Lenovoはドイツ・ベルリンで開催しているIFA2018にて、15.6インチノート「ThinkPad X1 Extreme」を発表しました。ThinkPadモバイルラインのハイエンド「X1」の「Extreme」とはまたすごいネーミングですよね。実際に超ハイスペックな製品ではあるのですが、いろいろ調べていくうちに「はあ、なるほど…」と思わされました。つい先日紹介記事を掲載したワークステーション「ThinkPad P1」の兄弟機、という感じの製品なんです。
1.スペック
この製品の筐体サイズはThinkPad P1と全く同じです。このスペック表はLenovoの米国サイトおよび海外ニュースサイト「THE VERGE」を参照して作成したものですが、タテ・ヨコ・厚さは完全に同一、重量は10グラム単位の表記がなかったので完全に同一かどうかはわかりませんが、少なくとも100グラム単位では同じです。また、入出力ポートの種類と数も同一になっています。このことから、X1 ExtremeとP1は同一筐体であると考えます。
ただし、ワークステーションたるP1とビジネスノートであるX1とは構成パーツが異なります。X1 ExtremeのCPUはゲーミングノートに最も多く採用されている第8世代(Coffee Lake)のCore i7-8750Hと、8750Hのクロックスピードを上げ、vProに対応するCore i7-8850Hが搭載されています。P1の上位モデルはXeon E-2176Mを搭載しますが、X1 Extremeにはその設定がなく、かわりに後日(2018年12月)Core i9モデルが追加される予定です。
また、「Extreme」だけあって、外部GPUも搭載されます。それも、ビジネスノートやスタンダードノートによく使われるGeForce MX150ではなく、ゲーミングノート用と言えるGTX1050Tiです。つまりこの製品はThinkPadでありながら、CPUとGPUの構成を見れば中位クラスのゲーミングノートと同じ構成になっています。たぶんPUBGも快適に動くんじゃないでしょうか。
RAMは北米モデルだと16GBもしくは32GBで、最大64GBまで搭載可能です。日本発売時にはもう少し細かく容量をカスタマイズできるようになるのではないかと思います。また、ストレージも北米モデルでは512GB M.2 SSDもしくは1TB M.2 SSDとなりますが、この製品は物理ストレージを2機搭載可能で、RAID0(高速化のための技術でストライピングとも言います)あるいはRAID1(同じデータを2つのストレージに書き込むので、耐障害性があります。ミラーリングとも言います)構成のオプションがあります。ゲーム目的ならRAID0、真面目に仕事に使うならRAID1というところでしょうか。
ディスプレイは15.6インチと、X1シリーズとしてはかなりの大型です。IPS液晶でFHD解像度(非タッチ液晶)と4K解像度(タッチ液晶)が選べます。ディスプレイの構成についてはThinkPad P1と同じです。また、この製品だとオンラインゲームをやってみたくなりますが、リフレッシュレートは不明です。
4K液晶に関しては手書き入力も可能で、詳細は不明ですが、当然筆圧対応だと思います。
ポート類の種類と数はThinkPad P1と全く同じです。Thundebolt 3(USB Type-Cとして使えます)が2つ、フルサイズ(Type-A)USBが2つ、HDMI、アダプター経由となりますが有線LANと、ビジネスでもプライベートでも十分な構成だと思います。
サイズは記事の冒頭に書いたとおり、ThinkPad P1と同じです。ThinkPad P1のときも少し驚いたのですが、これだけのパフォーマンスマシンでありながら、15.6インチで1.7 kgというのはすごいですよね!ThinkPadシリーズは筐体も頑丈に作られていることを考慮すると、驚異的と言えるかもしれません。
2.筐体
15.6インチサイズとして、横幅361.8 mmというのは最軽量ではないものの、かなりのコンパクトさです。正面から見るとベゼル幅も細くなっているのがわかります。筐体素材は「4層構造の強化されたカーボンファイバー」で、底面は高い冷却効果を狙ってアルミ合金が使われています。
これは米国のLenovoにあった画像です。特に説明はありませんでしたが、冷却ファンが2基搭載されているのがわかります。
天板です。ThinkPadのロゴがブラックになっているのがカッコいい!と思いますが、これもThinkPad P1と同じです。また、ThinkPadロゴの対角線(画像右下)に「X1」のロゴも入っています。
ThinkPad P1の紹介記事では掲載できなかった側面の画像です。ポートについては十分な構成だと思いますし、筐体もすっきりと薄型になっています。
3.価格など
Lenovo ThinkPad X1 Extremeは米国のLenovoではすでに発売されており、9月1日現在の価格は2,079ドル(約231,000円)~3,149ドル(約350,000円)となっています。2,079ドルのモデルの構成は「Core i7-8750H/GTX1050Ti/RAM16GB/512GB SSD/FHDディスプレイ」、3,149ドルのモデルの構成は「Core i7-8850H/GTX1050Ti/RAM32GB/1TB SSD/4K(UHD)ディスプレイ」です。
米国のLenovoでこの製品はカスタマイズ対象になっておらず、レディーメードの3モデルからひとつを選択して購入する仕組みになっています。日本で発売される際には他のThinkPadシリーズと同様、細かく構成をカスタマイズできると思いますので、価格帯も幅広くなるでしょう。
以前ThinkPad P1の紹介記事を書きながら、「この製品が一般向けのスペックだったらなあ…」と感じたのですが、出ましたね、一般ユーザー向けの仕様。しかも「X1 Extreme」という、超カッコいい名称を引っさげて。
この製品はほぼ確実に日本でも発売されると思います。それも数カ月先の話ではなく、「近日中」でしょう。米国Lenovoがこの製品に使っているキャッチコピーは「WORK HARD, PLAY HARDER」です。なんかThinkPadっぽくないフレーズですが、確かにそうやって使うのが楽しそうな製品ではありますね!
4.関連リンク
ThinkPad X1 Extreme (15.6”):Lenovo公式サイト(米国)
Lenovo’s ThinkPad X1 Extreme challenges Apple and Dell with a 4K HDR display and Nvidia graphics:THE VERGE