こんにちは、natsukiです。電子ペーパーAndroidタブレットBOOXの最新作、7.8インチディスプレイの「BOOX Nova」が、いよいよ発売間近となりました。この「BOOX Nova」、詳細スペックがなかなか定まらなかったのですが、いざ発売を迎えると、今までのBOOXシリーズのおいしいとこ取り、まさに「ぼくのかんがえたさいきょうの電子書籍リーダー」と呼べる素晴らしい製品に仕上がってきました。発売前に、その魅力を紹介してみたいと思います!! また、姉妹品の6.0インチ「BOOX Poke」や他社競合製品も、この秋から冬にかけて相次いで登場しているので、そちらも見てみます。
目次
1.ついに発売!BOOXシリーズ最新世代の7.8インチ電子書籍リーダー「BOOX Nova」
ちょっと「BOOX Nova」の位置づけを整理してみたいと思います。BOOXシリーズの特性をご存じの方は、読み飛ばして頂いてかまいません。
ONYX社のBOOXシリーズといえば、ウインタブでも度々とりあげてきた、電子ペーパー搭載のAndroidタブレットのブランドです。電子ペーパーは、モノクロしか表現できず素早い切り替えも苦手なため、一般的なタブレットの使用には適しませんが、その反面、目が疲れにくく、動きの少ない表示であれば電池保ちもいいため、主に電子書籍リーダーの世界で積極的に利用されてきました。AmazonのKindleや、楽天のkoboが代表例でしょう。
極めてクセの強い特性から、利用者が迷わないようにKindleやkoboがガチガチに自由度を奪っている一方、素に近いAndroidを搭載することで大きな自由度を得ているのが、ONYX社のBOOXシリーズの特徴です。もちろん、自由度が高いということは、自分で、電子ペーパーの特性を分かった上であれこれカスタマイズしなくちゃならんわけですが。しかし、そのめんどくさささえクリアすれば、無限のポテンシャルを秘めています。実際、昨年度レビューさせていただいた「BOOX C67ML Carta2」は、今も毎日必ず持ち歩く、最高の相棒です。その素晴らしさは、こちらやこちらのレビュー記事をどうぞ。
そんなBOOXシリーズの最新世代は、これまで、13.3インチの「BOOX MAX2」、10.3インチの「BOOX Note」とその廉価版各種を展開してきました。「BOOX Note」については、レビューもさせていただきました。これらBOOXシリーズ最新世代の共通点として、OSにAndroid6.0を採用して「電子ペーパー端末としては」処理性能が飛躍的に向上したほか、ワコム製のデジタイザ搭載による「書き込める」機能が付いていることがあげられます(Note廉価版にはデジタイザをオミットしたものや中華製デジタイザを積んだものもあり)。
ただしこれらは、その名称が示すように、「電子書籍リーダー」というよりは「ノート」としての側面が強い製品となっています。単純に、デカい。片手で持ち続けるには重いし、満員電車でサッと取り出して読むわけにはいかない。そんな中、ようやく、最新世代のスペックで7.8インチという、電子書籍リーダーとしても使えるサイズの「BOOX Nova」が発売となったわけです。
2.スペック
BOOX Novaのスペックは以下の通りです。
また、以下の動画に、実際の挙動が紹介されています。
7.8インチで300dpiの高解像度ディスプレイ
300dpiの電子ペーパーディスプレイは、BOOXシリーズではおなじみ。この解像度であれば、文句ありません。ディスプレイサイズ7.8インチというのは、文字の本を読むにはやや大きめですが、マンガには適したサイズです。なお、他の電子書籍リーダーのサイズを見ておくと、「Kindle」「Kindel Paperwhite(Newモデル)」「kobo clara」が6インチ、「kobo aura」が6.8インチ、「Kindle Oasis」が7インチ、「kobo forma」が8インチとなっており、7.8インチというのはやや大ぶりながらも、電子書籍リーダーとして妥当なサイズであることが分かります。
筐体サイズは、196.3×137×7.7mmで、重量240g以下。参考までに、7インチのKindle Oasisは159×141×8.3mmの194g、8インチのkobo formaは177.7×160.0×8.5mmの197g。片手で持ち続けることを考えると、重量面はやや残念。まあ、でも、BOOX Novaの方がはるかに多機能ですからね。この程度はやむを得ないでしょう。あとは、専用カバーをできるだけ軽くして欲しいなぁ。
やったぜ!ワコム製デジタイザ搭載!
当初、純粋な電子書籍リーダーとして企画されていた「BOOX Nova」には、ペン入力機能搭載の予定はありませんでした。しかし、おそらく「BOOX Note」の成功で自信を付けたためか、はたまた、後述の競合製品「Likebook Mars」との差別化を図るためか。ギリギリで、ワコム製デジタイザ搭載のバリエーション「BOOX Nova Plus」を追加してきました!! いかにも後から付け足したらしく、ペン付き製品画像は用意されていません。この何でもアリのチャレンジ精神とフットワークの軽さこそ、中国新興企業の真骨頂! そこにシビれる!あこがれるゥ!
かくして、「BOOX Nova Plus」は単なる電子書籍リーダーではなく、手帳としての機能も備えたわけです。これぞ、「最強の」電子書籍リーダーたるゆえん!! ワコム製なので性能面も安心。その優秀さは、BOOX MAX2やBOOX Noteで証明済みです。なお、デジタイザの付かない「BOOX Nova」にはフロントライトが付いていますが、デジタイザ搭載の「BOOX Nova Plus」では、フロントライトはオミットされます。
BOOX Noteと同様の処理能力
OSはAndroid6.0、CPUはCortex-A17 1.6GHz Quad-core、RAMは2GB、ROMは32GBです。この構成は、BOOX MAX2やBOOX Noteとまったく同じなので、その挙動も同様であると考えていいでしょう。つまり、「電子ペーパータブレット」としては、現状望みうる最高の性能だということです。どの程度の処理能力があるかは、BOOX Noteのレビューをご覧ください。これも、ギリギリまでRAMは1GBの予定で、製品ページにも修正していない部分がありますが、最終的に2GBに増やしてきました。
Wi-FiとBluetooth対応で、周辺機器対応もバッチリ
この辺も、最近のBOOXシリーズではおなじみ。Wi-Fiの他に、Bluetooth4.1も対応。例えば、キーボード接続により、ポメラ的な使い方も可能です。周辺機器接続による、使用の幅がグッと広まりますね。
ここだけ残念なポート・ボタン類
ポートとボタン類のみは、ちょっと残念です。まず、ポート。3.5mmイヤホンジャックがなくなったのは、まだ、許せる。あんまり音楽聴くような端末じゃないですからね。しかし、microSDカードによるストレージ拡張に対応しないのは残念。確かに、電子書籍リーダーとしての記憶容量は本体の32GBで事足りるかもしれませんが、前にレビューでも書いたように、Androidはフォルダ構造が分かりにくいので、膨大な自前のファイルを整理するときは、microSDカードをWindowsで操作して行った方が便利なんですよね。まあ、BOOXシリーズは、PCに有線接続することで、直接中のファイルをいじくることも可能ですけども。
それから、ボタン。「戻る」ボタンしかありません。これは、最近の電子書籍リーダのトレンドとなっていますね。しかし、個人的にはあまり好ましいとは思いません。愛用のBOOX C67ML Carta2には、サイドにページめくりボタンが付いていて、これが凄まじく便利なんです。このボタンがなくなってしまうのは痛い。スマホもそうですが、なんでもボタンやポートを減らして、表面をのっぺらぼうに近づければいいってもんじゃないと思うんですが。
これぞ最強の電子書籍リーダー
ということで、前に発表されていたものよりも、様々な面で大幅にスペックアップを果たしての発売となります。ポートとボタンのみ惜しく感じますが、結果的に、電子ペーパーAndroidタブレットとしては、先行したMAX2やNoteとまったく同じレベルの、現時点で想定しうるすべてを詰め込んだ構成となりました。いやー、デジタイザ搭載は英断過ぎる。そうだよ、こういうのを待っていたんだよ!!
3.姉妹品の6インチ電子書籍リーダー「BOOX Poke」も発売されるが……
ところで、文字メインの電子書籍リーダーとしてメジャーなサイズは、Novaより一回り小さい6インチです。無印「Kindle」や「Kindle Paperwhite」は6インチですから。この、6インチにも新製品が発売されます。その名は「BOOX Poke」。
ところが、このBOOX Poke、時代の先端を開拓してきたONYX社らしからぬ、いまいちな構成となっています。
これがスペック。あくまで廉価版という位置づけで、より軽量に動かしたいという意図は分かりますが、今さらAndroid4.4はないでしょう。個人的に致命的なのは、ROMがたったの8GBで、microSDによる増設も不可なところ。BOOXシリーズの利点は、自炊したりした自前のファイルも自由に読めるところなわけで、例えば、私の場合、楽譜のコレクションが10GB弱あります。膨大な文書を自由に持ち歩けるからこそ、同じく6インチのBOOX C67ML Carta2は肌身離さず持ち歩く相棒たり得ているわけで、ストレージがシステム込みの8GBじゃ、はっきり言ってお話になりません。これは、次世代機に期待かな……
高機能版「BOOX Poke Pro」も出る?
「BOOX Poke」には、高機能版「BOOX Poke Pro」の情報もあります。下の動画で紹介されています。
動画内の解説だと、BOOX Pokeの高機能版は、バックライトが違うのと、RAMが2GB、ストレージが16GBとのこと。ただ、通常のBOOX Pokeについてもストレージ16GBと発言しているので、単なる言い間違いかも。
こっちでも、RAM2GB、ストレージ16GBという話になっています。いずれにしても、その他のBOOXシリーズと比べるとちょっと魅力薄なのは否めません。それに、公式ページにはまだBOOX Poke Proについての記述はありません。BOOX Novaのように、BOOXシリーズは発売直前までスペック変更が行われるのはよくある話なので、現時点では何とも言えないですね。
BOOX Poke:ONYX社公式サイト
4.ライバルBoyue社の「Likebook」シリーズも魅力的
BOOXシリーズのライバルともいえるのが、Boyue社の「Likebook」シリーズです。BOOXシリーズと同じく、Android搭載の電子ペーパータブレットです。こちらは、一部製品がTOMTOPやBanggoodに並んでいるものの、今までは日本からの入手がなかなか難しかったブランドです。しかし、この秋から日本のAmazonに並ぶようになり、日本からも手軽に買えるようになりました。
7.8インチ「Likebook Mars」
BOOX Novaの対抗馬はこれ。7.8インチディスプレイ搭載の「Likebook Mars」。すでにAmazonで販売開始しています。BOOX Novaとの違いは、CPUが違うこと、ストレージは16GBだけどその代わりmicroSDカードによるストレージ拡張に対応していること、デジタイザ搭載バージョンはないこと、ですね。また、Bluetoothについては、前のバージョンが付いていたので、まさかオミットされることはないと思うんですが、Amazonのページには特に記載がなく、不明です。
CPUの違いは、どっちが高性能というのは比較のしようがないので置いておくとして、BOOX Novaのデジタイザ無しバージョンとの最大の違いは、microSDへの対応ですね。素のストレージ容量はBOOX Novaの方が大きいですが、Likebook MarsはmicroSDによる拡張が可能です。Androidのストレージ管理のやりにくさを考えると、これは大きな魅力です。価格は、記事執筆時点で28,125円となっています。
6インチ「Likebook AIR」
Likebookは、6インチの「Likebook AIR」もラインナップ。こちらは、BOOX Pokeの対抗馬ですね。やはり、OSがAndoroid4.4なのは惜しい。BOOX Pokeとの違いは、CPUの他は、ストレージが16GBなところ。先述のように、BOOX Pokeはストレージが8GBしかないので、こっちの方がよさそう。価格は、記事執筆時点で19,025円となっています。
Amazonの関連ページ:
LikebookのAmazonストアフロント
Likebook Mars
Likebook AIR
5.Dasungの野心的すぎる7.8インチ電子ペーパータブレット「Not-eReader」
7.8インチの電子ペーパータブレットとしては、先日レビューした電子ペーパーディスプレイ「Paperlike」を発売しているDasung社が、非常に意欲的な新製品企画をINDIEGOGOにて公表しています。何しろ、製品名からして「Not-eReader」。「電子書籍リーダーじゃない!」ときたもんだ。なんか、ZZガンダムのオープニングテーマを思い出すネーミングだなぁ(古い)
スペックは、300dpiの電子ペーパーディスプレイにAndroid6.0を搭載と、BOOX NovaやLikebook Marsと似たようなものかと思いきや、宣伝文句には「Video Player」「Mini-PC Monitor」などの言葉があり、製品紹介動画では電子ペーパーディスプレイにもかかわらず動画がスムーズに動くなど、「Not-eReader」の名に恥じないビックリ製品です。Paperlikeの実績から見ても、単なる電子書籍リーダーとはかけ離れたとんでもないものが出来上がりそう。もっとも、価格もすごいことになりそう(笑)
Not-eReader:INDIEGOGO
6.まとめ
かくして、全部入り最強電子書籍リーダー「BOOX Nova」「BOOX Nova Plus」は無事、発売にこぎ着けそうです。BOOX Novaは11月中、BOOX Nova Plusはもう少し遅れる模様です。「BOOX Poke」も11月中みたいですね。日本で手に入る流通ルートに乗るのがいつ頃になるかは分かりませんが、この辺は、技適取得も含めて、実績のあるSKTショップさんに期待。
BOOX Noteをちっちゃくしただけじゃん、と言えばその通りですが、このサイズの違いは製品特性を大きく変えます。価格は、まだ発表されていないものの、すでにライバルのLikebook Marsが3万円弱で発売していることを考えると、おそらくBOOX Novaも約3万、BOOX Nova Plusは約4万~5万くらいでしょうか。魅力でいえば、なんといってもワコムデジタイザ搭載のBOOX Nova Plusの正式販売が待たれます。
余談ですが、ONYX社は、カラー電子ペーパーの開発も意欲的に進めているようです。DasungのNot-eReaderも楽しみですし、電子ペーパー製品は日進月歩、情報を追っかけていて非常にワクワクします。これからも、挑戦的な製品が次々に出てきそうな注目のジャンルですね!
コメント
Not-eReaderは製品化出来るのだろうか?
Dasungは、一般的なコスパとか実用性とか(電子ペーパーで動画を見る意味があるのか、とか突っ込んではいけないわけで)を置き去りにしたクレイジーな(最大限の褒め言葉)製品開発をしつつ、それなりに実績もある企業なので、ヤルと言ってしまったからにはヤッてくれると期待しています。……コスパを置き去りにして、なんでしょうけど。
個人的には、Novaのフロントライトが地味に嬉しいですね。ベッドで寝る前に使うとか、夜道で歩きながら本を読むとか・・・。
Noteは持っているので、手書きはこちらに任せると言う手段が取れます。
unihertz atomも来月でるし、新しい球にiphoneXRのための予算がどんどん侵食されていきます。
コメントありがとうございます。
夜道で歩きながら読書は危ないですよ(笑)
フロントライトは、単なる明るさ調性だけではなく、色温度の調整もできるようです。これはBOOX PokeやLikebookシリーズも可能なようで、これからの電子書籍リーダーのスタンダードになるようですね。
Indiegogoで出資開始しましたね。369ドル。
タイトルを下のコレにしたのが面白いですね。
Not-eReader:An E-ink Mobile Phone Monitor
情報ありがとうございます。
ワイヤレスモニターとかまたすごいこと言ってる。
タイトルは、本当にDasungらしいですね。「本体にAndroid積んでるのに、わざわざスマホの画面を表示するってどんだけ限られたニーズだよ」というツッコミの可能性よりも、「スマホの画面がワイヤレスで映せるぞ、スゴイだろ!!」というロマンアピールを優先(笑) さすがだ。
価格は、正直、機能からすると安すぎてビックリ。
でも、
13.3インチ
BOOX MAX2&DPT-RP1:約9万→Paperlike HD:約15万
Likebook Mars:約3万(セール価格除く)→Not eReader:約4万
と考えるとこんなもの?
ペン付きBOOX Nova Plusも、あまり変わらない価格になりそうだから、悩ましいですね。