こんにちは、かのあゆです。Microsoft Edgeは現在独自エンジンの「Edge HTML」を採用していますが、今後のアップデートでGoogle Chromeのオープンソース版である「Chromium」ベースに変更され、長い歴史を誇ったMicrosoftの独自レンダリングエンジンの歴史に幕を降ろすことになります。
目次
1.Microsoft製WEBブラウザの歴史
Microsoft Edgeの前バージョンに相当するMicrosoft Internet Explorerは1994年8月に英語版がリリースされたWindows 95の追加アクセサリー集である「Microsoft Plus!」に付属していました。
初期のバージョン1.0と日本語版が初登場した2.0、その次にリリースされた3.0までは現在のWEBブラウザのご先祖様とも言えるNCSA Mosaic(正確にはそのライセンスを取得したスパイグラス社の派生版)をベースにしていたブラウザでしたが、1997年に登場したInternet Explorer 4.0より独自レンダリングエンジンの「Trident」を採用しています。
このTridentエンジンは2013年に登場したIntenret Explorer 11まで使われたものの、最新のWEB規格に対応しきれなくなりました。Windows 10から標準ブラウザとして採用されたMicrosoft Edgeでは新しいレンダリングエンジンとして「EdgeHTML」が採用されました。
そのほかのブラウザではApple Safariに採用されている「WebKit」やそこから派生し、Google Chrome、Opera(バージョン15以降)などで採用されている「Blink」、Mozila Firefoxで採用されている「Gecko」がレンダリングエンジンとして採用されています。
2.Microsoft EdgeもChrome派生ブラウザの一種へ
ずっと独自のレンダリングエンジンを採用してきたMicrosoft Edgeですが、「Chromium」ベースへの移行により、Internet Explorer 11まで採用されていた「Trident」も含めると22年間続いてきたMicrosoftの独自ブラウザエンジンの歴史が終了することになります。
理由としては、WEB標準規格や機能面でどうしてもGoogle Chromeなど他社製ブラウザに追いつくことができず、Microsoft Edge自体もかつてのInternet Explorer時代のシェアを取り戻すことができなかったことが挙げられます。
なお先にリリースされているAndroid版Microsoft EdgeはすでにChromeと同じBlinkをレンダリングエンジンとして採用しています。
今思えばiOSのようにブラウザエンジン指定の制限がないAndroid版Microsoft EdgeでもEdgeHTMLを移植せず、既存のBlinkを採用したことは、PC向けのMicrosoft Edgeの将来をも予言していたのかもしれません。
Microsoft EdgeのAndroid版とiOS版が登場 ー Windows 10ユーザーは検討する価値はあるかも?(かのあゆ)
3.先行プレビュー版の配布もスタート。Macや旧Windows用もリリースへ
Chromiumベースに変更された新しいMicrosoft Edgeのプレビュー版は4月8日より、まずWindows 10向けのものが「Microsoft Edge Insider」で配布開始されています。
また、Chromiumベースに変更された新しいMicrosoft EdgeはWindows 10だけでなく、旧バージョンのWindows(Windows 7/8/8.1)やmac OS向けにもリリースされる予定になっています。特にmac OS版に関しては2003年にリリースされたInternet Explorer 5.2.3 for Mac OS X以来、実に16年ぶりの対応となります。
実質「見た目がMicrosoft EdgeのGoogle Chrome」になったことにより、Google Chromeの機能拡張もサポートされるようになります。
現時点でリリースされているプレビュー版は開発初期のアルファ版相当のものということもあり、まだMicrosoft Edgeらしい独自機能は実装されていませんが、今後のアップデートで機能拡張されていく予定です。今のところデベロッパー版扱いとなっているため、現行EdgeHTML版Microsoft Edgeとの共存も可能です。
4.まとめ
まもなくリリースされるWindows 10の大型アップデート「May 2019 Update」では従来通りEdgeHTML採用のMicrosoft Edgeが搭載されるものの、その次にリリースされる次期大型アップデートである「19H2」(開発コードネーム)では新しいChromiumベースのMicrosoft Edgeが標準ブラウザとして採用されるはずです。
近年Microsoft Edgeといえば「Google Chromeをダウンロードするだけに使うブラウザ」という扱いを受けている印象でした。かつてOSに標準付属していたが故にシェアを伸ばしていたInternet Explorer時代の面影はなくなっていたとはいえ、ついに独自レンダリングエンジンをやめてGoogle Chromeの派生ブラウザの一つになってしまうことについて、以前はInternet Explorerを好んで使っていたかのあゆとしては、一つの時代の終わりのように思えて寂しさを覚えてしまいます。
本家Chromeのシェアがかなり高いので、今後シェアをどこまで取り戻せるか不明ですが、Chromeベースに変更されたことにより、久々にマルチプラットフォーム展開が復活したのはいい傾向かもしれません。ただ、単なるChromeのUI変更ブラウザだったら普通にChromeを使ったほうがいいということになってしまうので、どこまで「Microsoft Edgeらしさ」を継承できるのか、今後の新しいMicrosoft Edgeを見守っていきたいと思います。
5.関連リンク
Microsoft Edge Insider : Microsoft
コメント
逆にGoogleの情報搾取が無いChromeとしてEdgeは人気出るかもしれない。
何だか下手したら世のウェブブラウザのエンジンが全部Blinkになりそうな…
GeckoやWebkitにも頑張って欲しいのですけれど如何せんシェアが段違いだし、ブラウザの乗り換えは結構負担がかかりますからね
しかもhtmlやECMAscript、cssその他諸々を全て実装しなけりゃならんので新しいエンジンを開発するのは困難というね。(;´д`)トホホ…
面白い記事だった
やはり、Chromeとの差別化がどうなるかが見どころですね。
私は、Chromeとその派生ブラウザを渡り歩いて、現在Vivaldiにたどり着きましたが、どうしても、さまざまな安定性ではChromeに敵いません。その辺をどう克服するかも、興味深いところです
edgeとFIDO2でアカウント入るから
これエンジン変わってもできるんだろうか?
edge向けに画面チェックしなくてよくなるのは嬉しいだろうな
昔、IEが覇権を取っていたときは「ユーザに選択肢が多いことは良いこと」と声の大きい人達が叫んでいたんですが、あの人達は今の状況に異を唱えないんですかね?
子供のSuicaにチャージをするためだけのためにいまだにIEも入っています。
Chromeの一部でもIEのエンジンのプラグイン?みたいなものが使用できれば良いのに。。。
てかChromeでSuicaがチャージできればEdgeでもChromeでも選べるのに
シェアの低いブラウザもサポートするのは面倒
↓
シェアの高いブラウザだけがサポートされる
↓
シェアの低いブラウザを使う理由が減る
↓
シェアの低いブラウザがさらにシェアを減らす
ブラウザだけでなくSNSやOSでも同じような流れなのかなぁ
検索エンジンが BING になった Chorme だったら使わないかなあw