
こんにちは、オジルです。「1万円以下でワイヤレスイヤホンを探すならコレ」といったランキングで確実に上位に入ってくるEarFunの新製品、「Air Pro 4+」のレビューをお届けします。実売価格が1万円程度となる本製品ですが、正直なところ、安物は嫌だけど手の届く範囲内でいい音を楽しみたい、といった層なら1万円クラスはもうほとんど差がない状態になってきていると思うんです。それくらい、最近のイヤホンの質が全般的に上がってきていると感じます。
ゴチャゴチャ書いても仕方ないので、あくまでも私が感じたことを最初にはっきりと書いておきます。手持ちの1万円未満~1.5万円のワイヤレスイヤホンを4つほど聴き比べて、個人的に一番好きな音質はAir Pro 4+です。忖度だと思われるのが本当に嫌なので、通常あまり褒めちぎることはしないよう心がけているのですが…これはもう、感じてしまったのだから仕方ない。と素直に評価しつつ、気になるポイントも少しあったりしますので、その辺りも触れています。
なお、レビューにあたりメーカーよりサンプル製品を提供いただいております。
・各音域の解像度が高く、価格以上に満足できる音質
・ワイヤレス充電や着脱検知など高価格帯製品の要素も搭載
・LDACとマルチポイント接続の両立
・最大54時間(通常時)のバッテリーは同クラス最強級
・この価格でほしい機能・音質を兼ね備えているコスパの良さ
ここはイマイチ
・ノイキャンは一定の性能を有するもそこまで強力には感じない
・接続に若干不安定なシーンが見られた
1.スペック
| 項目 | 仕様 |
| 形状 | カナル型 |
| Bluetoothバージョン | Bluetooth 6.0 |
| 対応オーディオコーデックなど | SBC、AAC、LDAC aptX、aptX Adaptive aptX Lossless LC3(LE Audio対応による) ハイレゾ認証済み Snapdragon Sound対応 |
| ノイズキャンセリング | QuietSmart 3.0 ANCアルゴリズム ノイズキャンセリング -50dB |
| 通話ノイズキャンセリング | 対応 (片側3つのマイク+cVc 8.0+AI) |
| マルチポイント | 対応 |
| ゲームモード | 対応(50ms) |
| 再生時間 | イヤホン単体:12時間/8時間 充電ケース込み:54時間/36時間 (通常モード/ANCオン) |
| 充電時間 | 単体:1時間 (10分充電で3時間使用可能) 充電ケース:2時間(Type-C)、3.5時間(ワイヤレス充電時) |
| 防水性能 | IP55 |
Bluetoothは最新規格の6.0を採用。この価格帯の製品になると対応コーデックに価格差が出ることはほぼありませんが、aptX Losslessといったハイレゾ向けのものにもしっかり対応しています。気になる音質に関しては、10mmダイナミックドライバー+バランスドアーマチュアドライバーのデュアルドライバー構成で、「ダイナミックドライバーに対しバランスドアーマチュアドライバーを11度傾けることにより、両ドライバー間で発生する磁気干渉を抑制し、高音域の減衰を最小限に抑える」というのがウリになっています。これ、詳しい方は理解できるのかもしれませんけど、私にはチンプンカンプンです…。でも音が良ければ万事解決なわけで、音質については後述します。
Air Pro 4+で着目すべきポイントは以下。
・LDACとマルチポイント接続が併用できる
LDACとマルチポイント接続に対応している製品は多くあるのですが、低価格帯だと「マルチポイント接続時にLDAC不可」となっているケースがほとんど。両立させることで接続が不安定になるデメリットはあるものの、便利さのために音質を犠牲にする必要がなくなるのは高評価です。
・ワイヤレス充電に対応している
こちらも低価格帯の製品では非搭載となっているものが多いワイヤレス充電。筆者はワイヤレス充電環境がないため恩恵を受けられず残念ですが、だいぶ浸透してきていることもあり、製品選びのポイントとして喜ばしい方は多いのではないでしょうか。
さりげなく、ケース込みで54時間再生というのもすごいです。ノイズキャンセルをオンにしても36時間、単体で8時間のバッテリー持ちですから、充電の頻度が少なく済むのは普段使うガジェットとして大歓迎ですよね。ほか、表中に記載はありませんが、装着検知があるのもこの価格帯では嬉しいです。機能を使うか使わないかは別(設定でオンオフ切り替え可能です)として、選択肢として用意されているのは製品選びの際に助かります。
2.製品

まずは同梱品から。本体以外にイヤーピース、充電ケーブル、ペーパー類となっています。イヤーピースが全5サイズ用意されているのは手厚いですよね。フィット感やサイズは個人差がありますし、ここで没入感が変わってくるポイントでもあるので評価できます。だいたいは3サイズですから。

ケースは黒一色のマットな質感で、ロゴ部分だけ光沢があります。開閉部のインジケーターはそれなりに大きく、暗いところだとなかなかしっかり光ります。このタイプのケース、よくある形状なのであえて画像は掲載しませんが、底面部にはType-Cの差込口とペアリング・リセットのボタンが配置されています。

ケースはご覧の通り、取り出し/収納がしやすいようにだいぶ大きく開口する構造になっています。本製品に限りませんが、マグネット式になっているため収納時は楽。

本体はオーソドックスなカナル型のスティックタイプ。もはや説明の必要はないですね。

外側部分、装着時に露出するところはメタリックグレーになっていて、ケースと同じようにロゴ部分のみ光沢のつや消し仕様。全体的にプラスティッキーですがチープさは特に感じず、スタイリッシュというかスポーティーというか、そのようなイメージ。なお、くぼみのある部分がセンサーになっていて、こちらで操作を行います。

ノズル・イヤーピースともに楕円形になっています。この形状、正円のものよりもフィットしやすくて個人的に好きです。
3.使用感
装着感・操作性
フィット感はだいぶ良好です。他製品といくつか比べてみましたけど、なんとなく装着していて「軽い」ように感じたのが不思議。実際には重量はどれもほぼ5gくらいなんですけどね…。それはイコール、長時間使っても疲れないということに繋がるのかな、と思います。
操作に関しては、そもそもあまりイヤホンの操作をしないタイプの人間なので偉そうなことは言えませんが、操作する部分がくぼみになっていることで、誤操作がほぼなかったのは嬉しいポイントでした。感度が良すぎると操作オフの設定をアプリで行う手間が発生しますので、そういったストレスを受けない点でよかったです。Air Pro 4+に限らず、欲を言えば操作音があって有効/無効の設定ができればもっとありがたいんですけどね。
ノイズキャンセリング性能
独自のQuietSmart 3.0ハイブリッドANC技術というものを搭載していて、最大50dbのノイズ低減を謳っているのですが、個人的にはそこまで優秀なノイキャン性能とは思えませんでした。…と書くと悪口のように見えてしまうので補足をしておくと、同価格帯の製品とほぼ差はないと感じる性能です。ただし、ノイキャンに過度の期待をして購入するとガッカリするかもしれません。車の通行量が多いところや電車内など騒がしい環境であれば外音が小さく聞こえる程度に留まりますが、カフェなど比較的落ち着いた環境で音楽再生していれば、不快感がほぼ皆無な状態にはしてくれます。
それよりも少し気になったのは、歩道を歩いていて横を車が通り過ぎていく際、一瞬ノイズキャンセリングが無効になったかのようにエンジン音が普通に聞こえてくるシーンが2回ほどありました。すぐ元に戻ったので「気のせいかな?」程度で済みましたし、個体差や接続しているスマホとの影響もあるのかもしれませんけど、念のため記載しておきます。
音質
ドンシャリ型というよりフラット傾向にあるため、インパクト重視の方には物足りないかもしれません。低域は強め。ただ…私のような超庶民の耳の人間がこういうことを書くのもあれですけど、Air Pro 4+で満足できないなら、もう高価格帯の製品で自分に合うものを探す旅に出るしかないのではないか、と。それくらい個人的には好みの音質でした。
米津玄師,宇多田ヒカルのJANE DOE、米津玄師のIRIS OUTの2曲で複数のイヤホンを使って聴き比べてみました。環境はLDAC×Redmi Note 13 Pro+です。
比較対象は製品名は伏せますがいずれも同価格帯、1万円未満~1.5万円クラスの製品です。このクラスのイヤホンをすでに所持されていて音楽に強いこだわりを持たない方であれば共感してもらえると思いますけど、共通して「高価格帯の製品と比べれば劣る部分も出てくるが、どれも十分に満足できる音質を備えており、違いは誤差レベルでしか感じられない」です。もちろん、それぞれに個性があって、人により好みは分かれるでしょうけれども。
その前提で、私がAir Pro 4+で最も違いを感じたのは「音場の広さ・各音域の解像度の高さ」でした。(比較した中での感想です。音場自体は広いと感じるほどではありません。)
まずJANE DOE、ピアノの旋律を中心としたスローテンポな走り出しで、後半へ向かうにしたがって徐々に盛り上がっていく構成となっている曲です。違いがより顕著だったのは、曲の後半で「古びた扉がギギギギィーと鳴っているような音」があるのですが、ここの音が明らかに際立って聞こえ、かつ原音を想像できる解像度である点。この曲に限らず、同時期に発売された某製品の「いい意味で全般的に丸みを帯びた音」とは対照的に、それぞれの音の輪郭がくっきりと表現されているのが印象的です。その影響もあってか、安いイヤホンではよく聞こえてこない音、いわゆる「遠くで鳴っている小さい音」が素人の私でも理解できるほど、それぞれの音の位置や距離を感じられるようになっています。
これはIRIS OUTのような、たくさんの音が一箇所にまとめて詰め込まれた曲になればさらに際立ってきます。スマホのスピーカーで聴いているとごちゃごちゃしているように感じるのが、Air Pro 4+だと「ここまで細かく作り込まれているのか!」と感心してしまうくらい。一方で、中高域の抜け感は前出の某製品に分があるように感じました。ただし、私の拙い耳では正直なところ「ほとんど一緒」です。Air Pro 4+は低域のベース・打音とは別のノイジーな音も輪郭が明瞭なので、全体を通じて澄み渡った印象を受けます。それが人によっては煩わしく感じるかもしれませんが。
接続
接続するスマホやコーデックによって評価が変わる可能性があるため参考程度に書きますが、比較したイヤホンの中で最も接続が不安定だと感じたのが本製品でした。よくある「人混みの中でプツプツと途切れる現象」が、通勤時間帯の駅の改札前・ホームで何度も発生しました。あくまでも私の環境では、です。ぶっちゃけた話、移動中にそこまで真剣に音楽を聴く人間ではないですし、公私とも通話が途切れると大変なことになるようなケースはないので私は何も困らないのですが、途切れない製品のほうがそりゃいいでしょう、と。
アプリ
EarFunのイヤホンは共通のアプリ「EarFun Audio」で様々な設定が可能なのですが…ごめんなさい、私は初期設定時くらいしかアプリを起動することがないため参考程度に機能の説明などに留めます。詳しくレビューされているところはたくさんあるかと思いますので、気になる方はそちらをご確認ください。
・ノイキャン関連
ノーマル、外音取り込み、ノイキャンのモード切替が可能。ノイキャンは手動調整もできますし、AI適応型のものがあるので基本的にそれにしておけばよさそうです。少し変わったものでウインドカットANCという風切り音向けのモードなんかもあったりします。外音取り込みは及第点レベルで、若干ホワイトノイズが入ります。
・イコライザー関連
プリセットが複数用意されていて、細かいものも含めると総数は30にものぼるため、そこまでこだわらないのであればどれかを選択すれば好みのチューニングに近づけられると思います。もちろんカスタマイズも可能。
・各種機能
本体操作のカスタマイズ、ゲームモード、イヤホンを探すといった機能が搭載されています。使う方にとっては便利ですけど…まあ…他のメーカーでも当たり前にある機能だったりもするので、ちゃんと押さえてますよ程度の認識で。
4.まとめ
EarFun Air Pro 4+は本日11月17日発売で、EarFun公式ストアとAmazonで購入できます。通常価格は13,990円ですが、Amazonの製品ページに1,500円OFFクーポンがありますので、12,490円で購入できます (11月20日まで)。
これまで実売価格1万円未満のフィールドでコスパを売りに勝負してきたEarFunが満を持して出してきた、実売価格1万円クラスのAir Pro 4+。その価格差はわずかですが、もはやコスパ重視ではなく、完成度の高いワイヤレスイヤホンとして満足できる製品に仕上がっていると感じました。音質もさることながら、高価格帯の製品にあるようなワイヤレス充電・装着検知といった機能も充実していて、「とりあえず買って損はなし」とおすすめできます。タイトルにもあるように、コスパ系製品のクオリティーがここまで上がってくると、本当にもう何がなんだかわけがわかりません。少し前に購入した同価格帯のイヤホンを買い替えで検討している方、5,000円くらいまでのイヤホンを使ってきた方にはぜひ一度聴いてみていただきたいですね。割と真面目に感動体験ができると思います。


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