Blackviewのスマートフォン「XPLORE 1」の実機レビューです。Blackviewが得意とする「タフネス系」のスマホで、SoCにモバイル5G通信に対応するDimensity 7050を搭載する、Blackviewとしては上位に位置する製品です。この記事のトップ画像だけ見ると「割と普通」ですが、実は「相当にヤバい」製品です。
なお、このレビュー記事はメーカーからレビュー機のサンプル提供を受け、実施しています。
・5G対応SoCを搭載、Antutuスコアも約60万点
・20,000 mAhの超大型バッテリーを搭載
・発色品質が高くリフレッシュレート120HzのFHD+ディスプレイ
・懐中電灯代わりに使える、明るいLEDライトを搭載
・暗闇でも鮮明な撮影ができるナイトビジョンカメラ
ここはイマイチ
・このサイズ(厚さと重さ)は「ロマン枠」か…
※9月1日午後4時から9月6日午後3時59分までセール
目次
1. スペック
スペック表
項目 | 仕様 |
---|---|
OS | Doke OS 4.2 (Android 15) |
SoC | MediaTek Dimensity 7050 |
RAM | 12GB/16GB(拡張機能により最大36GB/48GB) |
ストレージ | 256GB/512GB |
ディスプレイ | 6.78インチ (2,460 × 1,080) 120Hz 背面サブディスプレイ搭載 (通知/時計などに対応) |
バンド | 5G:n1/3/5/7/8/20/28/38/40/41/77/78 FDD:B1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19 B20/25/26/28A/28B/30/66 TDD:B34/38/39/40/41 |
無線通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 |
ポート類 | USB Type-C 、microSDカードリーダー |
カメラ | 前面:50MP/背面:64MP+20MP |
バッテリー | 20,000 mAh 有線55W/無線45W、リバース充電対応 |
サイズ | 184×83×29.5 mm |
重量 | 638 g |
バリエーションモデル
・RAM12GB (拡張時36GB)/ストレージ256GB
・RAM16GB (拡張時48GB)/ストレージ512GB
レビュー機はRAM12GB/ストレージ256GBモデルです。
2. 外観と機能
以下、製品の外観を掲載し、関連する機能や使用感について説明します。
箱・同梱物・バッテリー
箱です。特にコメントはありません。梱包状態は良好で、本体と付属品がしっかり保護されていました。
同梱物です。画像左からストラップ、取扱説明書、ナイトライト(夜間モード)やブルーライトからの保護などが書かれた一枚もの、その上にSIMイジェクト用の器具、画像右上が充電器、その下にUSB Type-C – USB Type-Cのケーブルです。
XPLORE 1は筐体が非常に重い(公称値638 g、実測値640 g)ので、ストラップは「現実的に重宝する」かもしれません(一時的に何処かに引っ掛けておく、落下を防ぐために手首に巻くなど)。取扱説明書は多言語で書かれており、日本語の説明もありましたが、各部名称とSIMトレイの説明程度でした。
XPLORE 1は20,000 mAhという巨大なバッテリーを搭載し、有線で55W、ワイヤレスで45Wの急速充電に対応します。また、20,000 mAhを有効活用すべく「リバースチャージ(XPLORE 1をモバイルバッテリー代わりにして他のデバイスを充電できる機能)」にも対応しています。
付属の充電器は出力55WなのでXPLORE 1の有線での急速充電能力を活かせる仕様です。レビュー機はメーカー・サンプルのため充電器はEUプラグでしたが、日本からの購入の場合は日本のコンセントで使えるプラグ形状のものか、もしくは日本のコンセント用の変換プラグが付属するはずです。
ディスプレイ
前面です。ディスプレイは6.78インチと大きめで解像度はFHD+ (2460×1080)、リフレッシュレートは120Hzです。パネルは有機ELではありませんが、タフネススマホのディスプレイとしては十分に高いスペックです。
WidevineはL3なので、NetflixやAmazonプライムビデオなどの動画サブスクリプションサービスではSD画質となります。この点はご注意ください。
ディスプレイの発色は設定アプリから多少は調整できます。発色については「通常」と「鮮明」、色温度は手動で無段階(スライダーを動かす形式。画像左を参照)に調整できます。個人的にはここを調整しても発色の傾向はあまり変わらないように思いました。もともと発色品質については問題ない、と言いますか、自然でキレイなものだと評価します。なので、色の設定による調整はあまり必要ないと思います。ただし、色温度については調整するとはっきり体感できるくらいに変化します。
画像右は「スムーズディスプレイ」の項目で、リフレッシュレートの設定ができます。XPLORE 1のリフレッシュレートは最大120Hzで、リフレッシュレートを上げると画面スクロールやゲームなどの動きが滑らかになりますが、バッテリー消費量が大きくなりますので、基本的には「スマート(システムによる自動調整)」にしておけばいいと思います。まあ、XPLORE 1のバッテリー容量を考慮すれば「高」でも問題ないとは思いますが…。
背面・サブディスプレイ
背面です。筐体は樹脂製です。ただし、IP68/IP69Kの防水・防塵性能とMIL規格(MIL-STD810H)準拠の耐久性を備えていますので、ヤワな印象は全くありません。また、背面下部にコネクター(6つの丸い点)があり、これは別売りの充電ホルダー用です。
目を引くのはカメラ横にあるサブディスプレイですね。
サブディスプレイの表示形式は設定アプリから変更できます。画像左にいくつかのデザインを掲載していますが、これは「一部」のみで、実際にはもっと多くのデザインが利用可能です。
このディスプレイは何でも表示できるわけではなく、画像右にある機能のみに対応します。サブディスプレイはタッチ対応し、画面をスワイプすることによって機能を切り替えることができます。
側面・LEDライト・スマートキー
上側面です。撮影の向きの関係で文字が逆さになっていますが、中央に2つのLEDライトがあり、左側にIRブラスター(XPLORE 1を家電製品のリモコンとして使うことができます)があります。
LEDライトは最大170ルーメン、最大ビーム範囲18メートルと本格的です。
実際に試してみたところ、とても明るく、ライトの配置もよく、懐中電灯として十分使えると感じました。
下側面です。筐体が防水設計になっているのでポートはパッキンで覆われています。右側にスピーカーがあり、さらにその右にストラップホールがあります。
なお、XPLORE 1のスピーカーはモノラルです。音質は悪くありませんが、動画やゲームの際の臨場感は出ません(横持ちにすると片側からしか音が聞こえないです)。
パッキンを開くとUSB Type-Cポートが出てきます。なお、XPLORE 1にはイヤホンジャックはありません。
(ウインタブの中だけかもしれませんが)しばしば物議を醸す「USBポートをパッキンで防水する方式」ですが、確かに充電するたびにパッキンを開けていると、経年によりパッキンが劣化する可能性はありますよね。XPLORE 1はワイヤレス充電や別売りの充電ホルダーによる充電も可能なので、個人的にはできればパッキンの開閉しなくてよい、これらの充電方式を使うほうが良いのではないか、と思います(もちろんレビュー期間中にパッキンが劣化したということはありませんでした)。
右側面です。この画像でXPLORE 1の特殊性というか変態性というか、個性が伝わると思います。驚異的な厚さですよね!ここまで厚い理由として、タフネス筐体であるということの他に「バッテリー容量が20,000 mAhと巨大である」ことが挙げられます。
右側面には電源ボタンと音量ボタン、そして左端にストラップホールがあります。
左側面です。オレンジ色のボタンが「スマートキー」で、ユーザーが任意の操作を割り当てることができます。あとはSIM/microSDトレイ。
設定アプリでスマートキーの操作割り当てが可能です。「クリック、ダブルクリック、長押し」で最大3つの機能が登録できます。画像右にあるように、録音やLEDライト点灯、スクリーンショットなどの操作を割り当てることもできますし、任意のアプリの起動を割り当てることもできます。
ちなみに私、「クリック:スクリーンショット」「ダブルクリック:ライト点灯」「長押し:水中カメラ起動」という設定にしてみたのですが、「クリック」はうっかり押してしまうことが多く、やたらとスクリーンショットが撮影されてしまいました。「クリック」の場合は誤操作が発生しやすくなるので、あえて操作を割り当てないほうが良いかもしれません。
SIMトレイの開閉は一般的なSIMイジェクトピンではなく、ギターのピックのような器具を使います。この器具をSIMトレイのくぼみに引っ掛けて開ける構造ですが、特に難しくはありませんし、力が要るということもありません。割と簡単に取り外すことができます。
SIMトレイはよくある構造で「nanoSIM×2もしくはnanoSIM+microSD」に対応します。
筐体を持ってみました。このように「とにかく厚い」そして「スマホとは思えないくらいに重い」です。もちろんタフネス系ガジェットが好きな人には「刺さる」筐体ですが、メインスマホとして持ち歩き、街なかで使うのはちょっと厳しいと思います。また、SoC性能も中国メーカーのタフネススマホとしては高性能なので、ゲームも楽しめると思いますが、ゲーム向きの筐体とは言えません…。
アプリ
ホーム画面とアプリ一覧画面です。プリインストールアプリは中国スマホとしてはかなり多い方だと思います。プリインストールアプリが多い要因として下記の2つが挙げられます。
まずは「Doke AI」と称するアプリ群です。Hi Doki(汎用のAIアシスタント)、ImageX(画像編集)、VidGen(動画編集)、Soundle(音楽制作)と、4つのアプリがあり、いずれも有料です。Blackviewに限らず、クラウドAI処理サービスの場合、サーバー負荷が大きいとされ、無料でサービスを展開するのが厳しいようなので、有料になってしまうのは仕方のないことかもしれません。
ただ、今や多くの人がAIアシスタントを利用していると思いますし、画像編集・画像生成など目的特化のAIサービスも普及していますので、XPLORE 1の4つのアプリと使い比べてみると良いと思います(無料でトライアルできます)。
また、フォーカスモード(設定した時間帯で、指定したアプリしか使えないようにする機能)や凍結室(この画像では冷蔵室。指定したアプリのアイコンをアプリ一覧から消す。つまり起動できなくなる)、プライベートスペース(Androidの標準機能。専用のGoogleアカウントを使い、セキュアなプロファイルを作る)、ワークスペース(個人用と仕事用でプロファイルを分ける)など、Doke OSの独自アプリも多数入っています。
タフネススマホらしい機能やアプリもあります。画像左にあるグローブモードはBlackviewのタフネススマホではおなじみの機能。また、画像右のアプリ「ツールボックス」もBlackviewのタフネススマホでは定番のアプリで、アウトドアで役立つ機能が詰め込まれています。
さらに「リモコン(本体上側面にあるIRブラスターを使用し、家電製品用のリモコンとして使える)」などのアプリも入っているため、プリインストールアプリがかなり多くなっています。Doke AIアプリ、Doke OSアプリについては一通り試してみると良いでしょう。
なお、ウインタブでは別記事にてDoke OSアプリの紹介をしたいと思います。
3. カメラ
XPLORE 1はタフネススマホとしてはカメラ画素数が高い(前面50MP、背面64MP)のが特徴です。カメラアプリは割と標準的で、設定(画像中央が静止画用、画像右が動画用の設定)項目はそれほど多くはありません。静止画で手ブレ補正機能がないのがマイナスかな、と思いますが、ズームは最大8倍まで、HDR、美顔モード、ナイトモード、プロモードなど、必須の機能は網羅されています。ただし、前面50MP、背面64MPの「最大画素数」にする場合はズームやウォーターマークなどの設定は不可となります(このあたりは他社製品と大差ないと思います)。
何枚か撮影してみました(元写真の画素数は16MPですが、サイト掲載用に縮小しています)。風景のほか、建物や人物も撮影し、発色に不自然さは感じられませんでした。中国メーカーのスマホは「画素数番長」というか、やたらと画素数が高くて撮影品質はイマイチ、というものが多い中、XPLORE 1のカメラ品質は高いと感じました。
スマホカメラについては極めて高品質な国内向け製品もありますし、日本人の半数が使っているiPhoneのカメラ品質も素晴らしいですよね?XPLORE 1のカメラがそれらと互角以上の品質とまでは言えませんが、個人的には「このカメラ品質ならメインで使ってもいいだろう」と感じました。
これは64MPで撮影し、その一部を「原寸」で切り抜いたものです。原寸でもかなり鮮明に撮れていると思います。
XPLORE 1は20MPのナイトビジョンカメラも搭載しています。ナイトビジョンカメラは一般的なスマホカメラのナイトモード(夜景モード)とは全く異なり、「モノクロになるが、暗闇でも鮮明な画像・動画を撮影できる」ものです。
画質のほう、20MPの割には粗い、細部が潰れている、とは思いますが、それなりに風情のあるモノクロ写真が撮れますし、肉眼で見るよりも圧倒的に鮮明なので、キャンプなどのアウトドアシーンで、また暗い夜道でのナビゲーションとして重宝すると思います。
4. 性能テスト
Antutuスコアは59万点でした。メーカー公称値だと601,430点なので、それよりは少し低めとなりましたが、タフネススマホとしては十分なスコアだと思います。実際、XPLORE 1の筐体はどう考えてもゲーム向きではないので、高い性能を要求するゲームをするために買う製品ではありません。
59万点というスコアはXPLORE 1に求められるAndroid OSの基本機能やアウトドア用の独自機能を動かす上で不足はなく、ほとんどの操作を快適にこなせる水準だと思います。
5. レビューまとめ
Blackview XPLORE 1はAliExpressに製品ページがあり、9月1日午後4時からセールが開催され、セール価格は12GB/256GB版が39,023円、16GB/512GB版が43,526円で購入できます。
タフネススマホとしての機能については申し分ない製品です。またディスプレイの発色などの基本品質も高く、メインスマホとしても十分に使えます。ただし、さすがにこの厚さと重さなので、お使いのメインスマホの買い替え用としては向かないですね。街なかでの利用を考慮する場合は先日レビューしたBlackview BL7000のほうが良いでしょう。
工事現場などで仕事用として使うとか、キャンプなどのアウトドアレジャーで使うとかいった、明確な利用目的のある人に向く製品です。また、「アウトドア機能満載のガチな5Gタフネススマホが3万円台から」というのはウインタブを愛読していただいている「ロマン派」の読者にも面白いかもしれないです。
6. 関連リンク
※9月1日午後4時から9月6日午後3時59分までセール
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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