中国の大手メーカー「Xiaomi」は独自のUI「MIUI」を採用していて、かなり高度にカスタマイズされているため、「普通のAndroid」とは操作感が異なります。しかし、決して使いにくいわけではなく、むしろこのUIを好む人も多いと思います。ちょっと問題なのは、MIUIは長らく日本語対応しておらず、ショップ(中国の通販サイトなど)がオリジナルのROMを導入することによって日本語対応させていたのですが、ショップROMの日本語化は中途半端であまり使いやすいとは言えず、もっと問題なのはXiaomiが顧客向けに提供しているOTAアップデート(WindowsUpdateのようなものです)がふさがれてしまっていて、OSのアップデートやセキュリティアップデートが受けられない、というところでした。
しかし、MIUIもバージョン9になって、「(中国国内向けでない)グローバル仕様」の製品であれば日本語に対応するようになりました。これにより、一気に日本のユーザーもXiaomiスマホを楽しんで使うことができるようになりました。
でも、Xiaomi製ながらMIUIを採用しない製品というのが一部ありまして、ウインタブでも実機レビューした「Mi A1」がそれに該当します。Mi A1はAndroid Oneという仕様で作られていて、UIは「普通のAndroid」に極めて近いものになっています。厳密にいうとAndroid OneというのはOSとかUIの名称ではなく、製品のパッケージング全体を指すものなのですが、この記事では便宜的に「Android One = UI(OS)」と表現します。
Android Oneのいいところは操作性が「普通のAndroid」に非常に近くなっているだけでなく、「セキュリティアップデートが毎月配信される」「OSのメジャーアップグレードが最低でも1回受け取れる」(どちらも最低18カ月間対応してもらえます)という点です。これらが約束できないメーカーはAndroid One製品を扱うことができません。
AndroidはWindowsとは異なり、頻繁にメジャーアップグレードがありますし、これだけ世界中に普及した以上、ウイルスなどセキュリティリスクも増大していると思いますので、最低でも1年半、最新のOSを使えるというのはとても魅力的です。
今回紹介する「Mi A2 Lite」は「Mi A2」と同時に発表され、Android Oneを採用したスマホです。Mi A2とMi A2 Liteは製品名がそっくりで、「Liteのあるほうがスペックが低いのね」と理解しがちです。それは必ずしも誤りではないのですが、両者はそもそも筐体が別物で、デザインも大きく異なります。個人的にはむしろ「Lite」のほうがいいのでは?と思うくらいです。なので、別々に紹介記事を書くことにし、先に「Lite」のほうを紹介したいと思います。
1.スペック
OSはAndroid Oneです。特徴はこれまで書いてきた通りで、もちろん日本語対応もします。CPUはSnapdragon 625で、「Lite」というほどライトなものでもありません。2018年現在だと性能面で少し物足りないと感じる人もいるかもしれませんが、まだまだ「ミドルスペック」くらいの言い方で大丈夫でしょう。というか、一部のゲーム(鉄拳とかPUBGとか)を動かすのはちょっと厳しいですが、それ以外の使い方で不満を感じるようなものではないと思います。
RAMとストレージは2パターンあり、「3GB/32GB」「4GB/64GB」が選べます。たくさん写真を撮ったり動画を撮影したり、という場合は4GB/64GBのほうをおすすめしますが、もちろん3GB/32GBのほうが安価です。
ディスプレイはかなり凝っています。ここがMI A2との大きな相違点なのですが、この製品は5.84インチのノッチ(切り欠き)ディスプレイを搭載します。要するに「流行りもの」です。ノッチディスプレイは中華スマホの場合、比較的安価な製品にも採用されつつありますが、どちらかというとまだ「高級品」のイメージがありますよね?また、解像度もFHD+となりますので、上位クラスの製品と比較して遜色がありません。
SIMスロットですが、多くのスマホが「SIM2はmicroSDカードと排他(兼用)」となっているのに対し、この製品はSIM2枚とmicroSDカードを同時に使えます。仕様上DSDSに対応(ただしLTE + LTEは不可)するようですが、日本で使えるかどうかは不明です(中華スマホの場合、日本ではDSDSが使えなかった、という報告を多数いただいております)。
カメラに関しては、数値上はそれほど高画素数ではありません。しかし、私の数少ないXiaomi製品の実機レビュー経験に照らすと、Xiaomiのカメラは性能がいいです。中華製品は多分に「スペック番長」的なところがあり、スペック表だとすごい高画素数なのに、実際に撮影してみたらイマイチ、ということが多いのですが、Xiaomi製品はその逆です。スペック表の画素数が控えめなので、あまり期待しないで撮影したら、実はとってもきれいに撮影できていた、ということが多いんです。
カメラの撮影品質は画素数だけでは決まりませんよね。個人的にはこの製品のカメラは十分きれいに撮影できるのではないか、と思っています。
サイズについては、割とコンパクトに仕上がっていると感じますが、重量は若干重いですね。ノッチタイプだと重量面で不利なんでしょうか?
2.筐体
一見してわかる特徴は、やはりノッチディスプレイですね。あと、背面カメラの位置がiPhone Xによく似ています。ノッチディスプレイにするとiPhone Xに似せなきゃいかんのでしょうかw
筐体素材は「メタル」です。最近は深センの新興中華メーカーでも製品の質感は非常に高くなっている中、Xiaomi製品の品質に疑いを持つ余地はないでしょう。
エッジ部分は「2.5D曲面」で処理されます。このあたりの仕上げもかなり期待できそうです。
筐体色は「ブラック」「スカイブルー(Lake Blueと言います)」「ゴールド」の3色です。どうせなら「レッド」も欲しかったですねw
3.価格など
Xiaomi Mi A2 Liteは中国の通販サイト各社で販売中で、7月30日現在で最も安価なのはgeekbuyingです。3GB/32GB版が181.99ドル(20,787円)、4GB/64GB版が216.99ドル(24,785円)となっています。
「Xiaomi製で、Snapdragon 625搭載機で、ノッチディスプレイで」と考えるとお買い得な気がします。そしてAndroid Oneです。もともとAndroid Oneというのはエントリースペック向けのコンセプトなんですが、上に説明した通り、UIにクセがなく、重要なアップデートをしっかり受けられる、というのは上位機種ユーザーにとっても決して悪い話ではありません。
WindowsやAppleのOSのように、OSメーカーが責任をもってアップデート管理をするのがいいのか、これまでのAndroidのようにメーカーが独自のUIを作り、自らの責任でアップデート管理をするのがいいのか、というのは意見がわかれるところだと思います。ただし、新興メーカーを中心に自社製品に対してまともにアップデート、アップグレードをかけられない会社が非常に多いというのが現状のAndroidスマホの問題点でもあると思います。Android Oneが最高のOS仕様であるとは言えないものの、これからのAndroidのひとつの方向性を示すものである、ということは言えるでしょう。
4.関連リンク
Xiaomi Mi A2 Lite:geekbuying
Xiaomi Mi A2 Lite(3GB/32GB):Banggood
Xiaomi Mi A2 Lite(4GB/64GB):Banggood
Xiaomi Mi A2 Lite(3GB/32GB):Gearbest
Xiaomi Mi A2 Lite(4GB/64GB):Gearbest
コメント
後は対応バンド次第ですね