ASUSが11月2日に発表したスマートフォンのニューモデル「ZenFone 9」の実機レビューです。前モデルのZenFone 8までは小型モデルと回転式フリップカメラを搭載する「Flip」の2機種が発表されていましたが、今回はコンパクトモデルのZenFone 9のみとなりました。。
・希少なコンパクトハイエンドスマートフォン
・重量級ゲームも楽しめるQualcomm Snapdragon 8+ Gen 1
・動きが激しい場面でも安定した動画を撮影できるジンバル機能内蔵
ここがイマイチ
・ZenFone 8と比較すると厚みは増した
・カメラの出っ張りが人によっては気になるかも
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目次
1.ZenFone 9 スペック
スペック表
ASUS ZenFone 9 | |
OS | ZenUI(Android 12ベース) |
CPU | Qualcomm Snapdragon 8+ Gen 1 |
RAM | 8GB/16GB |
ストレージ | 128GB/256GB |
ディスプレイ | 5.9インチ(2,400 x 1,080)120Hz AMOLED |
LTEバンド |
5G:n1/2/3/5/7/8/12/20/28/38/77/78 FDD-LTE:B1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/26/28 TD-LTE:B34/38/39/40/41/42 |
SIM | nanoSIM × 2 |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.2 |
入出力 | USB Type-C、3.5mmイヤホンジャック |
カメラ | イン12MP/アウト50MP + 12MP |
バッテリー | 4,300 mAh |
サイズ | 146.5 x 68.1 x 9.1 mm |
重量 | 169 g |
バリエーションモデル
・RAM8GB/ストレージ128GB
・RAM8GB/ストレージ256GB
・RAM16GB/ストレージ256GB
コメント
OSはAndroid 12ベースの独自UI、Zen UIです。2014年に登場した初代ZenFone 5 LTEではUIが大幅にカスタマイズされていましたが、バージョンを重ねるにつれ素のAndroid OSに準じた見た目に変更されています。ROG Phone 6/ROG Phone 6 Proにも搭載されていたゲーム支援機能「Game Genie」や後述する「ZenTouch」など便利な機能も用意されています。
CPUはSnapdragon 8+ Gen 1です。前モデルのZenFone 8でもSnapdragon 888を搭載していたので、ZenFone 9でもハイエンドCPUを当然するは自然な流れと言えるのですが、コンパクトスマホでは採用例が少ないので貴重な存在、と言えます。RAMは8GB/16GB、内蔵ストレージは128GB/256GBで、MicroSDカードスロットはありません。
モバイルネットワークは4G、5Gともに国内主要キャリアのバンドをカバーしていますが、ドコモで採用されている5G n79には対応していないほか、ミリ波にも対応していません。
バッテリー容量は4,300 mAhで、30W出力の急速充電をサポートしています。
2.ZenFone 9 筐体と使用感
.
付属品は充電器、SIMピン、マニュアルなどのペーパー類、USB-C to Cケーブル、専用ケースです。近年付属品を最小限にする流れになってきていますが、はじめてスマートフォンを購入する方にとっては別途充電器やケースを購入しなくてはならないというデメリットがあるので、最初から必要なものがそろっているのはありがたく感じられます。
前面です。ZenFone 8と同じく左側面にパンチホールノッチが配置されています。
背面です。アウトカメラ下部にメカニカルなロゴがデザインされており、ZenFoneというよりはROG Phone Miniっぽい印象になっています。非常にかっこいいデザインなので、できればクリアケースを装着して運用してみたかったところです。背面はわずかにざらついており、滑りにくく手に馴染む感触でした。今回レビューしている16GB/256GBモデルは「ミッドナイトブラック」のみですが、8GB/258GBモデルでは「ミッドナイトブラック」「ムーンライトホワイト」、8GB/128GBモデルが「ミッドナイトブラック」「ムーンライトホワイト」「スターリーブルー」「サンセットレッド」の4色から選択可能です。
ん。
右側面には電源ボタン、ボリュームボタンが配置されています。電源ボタンには指紋認証センサーが埋め込まれています。また、下の画像を見ていただくとわかりやすいのですが、電源ボタンを二度押しやスワイプすることで様々な操作を割り当てることが出来る「ZenTouch」機能も搭載されています。
また、下の画像ではカメラバンプの飛び出しがかなり大きくなっているのもわかります。Zenfone 9のカメラはジンバル(手ブレ防止のためのハードウェア)を内蔵しているので、それが理由と思われます。
なお、左側面にはポート類やボタン類はありませんので掲載を省略させていただきます。
上面には3.5 mmイヤホンジャックがあります。近年ハイエンドスマートフォンではイヤホンジャックが用意されていないものも増えてきているので、ある意味貴重と言えます。
下面にはSIMトレイ、USB-Cポート、スピーカー、マイクがあります。ZenFone 9では上面(通話時にも使用するスピーカー)と下面にステレオスピーカーを搭載しています。
今回オプションの「ZenFone 9 Connex Accessories Set」もお借りしました。そのままの状態でもハードケースとして使用できますが、付属するカードホルダーを装着することでポイントカードやキャッシュカードなどを収納可能です。
Connex Accessories Setにはスマートスタンドも付属しており、こちらを装着するとZenFone 9状態を立てた状態で動画を楽しむことが出来ます。標準付属するケースも高品質ですが、Connex Accessories Setも多機能なケースになっているので一緒にそろえておくと便利です。
システム
現在のZenUIは素のAndroidに準じた外観です。Android 12なので「ダイナミックテーマ」などの機能も利用できます。
ROG Phone 6シリーズだとゲームアプリがインストールされていましたが、ZenFone 9ではGoogle純正アプリ、Zen UI標準アプリと「Facebook」「NePlayer for ASUS」「Netflix」とシンプルです。
日本向けモデルには「ゆるキャン△」の壁紙がプリインストールされています。かのあゆもレビュー期間中この壁紙を使っていましたが、おそらくZenfone 9限定と思われますので、「ファンにはたまらない」ものでしょう。
ROG Phone 6シリーズと同じく、ゲーム支援機能の「GAME GENIE」も利用可能です。他社スマートフォンでも似たような機能は搭載されていますが、Zen UI/ROG UIのGAME GENIEは強力な機能を備えており、ゲームプレイ中にChromeで攻略情報を確認したり、YouTubeで動画を視聴できる「PinPモード」も使えます。
ZenFone 9の電源ボタンは片手でも快適に操作できる「ZenTouch」が搭載されており、設定から「ボタンを二度押ししてカメラアプリを起動」「ボタンをスワイプして通知領域を展開する」といった動作を割り当てることが可能です。特に電源ボタンをスワイプするだけで通知を確認できるのは非常に便利でした。
国内版ZenFone 9ではおサイフケータイ(Felica)も利用可能です。レビュー機ということもあり、残念ながら実際に登録することは出来ませんでしたが、7モバイルSUICA/PASMOやモバイルnanacoなどをコンパクトなZenFone 9で利用できるのはやはり便利だと思います。
レビュー期間中、発売前にもかかわらずシステムアップデートが配信されていましたが、レビュー機を開封した時点では2022年8月1日のAndroidセキュリティパッチが適用されている「WW_32_2040_2040_23」がインストールされていました。
なおZenFone 9では国内版でも今後提供されるソフトウェアを一足先に試せるベータテストプログラムに参加できます。あくまで開発中のソフトウェアなので一般ユーザー向けではありませんが、おそらく今後リリースされるAndroid 13へのアップデートも一足先に試すことが出来るものかと思われます。
レビュー機は最上位構成となるRAM 16GB/ストレージ256GBモデルです。MicroSDカードによるストレージ拡張が利用できないので大容量ゲームを大量にインストールしているヘビーユーザーにはこれでも厳しいかもしれませんが、多くのユーザーにとっては十分な容量です。ゲームをあまりプレイせず、写真などのデータをGoogleフォトやOneDriveといったクラウドストレージで定期的にバックアップしている方であれば128GBモデルでも十分かもしれません。
ディスプレイ
ディスプレイは5.9インチサイズで、解像度はFHD+(2,400 × 1,080)です。パネルは高品質なAMOLED(有機EL)で、リフレッシュレートは120Hz表示をサポートしているためWEBブラウジングやSNSアプリでもスムーズなスクロールを体感することが出来ました。色鮮やかな画質を実現しており、特に黒は有機ELを採用していることもあり引き締まった色合いで見ていて惚れ惚れするほどでした。
なおデフォルトではシステムモード設定が「高性能」になっており、リフレッシュレートが120Hz表示に固定されていますが、「設定→バッテリー→システムモード」より「ダイナミック」に変更することで状況に応じてリフレッシュレートを可変させる「自動」に設定できるほか、60Hz、90Hz、120Hzに手動で切り替えることが可能になります。
スピーカー
ZenFone 9にはステレオスピーカーが内蔵されており、「Direc」の音声補正技術が搭載されています。コンパクトなサイズ感ながら迫力のあるサウンドを楽しむことが可能となっており、レビュー期間中はオーディオプレイヤーとしても活躍してくれていました。
設定にある「オーディオウィザード」ではゲームや音楽、動画視聴などシチュエーションに応じたイコライザー設定に切り替えることも可能です。標準では「動的」に設定されており、コンテンツに応じて自動的に最適な設定に切り替えてくれます。
カメラ
カメラUIはROG Phone 6に搭載されているものと共通で、「ライトトレイルモード」(カメラの露光時間を長く設定した状態で、光源を動かすことで“絵を描く”撮影法)などの機能も利用可能です。またZenFone 9では片手操作で写真のズームイン、アウトを操作できるようになっています。
カメラはイン12MP、アウト50MP(メイン) + 12MP(超広角、マクロ)という画素数で、アウトカメラにはソニーのCMOSセンサー「IMX766」が採用されています。明るい場面はもちろんのこと、暗所も美しい写真を撮影可能です。食品も何枚か撮影してみましたがSNS映えするおいしそうな写真を撮影することが出来ました。
ZenFone 9にはジンバルモジュールが組み込まれており、動きが激しい場面でも安定した動画を撮影することが出来ます。上記サンプル動画は実際にZenFone 9を使用して歩きながら撮影した動画になりますが、通常ならぶれてしまう状況にもかかわらず安定した動画を撮影できています。レビュー機なので今回は試すことが出来ませんでしたが、自転車のマウントに固定してアクションカメラ代わりとして使用するのも面白いかもしれません。
3.ZenFone 9 性能テスト
参考:
ROG Phone 6(Snapdragon 8+ Gen 1):1120,013
ROG Phone 6 Pro(Snapdragon 8+ Gen 1):1108,020
Xiaomi 12 Pro(Snapdragon 8 Gen 1):971,423
ASUS ROG Phone 5s(Snapdragon 888+):846,862
POCO X4 GT(Dimensity 8100):798,752
ASUS ZenFone 8(Snapdragon 888):785,280
POCO F4(Snapdragon 870):658,456
Galaxy S20 SC-52A(Snapdragon 865):655,707
Galaxy S21 SC-52B(Snapdragon 888):624,772
Mi 11T(Dimensity 1200 Ultra):582,178
Xiaomi Pad 5(Snapdragon 860):566,309
realme GT Master Edition(Snapdragon 778G):542,182
Xperia 1 SOV43(Snapdragon 855):511,163
Huawei nova 9(Snapdragon 778):500,881
Xiaomi Mi 11 Lite 5G(Snapdragon 780):500,573
ZenFone 9は現時点では最高性能となるSnapdragon 8+ Gen 1を搭載しています。ROG Phone 6/6 Proと比較すると若干総合スコアは低めに出ています。GPU性能も461,481点と高い数値を計測しています。
今年の前半のハイエンドモデルに搭載されていたSnapdragon 8 Gen 1は「原神」などの重量級3Dゲームを長時間プレイしていると発熱が目立つ印象でしたが、ZenFone 9ではベイパーチャンバー式の排熱システムを採用することによって発熱がかなり抑えられており、長時間のゲームプレイも可能でした。
4.ZenFone 9 レビューまとめ
ASUS ZenFone 9は、11月4日の発売予定でASUS Storeでは既に予約販売がスタートしています。11月2日現在の価格は下記の通りです。
8GB/128GB:99,800円(税込)
8GB/256GB:112,800円(税込)
16GB/256GB:129,800円(税込)
もともとかのあゆはXperia CompactシリーズやiPhone 12 miniといったコンパクトなスマートフォンが好きだったこともあり、今回実機レビューをしたZenFone 9はグローバル版が発表された時点でぜひ触ってみたいと思っていた端末でした。ZenFone 8も完成度は高かったのですが、ZenFone 9ではコンパクトなサイズ感はそのままに安定した動画を撮影することが出来るジンバル機能を内蔵するなど、Zenfone 8から、さらなる進化を遂げています。
レビュー期間中、この製品がメインスマホだったらいろいろ楽しいんだろうな・・・ということを感じてしまいました。おサイフケータイの搭載など、(グローバルモデルをそのまま投入するのではなく)国内向けのカスタマイズをしっかりと行っているのも好感を持てます。
円安の影響により、ハイエンドモデルは気軽に購入しにくくなってしまいましたが、ZenFone 9では価格面も頑張っており、ポケットにすっぽり入るスマートフォンを探している方には有力な候補になると思います。個人的にも「レビューしていて楽しかった」です。
5.関連リンク
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