こんにちは、natsukiです。先日、Banggoodの電子工作ラインナップを紹介する記事を書かせていただきました。今回は、それらの中で実際に買って作ったものの中から、比較的作成の簡単な、作りながら電子工作の基礎を学んでいける製品をいくつか紹介したいと思います。いずれも、作った後に遊べるものばかりなので、作るだけでなくそれが動作する喜びを体感できるかと思います。しかも、どれもすごく安いので、ものは試し、是非チャレンジしてみてください。
なお、はんだ付けをバンバンしていくので、はんだごての選択はもちろんのこと、多少の周辺機器も準備しておくと、安全に快適に作業を進めることができます。これも、記事にまとめてありますので、ぜひ事前にご覧ください。
Banggoodの電子工作ラインナップが熱い!ともかく安いので気軽にはじめられますよ!
はんだごてと便利な道具のセットを揃えよう!電子工作やドローンのメンテナンスに!
目次
1.まずは安くて簡単な、「電子キーボード」を作ってみよう
製品概要
初めてのはんだ付けなら、まずはこれがお勧め。なんと、300円台。電子キーボードです。同類の製品が多数ありますが、これはUSB電源でスピーカーも一体化している、扱いやすいタイプ。8つのキーで「ドレミファソラシド」の1オクターブと、1つの転調キーで音域を切り替えられます。
この製品は、はんだの間隔も広いので、初めての練習に最適です。
説明書の有無をチェック
あと重要なのは、製品ページにpdfファイルで組み立て説明書が付いています。この手の電子工作シリーズは、説明書なんか無しで「基板見りゃ分かンだろ!」というのが多いのですが、「EQKIT」ブランドの製品は、英語の丁寧な説明書を提供してくれているものが多いです。はじめは、商品ページをよく見て、説明書のある製品をお勧めします。
開封したら部品の整理
では、開封。たいてい、このようにビニール袋に突っ込んだだけの状態で届きます。
開封したら部品を整理。ちゃんと全部そろっているか確認しましょう。
向きのある部品とない部品
まず基礎中の基礎から。電子工作の部品の中には、向きがあるものと関係無いものもあります。
抵抗器(基板上には「R」と表記)と、セラミックコンデンサ(基板上には「C」と表記)は、向きがありません。抵抗器は、色が付いているので、向きがあるんじゃないかと不安になりますが、どっち向きに付けても問題なしです。セラミックコンデンサも向きはありません。ただし、同じく基板上に「C」と表記されているコンデンサでも、その他の種類のコンデンサはたいてい向きがあるので、要注意です。
向きのあるものは、基板上に何らかの分かるような表記があるので、それに従えばOKです。基本的なこととして、部品の端子の長さに違いがある場合は、長い方が「+」、短い方が「ー」となります(画像は、このキットとは別のコンデンサです)。これは覚えておきましょう。
抵抗器のカラーコードを読もう
多くの部品は、基板上に型番や数値が表記されているので、その表記どおりの部品を選ぶだけなんですが、抵抗器のみは、表記が特殊なので慣れる必要があります。なんか、色の帯が付いていますよね。これが「カラーコード」と呼ばれるもので、抵抗の値を表しています。
ネット上で「抵抗」「カラーコード」で検索をかけると、いろんなサイトがヒットするので、見やすい一覧表を印刷しておくと便利です。また、一覧表にない抵抗に出くわすこともよくあるので、スマホで色から抵抗値を計算できるカラーコード計算サイト(これも膨大にあり、簡単に見つかります)を開いておくとよいでしょう。もちろん、ちゃんと法則があるので、興味のある人は学んで自分で読んでみてもよいかと思います。
あとは、部品を留めてある紙に書いてある場合もあるので、よく見ておきましょう(画像は別のキットのものです)。
組み立て
作業は、風通しのよい場所で、風向きにも気をつけて煙を吸い込まないように。
この製品は、組み立て手順を細かく示した説明書があるので安心です。ただ、順番はあんまり関係ありません。基本的には、完成画像を見つつ、小さい部品から優先的に取り付けていった方が、作業しやすいですね。大きい部品は、他の部品を取り付けるときに邪魔になりがちなので。もちろん、構造によってはその限りでないので、その辺は考えながら進めます。
完成
はい、完成。早速演奏してみましょう。
うえええぇぇ、音程が気持ち悪い(笑)。まあ、安物だしこんなものか。
EQKIT Simple Electronic Organ Kit
2.組み立て説明書がしっかりした「電子砂時計」で、狭いはんだを鍛えよう
製品概要
こちらは、電子砂時計です。約600円。ひとつひとつのはんだ難易度は高くないものの、数が膨大にあるので、練習に最適。間隔は狭いですが、うちの小学生の娘の初はんだはこれなんで、そこまで難しくはないと思います。完成してからも遊びがいのある、特にお勧めの一品です。
「EQKIT」ブランドで、丁寧な組み立て説明書があるのも安心。ちなみに、微妙に細部の違う同類品も膨大にありますね。
組み立て
じゃんじゃんはんだ付けしていきます。
抵抗器がびっしり。トライポフォビア起こしそう。抵抗値が違うのも混じっているので、間違えないように。
ダイオードは向きに気をつけて。
抵抗器、ダイオード、ICチップ、2枚の基板をつなぐ配線と、ともかくはんだ付けの数が多いので、これを完成させれば、はんだ付けの手際はかなりよくなっていることでしょう。
完成
完成……、したはいいけど、電源は? はい、この製品、電源なんて気の利いたものは付いていません。「3.3-5V」の電源パッドが付いているだけ。自前で、電池ボックスなどを用意してつなぎましょう。ちなみに、乾電池だと3本直列推奨ですが、2本でも十分動作しました。
EQKIT DIY Electronic Hourglass Kit
3.不親切な(笑)「16電子音ブザー」で、組み立ての工夫に慣れよう
製品概要
お次は、切り替えスイッチ4つで、2の4乗=16種類の電子音が出せるブザーです。400円台で買えます。
この製品は、説明書なんてありません。基板と商品ページの完成図やレビュー動画を見て、組み立てるのみ。てか、商品ページには、「うまく鳴らなかったら、コンデンサを足してね」なんて書いてある。そんなアバウトな。
組み立て
部品は、けっこう種類が豊富です。
ありゃりゃ。まあ、よくあるよね。このくらいなら、ピンセットではめ込み直して無問題。
では、小さい部品から取り付けていきましょう。抵抗器の種類や、ダイオードの向きを間違えないように。
ここまで作ってくると、かなり手際もよくなってきました。なかなか形のよいはんだ付けです。って、おいおい、その台にしているのは、ICチップのゲタじゃないか? 勢い余ってICチップを直付けしちゃっています。熱でやられてなきゃいいんですが。
この縦の部品が、ちょっとやっかい。商品ページの完成写真を見て、どこをつなぐか判断しながら取り付けていきます。固定しづらいので、こういう作業は、サードハンドがあると楽です。このときは、2人がかりで取り付けました。マスキングテープなどで固定するのでも、よいですね。バイパス線は、抵抗器の端子の切れ端を再利用。
完成
完成です。外部モジュールに接続する端子なんかも付いているので、分かる人にとっては拡張性もあるようです。例によって、電源は、商品ページに「4.5-5V」との指示があるだけなので、自前で用意してつなぎます。
試しに鳴らしてみると、ガリガリと音質が非常に悪いので、商品ページのアドバイス通り、コンデンサを付け足すと音がクリアになりました。では、あらためて鳴らしてみましょう。先にお断りを。生活音を極力防ぐため深夜に収録しましたが、かなり音量が大きいため、スピーカー部分に付箋を貼って音量を落としています。そのため、音がこもって低くなっています。
うーん、いくつか、うまく音が切り替わってくれませんね。基板を見る限り、はんだミスはないと思うんですが。抵抗器の取り違えミスもないし……。電源電圧は、公称4.5V-5Vのところを、満充電のHVリポバッテリー(4.35V)を使っているので、やや足りないとはいえ、動作に支障を来すほどではないと思います。ちょっと、原因はよく分かりません。
16 Music Box Kit Electronic DIY Suite
4.まとめ
今回は、基本的な技術を身につけるのに最適なラインナップを選んでみました。実際、3製品とも、作っているのは小学生の子供で、これがはんだデビューです。さすがに大人が監督はしてますけど、手を貸したのは、部品の固定くらいです。またご覧のように、作ってから「操作して」楽しめる、遊びがいのあるものです。これらなら、「自分が作ったものが動く」という喜びを十分に味わえます。まずはこのあたりから、電子工作の世界に入ってみてはいかがでしょうか。
5.関連リンク
今回の記事で取りあげた製品
EQKIT Simple Electronic Organ Kit
EQKIT DIY Electronic Hourglass Kit
16 Music Box Kit Electronic DIY Suite
コメント
回路図を見たときに、「え、部品少なくない?」と驚きましたが、使っているICを見るとある程度アバウトにつくっても問題が出なさそうなものを選定していたので、なるほどなと思いました。なお、ガチの製品でこの設計をした場合は、間違いなく上司に怒られますw
想定とは違う動作になっているようですが、動作の画面と回路図をみたときに、一番怪しいのがU1のICの7,8番ピンにかかっている電圧だと思いました。電子工作で動作がうまくいかないときは、テスターで電圧をはかってあげるのが常道なのですが、それには回路図が読めることが前提になります。
かなりアバウトな回路でつくられているので、逆に電源転圧をちょっと下回っただけでもICに必要な電圧がかかっていない場合があります。単純なUSB充電器の5Vを供給してみてはどうでしょうか。
子ども達が電子工作をして「わからなーい」と言ったら、親としては「じゃあ理科や物理をちゃんと勉強して、良い学校に行くんだぞ」とそそのかすチャンスかもしれませんw
アドバイスありがとうございます。
早速、手持ちにUSBから電源取る部品がないので、5V昇圧コンバーター(ドローン用の極小タイプのため精度はアレですが)かませてみたり、思い切って2Sリポバッテリー(8V弱)つないでみたりしましたが、音がデカくなっただけで挙動は変わらず。
3,4番スイッチの切り替えに問題があることは明らかなんで、ある程度箇所は絞れるるものの、これは部品不良かもしれませんね。
5ピンのジャンパピンで、5番ピンと1~4番ピンをショートさせると、回路的にはスイッチ1~4をオンにしたのと同じ状態になりますので、それでどの部品がダメなのかがもう少し絞れると思います。
あとスイッチですが、動画のような基板の向きだと上でOFF(0)、下でON(1)の扱いになると思いますので、ジャンパピンでショートさせて不具合確認をされる場合は、スイッチを全部上にしてからお試しください。
ご武運を!
半田ごてのあて方が上下逆ですね。円柱の切った面を下にした方がいいですよ。
コメントありがとうございます。
とりあえず、まずは面白さ、それと使ってみて「不便に感じること」が大切だと思っているので、安全面以外はあんまりうるさい事は言わずに(というか、安全面でつい口うるさくなるので)やらせてます。
精度の悪い安物小手先なんで、K型のくせに先端が適度に尖ってなく、裏向きでもしっかり熱が伝わってくれるという(笑)
その上で、先入観無しでも、やっぱりK型は使いやすいみたいです。
なお、この先予定している表面実装編では、K型でもなんとかなるけど、やっぱりD型がやりやすいというのを実感してもらっています。