Dellが16インチノート「Dell 16」のAMD版を発売しました。ウインタブでは既存モデル(Intel版)についても記事を掲載していなかったため、この機会にAMD版とIntel版の両方について、仕様を比較しながらご紹介します。
Dellは現在「ブランド体系の再構築」に取り組んでおり、このDell 16も新ブランド体系の製品です。ブランド体系を変更する意図は「私達消費者にとって、よりわかりやすく」ということだと思うのですが、このDell 16については「製品名はわかりやすいが、バリエーション展開はわかりにくい」と感じられます。
1. スペック表
項目 | 仕様 |
---|---|
OS | Windows 11 Home/Pro |
CPU | Intel Core 5 120U/Core 7 150U AMD Ryzen 5 220 / Ryzen 7 250 AMD Ryzen AI 7 350 |
RAM | Intel:8 GB/16GB/32GB (DDR5, 5200 MT/s) AMD:16GB/32GB (DDR5, 5600 MT/s) |
ストレージ | 512GB/1TB SSD (M.2 PCIe NVMe) |
ディスプレイ | 16インチIPS (1,920×1,200) |
無線通信 | プラ:Wi-Fi 6、Bluetooth アルミ:Wi-Fi 6E、Bluetooth ※AMD版はすべてWi-Fi 6, Bluetooth |
ポート類 | USB 3.2 Gen 2 Type-C (映像/PD対応) USB 3.2 Gen 1 Type-A×2、HDMI 1.4 オーディオジャック SDカードリーダー(アルミのみ) |
カメラ | プラ:Webカメラ (720p) アルミ:Webカメラ (1080p) |
バッテリー | プラ:41Whr/アルミ:54Whr AMD版アルミ:64Whr |
サイズ | プラ:357.3×250.6×16.74-19.90 mm アルミ:356.78×249.52×16.18-19.05 mm |
重量 | 1.98 kg |
2. バリエーションモデル
Intel版・プラスチック
・Core 5 120U/16GB/512GB/Win 11 Home
・Core 7 150U/16GB/1TB/Win 11 Home
・Core 7 150U/16GB/1TB/Win 11 Pro
・カスタマイズモデル
Intel版・アルミニウム
・Core 7 150U/16GB/1TB/Win 11 Pro
・Core 7 150U/32GB/1TB/Win 11 Home
・Core 7 150U/32GB/1TB/Win 11 Pro
・カスタマイズモデル
AMD版・プラスチック
・Ryzen 5 220/16GB/512GB/Win 11 Home
・Ryzen 7 250/16GB/512GB/Win 11 Home
・カスタマイズモデル
AMD版・アルミニウム
・Ryzen AI 7 350/32GB/1TB/Win 11 Home
3. プラスチック筐体とアルミ筐体
Dell 16にはプラスチック筐体とアルミ筐体があります。上の「バリエーションモデル」を見ていただくと、プラスチック筐体が下位グレード、アルミ筐体が上位グレードと理解していいと思います。両者のデザインは基本的に同じですが、相違点もあります。

プラスチック筐体

アルミ筐体
入出力ポートの構成でアルミ筐体のみSDカードリーダーがあり、プラスチック筐体にはありません。USBポートの構成やHDMI、イヤホンジャックなどは同じです。

左:プラチナシルバー、中:カーボンブラック、右:ミッドナイトブルー
筐体色にも違いがあります。プラスチック筐体についてはIntel版・AMD版ともプラチナシルバーとカーボンブラック、アルミ筐体はIntel版がプラチナシルバーとミッドナイトブルー、AMD版はプラチナシルバーのみです。
重要なのがバッテリー容量で、プラスチック筐体は41Whr、アルミ筐体が54Whr、そしてAMD版のアルミ筐体が64Whrと、結構な違いがあります。
あとはWebカメラの画素数がプラスチック筐体はHD(720p)、アルミ筐体がFHD(1080p)であること、アルミ筐体のみキーボードにバックライトがついていること、Intel版のアルミ筐体のみWi-Fi 6Eに対応すること(他はWi-Fi 6対応)が挙げられます。
筐体サイズもプラスチック筐体とアルミ筐体で異なりますが、「ほとんど誤差レベル」です。また、重量は最小構成で1.98 kgと開示されており、AMD版アルミ筐体のみ最大構成で2.14 kgとなっています。
4. CPU
Dell 16が搭載可能なCPUのPassmarkスコアです。一部「なんでCore 7 150UよりCore 5 120Uのほうがスコアが高いんだよ!」というツッコミが入りそうですが、とりあえずありのままを載せます。
CPU性能に関してはこれを参考にしていただくとして、NPUについて補足します(PassmarkスコアにはNPU性能が反映されていません)。
Ryzen AI 7 350は最大50TOPSのNPUを内蔵し、Copilot+ PCの要件(40TOPS以上)を満たしています。よって、Dell 16のアルミ筐体のモデルはCopilot+ PCです。
Ryzen 5 220とRyzen 7 250はどちらもRyzen 200シリーズ(Hawk Point)の型番ですが、Ryzen 5 220はNPUを内蔵しておらず、Ryzen 7 250はNPUを内蔵しています。ただし、その性能は最大16TOPと低めなのでCopilot+ PCの要件を満たしません。また、Core 5 120UとCore 7 150UはCore シリーズ1(Raptor Lake)の型番で、NPUを内蔵していません。
よって、AI処理、特にオンデバイスAI処理に関してはAMD版のアルミ筐体が最も高性能、それにAMD版のプラスチック筐体のRyzen 7モデルが続く、という感じになります。
5. 筐体
ここではAMD版のアルミ筐体の画像を掲載します。
「メインストリームな16インチスタンダードノート」という位置づけの製品なので、筐体は奇をてらった感じではありません。シンプル、プレーンなデザインです。キーボードは日本語配列でテンキーがつき、アルミ筐体のみバックライトも装備しています。
6. 価格など
Dell 16の価格(Dell公式サイト・9月2日現在のもの)は下記のとおりです。
Intel版・プラスチック
・Core 5 120U/16GB/512GB/Win 11 Home:111,589円
・Core 7 150U/16GB/1TB/Win 11 Home:120,588円
・Core 7 150U/16GB/1TB/Win 11 Pro:135,436円
・カスタマイズモデル:102,591円から
Intel版・アルミニウム
・Core 7 150U/16GB/1TB/Win 11 Pro:139,936円
・Core 7 150U/32GB/1TB/Win 11 Home:143,086円
・Core 7 150U/32GB/1TB/Win 11 Pro:157,933円
・カスタマイズモデル:125,088円から
AMD版・プラスチック
・Ryzen 5 220/16GB/512GB/Win 11 Home:104,800円
・Ryzen 7 250/16GB/512GB/Win 11 Home:119,799円
・カスタマイズモデル:104,800円から
AMD版・アルミニウム
・Ryzen AI 7 350/32GB/1TB/Win 11 Home:184,000円
製品特性からみて、HPのOmniBook 5 16(旧・Pavilion 16)やLenovoのIdeaPadシリーズと競合すると思われます。仕事用・家庭用の定番スタンダードノート、つまり個人用PCとしてはレッドオーシャン(競合が多く差別化が難しい)と言えるジャンルだと思いますので、私達消費者は賢く立ち回れば(重視したい部分のスペックと製品価格をしっかり比較すれば)、お得な買い物ができると思います。
7. 関連リンク
Dell 16 ノートパソコン(DC16250):Dell公式サイト (Intel版)
Dell 16 ノートパソコン(DC16255):Dell公式サイト (AMD版)
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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