こんにちは、オジルです。SeeAudioの有線イヤホン「YUME Ⅱ」の実機レビューをお届けします。
本製品は2万円オーバークラスと、オーディオ好きな方でなければ決して安いとは言えない価格帯です(マニアからすればだいぶ安いようですが…)。そして、これまでに何度かウインタブ上で「有識者ではないライターが高品質有線イヤホンをレビューする」機会があったのですが、今回担当する私も同様です。マウス・キーボード・イヤホンなどの周辺機器に強いこだわりもない、いたって普通のサラリーマン(私)があえて非日常を体験し感動する。それこそがウインタブ流であり、多くの読者さまとの共感ポイントだと信じてレビューいたします!専門性の高い内容はお届けできませんが、最後までお読みいただけましたら幸いです。
なお、レビューにあたり中国の通販サイト「HiFiGO」より実機をサンプル提供いただいております。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。
1.SeeAudio YUME Ⅱ スペック
YUME Ⅱはリケーブル(ケーブルの交換)ができるタイプのイヤホンで、スペック上で特徴的なのは、ドライバーの「1DD+2BA」です。私と同じように、よく分からない方向けに簡単に説明しますと「ひとつの低音型+ふたつの中~高音型のハイブリッド構成だからバランスがいいですよー」ということですね。
この構成は前身モデルの「YUME」から変わっていないのですが、「Ⅱ」への進化にあたり、筐体の素材を樹脂から航空機グレードのアルミ合金に変えたり、シリカゲルを使った振動板にすることで温度や湿度によって影響を受けにくくしたり…他にも細々とした情報はあるものの、いかんせん進化のほどを確かめるすべは今の私にはありません。YUME Ⅱがどうなのかで確かめるしかないですね。
大変申し訳ないのですが、私はSeeAudioというメーカーやYUMEという名前のイヤホンなど一切聞いたことがなかったため、少しウェブ上やSNSなどで調べさせていただきました。結果、SeeAudio自体の歴史は浅いとはいえ、少し前から「YUMEの後継機が出るらしい。どんな感じか聴いてみたいなぁ」といった声がいくつも出てきたのを見て自分の浅はかさを知りました…それが全てだと思います。誠に失礼いたしました。
2.SeeAudio YUME Ⅱ 筐体
まず外箱ですが、女の子のイラストが入っていて、開封の期待感が高まるデザインです。私はどんなガジェットでも外箱はほとんど処分、または押入れの中の末路を辿るんですけど、たとえそうなっても開ける時のワクワクは大切だと思うんですよ。ちなみにこの女の子、どうやらRINKOちゃんというSeeAudioのオリジナルイメージキャラクターの模様。
蓋を開けると、本体と5種のイヤーピース、キャリーケースのほか…
説明書とノベルティのカード、クロス、缶バッジ(キャリーケースの中にありました)、ノズル部分の予備フィルターが入っていました。
ケースの中にはケーブルが入っています。2ピンかつ3.5mm端子、私はこういったケーブルを初めて手に取りましたが、おそらくイヤホン業界では一般的な仕様のものですね。2ピン部分の付近には耳に掛けやすいような処理が施されています。
続いて本体です。ご覧の通り、置いてあるテーブルの木目が綺麗に反射するほどの鏡面加工。実物を見るまでは「少しダサいイメージなんじゃ…」と思っていましたが、実際は高級感があって個人的には好きですね。ただ、指紋や小キズが付きやすいだろうとは思いますが。
ノズル側も同じように、というか製品全体が鏡面加工されています。ふと思ったのですが、予備のフィルターが付属していたものの、交換はどうすればいいのでしょう?説明書は中国語/英語のみで、ざっと見たところ言及されていなかったような…。
側面には、製品名とともに左右の区別ができるよう「L」のレーザー刻印が入っています。画像は割愛しますが、右側は「R」の刻印です。
本体にイヤーキャップとケーブルを装着するとこのようになります。当然リケーブルもできますが、こだわらない私からすれば、全体がシルバー系で統一されていてなかなかカッコイイなと。(本当にどうでもいい話ですけど、既視感があるような気がしていたらこれですね!だから好きなのかもしれませんw)
このケーブル接続の際、説明書を見ると英語で「ケーブルのL/Rと本体のL/Rを合わせる」ようなニュアンスの内容が書かれているのですが、ケーブル側に表記がなかったのは戸惑いました。中国語側の説明で「R(もしくは赤いほう)」のような書かれ方をしてあったのでおそらく合っているとは思うのですが…私が不慣れなこともあり、もうちょっと親切にナビゲートしてくれたら嬉しかったですね。一方でフォローさせていただくと、前身である「YUME」の外部レビューで2ピンの差し込みが緩いようなことが書いてあったのを見かけましたが、そこは全く問題なく、しっかり改善されているんだなと好感を持ちました。
3.SeeAudio YUME Ⅱ 音質
過去記事にて、ウインタブ氏が「そもそもイヤホンよりもまずはポタアンなんじゃないか」といった話をされていたことがありまして、それをふと思い出したんですね。詳細が気になる方はこちらをお読みいただくとして、私も便乗して「安価ながらもコスパが良さそう」な品を探して購入しました。上海問屋のDN-916047です。ここで詳細に触れることはしませんけど、結論だけ述べるのなら、あるのとないのでは大違いでした。
また、同種・同価格帯のイヤホンを所持していないこともあり、今回は手持ちの「5,000円クラスのワイヤレスイヤホン」、「有線接続可能な1万円クラスのワイヤレスヘッドホン(ポタアンなし・イヤホンジャック接続)」を用いてPC・スマホ(どちらもオーディオ性能に突出していません)のSpotifyにて各種音楽ジャンルでYUME Ⅱとの聴き比べを行いました。余談ですが、念のためクラシックのハイレゾ音源サンプルも聴いてみたものの、正直なところイヤホンより耳が追い付いてきませんでした…。
さて本題の音質ですが、シンプルに表現するのであれば、非常にバランスが良い印象です。バランスが良いからといって味気ないかというとそんなこともなく、それぞれの音域で個性を感じました。
■低域…しっかりと鳴るのはもちろんのこと、ほどよく量感が抑えられていてマイルドさも併せ持ちます。安価なイヤホンで顕著に感じられる「音潰れ」とは異なり、あえて柔らかくしてくれているような優しさというか品の良さは聴いていて心地良く、かつ、それでいて分離に優れ音場を感じることができます。
■高域…分離感に優れはっきりとした解像度ではあるのですが、シャリ感が適度に抑えられ、抜けが良く滑らかな印象です。入りは鮮明でありながら、着地の刺さりが少ないため聴き疲れすることもありません。
■中域…全体の中で最も解像度が高く、輪郭が強調されている印象を受けました。特にボーカルは距離が近く感じられるため、ボーカル主体の音楽は全般的に聴いていて耳馴染みが良いです。低・高域の音場感とエッジの丸みも相まって、「この人の声が好き」とファンになっているアーティストの楽曲であればより満足度が高まりそうです。
総合すると、音場は横に広く、奥行きはそれほど感じません。例えるなら、バンドのライブ会場の最前列付近で聴いているようなイメージでしょうか。前述の通り、低・高域での「端っこ」の部分のエッジが良い意味でぼやけているように感じられるのが余韻となり、まさに夢(YUME)の所以たるところなのかもしれない、と勝手に想像を巡らせてしまいました。
どのジャンルでもある程度カバーできる…というより私のように「最低限不満なく聴けたらいい人」からすれば何も聴いても感動できるのは言うまでもないのですが、あえてチョイスするのであればジャンルを問わず、俗にいう「幅広い年齢層に好まれるヒットソング」の類が最も適合するように感じました。私の場合、これまでほとんど興味がなかったアニソン・ジャズ・メタルにおける楽器の細かい音が聞こえてきて印象が変わったこと、またゴスペルで各パートの分離を如実に感じられたことで「もっと色んな曲を聴きたい!」と普段関わりのないジャンルにたくさん触れ、新鮮な気持ちになれました。
4.SeeAudio YUME Ⅱ レビューまとめ
SeeAudio YUME Ⅱは1月8日現在、HiFiGOにて199ドル(26,292円)の通常価格から50ドル割引の149ドル(19,685円)で販売されています。どうやらここ数日の間に家電量販店のオンラインストアなどで取り扱いが始まったようで、どの販路も税込み33,500円で横並びとなっているため、気になる方にとってはHiFiGOでの購入が現状だいぶお得になりそうです。
今回比較した「5,000円クラスのワイヤレスイヤホン」は毎日通勤の際に使っていて、特に不満もないお気に入りです。でも、YUME Ⅱと聴き比べたら「こんなペラッペラの音で毎日よくもまあ…」と思ってしまうくらい、何もかもが違いました。この感覚、実は日常に多く潜んでいると私は考えていて、たとえばA5クラスの高級ステーキを大枚はたいて食べたら満足できるんですけど、それでもスーパーで売られている1,000円くらいのステーキを食べるんですよね。しかもおいしい(私は…です)。
私はこれからもきっと、いつものワイヤレスイヤホンを持って出かけます。ただ、今後は自宅で音楽を聴くときには違うでしょう。たまにはゆっくりと音楽に浸ってみよう、そんな贅沢なひとときを演出してくれるYUME Ⅱは「いいお肉」同様、味わって後悔することのない製品だと感じました。むしろ、オーディオは沼だとよく聞きますが、これくらいの価格帯でこんなに満足できるんだ!と正直驚いています。高品質イヤホンの世界、ちょっとのぞいてみませんか。