こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。WindowsPhoneの日本発売が決定し、Windows 10のモバイル版(WindowsPhone OS 8.1の後継)のTechnical Previewも登場しています。私が持っているLumia 636もWindows 10 Technical Previewのインストールが可能なのですが、個人的な通信環境がOSインストールに適していない(少なくとも公式には、ですけど)し、そもそもWindowsPhone OSについても十分使いこなせていないので、Technical Preview版はインストールしていません。Lumiaを携帯電話として使っていないので、本当なら私のような人間が試してみるべきなんですけどね。
WindowsPhoneは現状のWindowsPhone 8.1というOSであっても使い勝手が非常によく、iOSとかAndroidのスマホを使っている人でも文句が出ないレベルだと思います。というか、そろそろiPhoneとかAndroidに飽きてる、という人も多いと思うので、そういう人にとっては使い勝手が若干落ちるとかは問題にはならないでしょうね。
でも、WindowsPhoneが日本で普及するかどうかのカギはOSの使い勝手よりも「アプリの量と質」だと思います。現時点でのWindowsストア、WindowsPhoneストア、いずれもiOSのApp StoreやAndroidのGoogle Playと比較すると悲しくなるレベルです。もちろん個別に見ていくとWindows系のストアにはジャンル別には素晴らしいアプリがあります。
これらのアプリを使っておけばとりあえず不満はないと思うのですが、例えばニュースアプリとして「My Time Line」を使っている場合、iOSなら「SmartNews」や「Gunosy」も選ぶことができて、多くの選択肢の中から好きなのを残せばいいんですけど、Windows系のストアだとSmartNewsもGunosyもないんですね。同じことはカレンダーアプリとかRSSリーダーとかでも言えます。非常に層が薄いです。
WindowsPhoneが日本で発売されると、とりあえずは多くの人が購入すると思うので、発売開始当初は相当な売れ行きになるんじゃないか、と思います。そして、購入した人が満足するかどうかは、使えるアプリが豊富にあるかどうか、という要因で90%くらい決まってしまうんじゃないかとも思います。
1.ユニバーサルアプリ
Windows系ストアアプリには3種類があります。
・Windowsストアアプリ
・WindowsPhoneストアアプリ
・ユニバーサルアプリ
です。ご存知の通り、WindowsストアアプリはWindows8(8.1)、またはWindows RT上で動きます(一部RTだと動かないものもあります)。デスクトップPCでもノートPCでもタブレットでも大丈夫です。WindowsPhoneストアアプリはWindowsPhone上で動きます。WindowsストアアプリとWindowsPhoneストアアプリは「別もの」です。従ってWindowsストアアプリをWindowsPhone上で動かすことはできませんし、WindowsPhoneストアアプリをWindows 8.1上で動かすこともできません。Windows 10となると、名称はWindows 10で統一されても、「Windows Desktop」と「Windows Mobile」という複数のバージョンがあり、それぞれWindows OSとWindowsPhone OSを引き継ぐことになるので、全てのストアアプリが動くわけではなく、例えばWindows MobileではWindowsPhoneストアアプリしか動作しません。
一方ユニバーサルアプリの場合は、ひとつのアプリでWindows8.1とWindowsPhoneの両方で動かすことができます。従って、Windowsタブレットにインストールして、使い勝手のよいアプリがユニバーサルアプリであれば、WindowsPhoneの方にもインストールすることができますし、仮にそれが有料アプリであったとしても、基本的に追加料金は不要です。Windows 10となっても、ユニバーサルアプリであればデスクトップ版Windows 10でもモバイル版Windows 10でも使うことができます。
ただ、ちょっとややこしいのは、ユニバーサルアプリでなくてもWindows 8.1とWindowsPhoneの両方で動かせるアプリというのもあります。例えば「アナと雪の女王 Free Fall」はWindowsストアとWindowsPhoneストアの両方にありますし、どちらも無料アプリなので、私達はタブレットにもWindowsPhoneにもインストールすることができます。でも、「アナと雪の女王 Free Fall」はWindowsストアアプリとWindowsPhoneストアアプリとして別ものです。つまり、アプリ製作会社が同名で同じ内容のゲームアプリを異なるプラットフォームで2つ作った、ということです(ちなみにほとんど同じゲーム性の「マレフィセント Free Fall」はユニバーサルアプリです)。この場合、使っている私達には不都合はありませんが、製作者側には大きな負荷がかかるので、個人でアプリを作っている人とかは大変ですね。
また、ユニバーサルアプリにせよ、WindowsとWindowsPhoneで同種のアプリを作る場合にせよ、データを同期させようとすれば、クラウドにデータを保存する仕組みが必要になります。ユニバーサルアプリだからといって、常にデータを同期できるわけではありません。
ストアアプリのWunderlistとかNextGen Readerはこの仕組みが完備されているので、異なるデバイス間でのデータ同期が可能になっています。NextGenReaderはもともとFeedlyのクライアントアプリですから、Feedlyのデータを読み込んでいて、さらにユニバーサルアプリ化されています。ここまでくると、WindowsPhoneでも使うメリットが大きくなりますね。
2.イノベーションは大手だけではない
ユニバーサルアプリ化によって、私達ユーザーに大きなメリットが出てくるのはもちろんですが、ユニバーサル化が進むと、現在市場シェアがゼロに近いWindowsPhoneでもアプリの層が厚くなることが期待できます。なので、WindowsPhoneの日本普及のカギを握るのはユニバーサルアプリ化の進展である、と言ってよいと思います。
それともう一つ、特にゲームアプリの場合、GAMELOFTとかMicrosoftのアプリを使ってみると、「これって個人じゃ無理なクオリティだよね」と素人でも分かるレベルになっていると思います。こういう大手のメーカーならば、それぞれのデバイスに最適化したアプリを作る体力があるので、ユニバーサル化でなくとも、WindowsPhone用のアプリを作ることができるでしょう。
でも、「これまでにないアプリ」っていうのは技術力だけでなく、製作者のアイデアによって生み出されるものだと思うので、むしろ個人製作者の方がそういうアプリを作れる可能性があるんじゃないでしょうか?ここのところイノベーションの担い手は大手ではなく、個人とかベンチャー企業になっていると思います。なので、資金力がなくてもWindowsとWindowsPhoneのどちらでも使えるユニバーサルアプリの技術は、作品を広く世に問える、という意味で有望な開発者にとっても追い風になると思います。
3.アプリ製作者を応援したいです
話は変わりますが、このサイト、ウインタブは個人運営のサイトで、アクセス数も順調に伸び、メーカーさんからハードウェアの実機をお借りすることもできるようになりました。でも、大手のニュースサイトと比較するとアクセス数は数十分の一以下なので、いち早く情報提供してくれるメーカーさんなんてありません。なので、新製品情報はたいてい大手ニュースサイトよりも一歩遅れてしまいます。お借りできる実機にしても、マウスコンピューターさんとかDELLさん、HPさんなどが好意的にしてくれますが、日系の伝統的大手メーカーからは全然相手にしてもらえない、というのが実態です。メーカーさんも慈善事業をしているわけではないので、当たり前といえば当たり前で、文句を言える筋合いではありません。
アプリ紹介については、できることなら個人とか、小さいソフトメーカーさんとか、そういうところの有望なアプリをいちはやく紹介する、ということができれば、身の丈にあった、そして大手ニュースサイトにはできないような記事を書けるんじゃないか、と思っています。でも、そういうアプリを自力で探すのって、結構難しいんですよね。
最後に記事の主題が変わってしまいますが、もしこの記事を読んでくれている人の中でアプリ製作に携わっている人がいたら、ぜひお声をかけていただきたいと思います。積極的にレビュー記事にしていきます(当然対価を要求することはありません、というかそういう身分じゃないので)。幸いPC、タブレット、そしてWindowsPhoneで試用できる環境は整っています。そうした中で、Windowsの世界でイノベーションを起こすお手伝いができれば最高です。よろしくお願いします。
4.関連リンク
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