ASUSのゲーミングブランド「ROG(Republic of Gamers)」の最新ハイエンドモデル「ROG G703GI」を紹介します。この製品は7月3日現在、ASUS Shopで593,784円(税込み)で予約注文を受け付けていて、ROGシリーズの中でも最も高価な製品です。この価格を見て「じゃ記事読むのやめた」と思う人もいるかもしれませんが、ネタとして知っておいてもいいでしょう。スペックもすごいですが、筐体のオラオラ感が半端ありません。ビジネスシーンには明らかに不向きな製品です。
1.スペック
OSは可愛らしくWindows 10 Homeです。しかし、CPUのCore i9-8950HKはファクトリーオーバークロック(ASUSが出荷時にオーバークロックを施しているという意味です)が施され、通常だと最大4.3GHzなのが最大4.8GHzとなっています。もともとCore i9-8950HKはオーバークロックに対応するCPUなのですが、誰でも簡単にこの作業ができるというわけではありませんし、メーカー側であらかじめこの処理をしてくれているというのは上級ゲーマーには歓迎されるかもしれないです。
GPUはGeForce GTX1080で、SLI(GPUを2基搭載すること)を除けばゲーミングノート用としては最高性能のものとなります。そして、RAMは64GBで固定です。64GBって聞くと「なーんだ、僕のスマホのストレージと同じじゃん」とボケをかましてみたくなりますよね。しかも「DDR4 2666MHzデュアルチャンネル」の超高速なものが使われます。
ストレージはSSD + HDDという構成ながら、SSDのほうは「256GB SSD + 256GB SSDのRAID 0」です。「RAID 0」というのは2つのストレージにデータを分散させて読み書きするストライピングという構造で、非常に高速になります。しかし、RAID 1(ミラーリング、同じデータを複数のストレージに保存すること)のように、バックアップとしての機能はありません。とにかく「スピード命」です。
ということで、CPU、GPU、RAM、ストレージに関しては妥協なき高速化が施されていて、「これで遅かったら仕方ない」といえるレベルでしょう。
ディスプレイは17.3インチで解像度こそFHD(1,920 × 1,080)にとどまるものの、リフレッシュレートが144Hzになっていて、ゲーミングノートとしては最高水準となります。ちなみに、リフレッシュレートとは「1秒間に何回ディスプレイの表示が切り替わるか」という指標で、数値が大きいほど切り替わる回数が多い、つまりゲームのアクション描写がなめらかになります。一般的なノートPCだと60Hzというのが普通で、120Hzというのが一部のゲーミングノートにあり、144Hzというのはあまり見かけません(OMEN X by HPくらいですね、思いつくのは)。
入出力ポートに関しては、個々のポートはみな高性能なのですが、数そのものはそれほど多くはありません。ただし、必要にして十分な数はありますし、特に映像出力系はThunderbolt 3も使えますので、こちらも不満のない水準だと思います。
それと、どうやらこの製品には指紋認証だの、顔認証だのと言った、生体認証には対応していないようです。
ちょっと笑うのがバッテリー稼働時間で、公称値が1.7時間というノートPCは初めて見ました。しかし、この製品の特性上、バッテリー稼働でゲームをするというのは考えにくいので、実質的にバッテリーはUPS(無停電電源装置)がわり、と理解すべきでしょう。
サイズもすごいです。ROGに限らず、各メーカーともハイエンドのゲーミングノートは基本的に「山みたい」なサイズとなりますが、それにしても厚さ5センチオーバー、重量5キロ弱、というのはすごいですよね。事実上「引っ越しのときに便利」くらいな感じで、据え置き型としての利用が前提でしょう。
2.筐体
正面から見ると「ブラックにシルバーのアクセント」となっていて、タダモノじゃない感は大きいです。しかし、
オラオラ感満点なのはこのアングルでしょう。DELL ALIENWAREと同様にヒンジが若干前方についていて、背面の迫力がすごいです。しかも筐体色もシルバーと言うかシャンパンゴールドというか、かなり目立つ感じですよね。
そしてこの画像。かなり厚みが強調されたデザインの上、「よく冷えるんでしょうねえ」と言いたくなるような巨大な通気口があります。この製品をオフィスで使ったとしたら、対面にいる人は迷惑するだろうなあ、なんて想像すると、少し可笑しくなります。
キーボードです。右側のシルバーのアクセントが印象的です。「Aura Syncテクノロジー」が搭載され個々のキーのライティングを細かく設定することが可能です。キーストロークは2.5 mmと深く、キートップには0.3 mmのくぼみがつけられています。言うまでもなくNキーロールオーバー(複数のキーを同時に押してもすべて認識される)、アンチゴーストに対応します。ただし、注意したいのが「107キー英語キーボード」である、ということで、日本語配列は用意されません。
これが別アングルから見たところです。パームレストには滑り止め加工もなされているとのこと。
一般にゲーミングノートは音響もよく考えられています。ゲームをする際の臨場感にも関わる部分ですからね。もちろん音楽鑑賞にも向きます。この製品はクワッド(4)スピーカーを装備していて、キーボード面に2つ、底面にも2つのスピーカーがあります。また、音響システムは「ESS Sabre」で、「CD品質の8倍のサンプルレート」とのこと。すみません、この辺のすごさはあまりよく理解できていません。
冷却ファンは通常の5Vではなく12Vのものが搭載されます。当然良く冷えます。また、「アンチダストクーリングシステム(特許技術とのことです)」により、内部のホコリを自動的に排出する仕組みになっています。
3.価格など
ASUS ROG G703GIは7月上旬の発売予定で、ASUS Shopでは現在予約注文を受け付けています。記事冒頭に書いたとおり、価格は税込み593,784円です。「60万あったら何ができるか」なんてことを考えてしまうと、思わず遠くを見る目になってしまいますが、非常に尖ったスペック、尖ったデザインのゲーミングノートで、メーカーを代表する最高水準のゲーミングノートとは「かくあるべし」ということなんでしょうか。
最近のウインタブ、「ゲーミングノートの非常に高い性能を生かして、ビジネスなど非ゲーミングシーンで使うのもあり」という論調なのですが、この製品にスーツは似合わんでしょうね。あと、オフィスでこれを使っていると、違った意味で人が寄ってきそうな気がします。もちろん「そういうのが楽しいのだ」という人、私は好きです。