MinisforumがミニPCのニューモデル「EliteMini CR50」を発売しました。「Minisforumのことだから、さぞやスペックの高い…」と思って製品の仕様を確認したところ、これまでのMinisforum製品とはずいぶん毛色が違っていて、少し驚きました。ハイスペックなミニPC、というのは間違いないんですけど、「よりデスクトップPCっぽい」仕様になっています。
1.EliteMini CR50 スペック
スペック表
EliteMini CR50 | |
OS | Windows 10 Pro |
CPU | AMD 4700S |
GPU | AMD Radeon RX 550 |
RAM | 16GB(オンボード) |
ストレージ | 256GB/ 512GB SSD(2.5 inch SATA) |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | なし |
ネットワーク | 不明(Wi-Fi・Bluetooth非対応?) |
入出力 | USB 3.2 Gen2 × 3、USB 3.2 Gen1、USB 2.0 × 4、HDMI、DVI-D、LAN(RJ45)、MIC-IN、LINE-IN、LINE-OUT |
カメラ | なし |
バッテリー | なし |
サイズ | 192 × 205.7 × 86.3 mm |
重量 | 不明 |
バリエーションモデル
・RAM16GB/256GB SSD
・RAM16GB/512GB SSD
コメント
OSはWindows 10 Proで、Windows 11へのアップグレード対応については説明がありませんでした。CPUはAMD 4700S(Zen 2アーキテクチャ)です。当初「Ryzen 4700S」かと思いましたが、Ryzenネームはありませんでした。性能はこんな感じ。
AMD 4700Sは「デスクトップ用」なのですが、ウインタブ的にはノートPC用のCPUと比較するほうがわかりやすいかな、と思いましたので、Ryzen 7 5800U(Zen 3アーキテクチャ)とCore i7-1165G7(第11世代・Tiger Lake)と比較してみます。ご覧のように、かなりの高性能CPUと言えますので、ビジネス用や学習用としては文句なしと言えるでしょう。また、ゲーム用としても十分な性能だと思います。
また、この製品は外部GPUのRadeon RX550を搭載しています。AMD公式サイトを確認したところ、4700SはGPUを内蔵しておらず、さらに「マザーボード+CPUクーラー+RAM」のセット製品のようです。詳しくはこちらをご覧ください。
AMD 4700S 8コア・プロセッサー・デスクトップ・キット:AMD公式サイト
このように、ちょっと特殊なCPU(というかマザーボードなどを含むキット)なので、RAMはオンボードで16GBのみ(増設・換装不可)、SSDはM.2 ではなく2.5インチSATA接続となっています。この構成、最近のMinisforumとしては非常に珍しいです。「DIYによる構成のカスタマイズ自由度が大きい」のがMinisforum製品の魅力だと思っていたので…。
話をGPUのRadeon RX550に戻します。
これはMinisforumの製品ページにあったGeekBench 5のOpenCLのスコアです。あくまで「ひとつのテスト」なので、これだけで完全にGPU性能を判断できるとは言えませんが、これを見る限り、それほど高性能ではない、ということが言えそうです。というのも、比較リストにある「Radeon RX Vega 10」というのは旧世代のノートPC用CPU、Ryzen 7 3700Uが内蔵していたものですし、「Iris Plus 655」というのも第8世代のCoreプロセッサーが内蔵していた型番です。なので、現行のZen3アーキテクチャのノートPC用Ryzenや第11世代でIris Xeを内蔵するCoreプロセッサーにも及ばないグラフィック性能になっているものと推測されます。
Minisforumのサイトでは「ゲーミングパフォーマンスについて、重めなゲームには難しいですが、CSGOや、GTO5などのゲームでも60FPS以上のFPSが出ています」という説明になっていました。
それと、この製品、製品ページなどを確認してみたのですが、どうやらWi-FiとBluetoothに対応していないようです。Wi-FiやBluetoothに関する説明がなく、スペック表にも記載が見当たりませんでした。このあたり、冒頭に書かせていただいた「よりデスクトップPCっぽい」仕様と言えそうです。
入出力ポートはミニPCとしてみれば悪くない構成ですが、USB Type-Cポートがなかったり、DVIポートがあったりと、このへんも従来のMinisforum製品とは少し雰囲気が違います。筐体サイズもミニPCとしてはかなり大きめの部類となっています。
2.EliteMini CR50 筐体
この筐体も最近のMinisforum製品とは異なります。
筐体内部の構造です。開口は可能ですが、RAMはオンボードですし、ストレージ用の空きスロットもありませんので、DIYの余地は大きくないです。また、この製品は上にご説明したAMD 4700Sキットに初期搭載されている冷却ファンは使用しておらず、独自に2基のファンを搭載しています。よく冷えてくれそうです…。
ポート構成です。基本すべてのポートが背面に配置され、USBポートがズラッと8つ並びます。前面には電源ボタンとLEDインジケーターのみ。USBメモリースティックなど、抜き差しの頻度が多い周辺機器を使う場合にはちょっと不便かもしれません。
3.EliteMini CR50 価格など
Minisforum EliteMini CR50はMinisforum公式ストアで販売中で、出荷は12月下旬を予定しています。11月9日現在の価格は256GBモデルが84,390円、512GBモデルが88,390円で、この価格はいずれも先行予約割引として通常価格から1万円OFFになっています。
ノートPCユーザーがこの製品を購入する場合、有線LANの確保(外付けでWi-Fi対応もできますけどね)が必要となりますし、USB Type-Cポートがないという点がネックになる可能性があります。また、購入後にいろいろとカスタマイズをしてみたい、という人にもあまり向かないかもしれませんね。
でも、CPUはデスクトップPC向けで高性能ですし、エントリークラスとは言え外部GPUも搭載しています。冷却性能にも期待ができそうですし、Minisforumらしい高性能ミニPCだと思います。
4.関連リンク
Minisforum EliteMini CR50:Minisforum公式ストア
コメント
今回のこの機種は、PS5とか使用しているパーツを流用しているため変わった作りになってる事です。