9750H、GTX1650):3,722、8,164、26,019
GALLERIA GKF1060NF(i7-7700HQ、GTX1060):3,717、9,989、24,824
DELL G7(i7-8750H、GTX1060):3,703、9,743、26,843
ドスパラ GALLERIA GCR1650GF7(Core i7-9750H、GTX1650):3,686、8,290、26,358
ドスパラ GALLERIA GCR1650GF(Core i5-9300H、GTX1650):3,627、8,240、24,774
GALLERIA GKF1060GFE(i7-7700HQ、GTX1060):3,625、9,784、24,233
ドスパラ GALLERIA Mini 1060(i5-7500、GTX1060):3,583、9,276、22,203
ドスパラ raytrek RKF1060TGK(i7-7700HQ、GTX1060):3,518、9,207、23,689
ASUS TUF Gaming FX505DT(Ryzen5 3550H、GTX1650):3,441、8,036、19,066
MSI Prestige 14(i7-10710U、GTX1650 Max-Q):3,111、6,973、22,126
ASUS ZenBook 15 UX534FT(i7-8565U、GTX1650):2,988、6,789、20,260
ドスパラ GALLERIA GCF1050TNF(i7-8750H、GTX1050Ti):2,528、6,776、17,005
ドスパラ GALLERIA GCF1050TGF-E(i5-8300H、GTX1050Ti):2,523、6,802、20,045
GALLERIA GKF1050TNF(i7-7700HQ、GTX1050Ti):2,492、6,858、18,179
NEXTGEAR-NOTE i4400GA1(i7-7700HQ、GTX1050Ti):2,449、6,852、20,453
Lenovo ThinkPad X1 Extreme(i7-8750H、GTX1050Ti Max-Q):2,393、6,490、19,506
GALLERIA QSF965HE(i7-6700HQ、GTX965M):–、5,344、16,987
ドスパラ Critea VF-HGK1050(i7-7700HQ、GTX1050):1,826、5,553、17,109
HP Pavilion Power 15(i5-7300HQ、GTX1050):1,797、5,230、14,052
※左からTime Spy、Fire Strike、Sky Diverのスコア
つい先日、ライターのひつじさんが「GALLERIA GCR1650GF7」の実機レビューをしていて、「Core i7-9750H/GTX1650」という組み合わせだったので、「それよりは少し高いスコアを」ということを期待していましたが、結果は「ほぼ変わらず」でした。何度かテストし、多少上振れ、下振れがあったものの、GALLERIAとほぼ同じくらいのスコアになった、ということです。ただ、この製品のGeForceは「Max-Q」なので、本来は同じ型番のGeForceよりも若干性能がダウンするはずです。それを考慮すればこのスコアは悪くないと言えるかもしれないですね。
次に誰もが口を揃えて「重い」というFF15(FINAL FANTASY 15)のベンチマークです。このテストもひつじさんがGALLERIAで実施していまして
ドスパラ GALLERIA GCR1650GF7(Core i7-9750H、GTX1650):3,865
でした。なので「微妙に上回った」と言えなくもありませんが、ぶっちゃけ測定誤差くらいのレベルですね。
続いて、「CPU性能のみ」を測定するCINEBENCH R20です。ただ、R15だとWebで過去データが拾いやすいのですが、最新のR20はWebでもあまりデータがありません。特にノートPC用のCPUのCINEBENCHデータというのは少ないんですよね。CPU Monkeyにスコアが記載されていました。それによると
Core i7-10750H: 484、2,732
Core i7-9750H: 441、2,653
※左からシングルコア、マルチコアのスコア
※データ出所:Core i7-10750H、Core i7-9750H
これを見ると、レビュー機はCPU Monkeyの数値を若干下回る、という結果になっています。何度かテストをしてみて、多少変動はありましたが、すべてこの傾向でした。
結論として、ウインタブのテストでは「Core i7-10750HとCore i7-9750H」および「GeForce GTX1650TiとGTX1650」に顕著な性能差は見られませんでした。繰り返しますが、この製品のGPUが「Max-Q」であることを考慮すれば、Max-QではないGTX1650とほぼ互角、というのは悪くない結果とも評価できます。また、この先ドライバーの更新によって最新モデルの真価が発揮されることになるのだろうと思いますが、現状ではCore i7-10750Hが、またGTX1650Ti Max-Qが断然高性能である、ということはできません。
ラストはストレージの読み書き速度を測定するCrystal Disk Markです。ゲーミングPC用としても十分に高速だと思います。
ゲームプレイと発熱
本来であれば、かなり重いゲームをプレイしてみて挙動を確認するのがいいのだろうと思いますが、今回は上に書いたとおり「CS:GO」と「DOA5(上の画像の格闘ゲームです)」で遊んでみました。いずれもリリースから時間が経っていますので、2020年現在だと重量級ゲームというわけではありません。CS:GOはキーボードとマウスで、DOA5はゲームコントローラーを接続して、それぞれ2時間ほどプレイしましたが、「楽しかったです」。…いや、すみません、ゲームの挙動は安定していて、パワー不足を感じる場面は皆無でした。DOAに関しては画質設定ができず(ソフト側による自動設定だと思います)そのままプレイするしかありませんでしたが、RTX2060搭載のGP65 Leopardと比較して特にエフェクトなどが省略されている感じもなかったですね。またCS:GOは画質設定を落とさずにプレイできます。
また、発熱に関しては、ある程度の時間プレイした後でも気になるようなものではありませんでした。多少熱を持ちますが、ぬるくなる程度です。発熱が気になる場合はDragon Centerでファン風量を手動調整できますので、それで対応すれば十分かと思います。
5.まとめ
MSI GF63 Thin(GF63-10SCSR-007JP)はMSIストアとMSI指定販売店のPCショップアークで販売中ですが、4月25日現在、MSIストアでは在庫切れになっています。価格はどちらも同じで税込み137,800円です。
今回はレビュー用に材料を集める(いろいろなテストを行うという意味です)だけでなく、レビュー機を使って実際に自分でもオンラインゲームを楽しんでみました。私はゲーマーとしてはド初心者レベルの腕しかないこともあり、とても楽しくゲームプレイができました。つまり、この製品のスペックは自分にとって全く不満のないものであった、ということです。GTX1650TiというGPUは最新モデルながらGeForceシリーズの中ではハイスペックという位置づけではありません。なので、プレイするゲームによっては、またプレイするゲーマーのスキルによっては性能面で物足りなさを感じる可能性がないわけではないでしょうね。
しかし、大会出場を目指しているような人ではなく、カジュアルにオンラインゲームを楽しみたい、という人にとっては十分な性能になっていると思います。また、レビュー機でこの記事の下書きや画像加工、Webでの情報収集もやってみましたが、このような非ゲーミング機としての使い方でも非常に快適に操作できました。ちょっと気になったのは「キーボード面が赤いこと」くらいですかね?でもゲーミングノートのキーボードって、たてつけがしっかりしているので、テキストライティングをしても気持ちいいんです。
今回はGF63 Thinという製品シリーズの中で最上位(つまり最高価格)のモデルを試させてもらいましたが、シリーズには税込みで10万円を切るモデルもありますので、支払金額は高性能なスタンダードノートとそんなに違いません(むしろ安いかも)。普段はスタンダードノートとして仕事に使い、休憩時間とか休日にゲームで遊ぶという使い方もおすすめです。ウインタブ読者が次に買うノートは「グラボつき」だと思いますよ!
6.関連リンク
GF63-10SCSR-007JP:MSIストア
GF63 Thin GF63-10SCSR-007JP:PCショップアーク
GF63シリーズ:PCショップアーク