GMKtecがミニPC「NucBox G10」を発売しました。旧世代のRyzen 5を搭載し、価格を低く抑えた製品です。ウインタブとしては「好ましいコンセプト」だと思っていますが、一方で性能面での誤解が生じる可能性もありそうなので、そのあたりも含めてご説明します。
スペック表
項目 | 仕様 |
---|---|
OS | Windows 11 Pro |
CPU | AMD Ryzen 5 3500U |
RAM | 16GB(DDR4 2400, 最大64GB) |
ストレージ | 512GB / 1TB SSD(PCIe 3.0, M.2 2280) ※M.2 2280空きスロット1 |
ディスプレイ | なし |
無線通信 | Wi-Fi5、Bluetooth 5.0 |
入出力 | USB3.2 Gen1 Type-C(映像出力対応) USB Type-C(PD専用) USB3.2 Gen1 Type-A×2、USB2.0 Type-A HDMI2.1、DisplayPort1.4 LAN(RJ45)、オーディオジャック |
カメラ | なし |
バッテリー | なし |
サイズ | 103×98×42 mm |
重量 | 不明 |
CPU
搭載CPUはRyzen 5 3500Uです。コードネームはPicasso、Zen+アーキテクチャ、4コア8スレッドで「MicrosoftのWindows 11動作要件(公式サポート)を満たす、最も古い世代のRyzen」です。
これはPassmarkが公表しているベンチマークスコアです。「Ryzen 5なのであれば、少し前の型番であってもサクサク動くだろう」と考える人も少なくないと思います。その考えは決して誤ってはいないのですが「程度ってものがある」んです。2025年現在だと常識的には「少し前の型番」というのはRyzen 6000番台(Zen3+)とか7000番台(表にある7530UはZen3、他にZen3+やZen4もあり)、あとはせいぜい5000番台(Zen2, Zen3)くらいを指すと思います。
しかし、NucBox G10のRyzen 5 3500Uは「その程度を越えて古い」とも言えそうで、ベンチマークスコアは「少し前のRyzen」には遠く及ばず、むしろ最新のエントリーCPUであるIntel N100/N150に近いくらいの性能です。なので、2025年のいま、操作感は「エントリークラス」と考えるのが妥当でしょう。
Intel N150との比較ではシングルスレッド性能はほぼ同等、マルチスレッド性能(CPU Mark)は上、というのがPassmarkの結果です。これが意味するところは…
●シングルスレッド性能がほぼ同等: 「1つの作業の速さ」は同じ
→ 例:タブを1つだけ開いてYouTubeを観る、単体のソフトを動かす
●マルチスレッド性能に差: 「複数の作業を同時に行う余裕」がある
→ 例:ブラウザで複数タブを開きながら、Zoom通話をする
なのですが、Ryzen 5 3500UとN150のマルチスレッドのスコア差を見る限り、そこまで劇的な差はないと思われます。
RAM・ストレージ
RAMは2スロットあり、6月22日現在のバリエーション展開だと16GBのみです。メーカーサイトに「8GB×2」という明示的な説明はありませんでしたが「2×DDR4 SO-DIMM 16G/32G」という記載がありましたので、おそらく8GB×2のデュアルチャネルだと思います。
SSDはM.2 2280サイズで512GBと1TBを選べます。また、空きスロットがあるので、簡単に増設することもできます。
入出力
画像左が前面、画像右が背面です。USBポートは合計で5つありますが、うちType-Cの1つはPD専用、つまりDC-INジャック代わりです。もう1つのType-Cは映像出力にも対応するので、HDMI・DisplayPortとあわせて最大3画面出力が可能です。
もう少しUSBポートがほしいとか、Gen2規格(10Gbps)のUSBポートが欲しいとかはありますが、搭載CPUや製品価格を考慮すれば仕方ないでしょうね。
筐体・サイズ
筐体サイズは「小さめ」です。ウインタブで以前レビューしたエントリーモデル「GMKtec NucBox G6」と比較すると、こんな感じです。
NucBox G10:103×98×42 mm/重量不明
NucBox G6:128×127×52 mm/528 g
タテ・ヨコサイズで2.5~3センチくらい小さいので、手に取ると結構な差を感じると思います。
ウインタブはこれまでに数多くのGMKtecのミニPCをレビューしていますが、メンテナンス性(筐体内部へのアクセスのしやすさ)や冷却性能は高く評価できます。
価格
GMKtec NucBox G10はGMKtec公式サイトで販売中で、6月22日現在の価格は16GB/512GBモデルが189.99ドル(1ドル147円として約27,900円)、16GB/1TBモデルが215.99ドル(約31,750円)です。おそらく近日中にAmazonや楽天での販売もスタートすると思われます。
この価格はIntel N100/N150搭載ミニPCよりも若干高いくらいと言え、CPU性能差を考慮すれば妥当だと思います。…というか、中国のミニPCってお買い得ですよね!
関連リンク
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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