GMKtecがミニPC「NucBox M6 Ultra」を発売しました。従来モデル「NucBox M6」とは筐体の基本的な仕様は変わっていませんが、M6がCPUにRyzen 5 6600Hを搭載しているのに対し、このM6 UltraはRyzen 5 7640HSを搭載します。ともに旧世代のRyzen…、ではあるのですが、両者はかなり大きな性能差があります。
1. スペック表
項目 | 仕様 |
---|---|
OS | Windows 11 Pro |
CPU | AMD Ryzen 5 7640HS |
RAM | 16GB/32GB (SO-DIMM×2、DDR5 4800 MT/s) |
ストレージ | 512GB/1TB SSD (M.2 PCIe 4.0) ※M.2 スロット空き1 |
ディスプレイ | なし |
無線通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2 |
ポート類 | USB4 Type-C(DP/PD対応) USB 3.2 Gen2 Type-A×3 USB 2.0 Type-A、LAN (RJ45)×2 HDMI 、DisplayPort オーディオジャック |
カメラ | なし |
バッテリー | なし |
サイズ | 128.8×127×47.8 mm |
重量 | 528 g |
このスペック表はベアボーンモデル(OSなし、RAM/SSDなし)を考慮していません。また、これ以降の製品説明でもベアボーンモデルについては触れません。
2. OS/CPU
OSはWindows 11 Proです。ウインタブの経験上、GMKtecのミニPCはすべてWindows 11 Pro搭載で正規のOEMライセンスになっていますので、全く不安はありません(ボリュームライセンスの懸念はありません)。
CPUのRyzen 5 7640HSは最新の型番ではありませんが、従来モデルNucBox M6が搭載するRyzen 5 6600Hよりも新しく、性能も高いです。
これはPassmarkが公表しているベンチマークスコアです。比較用に従来モデルが搭載するRyzen 5 6600Hと最新型番のRyzen AI 5 340のスコアも掲載しました。PassmarkはOSやアプリの起動、動画のエンコーディングといった「狭義のCPU性能」を測定するテストですが、Ryzen 5 7640HSのスコアは現行型番に見劣りしませんし、Ryzen 5 6600Hよりも明らかに高い性能です。
また、Ryzen 5 7640HSはAI処理チップNPUも内蔵しています(ただし、NPU性能は高いとは言えず、最大10TOPSにとどまりますので、Copilot+ PCの性能要件は満たしません)。個人的には「これから買うPCのCPUとしても不足なし」と思います。
3. RAM/SSD
RAM/SSDは16GB/512GBと32GB/1TBの2種類から選べます。RAMはデュアルチャネル、SSDは標準でM.2 2280のものが搭載されており、SSDに関してはM.2 2280の空きスロットもありますので簡単に増設ができます。GMKtecのミニPCはメンテナンス性もよく考えられているため、筐体の開口がしやすく、あまりPCに詳しくない人でもRAMやSSDの増設/換装は十分可能です。
4. 筐体
入出力ポートの構成です。USBポートは合計で5つ、うち1つが映像出力にも対応するデータ転送速度40GbpsのUSB4 Type-C、USB 3.2 Gen2 Type-A(転送速度10Gbps)が3つ、USB 2.0 Type-Aが1つです。映像系ではHDMIとDisplayPortがあり、USB Type-Cポートとあわせて最大3画面出力が可能です。また、有線LANポートも2つ装備しています。
GMKtecのミニPCは冷却性能にも優れています。このM6 Ultraもファンを2つ搭載していますので、冷却面の不安はありません。
また、BIOSでの設定となりますが、パフォーマンスモード(電力モード)を3段階に調整できます。あくまで個人的な感想ですが、普段使いではサイレントモード(35W)で全く問題ないのではないか、と思います。
…ただ、GMKtec製品をレビューしていて毎回思うんですけど、「モードの切り替えのためにいちいちBIOSを開くのは面倒」ではあります。
5. 価格など
GMKtec NucBox M6 UltraはGMKtec公式サイトで販売中で、8月21日現在の価格は下記のとおりです。
ベアボーン:247.99ドル(37,200円)
16GB/512GB:327.99ドル(49,200円)
32GB/1TB:377.99ドル(56,700円)
※クーポンコード「PRM6U12」を使用した価格
※クーポンコードの期限は8月31日
※円価格は1ドル=150円としてウインタブが計算したもの
なお、GMKtecはAmazonや楽天でも積極的に販売をしており、公式サイトとの価格差もほとんどありません(ものによってはAmazonや楽天のほうが安かったりもします)。M6 Ultraは記事執筆時点だとAmazon・楽天での販売がスタートしていませんが、おそらく近日中には販売開始されると思いますので、それを待ってみてもいいかと思います。
6. 関連リンク
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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