Teclastのタブレット「T40HD」の実機レビューです。2023年10月に発売された新しいモデルで、10.4インチで高精細なディスプレイと質感の高い筐体を備えたTeclastとしては上位に位置する製品です。
ここがおすすめ
・Teclastの最上位「Tシリーズ」に属する高い質感の筐体
・低価格帯タブレットとしては薄型軽量
・Android 13の大画面デバイス向けのUIが使える
・Widevine L1でNetflixを含む動画サブスクでHD画質視聴が可能
ここはイマイチ
・カメラはスペックの画素数ほどの品質ではない
・最近増えているHelio G99搭載機よりも性能が低い
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TECLAST T40HDタブレット:Amazon
1.製品概要
製品の位置づけ
Teclastは非常に多くのAndroidタブレットをリリースしています。型番には一定の規則性があり、特に「最初のアルファベット」で「位置づけ」がわかります。レビュー機は「T40HD」ですが、「T」というのはTeclastのマスターグレード、つまり最上位であることを意味します。ちなみに「M」が中位クラス、「P」がエントリークラスなのですが、例えばPシリーズの上位モデルとMシリーズの下位モデルだと、スペックを見てもどっちが上なのかよく分からなかったりもしますので、あくまで目安程度とお考えください。
Tシリーズの特徴として「最上位の筐体仕上げ(パッケージに「匠心」と漢字で書かれています)」というのがあります。ただ、ウインタブではMシリーズやPシリーズもレビューしていますが、Tシリーズだけ群を抜いて高品質、とまでは言えないですね…。
では、スペック表を見てみましょう。
スペック表
Teclast T40HD | |
OS | Android 13 |
SoC | UNISOC T606 |
RAM | 8GB(拡張機能により最大16GB) |
ストレージ | 128GB |
ディスプレイ | 10.4インチIPS(2,000 × 1,200) |
LTEバンド | FDD:B1/3/5/7/8/20 TDD:B34/38/39/40/41 |
SIM | nano SIM × 2(SIM2はmicroSDと排他) |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth5.0 |
入出力 | USB Type-C 、microSDカードリーダー、オーディオジャック |
カメラ | イン8MP/アウト13MP+補助カメラ(0.3MP) |
バッテリー | 7,200 mAh |
サイズ | 246 × 156 × 7.7 mm(推定) |
重量 | 460 g(実測値459 g) |
※筐体サイズは手持ちの測定器具を使用し、推定値とほぼ同じであることを確認しましたが、測定器具は1ミリ未満の精度がないため、若干の誤差を含む可能性があります
システムスペックは「よくある中華の中上位クラスのAndroidタブレット」です。OSは現時点でタブレット用としては最新と言っていいAndroid 13、SoCはUNISOC T606で、原神などのいわゆる重量級3Dゲームのプレイには少々厳しいものの、様々なゲームアプリを楽しめ、動画視聴やWeb閲覧、SNSなどの利用では不満を感じない実力があります。
RAMは8GBで拡張機能(ストレージ領域の一部をRAMとして使うことのできる機能)により最大16GBとして使えます。ただし、SoCの性能から見て8GBで足りないということはまずありませんし、拡張機能によって増加したRAMは物理的なRAMとは異なり、そこまで高速には動作しませんので、個人的にはT40HDにはあまり意味のない機能だと思います。ストレージは128GBです。低価格帯中華タブレットのRAM容量はここのところ増量傾向にあり、256GBを搭載する製品も珍しくなくなっていますので、128GBというのは「普通くらい」の容量と言えます。
すみません、権利の関係で画面を真っ暗にしていますが、AmazonプライムビデオとNetflixの画面です。
スペック表にはありませんが、T40HDはWidevineのセキュリティレベルが「L1」です。そのため、動画サブスクリプションサービスでHD以上の画質での視聴が可能です。また、「これは大きい!」と言えるのがNetflixでもHD画質視聴が可能になった、という点ですね。ここのところWidevine L1対応の中華タブレットがどんどん増えていますが、「ほぼ全て」NetflixではHD画質視聴ができませんでした。T40HDはNetflixでもHD画質視聴ができる、現時点で数少ない中華タブだと思います。
では、外観と使用感についてご説明します。
2.外観と使用感
最初に同梱物からユーザーマニュアルと保証書、主に充電用のUSBケーブル、ACアダプター、そしてSIMピンが入っていました。ユーザーマニュアル日本語の説明もありますが、T40HD固有の機能の説明ではなく、Android OSの基本的な使い方を説明するものなので、Android製品に慣れている人にはあまり役に立ちません。
ACアダプターの出力は10Wで、日本のコンセントに合う形状でした。
前面です。低価格帯のAndroidタブレットも少しずつベゼル幅は細くなりました。T40HDも非常に細いとまでは言えないものの、そんなに野暮ったくは見えないですね。
ディスプレイの発色ですが、私の感覚だとTeclast製品のディスプレイは少し青味が強いと感じます。
しかし、設定メニューに「Colors&Contrast」というところがあり、ここで発色の傾向を調整できます。この機能は割と優秀で、私の場合、ちょっと気になっていた青味の強さをなくすことができました。発色品質は有機ELディスプレイには及びませんが、低価格帯のAndroidタブレットとしては十分に納得できるものだと評価します。
背面です。ここはT40HDの「Tシリーズらしいところ」ですね。金属製で表面にはサンドブラスト加工が施され、高い質感になっています。タブレットの購入にあたり「システムスペックしか見ない」という人もいるのかもしれませんが、私としてはこの筐体の質感も十分に購入検討の要素になると思っています。
ただし、いいところばかりでもありません。筐体の剛性感が少し足りません。数年前の中華製品は「軽くねじっただけでミシミシと言う」クオリティでしたが、T40HDはそこまで酷くないものの、やや強めに押さえるとミシッと言いますw まあ、そんなに乱暴には扱わないでしょうから、それほど大きな問題ではないと思いますが…。
(横持ち時の)上面です。こちらには電源ボタンと音量ボタンがあります。
電源・音量ボタンとカメラバンプ付近です。レンズまわりが少し飛び出していて、ケースを使わないと傷つきが心配です。ちなみにAmazonでは専用の保護ケース(タブレットスタンドにもなります)が1,490円(本体と同時購入で半額の745円になります)で販売されているので、一緒に購入するほうが安心でしょう。
下面です。こちらには何もありません。エッジ部分が角ばった、最近よく見る感じの形状ですね。
左側面です。こちらにはスピーカーグリルがあるのみ。
右側面にはスピーカーのほか、USB Type-CポートとSIM/microSDカードスロットがあります。それと右端にイヤホンジャック。
SIM/microSDカードスロットです。よくある「nanoSIM × 2もしくはnanoSIM+microSDに対応」という仕様です。T40HDはSIMカードを入れれば音声通話(普通の電話のことです)も可能ですが、通信バンドは日本の主要バンドをすべてカバーしているわけではなく、ドコモとauのプラチナバンドはカバーしていません。都市部で繋がらないということはないと思いますが、山間部などでは繋がりにくくなる可能性も否定できません。
実はT40HDは先日レビューしたTeclast T40 Airとよく似たシステム構成で筐体サイズも外観もそっくりなのですが、T40 Airが4スピーカーであるのに対し、T40HDは2スピーカーです。
音質のほう、決して悪くないと言いますか、この価格帯のAndroidタブレットとしては十分合格点をあげられる水準なのですが、T40 Airよりは劣ります。4スピーカーと2スピーカーの差なのかどうかは判然としませんが、臨場感(リアル感)という点ではT40 Airのほうが上です。
外観と使用感についてまとめます。筐体の質感は高く、発色のほうも設定で微調整ができるという前提なら十分、スピーカーの品質も悪くありません。また、10インチ級の中華タブレットとしては重量が460 gと軽く、個人的にはこの点が最も印象に残りました。この後カメラについても触れますが、写真撮影のため外に持ち出した際も、この軽さ、そして薄さにはとても好感を持てました。また、タブレット製品は手で持って使うことも多いので、数十グラムとか100グラムといった重量差でも使用感に影響します。その意味でT40HDは高評価できます。
3.システム
ホーム画面とアプリ一覧です。T40HDはAndroid 13の大画面デバイス向けUIが実装されており、画面下にタスクバーが表示されたり、一部のアプリのみですが横持ち時に2列表示が可能だったりします。Androidスマホを使っている人にはちょっと面白いUIに感じられると思いますが、基本的には「素のAndroid」ですし、独自のプリインストールアプリもほとんどありません。
2列表示ができるアプリの一例として電卓アプリの画像を掲載しておきます。現状だとGoogle標準のアプリの電卓と時計くらいしか2列表示には対応していないようですけどね。
地味な話かもしれませんがFMラジオです。かつての中華製品はFMラジオがついていても日本の周波数にあっておらず、実質的に使えないものばかりでしたが、最近の中華製品はしっかり日本の周波数に合わせたものになっています。受信には有線イヤホンの接続が必要(アンテナとして使います、イヤホンを接続していてもスピーカーから音声を出力できます)ですが、ラジオなのでWi-FiやLTEが繋がっていなくても受信ができます。
これ、災害時とかアウトドアでは結構重宝すると思うんですよね。なので、この点はぜひ読者にお知らせしておきたいと思いました。
レビュー機のセキュリティアップデートは2023年8月5日のものでした。またレビュー機ではなく、他のTeclast製品でOTAアップデートが降ってきているのも確認しています。設定メニューはほぼ完全に日本語化されていますが、一部Teclast独自の機能(画像右のRAM拡張画面)では英語表記がそのまま残っています。ただ、そんなにわかりにくいという感じでもないので、あまり気にしなくていいいでしょう。
4.カメラ
カメラアプリです。ご覧の通り日本語化されていません。また、多機能に見えますが、実は機能が少なく、カメラでは画質の調整(Super Fine、Fine、Normalの3種類だが画素数はすべて13MP)とかアスペクト比の変更(4:3と1:1のみ)ができる程度、動画ではFHD(1080p/30fps)、HD(720/30fps)、SD(480/30fps)の3種類の画質を選べるのみです。また、ズームは最大10倍。ナイトモードとかProモードはありません。
タブレット製品のカメラをどのくらい重要視するか、というのは人それぞれですが、ウインタブとしては「インカメラはWebミーティングでキレイに映せればOK、アウトカメラはメモ程度の画質でOK」だと思っています。だって皆さん、大事な写真はスマホで撮りますよね?
いくつか作例を掲載します。オリジナルの画素数ではなく、1,200px × 900pxに縮小しています。オリジナルはすべて4,160 × 3,120px(13MP)です。
…まあ、こんなもんですかね。割とキレイに撮れていると思いますが、ちょっと赤味が強すぎると感じます。また、夜景はスマホには遠く及ばないものの、このくらいの画質なら許せるレベル。
近年中華タブレットのカメラ画素数は上昇傾向にあり、T40HDのアウトカメラも13MPと、一昔前ならスマホでもよく見られたくらいの画素数ですが、アプリの出来もセンサーなどのパーツも「まだまだ」の品質なので、スペック表上の画素数に惑わされないほうがいいと思います。
なお、インカメラでWebミーティングをしてみましたが、この使い方なら画質はバッチリでした。
5.性能テスト
おなじみのAntutu Ver.10のスコアです。T40HDの搭載SoCはUNISOC T606ですが、型番から見て妥当なスコアになっています。若干高めかな…。まあ、異常値ではなく、スペック表からイメージした通りの性能と言えます。
このスコアで何ができるか、という点ですが、まずゲーム以外ではストレスを感じることはありません。スペックのいいスマホと比較すると、一部のアプリで起動時間が少し長めになる程度でしょうか。
これはRash Rally 3というレースゲームのグラフィック設定です(アプリ側で自動設定したもの)。低い設定になっていますが、私としてはこの設定で不満なく楽しめました。ただし、せっかく大画面でゲームをするのだからグラフィック設定を上げてプレイしたいと言う人も多いと思います。その場合は低価格帯の製品ではなく、Galaxy TabとかiPad Proにされるほうがいいでしょうね。ウインタブとしては2万円前後でここまで遊べるのなら文句なしです。
このほか、Royal Matchというパズルゲーム(面白い。広告も出ないのでおすすめ)でも遊んでみましたが、アプリ起動時の読込み時間が少し長くなった以外は普通にプレイできました。
6.レビューまとめ
Teclast T40HDはAmazonで販売中で、価格は通常価格27,900円のところ、11月23日現在だとブラックフライデーセールにより18,900円で購入できます(製品ページにあるクーポンを使用した価格です)。
スペックは「そこそこ」という感じで、最近増えているHelio G99搭載のタブレットには性能面で及びません。しかし、筐体が美しく、手触りもよく、そして低価格品としては軽量なのが魅力で、Netflixも含め動画サブスクでHD画質視聴ができる、というのは大きなメリットだと思います。
Galaxy TabとかiPad Proとは非常に大きな価格差がありますから比較すること自体ナンセンスです。2万円を切る価格で購入できるタブレットとしては十分に納得感があり、購入しても後悔しないだろう、と思います。