こんにちは、オジルです。マウスコンピューターのクリエイター向けノートPC「DAIV 6PRT」の実機レビュー第2弾をお届けします。前回記事では製品全般について触れていますが、本記事ではクリエイターPCとしての使用感などについて、実際にPhotoshopを使用しながら確認していきたいと思います。
なお、初回レビューにて筐体のご説明やベンチマークスコアなどを掲載していますので、こちらも合わせてご覧ください
マウス DAIV 6P-RTの実機レビュー - Core i7-12700HとGeForce RTX3050Ti搭載の16インチ・クリエイターノート、重さ1.55 kgなので持ち運びもラクラク!
念のため筆者情報を簡単にお伝えしておきます。クリエイティブ職ではないものの、そこそこの頻度でPhotoshopの画像編集を行う、総合職のサラリーマンです。そして、会社ではクリエイティブワークをするには地獄のような環境、「CPU:Core i3-8130U/RAM:4GB」というスペックのビジネスノートで日々作業しています(泣)。Photoshop歴は独学で3年くらいです。
目次
1.DAIV 6P-RT スペック
DAIV 6P-RT | |
OS | Windows 11 Home/Pro (Windows 10 Proも選択可) |
CPU | Intel Core i7-12700H |
外部GPU | NVIDIA GeForce RTX3050Ti Laptop(4GB) |
RAM | 16GB/32GB/64GB(DDR4-3200, 最大64GB) |
ストレージ | 512GB/1TB/2TB NVMe SSD |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 16インチ(2,560 × 1,600)90Hz |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5 |
入出力 | USB Type-C(Thunderbolt 4)、USB3.1 Type-C(10Gbps)、USB3.0 Type-A(5Gbps)× 2、HDMI、SDカードリーダー、オーディオジャック |
カメラ | Webカメラ(200万画素)顔認証対応 |
バッテリー | 駆動時間約12.5時間 |
サイズ | 353.7 × 245.3 × 18.5 mm |
重量 | 1.55 kg |
前回記事で紹介済みですので、こちらでは軽くおさらいを。
CPUは第12世代かつ高性能タイプの「H」つき、Core i7-12700Hを採用しています。外部GPUにGeForce RTX3050Tiを搭載しており、通常のノートパソコンとして快適に利用できるだけでなく、クリエイティブワークやゲームもできるハイスペック構成です。
ディスプレイはここ最近トレンドとなっている16:10のアスペクト比で、後述しますがクリエイティブワークを行う上で縦の領域が広く確保されている恩恵は大きいです。
特筆すべきは、これだけのスペックでありながら薄型・軽量を実現している点。もちろんモバイルノートと比べると分が悪いですが、持ち運びにするにも嫌悪感を抱かないサイズ感は素晴らしいです。
2.DAIV 6P-RT 性能テスト(Photoshop)
PugetBench for Photoshop
Puget Systems社が提供しているベンチマーク「PugetBench for Photoshop」を使用して性能テストを実施しました。こちらはPhotoshop上で「1800万画素のRAWデータを展開し500MBにリサイズ後、各種作業やフィルタ処理など行ってPSD形式で保存し開く」といった行程で各タスクの処理時間を測定しスコア化します。
なお、スコアリングに関しては以下のシステム構成及びスコアを基準としているとのことです。
■構成
Intel Core i9 9900K 8 Core
NVIDIA GeForce RTX 2080 8GB
64GB of RAM
Samsung 960 Pro 1TB
Windows 10
Adobe Photoshop CC 2019 (ver. 20.0.0)
■スコア
総合:1000点
GPU:100点
処理:100点
フィルタ:100点
実行結果
実行してみたところ、総合スコアは856点となりました。点数だけ見ると低めになっている印象を受けますが、比較対象がMSIのGT76 Titan DTやDELLのALIENWARE AREA-51Mのような、3年前なら50万円オーバーのゲーミングノート最強クラス構成ですからね…。
Photoshopはよく「シングルコアの処理性能が高いほうがよい」と言われています。Core i9-9900Kの@3.6GHzに対しCore i7-12700Hは@2.3GHzですので、そちらの差がマイナス分として表面化したように思います。また、搭載しているRAMとグラフィックボードの違いによるところがGPU・処理ともに影響していそうですね。一方フィルタスコアに関しては100点超えですので、総合すると「重い処理を行わなければ何ら問題のないスペック」という評価になりそうです。ちなみに、Puget Systemsのサイトにアップロードされているスコア履歴を覗いてみると、最新のMacBook Pro(M1 Max、RAM64GB)でも総合スコアは949点となっていました。
また、念のため自宅で使っているMinisforum U820でも実施してみました。
こちらの製品はミニPCながら、中身は「搭載CPUはノート向けで数世代前だが、(スタンダードノートとして)普段使いするなら十分現役」というもの。Photoshopを使っていてもストレスを感じることはまずないのですが、結果としてはDAIV 6P-RTの半分にも満たないスコアとなりました。
次にそれぞれの処理に要した時間について見ていきましょう。
結果画面のままですと英語ですし、分かりづらかったため少し加工してあります。項目にもよりますが、ほとんどの項目で大きく差が出ていますね。特に画像中の赤線部分は私がよく使う機能で、U820と比較すると2~3倍の速さで処理できていることが分かります。なお、「魔法の杖選択」となっている項目はベンチマークテスト中の画面を見る限り「自動選択ツールで、画像内にあるデスクトップPCの本体部分を選択するまでにかかった時間」と推察します。
私の日々の作業レベルでは「こんなに差があるんだ…」くらいにしか感じません。でも、実際にクリエイターの方は商用データを扱う際に大きいデータを処理する機会は少なくないはずですから、細かな単純作業にかかる時間の積み重ねがストレスに直結する部分でしょう。逆に言えばその時間を短縮できるほど作業効率が上がるわけで、(厳密にはミニPCですが)スタンダードノートと比べるとこれだけ差がある、という理解に繋がるデータ比較になりました。
3.DAIV 6P-RT 使用感
Photoshop全般
まず、ここ最近のトレンドでもある16:10ですが、Photoshopにおいてはレイヤーを複数重ねることが多い関係上、縦の領域が少しでも確保される恩恵は非常に大きいですね。15.6インチの16:9と比較すると縦に約2cm程度、レイヤー約2~3つ分に相当するスペースが使えるため、全体の把握がしやすいと感じました。下の画像では16:9のディスプレイとDAIV 6P-RTの横幅を同サイズにして比較しています。赤で囲んだ部分が広くなっていることが分かりますよね。
さて、肝心の作業に関してですが、以下でざっと記載していきます。
まず境界線の調整ですが、全くモタつくことなく快適そのもの。ある程度の水準(近年のCore i5、RAM8GBくらい)を満たしていればこれくらいは気にするほどでもないのですが、あえて掲載したのは「会社のPCで行うと5~10秒くらい固まる」からです。些細なことでストレスを感じないのはとてもいいことです。
次に、重めの処理である「すべてのオブジェクトをマスク」に関しては境界線があまり単調でなかったせいか、思いのほか時間がかかりました。25個のマスク作成で7分32秒を要し、その割に精度も低かったような…。
画像を変えてみたところ、15個のマスク作成で5分9秒でした。正直なところ普段の作業でこの機能を使うことがなく、マスク処理したいオブジェクトのみを対象とすることが多い(おそらくほとんどの方がそうだと思っています)ため、処理速度の良し悪しが判断できません。今後、他のレビュー製品でこのチェリー画像を使って検証してみようかと思います。
Photoshopの新機能発表時に「一瞬で人類滅亡後の世界のようになる」と話題になった風景ミキサーも試してみました。こちらの所要時間は5秒ほど、あっという間に変わり果てた姿へと変貌を遂げました。
提供終了がアナウンスされている3D機能のテストです。特にストレスなく、全ての作業を快適に行うことができました。なお、会社のPCでは3D機能のボタンを押したが最後、何もできないままフリーズしてしまうため使うことができません…。
空を置き換える機能では、使用している画像の空との境界線が複雑なせいか、1秒ほど待たされる結果に。ちなみに自宅PCのU820で同じ処理を行った際は7秒くらいかかりました。
普段行うような操作では何一つ不自由な要素がなかったため、あえて負荷がかかるようなことをいくつか行ってみましたが、ある程度ベンチマークの結果にあったような「細かい部分で差が出る」ということを体感できた気がします。私の作業レベルの範疇はありますけど、総じて快適に作業できるだけのスペックを有していました。
バッテリー
明るさ75、ほぼPhotoshopのみの作業をしていたところ、2時間15分経過した時点で33%のバッテリー残量になりました。そのまま作業を続けていたとして、計算上では実稼働が3時間半程度になるかと思います。なお、計30分くらいは断続的にファンが回っている時間がありました。輝度を下げたり、途中でテキストタイピングやウェブブラウジングなど軽負荷の作業を挟むことで稼働時間を増やすこと自体は実現できそうですが、クリエイティブ用途で使うのであれば輝度は外せなさそうです。クライアント先に持ち込んで確認していただきつつ修正作業…といったリアルな環境を想定すると、バッテリーを気にせず使えるのは3時間くらいがリミットになってくるでしょう。
ファン音・発熱
Photoshop使用時にニューラルフィルターや「すべてのオブジェクトをマスク」といった重めの処理を走らせる際、ほぼ確実にファンが動作し続けます。そしてそのファン音ですが、デスクトップPCと同じくらいの大きさで、例えるなら扇風機の強ぐらいのボリュームになります。隣室でテレビを見ていた妻が「さっきからこの音なに?」と反応していたくらいですから、たとえばカフェやシェアオフィスなど見知らぬ人が近くにいる環境で作業する際には注意が必要でしょう。もし隣の席から聞こえてきたら、私なら確実に移動したくなります。
また、発熱に関してですが、ファン音の動作中はそれなりの熱さになります。パームレストはほぼ熱を感じないもののキー部分全体はそれなりに温かくなり、特に下の画像の赤で囲んだ辺りは体感で45℃くらいまで上昇します。作業に支障をきたすほどの発熱ではありませんが、Photoshopでレイヤーコピー(ctrl+J)を行う度に「この辺りは熱くなってるな」と感じたほどです。なお、背面部分は気になるレベルの高温にはなりませんでした。
4.DAIV 6P-RT レビューまとめ
マウス DAIV 6P-RTはマウスコンピューター公式サイトで販売中で、10月3日現在の価格は税込み239,800円です。
今回のレビュー機はRAMが16GBでした。クリエイターの方には言わずもがなだと思いますが、クリエイティブ用途(特に動画編集や大きいサイズのファイルを扱うケース)で使うのであれば16GBだと物足りないかもしれません。32GBや64GBの選択肢はマストで考えておいたほうがよいと思います。
お伝えしてきましたように、私が普段行うような作業ではスペックを生かしきれなったところはあったものの、それでも各処理のキビキビとした動きはとても快適の一言でした。今回はPhotoshopにフォーカスしてレビューしてきましたが、私のように「クリエイターではないが多少かじっている」とか「これから始めようと思っているけど、今のPCじゃ…」という方は意外と多いと思うんですよ。その点、本製品は通常のノートパソコンと同じサイズ感でありながらクリエイティブ用途にも対応できてゲームもできます。クリエイターノートと銘打ちつつも、いざというときにどんな使い方もできる「オールラウンダー」としての条件を見事にクリアしている製品だと感じました。
しつこいようですけど、「普通のノートパソコン」のサイズ・重量でパワフルに動いてくれるわけですから、少しズルいというか…ぜひ一度、手に取って見ていただきたいです。こういうパソコン、1台は持っておくと重宝すること間違いなしですよ!
5.関連リンク
DAIV 6P-RT [ Windows 11 ]:マウスコンピューター