サードウェーブグループの傘下企業であるDiginnosから新しい10インチWindowsタブレットが発表され、同じ系列のドスパラで販売が開始されました。Windowsタブレットに例外なくバンドルされているMicrosoftOfficeを別売りとし、キーボードを標準でセットするなど、個性のある構成です。
1.スペック
CPUはAtomではなくCeleronです。といってもBayTrail-Mなので、Atomの仲間ですね。同じくCeleronを使っているWindowsタブレットにはIiyamaの10P1000-C-VGMがありますが、こちらは形式名がN2806なので、数字だけで見るとDG-D10IWのほうがハイスペックに思われます。このCPUについてはAtomと比較できるようなベンチマーク情報がないのですが、クロックスピードがAtomのZ3740よりも速いものの、4コアのZ3740に対して2コアであるということもあり、著しくAtomと性能差があるとは思えません。また、こちらも詳細は不明なのですが、Iiyamaの10P1000-C-VGMがInstant Goに非対応であることから、こちらもInstant Goには非対応である可能性があります。
Instant Go非対応の場合でも、実用上大きな問題はないと思われますが、スリープ中にバックグラウンド処理が行なわれないので、例えばニュースフィードの取り込みが行なわれないとか、以前の記事「Windows8の小ネタ - Instant Goの概要について」で書いたようにアラーム(目覚まし)が使えないなどの不都合はあります。
メモリは4GBです。OSも64ビットなので、マルチタスク環境では明らかに競合機種に比べて優位性があります。というか、普及価格帯では初なんじゃないでしょうか。64ビットOSと4GBメモリの組み合わせ。マルチタスクでのパフォーマンスにはかなり期待できそうですね。
ディスプレイは1280 × 800と、Windowsタブレットとしては標準的なサイズですが、NECのLavie Wが1920 × 1200であることを思えば、ちょっと物足りないかも。また、IPSなのかは不明です。
カメラについては「HD画質」のものがイン/アウトに装備されていますが、画素数については不明です。一口にHDと言っても範囲が広いので、カメラの品質にこだわりのある人は購入前にメーカーに確認してみてください。
入出力インターフェースですが、microSDは当然として、なんとフルサイズのUSB3.0端子が装備されています。そしてACアダプタもUSBと兼用ではなく独立したものが用意されています。なので充電しながらUSBを使うことができ、8インチタブのユーザーとしてはうらやましい限り。またmicroHDMIも装備されています。Windowsボタンは横持した際の「ヘソ」の位置にあります。面白いのは画面回転ロック用のハードウェアボタンが用意されていること。音量ボタンの上についてます。
サイズ感についてわかりやすくするために、東芝の新型10インチタブ、dynabook S50 とNECの新型10インチタブ、Lavie W との比較をしてみます。
Diginnos : 258 × 173.2 × 10.8 mm 本体約650g,付属キーボード込み約980g
dynabook : 258.8 × 175.0 × 9.0 mm 本体555g,付属キーボード込み995g
Lavie W : 256.5 x 177 x 8.95 mm、本体約598g,キーボード込み約1,148g
いずれも最新鋭の10インチWindowsタブレットですが、サイズに関しては大きな違いはありませんね。Diginnosは650gと、やや重い印象がありますが、キーボード込みでの重量は決して重いわけではありません。8インチと異なり、10インチの場合はノートPCの代替としてキーボードを使う場面が多くなることが想定されるので、キーボード込みの重量というのを意識しておく必要があります。ただ、そうはいってもタブレットなので、単体でみて軽い、という方がありがたいことは間違いありませんので、重さについては注意が必要です。いつも書いてますが、タブレットの重量差50gというのは長時間の使用を考えれば決して些細な差とは言えません。
2.キーボード
付属しているキーボードはタブレットカバーも兼ねていて、軽量ながらタッチパッドとマウスの左右ボタンもついていて使いやすそうです。Bluetooth接続ではなく、コネクタで物理的にタブレットに接続するタイプで、好みが分かれそうですが、Bluetoothキーボードを(誤動作の可能性があるので)いま一つ信用していない私には非常にいいものだと思われます。
画像の通り、タブレットケースになる部分を折りたたんでスタンドにするタイプで、角度の調整は出来ないようです。電車の中などではちょっと使いにくそうですが、十分ノートPCの代替となりうるものだと言えるでしょう。
3.デザイン
タブレット本体で見ると、真っ黒な「いかにもWindowsタブレット」というデザインで、よく言えば、余計なことをしていないという好印象、悪く言えば没個性、ということになります。個人的には前者の感想を持ちます。シンプルな方が飽きませんから。
また、付属キーボードですが、カバーを折りたたんでスタンド代わりにするという構造がIiyamaの10P1000-C-VGMによく似ていますね。専用キーボードなので当然装着時のデザインはノートPCそのものに見え、好感が持てるデザインだと思います。
4.アクセサリ
専用のアクセサリというのはまだないようです。ドスパラなので、マウスや無線LANルーター、そして64GBのmicroSDカードなどを購入時にオプション指定することが出来ます。
そしてこの機種の最大の特徴なのですが、MicrosoftOfficeがオプション扱いなんです。PowerPoint付きのHome&Business2013をつけるとプラス24,000円、さらにAccess付きのProfessionalならプラス48,000円、Personalならプラス19,000円となります。あと、面白いのはOffice互換ソフトであるKINGSOFT Office2013がプラス2,800円で選べることです。「Officeいらねえ」という人にはありがたいですが、Officeの利用を前提としている場合にはちょっと割高感があります。
※金額はいずれも税抜きです。
5.価格
ドスパラの通販サイトで59,980 円(税抜き)ですが、7月10日まではキャンペーン価格となり54,980円(税抜き)となります。消費税も8%になってしまいましたから、税込みに直すと、定価64,778円、キャンペーン価格59,378円となります。先行する東芝やNECの10インチタブに比べると確実に安いのですが、Officeを使う場合は2万円前後の追加出費となります。こうなると割安感はかなり薄れてしまいますね。
そして意外な盲点として「送料2,160円」がかかる、ということがあります。5万円以上のものを買うのに送料がかかる、というのはイマドキじゃないですよね?
要するに、キャンペーン中でも税込み、送料込みの最小構成価格は61,538円となります。6万円を越えちゃいました。
6.現時点での評価
Celeron N2807のスペックとカメラの品質が不明なのですが、私が購入するとしたらOfficeをつけないと思います。OfficeOnlineやフリーのLibreOfficeとかOpenOfficeでしのぐことになりますね。こういう多少の犠牲を払うというか、面倒を厭わない人には低価格であることもあって、この機種は非常に魅力的なものとなるでしょう。また、64ビットOSの本当の実力をタブレットで実現できる希少な機種だと思いますので、この点でもすごく魅力的ですね。