こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回は中国のおもしろPC「Vensmile K8 Mini PC」の読者レビューです。この製品のレビュアーを募集するとき「面白い人に」とお願いしたのですが、いただいたレビューは「製品の目線」で書かれており、年末年始の休暇中に読んでいただくのにふさわしい内容になっています。レビュアーは「fuchinkan」さんです。ではfuchinkanさんのレビューというか、K8自身のレビューをどうぞ!
1.はじめに
はじめまして。このたびレビューさせていただきますfuchinkanと申します。中学校で理科の教員をしています。妻・二人の娘の四人家族です。
まずはウィンタブ様、数多い申し込みの中、私ごときを選んでいただきありがとうございました。応募理由に「なにか面白いこと」を書いてきたヒトに優先してレビュー、という記載を見逃して、くそまじめなことを書いてしまったのに選んでいただき本当に感謝です。本来なら結びでお礼申し上げるところですが、構成の都合上、先に述べさせていただきます。
では、ここからはVensmile K8 自身に語らせますので、最後までおつきあいください。<(_ _)>
2.オレって
よぉ!オレは圭八(英名Vensmile K8)。中国生まれのwindows10マシンだぜ。目が覚めたら日本にいた(たぶん東京)。んで意識が朦朧とする中、グレイっぽい連中に色々と調べ上げられたらしい。詳しくは下のリンクのウィンタブの記事を読むと良いぜ。
Vensmile K8 - あのキーボードPCの素材がシリコンに!折りたたみできてスペックも向上!
これを読んで愕然とした。オレという存在がかなりマイノリティであると。そっか、他のPCはこんなにグニャってしないのか…。自分自身を巻いたりしないのか…。ちょっと恥ずかしいぜ。
でもオレにはオレの良さがある!ハズだぜ。それを探すのが自分探しってやつだぜ。
…なんてことを考えてたんだけど、また巻かれて箱にしまわれてしまった。そして真っ暗の中をけっこうな距離を移動した様子。オレは鉄骨渡り会場に運ばれるカイジか!
3.中学校にて
そして目が覚めたら今度は大阪だぜ。中国から東京へ、そして大阪か。オレはどこに流れていくのだろう。んで、目の前には白衣を着たおっさんだ。白髪だぜ。またグレイかよ。なんでも中学校の理科の教師だとか。オレを教室に持ち運んで使おうという魂胆らしい。
しかし対面早々にヤツはこう言いやがったんだ。
「あれ、バッテリ積んでないのか。使えないな~」
おい、先のグレイの調査で解ってたんじゃないのかよ。おれは普通のwindowsマシンだぜ。薄っぺらい連中と一緒にするんじゃねぇ。さらにだ。
「しゃーないな、モバイルバッテリと一緒に持ち運ぶか。」
おいおい!ちゃんと調べろや。おれは専用ACアダプタ給電だぜ。USBなんかで給電されるような薄っぺらい連中と一緒にするなよ。さらにさらにだ。
「えぇプラグがEU仕様やないか」
おいおいおい…もう突っ込む気にもなれないな。解ってたことだろうよ。
まぁしかし、なんとかしてオレを使おうという根性は褒めてやるぜ。ヤツはホームセンターで変換プラグを買ってきて、手持ちのプロジェクターとHDMIケーブルやVGAケーブルでつないで、ヤツのホームグラウンドである理科室固定で使うという作戦を考えつきやがった。そっか理科室がオレの安住の地になるのかな。
理科室の平坦な広い机にオレ、コンセントと接続された給電ケーブル、プロジェクターに接続されたHDMIケーブルがオレに繋がれた。これが最小構成だな。しかし、オレにはまだまだ空いているUSB端子が2つもあるぜ。microSDカードスロットだってあるんだぜ。microSDカードスロットには、グレイが撮りためた理科画像がたっぷり入ったmicroSDカードが差し込まれた。これは良し。
そしてUSB端子には、ハンディ顕微鏡、温湿度・大気圧データロガーなど理科っぽいものがとっかえひっかえ接続された。これも良し。なんかオレ生まれて初めて役に立っているという実感!
USBマウスも当然のように接続されたが、できればオレ標準装備のタッチパッドを使って欲しいところだな。えぇ!USBキーボードもつなぐか!オレのシリコーン製キーボード付きというアイデンティティを全否定じゃないか。この接続は断固否定!…しかし無理矢理…(泣)。さすがにこれにはちょっと凹んだな。だが、文字を大量に入力するような用途も無かったようで、キーボードはのちに外された。ホッとしたぜ。
かくしてオレは理科室の主となったのさ。グレイがいない間、理科室の広い机の上、冬の柔らかな日差しを浴びながらのんびり過ごす。なかなかオツなものだぜ。オレもそろそろ身を固めるか…。キーボード部分固まるかな?
って感じで束の間の安寧を感じていたオレだったんだが。どうやら世間は冬休み、グレイの仕事も一段落ついたらしく、急にオレにかまってきた。いや使ってもらうのは、オレとしても本意なんだ。だが急に水をかけてきて耐水試験を始めたり、持ち運んで女子中学生の前で「びろ~ん」って広げてキャーキャー言わせたり(いや現実には無反応だったな)、なんか本来的な使い方では無くてキワモノ扱い?的な。
そして・・・このあとオレが理科室に戻ることは2度と無かったんだ。
4.ライバル登場
そういえば冷や水をぶっかけられた時、近くに同業者と思われるヤツがいた。なんでも同じ中国出身の『GOLE1』とか。眉毛の太いスナイパーかよ。で、今思えばグレイはこいつに心変わりしてたんだな。
「やっぱバッテリが」「タッチパネルモニタが」「コンパクトな凝縮性が」「鈍いゴールドに輝く筐体は」などなどオレが傷つくような言葉を乱射してくる。もちろんGOLE1ってヤツを褒め称えているだけで、グレイに悪意が無いことはわかってる。でもな、やっぱそれってオレと比較してるんだよな、オレに足りない所なんだよな。オレのメリットって、巻けるとか「びろーん」ってできることとか、水かぶっても平気なこととか、キーボード付きだとか…あぁでも何か本来的な魅力ではないことだったり、むしろディスられたりだな…(思い出し泣き)。
ここでオレがスナイパー野郎を持ち上げてもしょーがないんだが、ヤツは5インチの液晶画面に加え、HDMI出力、液晶はタッチパネル入力、USBはmicro入れると5口もあるし、さらにmicroSDカードスロットもあり、無線LANだけでなく有線LANポートまでついてやがる。しかも給電はmicroUSBと専用ACアダプタの2段構え。さらにandroidとのデュアルブート。なんなんだ、この完璧さは。男のオレでも惚れるスペックだぜ。いや、まぁこんな優等生に席を譲るのなら諦めもつくというものか。
でもな、オレだって望まれて生まれてきたはず…。俺はまだ本気出してないだけ。きっとどこかにオレを本気にさせてくれる、ワタシを待ってる人がいる~。あぁカラオケでもしたいなぁ。
再び巻かれ箱に詰められて移動。はぃはぃもう慣れましたよ。次はどちらですかね。
5.グレイ宅へ
目が覚めたらグレイの自宅だった。こたつの上に広げられ液晶TVにHDMI接続された。そうか、今度はお家PCとして働くんだな。ということで、女性三人を含むグレイ一家にチヤホヤされる生活が唐突に始まったんだぜ。理科室でディスられまくったときは起動不能も考えるほど落ち込んだけど、諦めなくて良かったぜ。あぁネコ様もいるな。前脚を乗っけてくると、オレ様のやわらかキーボードとネコ様の肉球とが互いにぷにゅぷにゅして妙な感覚だぜ。
お、DAMカラオケのインストールか、いいね。このアプリはwindows10・64ビットOS限定アプリ(32ビットはNG)らしいから、オレ的にはインストール条件はクリアだぜ。CPUとかグラフィックの条件はムリめだけど、オレが本気を出せばきっと何とかなるぜ。
で動作のほうは本当に何とかなってるんだが、無線LANの通信速度が出ないことがあって、そのときはおどろおどろしいサウンドになる妖怪カラオケになってしまうのが問題だぜ。
そこでグレイは7mものLANケーブルを買ってきて、ルーターからオレに直接接続しようとした。でもな、オレにはLANポートは無いんだってばよ!なのにヤツは隣室のルーターからLANケーブルを這わせてきて右手にその端子を持って、オレを左手に持って、こう、目の前で繋ごうとしてようやく気づきやがった。お笑いだぜ。で、次はUSB3.0ポートに繋ぐLANポートアダプタを手配だ。ほんとにドロナワだぜ。いくらamazonが速いからと言ったって、もう少し考えて行動しようぜ。amazonの配達のヒトも大変だろうが。
で、無事にLANケーブルも接続し、それなりに速度も出るようになった。またこの有線LANポートアダプタは、3口のUSB3.0ハブにもなっていて、マイクやマウスの接続にも役立っていて、オレ様の弱点であるUSBポートの少なさもカバーしたんだぜ。着実に使える存在になってくるオレ!
そして次はマインクラフトのインストールか。グレイの娘二人が、オレと先住民のデスクトップPCの2台でマイクラをプレイしている。マイクラはほぼキーボード必須なので、キーボード付きのオレにとっては本領発揮の舞台だ!グレイの上娘にはオレのキータッチは好みじゃないと嫌われてしまったが、下娘にはオレを気に入ってくれているようだ。良かった!この姉妹に嫌われたら終いだったぜ。生きてて良かったぜ。
ということで流れ流れたオレの人生の旅もいよいよ終着点を迎えたようだ。本気を出せる環境も整ったし、オレという存在を受け入れてくれる人々もいる。誰かのために役立っている実感のある生活を送っている。オレは幸せだ。オレはこれからもここで生きていくだろう。
そしてグレイ、お前はオレのために色々と金をかけてくれたって事に関して、スゴく感謝だぜ。そしてお前の所をオレを遣わしたウィンタブという初代グレイにも感謝感謝だ。さらにここまでおれの半生記を読んでくれたモニタ前のあなたにも「ありがとう」を言わせてもらうぜ。
あれ?
なんで巻くんだ?
え?
箱イン?
え?え?え?
(うぃーん、うぃーん)
あぁ掃除機の音か。大掃除のための片付けだな。大丈夫。オレの居場所はここにある。でもしょうじき、びびったわ。(終)
6.関連リンク
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