Microsoftは現在一部地域を対象にデスクトップ版Microsoft Office・Microsoft 365 Appsベースの「無料版Office」のテストを実施中です。現時点では正式に展開されるか未定で、機能制限も多いため個人的には無料でもあまり魅力的には感じられないのですが、日本語OS環境でも比較的簡単に導入できたので紹介します。
目次
1.モバイル版OfficeやWEBアプリ版Microsoft 365 Appsとは別物
今回一部地域でテストが実施されているMicrosoft Office 無料版はモバイル版（10インチ未満のディスプレイを搭載するデバイスであればMicrosoft 365 Personal・Familyのサブスクリプション契約が不要で基本的な編集機能が無料で利用できる）や、Windowsにも標準インストールされているWEBアプリ版「Microsoft 365 Copilot（旧称Officeアプリ）」とは別物で、デスクトップアプリ版そのものです。無料版で利用できるアプリはワープロソフトの「Word」、表計算ソフトの「Excel」、プレゼンテーションソフトの「PowerPoint」の3つとなります
現時点ではインストーラーはMicrosoft 365契約ユーザー向けに提供されている「Microsoft 365 Apps（Microsoft Office Pro Plus）」と共通で、Office構成ファイルでインストール対象から除外しない場合無料版では利用できないAccess、Publisherも一括インストールされます。
2.日本語版Windows環境でも地域設定を変更すればインストールは可能
Microsoftの公式アナウンスでは「現時点ではあくまでテストを行っている段階で、正式にリリースする予定はない」としていて、一部地域限定でテストしている機能のため、日本語版Windows 10/11がインストールされた環境だと現状利用できないのですが、OSの地域設定を変更するだけで簡単にMicrosoft 365 Appsを「無料版Office」として使用することが可能でした。
正式にリリースされるかも不明なため、今後アプリの更新で利用できなくなる可能性もありますし、正直わざわざこの手順を踏んでまでインストールするようなものでもありませんが、実際に試してみたので無料版Officeがどのようなものか簡単にご説明します。
なお無料版Officeを使用するには「PCにMicrosoft Officeがインストールされていないこと」「Microsoft Office、またはMicrosoft 365 Appsに紐付いているMicrosoftアカウントでサインインしないこと」という条件を満たしている必要があります。
OSの地域設定が「日本語」だと無料版Officeの有効化メニューが表示されないので、一時的に「インド」に変更する必要があります。
Microsoft 365公式サイトから「30日間無償体験版」として配布されているWEBインストーラーだと無料版Officeとしては使用出来ないため、米国Microsoftのサイトから英語版インストーラーをダウンロードして通常通りセットアップします。
セットアップ完了後、通常通りOffice・Microsoft 365のライセンス認証画面が表示されますが、ここではMicrosoftアカウントでサインインせず、左下にある「Skip for now」を選択します。
通常ライセンス認証をスキップした場合、体験版として一週間のみフル機能が利用可能でそれ以降は編集が一切行えないビューアーモードに移行しますが、地域設定を変更する場合「無料版Officeとして使用するか、Microsoft 365のサブスクリプションを契約するか」選択する画面が表示されるの、ここで「Continue for free」を選択することでWord、Excel、PowerPointのみ無料版として利用できるようになります。
3.保存できるのはOneDriveのみ。制限されている機能も多く、常用は厳しい
既定の表示言語は英語に設定されていますが、アプリ自体は有償版Microsoft Office・Microsoft 365 Appsと共通なので、設定からロケールを追加することで日本語化も可能です。右側に広告が表示されているだけでなく、無料版Microsoft Officeではアドイン機能、VBAマクロ、図形の貼り付けといったほとんどの機能が無効化されていて、本当に基本的な編集機能しか利用できません。
ただし、図形はエクスプローラーから画像ファイルをドラッグアンドドロップすることで無料版でもドキュメント内に貼り付けることが可能でした。Wordの場合、表の作成なども利用できず、実質ワードパッド相当の機能しか利用できません。
ドキュメントの保存先にローカルドライブ（内蔵ハードディスク、SSD、USBメモリ等）やネットワークドライブを指定することは出来ず、OneDriveのみ指定可能となっています。
4.まとめ
前述の通り、無料版Microsoft Officeは日本ではテスト対象地域から外れていますし、正式に導入されるかも不明ですが、現状機能制限が多く、無料、あるいは低価格で販売されているOffice互換ソフトだけでなく、WEBアプリ版Microsoft 365 Appsからあえて移行するメリットはないかな･･･と感じました。
実は15年前にリリースされたMicrosoft Office 2010でも広告表示・機能制限ありの無料版が存在していましたが、日本ではリリースされなかったため。今後正式に登場したとしても一部地域でのみ提供される形に留まりそうです。本当にテストのみで正式リリースはされない可能性もあります。
初めてしゃべった言葉が「ソニー・TDK」という筋金入りのガジェットマニア。中学生時代NEC PC-98シリーズに出会ったのをきっかけに本格的にPDAやスマートフォン、PCの世界にはまり込む。リュックには常にPC 2台 + タブレット 1台 + ゲーミングUMPC 1台 + スマホ4台を常備。
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