E-Ink製品の専門店、SKT株式会社がE-InkをディスプレイにしたAndroidタブレット「BOOX Nova3(7.8インチ)」と「BOOX Note3(10.3インチ)」を発売しました。ウインタブでもしばしば実機レビューをさせていただいているBOOX製品ですが、今回のニューモデル2機種はそれぞれ「BOOX Nova2」「BOOX Note2」という製品のリニューアル版です。Nova2についてはウインタブで実機レビューをしています。
BOOX Nova2 レビュー - 読むだけじゃなくて書ける、ベストサイズの7.8インチで、これが電子ペーパーAndroidタブレットの完成形!(実機レビュー)
また、Note3と同じサイズながら、ちょっと雰囲気が異なる「BOOX Note Air」についてもウインタブで実機レビューをしていますので、こちらもあわせてご覧ください。
BOOX Note Airの実機レビュー - 圧倒的な存在感!10.3インチ新世代電子ペーパータブレットは、デザインも機能も新たな段階へ
今回ご紹介するNova3とNote3に関しては、見た目は従来モデルからあまり変わっていないのですが、着実に進化していると言えます。
1.従来モデルとの違い
最初にNova3とNote3に共通するリニューアル・ポイントをご紹介します。
OSがAndroid 10に
OSがAndroid 10になりました。E-Inkタブレットとか(ウインタブが大好きな)OS搭載スマートウォッチとかは、特性上UIに高度なカスタマイズが必要なこともあり、「ド最新」のOSを搭載するのは難しいのだろうと思います。Androidの最新バージョンは「11」ですが、製品特性を踏まえると「10」になった(従来モデルは「9」)だけでも高く評価できるのではないかと思います。
また、これはOSではなくUIに関する話ですが、ジェスチャ機能や2画面表示も可能になっています。
CPU性能が30%アップ
BOOX製品はCPUの型番を開示していませんが、SKTによればCPUの型番が変更され、処理性能が30%向上したとのこと。もともとE-Inkタブレットはディスプレイの描画に性能面のボトルネックがあり、ゲームや動画視聴に向くとは言いにくいのですが、Android OSや独自UIの基本操作面で性能アップの恩恵は感じられることでしょう。
それと、CPUの話ではありませんが、RAMの仕様もLPDDR3からLPDDR4Xに変更され、データアクセスがより高速なものになっています。
この他、Nova3、Note3とも改善点がありますが、これ以降は機種別に概要を見ていきましょう。
2.BOOX Nova3
BOOX Nova3 | |
OS | Android 10 |
CPU | Qualcomm 8コア (Cortex-A72 + Cortex-A55) |
RAM | 3GB |
ストレージ | 32GB |
ディスプレイ | 7.8インチE-Ink Carta(1,872 x 1,404) |
LTEバンド | — |
SIM | — |
ネットワーク | 2.4GHz/5GHz、Bluetooth 5.0 |
入出力 | USB Type-C |
カメラ | なし |
バッテリー | 3,150 mAh |
サイズ | 197.3x137x7.7 mm |
重量 | 265 g |
7.8インチと、Kindleなどよりも一回り大きく、しかし十分に取り回ししやすいサイズのNova3です。上記「従来モデルとの違い」でご説明した変更点のほか、従来モデルのNova2にはなかったスピーカーが搭載されました。これ、地味にうれしいですね。というか、BOOXはE-Ink端末というイメージが強いですが、Androidタブレットでもありますので、これまでスピーカーがついていなかった、というほうがちょっと問題だったのかもしれません。
また、先日のBOOX Note Airでも採用されていた新しいメモアプリも使えます。鉛筆ペンとマーカーペン(アプリ上の「ブラシ」の名称です)が追加され、レイヤー機能も実装されています。Nova3は4,096段階の筆圧に対応する「ワコム」のペンが付属していて、ちょっとしたイラスト制作も可能なので、アプリの強化はありがたいところ。
筐体はNova2からほとんど変わっていません。ただ、背面にスピーカーグリルが追加されています。
側面と入出力ポートの配置です。USBポートもしっかりType-C。
外観とかディスプレイの仕様などは変わっていませんが、従来モデルのNova2も発売から半年くらいしか経っていませんので、それもまあ、仕方のないところかと思います。しかし、CPUの性能アップやスピーカーの搭載、アプリの改善など、短期間で着実な進化を遂げたと言えます。
あ、そうそう、BOOXはしっかりGoogle Playも入っていますので、一般的なAndroidタブレットと同様、アプリの導入も簡単にできますよ。
3.BOOX Note3
BOOX Note3 | |
OS | Android 10 |
CPU | Qualcomm 8コア (Cortex-A72 + Cortex-A55) |
RAM | 4GB |
ストレージ | 64GB |
ディスプレイ | 10.3インチE-Ink Carta(1,872 x 1,404) |
LTEバンド | — |
SIM | — |
ネットワーク | 2.4GHz/5GHz、Bluetooth 5.0 |
入出力 | USB Type-C |
カメラ | なし |
バッテリー | 4,300 mAh |
サイズ | 249.5 × 177.8 × 7.1 mm |
重量 | 378 g |
10.3インチと、Nova3よりも一回り大きいのがNote3。こちらも変更点は多くありません。上記「従来モデルとの違い」以外だと、QC4.0に対応し、急速充電が可能になった、という変更点が挙げられます。Noteシリーズの場合、このNote 3に加え、Note Airというモデルが追加されたことのほうが大きいのかな、と思います。
先日実機レビューしたNote Airは筐体デザインも一新され、「Note3よりカッコいいじゃん!」と思ってしまうのですが、SKTによれは以下の差別化ポイントがあるとのことです。
Note3の優れている点は、メモリが4GB LPDDR4Xで、ROMが64GB (UFS2.1)であるため、動作速度が優れております。次に、Note Airが優れている点は、スタイラスの先が細い特別なものであり、重力センサーが内蔵されているため、傾けると自動で回転が行われるという点です。(Note3側も回転方向をステータスバーから指定することにより、向きを変更できます。)
漫画を見開きで読むことがメインである方は Note Airをお選びください。
Note3の外観はNote2からほとんど変わっていません。背面ロゴの部分のデザインが少し変更になった程度ですかね。
独創的なデザインのNote Airに対し、Note3のほうはキープコンセプトでトラディショナルなデザインと言えます。どちらがいいかはお好みの問題で、個人的にはNote Airのほうがカッコいいと思いますが、Note3の「ある意味安心感のある」デザインが好みという人も少なくないでしょう。
SKTからの開示はありませんが、メモアプリに関してもNote AirやNova3と同様にレベルアップしているものと思われます。また、純粋に処理性能、という点だけ見ればRAMやストレージの仕様が高速なNote3のほうがNote Airよりも上でしょう。
4.価格など
BOOX Nova3およびNOOX Note3はSKTNETSHOPやAmazon、Yahooショッピングで11月13日に発売され、価格はNova3が税込み41,800円、Note3が税込み64,800円です。この価格には「ミヤビックス製の保護フィルム、日本語設定マニュアル、交換用ペンチップ」を含み、SKTNETSHOPで購入する場合のみ「純正保護ケース」も付属します。
Nova3はともかく、Note3は「Note Airとどっちにしようか…」という悩みがありますね。ちなみにNote Airの価格は税込み59,800円なので、RAM/ストレージ容量が大きいぶんNote3のほうが高価、ということでしょうか。
E-Ink搭載Androidタブレットは、少なくとも現状はゲーム用とか動画視聴用として購入すべきものではありません。電子ブックリーダーとしての利用を軸に、Androidアプリも使え、高品質なペン入力もできる、といった付加価値を持った製品と言えます。KindleやKoboなどに飽き足りないと感じる人には素晴らしい選択肢になると思います。
5.関連リンク
BOOX Nova3:SKT製品ページ
BOOX Nova3:SKTNETSHOP
BOOX Nova3:Amazon
BOOX Nova3:Yahooショッピング
BOOX Note3:SKT製品ページ
BOOX Note3:SKTNETSHOP
BOOX Note3:Amazon
BOOX Note3:Yahooショッピング
コメント
まだnova2の購入を検討し、購入出来ていないまま3が販売になりました。
bookliveのアプリを使っているのですが、3はスムーズに見られるのでしょうか。
2のときは、どなたかのコメントにスムーズだと答えてくださっていた気がするのですが…。
買うなら、Android10ですし、2より3のほうがよいのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
BOOXシリーズは、新しいのが出ても価格据え置きなので、文句なしにNova3をおすすめします。
なお、BookLiveの挙動について、同じファームウェアのBOOX Note Airで検証してみました。一部の漫画でレイアウトが狂う現象が発生しましたが、別のコメントでアドバイスいただいた、「ナビボールのアプリ最適化>画面表示タブ>DPI設定」を、デフォルトの350から300程度に下げることで解決しました。
それで多分大丈夫だと思います。
その他、表示の濃さ自体も、「アプリ最適化>画面表示>背景の希薄化」から、背景色やコントラストを調整してやる必要がありますが、これは他のアプリでも同じです。
と、言うことで、BookLiveも十分使えると思います。
丁寧にありがとうございました。今のアプリを使えるなら、購入の価値ありですね。