こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回はWindows 10 Mobileを搭載したスマートフォン(WindowsPhone)、「ドスパラ Diginnos Mobile DG-W10M」の実機レビューをやります。個人的にはドスパラにはWindowsPhoneを作ってもらいたいと思っていて、実際に発売されることが発表されてすごくうれしかったことを覚えています。
Diginnos Mobile DG-W10M(Windows Phone):ドスパラ公式サイト
1.スペック
最初にスペックのおさらいから。Diginnos Mobile DG-W10M(以下、単にDG-W10Mと書きます)はOSにWindows 10 Mobileを搭載した5インチサイズのスマートフォンで、Windows 10 スマホとしてはエントリークラス~ミドルクラスのスペックとなります。ディスプレイやカメラ性能などは「まずまず」という性能ですが、ちょっと気になるのがCPUです。「MSM8909」というのはQualcomm Snapdragon 210という型番で、競合製品であるマウスコンピューターの「MADOSMA」などがワンランク上の「MSM8916(Snapdragon 410)」を採用していることから、処理性能に若干の不安を感じます。そのため、今回の実機レビューでは特にMADOSMAと比較すべく、ベンチマークソフトや使用感を試しています(後述します)。ただし、DG-W10Mの販売価格は税込みで19,980円という、2万円を切る格安な製品であることは念頭に入れるべきですね。
2.開封
DG-W10Mはやや小ぶりの外箱に入っていました。これは特にコメントする必要はないと思います。特に豪華じゃありませんし、それに対して特に好感も不満もありません。
これが製品と同梱物の一覧です。画像の上段左から本体(ブラックの背面カバーがついています)、背面カバーが2つ、画像の下段左からバッテリー、ACアダプター、液晶保護フィルム、マニュアルとなります。
DG-W10Mには背面のカバーが3つ付属します。最初から本体に取り付けられているのがブラック、取替用にブルーとホワイトです。あまり派手な色ではないので、年齢、性別を問わずお好みの色を装着すればいいと思います。Windows スマホの背面カバーはどれもほぼ同じ仕組みになっていて、弾力性のあるプラスティック製のカバーを「はめ込む」だけなので、誰でも非常に簡単に着脱できます。
背面カバーを外してみました。まだバッテリーを取り付けていない状態です。画像の上側にスロットが3つありますが、画像左からmicroSDスロット、SIMスロット1、SIMスロット2となります。DG-W10MはデュアルSIMなんです。ただし、日本国内ではSIMはひとつしか使えません。でも海外旅行や出張の際には威力を発揮しそうですね。なお、SIMの装着は「差し込むだけ」なので、特に難しいことはありません。また、やたら力がいる、ということもありませんでした。ただし、あまり頻度は多くないと思いますが、SIMを抜くときは安全ピンのような尖ったものでSIMを軽くひっかけてやる必要はあります。
3.初期設定
電源を入れて、最初にしなくてはならないのが初期設定です。当たり前ですけど、日本語で設定できます。最近中国タブレットを試用する機会が多いので、個人的にはホッとしましたw 初期設定自体は何ら難しいところはなく、だれでも簡単に可能だと思います。ただし、ほとんどの場合APN設定は必要になります。APNの情報はSIMを購入する際、通信会社から情報提供されますし、あとでWebで調べても簡単にわかります。
Windows 10 Mobileはスタート画面の配色や背景を自由に変更できますが、デフォルトの配色はすごくキレイでした。このまま使いたくなるくらいです。
DG-W10MはデュアルSIMなので、アプリ一覧に電話アプリとメッセージングアプリが2つ表示されます。
アプリの使用感は後述しますが、ここでひとつだけ気づいたことを書きます。日本で販売されているスマホとしては珍しいと思うのですが、DG-W10Mはカメラのシャッター音を消すことができます。というか、音量をゼロにするとシャッター音は勝手に消えます。ちなみに、私はあんまり気にしていないので深く調べてはいませんがMADOSMAの標準カメラではシャッター音は消せません。実際シャッター音を消せるアプリというのは簡単に手に入るので、これはこれでいい、というか悪いことには使わないようにしましょう!
4.筐体
次に筐体をチェックしてみます。単体だけだとわかりにくいので、同じ5インチサイズのWindowsスマホであるマウスコンピューターのMADOSMAと対比しながら見ていきます。
左側がDG-W10M、右側がMADOSMAです。ご覧のようにほぼおなじ大きさで、下側にあるセンサーボタンのレイアウトも変わりません。このアングルから見ると見分けがつかないでしょう。
筐体の厚みもほとんど同じに見えます。ただ、DG-W10M(左側、ブラックのカバー)のほうが丸みを帯びたデザインであることはわかると思います。
背面を見るとかなり印象が異なります。MADOSMAがフラットなデザインであるのに対し、DG-W10Mは「かなり丸っこい」です。デザインについては好みの問題ではありますが、個人的にはDG-W10Mのデザインは優しい感じがして好きですね。なお、カタログスペックだとMADOSMAは重量125 g、DG-W10Mは145 gとなっていて、この数字だけ見るとDG-W10Mのほうがかなり重い印象があります。右手にMADOSMA、左手にDG-W10Mを持つと重さの違いはわかりますが、おそらく実用上の差は皆無といっていいです。2つを同時に持ってみないと重さの差は体感できません。その差20 gですからねー。
次に筐体の各部をチェックしてみます。画像の見やすさを考えてブルーのカバーを装着しています。まずは上部から。イヤフォンジャックとmicroUSBポートがついています。配置の順番こそ異なりますが、MADOSMAと同じです。
筐体に向かって右側には電源ボタンがあります。サイズ、押してみた感触ともごく普通で、逆に言えば違和感なく使いやすいです。
筐体に向かって左側には音量上下ボタンがあります。この配置もMADOSMAと同じですが、もう1台自分で持っているLumia 636は筐体右側に電源ボタンと音量上下ボタンがついていましたがから、このレイアウトがWindowsスマホの規格である、ということではなさそうです。Windows 10 Mobileではスクリーンショットを「電源ボタンと音量上ボタンの同時押し」で撮るのですが、この場合はDG-W10Mのレイアウトのほうが使いやすくなります。
筐体下側です。通話用のマイクが右側にあります。
筐体背面で存在感があるのがカメラです。上部中央にあり、デザイン上のアクセントにもなっています。Lumiaに代表されるWindowsスマホはカメラが大きく、目立つ位置にあるというイメージがあるのですが、DG-W10Mはその流れをくんでいるように思われます。ちなみにMADOSMAのカメラは背面上部左側にオフセットされていて、あまり特徴が感じられません。
背面の下部にはスピーカーがあり、モノラルです。スマホの場合は音楽などはイヤフォンを使うか、音質にこだわる人は外付けスピーカーを使うと思うので、これで十分かな、と思います。
5.性能テスト
上の方にも書きましたが、DG-W10Mのスペック表で唯一不安を感じるのがCPUのスペックが競合製品と比較してワンランク低い(その分価格も割安)ことです。その検証のため、まずはベンチマーク・テストをしてみました。今回は「Antutu Benchmark」というアプリを使用しましたが、これ、Androidアプリとしては評価が高く、アプリも頻繁にアップデートされています(現在のバージョンは5.7らしいです)が、Windowsスマホ用のアプリはなんと「バージョン0.8ベータ」で止まっています。そのため、Web上で確認できるAndroidスマホやiPhoneのAnTuTu Benchmarkのスコアとはそもそも体系が異なると思われるので、今回掲載するスコアをもってAndroidやiPhoneと性能比較することはできません。
また、アプリの安定性もやや疑問を感じるレベルで、測定する都度スコアが10%以上バラつきます。そのためDG-W10MとMADOSMAそれぞれ数回ずつテストしてみましたが、「これが決定版のスコア」みたいなことは書けません。あくまでも傾向を理解していただく程度にお考えください。また、MADOSMAのOSはWindowsPhone 8.1のままなので、その点についても同条件での比較とはいえません。
まずはDG-W10Mのスコアです。青い数字が総合得点なのですが、数回のテストではおおむね7,000~8,600程度となりました。
次にMADOSMAのスコアです。上の画像は最も高得点が出た際のもので、数回のテストでおおむね11,500~14,000程度となりました。
ベンチマークアプリの信頼性にやや難があるとはいえ、性能差の傾向は理解できると思います。ただし、機械が算出した数値だけでなく、実際に使ってみてどうなのか、ということのほうがもっと大事ですよね。
6.使用感
ベンチマークテストの結果には差がついてしまいましたが、実際に使ってみるとDG-W10Mは非常に優れた使用感でした。
Windowsスマホに限らず、およそスマホというのは画面をスクロールさせて目的のアイコンを探す、というのが普通の使い方ですが、低スペック機というのはそもそもスクロールがスムーズにできずにイライラします。私はこういう操作感はiOSが最も優秀だといつも思っていますし、それは(iPhone 3GSのころに使っていたので)CPUのスペックとかの力技で成し遂げたことでもないでしょう。そこがAppleのすごいところだと思います。
で、DG-W10Mの操作感はMADOSMAとほとんど見分けがつきません。非常になめらかに動きます。もっともアプリを山盛りにインストールして、バックグラウンドで動かすようなことをすればこの限りではないかもしれませんが、通常の利用においてCPUの性能差を感じることはないです。
次にゲームアプリを試してみました。まずWindows 10のPC版に標準でインストールされている(しかしWindows 10 Mobileにはインストールされていません)「Candy Crush Saga」ですが、これは全く問題なく遊べました。そんなに重いアプリじゃないので当然といえば当然で、このくらいのパズルゲームとか、ビジネス系、スケジュール系のアプリは全然大丈夫だと思います。
次に先日紹介記事を書いた「オーダー&カオス2:リデンプション」をやってみました。こちらも遊べましたが、さすがにもっさりします。ただ、MADSOMAで遊んでももっさり感があり、MADOSMAのほうが多少マシに思えますけど、五十歩百歩という感じで、どっちにせよ不満はあります。
最後に「World of Tanks Blitz」ですが、これは反応がかなり鈍くなります。ちなみにMADOSMAはOSがWindowsPhone 8.1のままなのでインストールすることができず、比較することもできませんでした。でも、このアプリはMADOSMAでもかなり厳しいだろうと思います。
とりあえず、「重い」ゲームアプリでチェックするのが一番わかりやすいと思ってテストしてみました。最近はストアアプリもデバイスのスペックを要求するものが出始めていて、そういう「重いゲーム」をもっぱら遊ぶ、という人にはDG-W10Mは厳しいと思います。というかMADOSMAでも厳しいでしょう。言い換えると、重いゲームをするのならSnapdragon 210だろうと410だろうとあんまり関係ないと思います。
一方で、ライトなゲームアプリとか、ビジネス系、スケジュール管理系、そしてニュースアプリなどを使う場合はDG-W10Mでなんの不満も感じないと思います。十分快適です。それと、DG-W10Mの性能というよりはアプリの性能だと思うのですが、Windows 10 Mobileの標準ブラウザー「Edge」はWindowsPhone 8.1のInternet Explorerよりもはるかに軽快に動いてくれます。そのため、通信回線が安定しているという前提は必要になりますがWebブラウジングもかなりいい感じです。
確かにCPUのスペックは低いですが、ハードウェアとしてのバランスが取れているので、実際の使用感はかなりの水準だと思います。
最後にバッテリーの稼働時間について書きます。ドスパラの公称値は「連続通話時間 最大400分/連続待受時間 最大240時間」となっていますが、実際スマホの場合はネット接続して情報を収集したり、ゲームをしたり、ということでバッテリーを消費することが多いと思います。今回の試用で連続してゲームをするとかのテストはしていないの感覚的な話になってしまいますが、「結構長持ちする」と思いました。もちろん新品だから、というのも大きいと思いますが、MADOSMA(こちらも比較的バッテリーは長持ちします)よりもむしろ上のような気がします。
7.SIMプレゼントキャンペーン
DG-W10MはSIMフリー機なので、電話機として使う場合(ネットワーク端末としても優秀ですが)はSIMの購入、契約が必要になります。現在ドスパラではFREETELのSIMを無料でプレゼントしてくれるキャンペーンをやっていて、初期費用なしでFREETELと契約することが可能です。FREETELといえばMVNOの中でも最安クラスの料金体系を持っていて、最低料金が月額1,000円を切っているので、この機会に契約してもいいかもしれませんね。
8.販売サイト
Diginnos Mobile DG-W10M(Windows Phone):ドスパラ公式サイト
コメント
MADOSMAの Windows10mobileイメージ配布が始まったので ADKを使って更新しました。
WP8.1にくらべ、UIが少し重くなったようですが、グラフィックパフォーマンスは向上したようで、今まで重くなっていたゲームシーンで処理落ちがなくなっています。
Astarさん、こんにちは、コメントありがとうございます。この件、記事を書きます(私は知りませんでした)。情報ありがとうございました。私はOTAまでWindowsPhone8.1のままにしておきます。アプリのレビュー記事を書くときに古いOSを残しておいたほうが検証できるので。