こんにちは、natsukiです。先日ORICOのポータブルSSD(ソリッドステートドライブ)紹介記事を書きましたが、そこでとりあげた「ORICO CN210」を実際に購入したので、レビューします。軽量コンパクトなサイズ感のポータブル外付けSSDで、キンキンに冷やしてくれそうな?放熱フィンがデザイン上のアピールにもなっているカワイイやつです。
1.製品概要
基本スペックは、以下の通りです。
SSD形式:3D NAND FLASH
容量:240GB / 480GB
データ転送速度:最大520MB/s
インターフェース:USB 3.1 Gen2 Type-C (10Gbps)
サイズ:68.3 × 35.7 × 9.5 mm
重量:42g(実測)
保証期間:3年
私が購入したのは、480GBの方です。データ転送速度が最大520MB/sということは、SATA接続ですね。スペック的には、サイズが小さいということの他は、普通のポータブルSSDです。
2.筐体
箱です。
同梱品です。ケーブルは、通常のUSB(Type-A)と、Type-Cの2本がついてきます。私は、結局Aliexpressで購入したので説明書は中国語と英語でしたが、日本のAmazonで購入した場合は分かりません。
本体です。うんうん、放熱フィンがいい味出していますね。ポートはUSB Type-C。横の穴は接続インジケーター。
ちゃんとストラップホールがついているのが嬉しい。ポータブル用途なんで、ここはポイント大きいですよ。
このサイズ感。重量は実測で42g。素晴らしいです。
3.フォーマット
む、PCに接続したのに表示されない!? DドライブはmicroSDカードです。……はい、SSDはたいていフォーマットがされていないので、それでいいんです。慌てず騒がず、用途に応じたフォーマットを行いましょう。
いちおう、ちゃんと認識されているかどうかをチェックしておきます。スタートボタン右クリックから「デバイスマネージャー」を開き、「ディスクドライブ」を展開。「JMicron Generic SCSI Disk Dvice」と表示されているのがそれです。うん、大丈夫。
では、フォーマット。スタートボタン右クリックから「ディスクの管理」を開くと、自動で未フォーマットのディスクを検出します。「ディスク2」として検出されました。今回は、パーテーションスタイルはGPTを選択。
「ディスク2」の「未割り当て」の適当な部分を右クリックで、「新しいシンプルボリューム」を選択。
複数機器でのデータのやりとりに使うつもりなので、汎用性から、ファイルシステムはexFATを選択。アロケーションユニットサイズは、規定だとかなり大きくなるものを、あえて32Kに。この辺の理由は以前の記事を参照のこと。要するに、容量の無駄をケチったんです。「次へ」に進んで、これにてフォーマット完了。
よーし、これで使用準備完了です。額面480GBで、実際使える領域は447GBでした。スペック値の90%越えてりゃ、十分満足です。
4.使用感と性能テスト
測定環境
それでは、せっかくなのでいくつか性能テストをしておきましょう。ただし、フォーマットの設定や使用環境によって結果が大きく変わるであろうことはご承知おきください。厳密なものではなく、あくまで目安ということで。
接続パソコンは、Teclast X6 Pro。中華PCながら、これまでも様々なテストに利用していて、少なくともデータ転送については、SATA接続レベルなら十分な能力があると評価しています。ケーブルは、ORICO CN210付属のものを使用。また、Teclast X6 ProはUSB3.0 Type-AポートとUSB Type-Cポートの両方を備えるため、以下のテストは念のため両方で行っていますが、有意な差は見られなかったので、とくにどっちのときというのは記述していません。
「CrystalDiskMark」でデータ転送速度を測定
まずは、データ転送速度のベンチマークをとってみます。定番の、データ転送速度測定ソフト「CrystalDiskMark」の測定結果です。
シーケンシャルアクセスは、スペック値で最大520MB/sとのことですが、ベンチマークでもこれだけ出ていれば納得でしょう。また、ランダムアクセスも外付けのSATA接続としては普通の値。これなら、軽量なOSやソフトを入れての運用にも耐えられます。比較として、Teclast X6 Proの内蔵SSD、USBメモリとmicroSDカードとして最高クラスの性能を持つSanDisk Extreme Proシリーズのベンチマーク結果を載せておきました。
SanDisk Extreme ProシリーズのUSBメモリは、以前に詳細にレビューした通り、USBメモリとしては非常に高性能なため、シーケンシャルアクセスでは食い下がります。しかし、ランダムアクセスではやはりそれなりの差が。SSDの優位を見せつけた結果となりました。
実際に大きなデータを書き込んでみる
「CrystalDiskMark」での測定結果は、あくまで理想状態です。例えば、この手のポータブルSSDでは、小さいがゆえに、おそらく排熱に難を抱えて、継続的なデータアクセス時にはデータ転送速度が大幅に低下したり、なんて場合もあります。そこで、シンプルに、大容量のデータを書き込んでみました。
まずは、一番負荷の少ない、単独のファイルでやってみましょう。
はい、ご覧の結果。実際の速度は200MB/s台前半といったところ。うーん、実際には、こんなもんですかね。ボトルネックになっているのが、SSD側かPC側かまでの検証はしていません。とりあえず、これだけ速度が出れば、実用面では十分なもので。
では、60GB越えの巨大なファイルを書き込んでみます。
結果は、ご覧の通り。所要時間は約5分。速度は200MB/s強ながら、最後まで衰えません。また実は、このコピーを、USB3.0で2回、USB Type-Cで2回、計4回、ほぼ連続して行ったんですが、まったくスピードは衰えません。そして温度は、触っても少しあったかいかな程度。内部温度も、「CrystalDiskInfo」で監視していましたが、40度で動きません。
実は、USBメモリのSanDisk Extreme Proは、単独のファイルであれば読み書き両方最大250MB/sくらいをたたき出すので、シーケンシャルアクセスに限って言えば、ORICO CN210と大差ないかSanDisk Extreme Proの方が上なくらいなんです。ただし、かなり発熱します。
総評
性能テストの結果をまとめると、以下のようなことが言えると思います。
・データ転送速度は、スペックやベンチマークの上限値を、実際の使用時に出せるわけではない(環境によるか?)。シーケンシャルアクセスでおおむね200MB/s台。
・それでも、シーケンシャルアクセスで、USBメモリの最高峰と同等、microSDカードとは比べものにならないくらいの速度はある。
・ランダムアクセスは、USBメモリやmicroSDカードを大きく上まわり、ベンチマーク上はSATA接続の内蔵SSDに匹敵するので、ソフトやOSを保存しての活躍も期待できる。
・単純なデータのやりとりくらいなら、発熱や、それによる性能の低下はほぼない。
なお、SSDの長期利用にともなうデータ断片化の影響についてはいろいろな意見があるようですが、そんな高度な使い方をする製品ではないので、ここではその是非の判断はしません。
5.まとめ
長期的な信頼性については、どの程度のものかは分かりませんが、ORICOは中華メーカーとはいえ、国際的に十分な展開を行っているブランドでもあるので、一定の信用はできるでしょう。いちおう、3年間の保証もあります。そもそも、この製品は「ポータブル」用途です。つまり、ここだけに恒久的にデータを保存しておくという用途を想定した製品ではなく、他にデータの元やバックアップがあった上で、一時的にデータを保存するための製品です。そういった用途から見ると、速度、サイズ感、デザイン、どれをとっても満足。小さい分、対ショック性能とかはありませんが、ストラップホールがついているので、そこをうまく使えばいいでしょう。容量の選択肢は、256GBと480GBで、せっかくなら1TBの選択肢も欲しかったところですかね。
価格は、Amazonで、記事執筆現在、240GBが4,888円、480GBが6,988円となっています。ちなみに、この価格ならAliexpressのORICO直営店よりも安いです。廉価帯の外付けSSDとしては普通の、入手しやすい価格ですね。手のひらに収まる取り回しの良いサイズ感で、性能的にも十分。USBメモリでは容量やデータ転送速度に不満があるとき、またはちょっと個性を主張してみたいとき、外付けストレージとしてなかなか良い選択なんじゃないでしょうか。
6.関連リンク
ORICO ポータブルSSD CN210:Amazon
オリコCN210ミニポータブルssd:Aliexpressのメーカー直営店
Shadow Portable SSD(CN210):メーカーサイト
大手メーカーだけじゃつまらない?ORICOの個性的なポータブルSSDが気になる!:ウインタブでのORICOのポータブルSSDラインナップ紹介記事