iPhone 13 miniを購入しました。もともとはソフトバンク版のデモ機だった個体ですが、型番(3J757J/A)を除けば一般販売されているモデルとの機能差はありませんので、実機レビューをしたいと思います。2021年9月に発表され、ポケットに入る5.4インチサイズのコンパクトな筐体が特徴でしたが、2022年9月に登場したiPhone 14シリーズでは残念ながら後継モデルが投入されなかったため、現時点では「最後のコンパクトiPhone」となります。現在でもApple公式サイトやキャリアから新品の購入が可能です。
・ポケットにすっぽり入るコンパクトなサイズ感
・最新のゲームもスムーズに動作する高い性能
・誰でもきれいに撮れるカメラ
ここがイマイチ
・画面が小さい分文字入力は窮屈に感じるかも
・独自コネクター採用(Lightning)
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iPhone 13/iPhone 13 mini:Apple
1.スペック
iPhone 13 mini | |
OS | iOS 16 |
CPU | Apple A15 Bionic |
RAM | 4GB |
ストレージ | 128GB/256GB/512GB |
ディスプレイ | 5.4インチ(2,340 x 1,080) |
LTEバンド |
5G:n1/2/3/5/7/8/12/20/25/28/29/30/38 /40/41/48/66/71/78/79 FDD-LTE:B1/2/3/4/5/7/8/11/12/13/14/17/18/ 19/20/21/25/26/28/29/30/32/66/71 TD-LTE:B34/38/39/40/41/42/46/48 |
SIM | nanoSIM + eSIM |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.0 |
入出力 | Lightning |
カメラ | イン12MP/アウト12MP + 12MP |
バッテリー | 2,406 mAh |
サイズ | 131.5 x 64.2 x 7.65 mm |
重量 | 140 g |
コメント
2021年9月の時点でインストールされていたOSはiOS 14でしたが、現在ではiOS 16.2.1までアップデートされています。iPhoneはOSアップデート、セキュリティアップデートが長期間提供されており、iPhone 13 miniの場合も数年間は現役で活躍できると思います。
CPUはApple A15 Bionicです。iPhone 14/iPhone 14 Plusでも採用されていますが、iPhone 13/iPhone 13 mini/iPhone SE(第3世代)ではGPUのコア数が5から4に減らされています。とはいえ現在でも高いパフォーマンスを誇っており、普段使いはもちろんのこと、最新ゲームもストレスなくプレイ可能です。AppleはiPhoneのRAM容量を公表していませんが、ベンチマーク情報などからiPhone 13 miniでは4GB搭載されていることが明らかにされています。内蔵ストレージは128GB/256GB/512GBです。
国内で販売されているiPhone 13 miniはモデルナンバー「A2626」で、4G、5Gともにミリ波を除く国内主要キャリアのバンドをサポートしています。またiPhone 13シリーズよりキャリアモデルでも最初からSIMロックフリーで販売されています。物理SIM(nano SIM)のほか、eSIMもサポートしています。
バッテリー容量は公開されていませんが、Apple製品の情報をまとめた専用アプリ「Mactracker」によると2,406 mAhとされています。また、Qi規格とApple独自の「Magsafe」規格によるワイヤレス充電をサポートしています。おサイフケータイにも対応していて、FelicaやPASMO、Apple Pay等が利用可能です。
2.筐体と使用感
今回購入したiPhone 13 miniは家電量販店やキャリアショップで稼働していたデモ機のため、付属品はすべて欠品でした。本来はLightningケーブルとマニュアル、Appleロゴステッカーが付属しています。以前は5W出力のACアダプターと純正有線イヤホン「EarPods」も付属していましたが、2020年9月以降「環境に配慮して」別売となりました。
前面です。2018年9月に登場したiPhone Xのデザインを継承していますが、ノッチサイズは前モデルのiPhone 12 miniから若干小さくなりました。ダイソーなど100円均一で販売されているiPhone 12 mini用ガラスフィルムの中には「iPhone 13 miniでも利用可能」としている商品がありますが、ノッチサイズが異なりますので、できれば専用フィルムを購入するほうがいいと思います。
背面です。筐体色は「ブラック」「スターライト(ホワイト)」「ピンク」の3色が用意されていますが、購入品はピンクでした。色合いが薄いので最初スターライト(ホワイト)に見えましたが、男性ユーザーが使っても違和感はないかな、と感じます。カメラバンプ部の形状はiPhone 12 miniから変更されていて、上位モデルのiPhone 13 Pro/iPhone 13 Pro Maxに近い見た目になっています。素材は強化ガラスですが、傷つきやすいのでケースは必須ですね・・・
左側面には消音スイッチ、ボリュームボタン、SIMトレイがあります。
右側面には電源ボタンがあります。
上部にボタンやポート類はありません。
下部にはスピーカー、マイク、Lightningコネクターがあります。Lightningコネクターは2012年に発売されたiPhone 5から採用されていますので、かれこれ11年間使われ続けていることになりますが、2024年に登場するiPhone 15シリーズではついにUSB-Cコネクターに移行すると噂されています。
システム
この記事を執筆している時点でiPhone向けにリリースされているOSの最新バージョンは「iOS 16.4.1」です。iOS 14ではAndroidと同じくホーム画面にウィジェットを配置することが可能になり、iOS 16.2ではホワイトボードアプリ「フリーボード」が追加されていますが、ここ数年UIの大きな変更は行われていません。Androidもそうですが、モバイルOSのUIに関してはある意味完成域に近づいてきたのかもしれません。ただ、そろそろ見た目も一新してほしいところではあるので、6月に開催されるWWDC 2023で発表される見込みのiOS 17に期待しています。
Appleは定額音楽配信サービス「Apple Music」、オリジナルコンテンツが用意されている動画配信サービス「Apple TV」、定額ゲーム配信サービス「Apple Arcade」を展開しており、それらのコンテンツを楽しめるのもiPhoneならではといえます。クラウドストレージのiCloudも含めお得な料金で利用できる「Apple One」(税込月額1,100円)もあるのでApple製品をメインで使用するのであれば加入することをお勧めします。
Apple Arcadeで配信されているタイトルは人気レースゲーム「Asphalt 8」の特別バージョンやここでしか楽しめない「Gear.Club-Stradale」「悪魔城ドラキュラ-Grimoire of Souls」などがプレイできます。iPhoneでプレイした続きをiPadやMacで楽しむことも可能で、課金要素が存在しないので安心して遊べます。
iPhone 13 miniではストレージ容量に128GB、256GB、512GBが用意されていますが、購入品(店頭展示されていたデモ機)は下位構成のモデルなので128GBです。ヘビーに使う場合iCloudと組み合わせても若干心もとない容量ですが、かのあゆの場合あくまでメイン端末を充電しているときに使う「準メイン機」として運用しているので特に容量不足で困っていることはありません。あまり使用していないアプリはデータのみ残して自動削除する機能もあるので空き容量も意外と余裕があります。
ディスプレイ
ディスプレイは5.4インチサイズで、解像度はFHD+(2,340 × 1,080)、パネルはOLED(有機EL)です。強化ガラスはiPhone 11以前のモデルと比較して4倍強度を高めたとしている「セラミック・シールド」ですが、傷つくときは傷つくので液晶保護フィルム、強化ガラスは装着した方が良いでしょう。幸いiPhoneであれば100円均一でもアクセサリー類は入手できます。
iPhone 13 Pro/iPhone 13 Pro Maxとは異なり、リフレッシュレートは120Hz表示ではなく60Hz表示にとどまっていますが、OLEDらしく引き締まった色を表示してくれるディスプレイはiPhoneで撮影した写真やAmazonプライムビデオ、Apple TVの動画コンテンツを美しい画質で楽しむことができます。ただディスプレイサイズが小さいので細かい文字を表示した場合、人によっては目が疲れるかもしれません。
スピーカー
スピーカーはステレオ出力で、本体下部に内蔵されています。iPhone XS以降のモデルではApple Musicで配信されている「空間オーディオ」の再生をサポートしているため、AirPods ProやApple傘下のBeats社製ワイヤレスイヤホンを用意しなくても立体的なサウンドを楽しむことが可能です。音質は他社ハイエンドAndroid端末と比較すると若干軽めに感じられますが、作業しながら音楽を楽しむ分には十分です。
筐体その他
iPhone 13 miniの魅力はなんと言ってもコンパクトな筐体サイズでしょう。ズボンのポケットにすっぽり入り、邪魔になることもありません。ただ画面サイズが小さい関係で、人によってはソフトウェアキーボードで文字入力をする際に窮屈に感じられるかもしれません。
iPhone 12 miniではバッテリー駆動時間が短いのが欠点でしたが、iPhone 13 miniでは大幅に改善しており、割とヘビーな使い方をしても1日持つようになりました。
カメラ
iPhone 13 miniのカメラは6.1インチサイズのiPhone 13と共通で、イン12MP、アウト12MP(メイン) + 12MP(超広角)という構成です。iPhone 13 Pro/iPhone 13 Pro Maxでは搭載されている望遠レンズこそありませんが、それ以外の仕様は共通で、複数の画像を合成することで画質を向上させる「Deep Fusion」や白飛びを抑えた写真を撮影できる「スマートHDR4」、Dolby Visionに対応する動画の撮影が可能です。
もともとiPhoneは誰でもきれいに撮影できることに定評がありますが、iPhone 13 miniはPCで拡大しても画質の劣化が少なく、本格的な撮影も十分対応できます。
廉価モデルのiPhone SE(第2世代/第3世代)にはないナイトモードも備わっているので、夜景も美しい写真が撮影できます。ミッドレンジスマートフォンだと拡大するとノイズが目立つのですが、iPhone 13 miniではそのようなことはありません。
ただ国内版iPhoneでは2007年の初代モデルから変わらない、音が大きいシャッター音を調整できないので、静かな場面で使うにはあまり向いていない点が少し残念に感じられます。せめて音をもう少し小さく出来れば良いのですが…
3.性能テスト
ベンチマークテストはAndroidと同じくAnTuTu Benchmark v9.1.4で実施しています。Android版AnTuTu Benchmarkは現在Google Play Storeでの配布を取りやめてしまっていますが、iOS/iPad OS版はApp Storeから通常通りダウンロード可能です。
GPUテストで使用しているAPIがAndroid版ではVulcan、iOS/iPad OS版ではMetalとなっており、単純な性能比較は出来ないのですが、総合スコアは2021年のフラッグシップスマートフォンに搭載されていたSnapdragon 888とほぼ同等の数値を計測しています。GPUが6コア構成のiPhone 13 Pro/iPhone 13 Pro Maxではもう少し高いスコアを計測するようですが、いずれにせよ2023年現在でもハイエンドクラスの性能を持ち合わせていることがわかります。
Apple Arcadeで配信されている「Gear.Club -Stradale」はApple M1/M2シリーズを採用するMacとのマルチタイトルで、重量級クラスのタイトルなのでCPUがApple A14 BionicのiPhone 12 miniでは若干フレーム落ちが見られる場面があったのですが、iPhone 13 miniではスムーズに動作しました。
AndroidだとQualcomm製、MediaTek製など様々なCPUが存在しており、端末メーカーによってOSがカスタマイズされているので相性問題が発生しやすいのですが、iPhoneの場合Apple一社でハードウェア、ソフトウェアをすべて設計しているので安定して動作します。基本性能が高いので少なくとも残り2年間はiPhone 13 miniでも最新ゲームを楽しむことができそうです。
4.iPhone 13 miniまとめ
iPhone 13 miniは現在Apple公式オンラインストア、Apple Store、家電量販店、キャリアショップ(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル)等で販売中で、Apple公式オンラインストアでのオープンマーケット版の価格は92,000円(税込)からとなります。Apple製品は円安などの影響により2022年7月に価格改定を行っていて、発売当時の価格(税込86,800円)より高くなってしまいましたが、中古であれば6万円台で購入できる個体も増えています。
かつて人気があったiPhone 5から初代iPhone SEに近いコンパクトなサイズ感のiPhone 12 mini/iPhone 13 miniは日本国内では人気が高かった印象があったのですが、グローバル市場で見るとそこまで売れていなかったようで、残念ながらiPhone 14シリーズでは廃止されてしまい、おそらく2023年9月に登場するであろうiPhone 15シリーズの登場と入れ替えでiPhone 13 miniも終売することになりそうです。
コンパクトなハイエンドモデルはかつてソニーのXperia CompactシリーズやAQUOS compactシリーズがありましたが、現在ではiPhone miniシリーズを除けばASUSのZenfone 9くらいしか選択肢がないので寂しい限りです…。
性能自体はiPhone 13と共通で現在でも高い性能を備えていますし、バッテリー稼働時間も改善されて隙のないハイエンドコンパクトになっているので今から購入しても後悔することはないと思います。
5.関連リンク
iPhone 13/iPhone 13 mini:Apple
コメント
miniは何を訴求するモデルなのかわからなかったのが敗因の一つだろうと思います。
画面が小さくバッテリーも小さい、つまり安さを訴求したモデルには既にSEがあったのです。SEが小さいのは安さを追求した結果であり4.7より6インチが安いのであればアップルはそうしたでしょう。SEが目指したのは小ささではありません。
miniが軽薄短小を訴求するなら少なくとも無印13より価格が高くても高性能なものを出すべきでした。カメラやバッテリーの保ち、リフレッシュレート、解像度など。
結局のところiPhone miniは無印の廉価版に過ぎないとの印象を最後まで払拭できずに終わったと言えるでしょう。それもSEより大変高価な。