
昨年末にコンパクトキーボードを2つ購入しました。私は以前から「キーボード好き」な人間で、かなりの数のキーボードを所有しています。ここ10年近くは自宅での仕事用としてフルサイズ (テンキー付き)のメカニカルキーボード、ついで静電容量無接点方式のキーボードを使っていました。いずれも比較的高価なもので、とにかく打鍵感が素晴らしく、気持ちよくタイピングできる、というのが使い続けてきた理由です。
しかし、年末からコンパクトキーボードを使うようになりました。その理由はいろいろあるのですが、せっかくなのでコンパクトキーボードの魅力について説明したいと思います。
目次
1. この記事でのコンパクトキーボードの定義

画像上が、これまで私が愛用してきた静電容量無接点方式のキーボード、東プレ REALFORCEです(汚れていてすみません…)。REALFORCEにはテンキー付きとテンキーレスのタイプがありますが、私が使っていたのはテンキー付きタイプです。
画像下が、ロジクールのMX KEYS MINIです。言うまでもなく、テンキーがないのでサイズも小さいです。
しかし、この記事で言う「コンパクトキーボード」はテンキーの有無だけでなく、薄型であるとか軽いとか、全体としてのサイズ感にも着目しています。

これは「Utyping UT65」というキーボードです。ライターの吟遊詩人さんがレビューし、その後も継続使用していますので私の手元にはありません。ご覧の通り、非常にきれいなデザインでテンキーもなくタテヨコサイズもコンパクトなのですが、磁気スイッチというメカニカルスイッチの一種を使っており、かなり厚みがあって重量も約1.5 kgありますので、少なくとも重さに関しては全然コンパクトではありません。また、2万円台後半と価格も高いです。このキーボードも「コンパクトキーボードである」と言えますが、この記事では「重さと価格」を理由に記事の対象外とさせていただきます。

EC Technology 折りたたみキーボード

Winmaxle (レビュー記事)
あと、折りたたみ式キーボードや超コンパクトなキーボードも以下に挙げる理由で今回は除外します (決して「悪い」という意味ではありませんが、メインで使えるキーボードとしては厳しいかと)。
・テンキーレスであること
・比較的軽量であること (おおむね500 g以下)
・1万円台か、それよりもやや低い価格であること
・製品の設計思想にこだわりが感じられること
・メインで使うキーボードとなりうること
・日本語配列であること、もしくは日本語配列と英語配列を選べること
これらはこの記事の執筆者である私、ウインタブの主観です。つまり、「激安でもなく、購入しにくいほど高価でもなく、メインで使える薄型で軽量なキーボード」という目線で記事を書き進めていきます。
2. コンパクトキーボードのメリット
省スペース
上でご説明したとおりです。デスクトップPC用のテンキー付きキーボードよりも明らかにサイズが小さく、省スペース性が非常に高いです。また、これは一部のキーボードメーカーで謳われている話として「マウス操作の自由度が高い」ことが挙げられます。つまり、テンキーがなく、横幅が小さいために、マウスを操作する空間を確保しやすい、ということですね。特に狭いデスクでPCを使う場合、この点は大きなメリットになると思います。
携帯性
サイズが小さく、軽量であることから、持ち運びに便利です。私自身は「キーボードを持ち歩く」習慣はないのですが、スマホやタブレットで打ち合わせのメモを取ったり、長文のメールを作成したりする人にはコンパクトキーボードのサイズ感はありがたいことでしょう。もっとも、携帯性に特化するのなら折りたたみ式キーボードや超コンパクトなキーボードのほうが優位ではあります。

ノートPCのキーボード面に外付けキーボードを置く
それと、私にはこの習慣もありませんが、ノートPCのキーボード面にお気に入りのキーボードを置いて使う人もいますね (これを「尊師スタイル」と言うそうです)。
ノートPCのキーボードとの類似性
ウインタブ読者には「モバイルノートをメインPCとして使っている」人も少なくないと思います。ノートPCのキーボードはサイズの制約からキーピッチが少し狭かったりすることがありますし、ほとんどの場合キーストロークは浅めです。上に掲載したUtyping UT65のようなメカニカルキーボードの場合、ノートPCよりもずっとキーストロークが深いです。
メカニカルキーボードや静電容量無接点方式のキーボードを愛用している人にとって、ノートPCのキーボードは少々頼りなく感じられるかもしれません。逆に、日ごろノートPCのキーボードを常用している人にしてみれば、キーストロークが深いキーボードに違和感があるかもしれません。
コンパクトキーボードは良くも悪くもノートPCのキーボードのようにキーストロークは浅めです。そのため、ノートPCユーザーには使いやすいと思います。
3. コンパクトキーボードのデメリット - 配列のクセ
ノートPCのキーボードはサイズの制約から、配列にクセのあるものが少なくありません。というか個人的には「クセのないノートPCキーボードはほとんどない」とすら思います。

数年前のThinkPadのキーボードを忠実に再現したThinkPad トラックポイントキーボードⅡの配列を見ると、以前は「ThinkPad名物」であった 「左下のFnキーとCtrlキーの位置が逆」という点まできっちり再現されています。ThinkPadユーザーは歓喜するポイントですが、そうでない人には違和感バリバリです。

こちらはエレコムのPrecisionist miniです。右下にCopilotキーもついた「最新配列」ですが、よく見ると右のShiftキーが小さいですし、Enterキーの右に一列あります。以前はHPのモバイルノートに見られた配列ですし、英語配列のキーボードの場合もこのような配列のものが見受けられますが、この配列に慣れていない人も多いと思います。
このキーボードは私が購入し、レビューもしましたが、特に右Shiftキーが小さいのにはちょっと苦労しました。

これはロジクールのMX KEYS MINIです。比較的クセよわ (w)だと思いますが、右下の方向キーが小さいのと、「PrtSCキー」がありません (個人的にはちょっと困った)。というか、ロジクールのキーボードには基本PrtSCキーがないです。また、WindowsとmacOSに対応しているので、最下段のWindowsキーが「スタート」になっていたり、macOS用の「cmd」とか「opt」という印字も見られます。
このように、コンパクトキーボードにはなにがしか配列にクセがあります。ここに挙げているのはまだマシなほうで、よりサイズの小さいもの (60%キーボードなどと言われます)だと「方向キーがない (他のキーとFnキーを同時押しすることによって対処している)」とか、相当にクセつよだったりします。

熱狂的なファンが多いHappy Hacking Keyboard (HHKB)の配列です (上が日本語配列、下が英語配列)。特に英語のほうは「いかつい配列」ですよねw 私はHHKBを使ったことがありませんが、英語配列のほうは「無理」です。ただ、HHKBの場合、SEとかプログラマーといったPC知識の高い人が多く、キーマッピングをカスタマイズして使っているケースが多いようです。
4. 機能性
以下は必ずしもコンパクトキーボードだけの機能ではなく、大型のキーボードやメカニカルキーボード、静電容量無接点方式のキーボードにも備わっているものですが、一応ご説明します。
接続方式
キーボードとPCの接続には大きく分けて「USB有線」「USB無線」「Bluetooth」があります (PS/2ポート接続というのもありますが、ここでは無視します)。
年末に私が購入したコンパクトキーボードはUSB無線とBluetooth接続に対応しており、この記事の前提である「1万円台か、それよりもやや低い価格であること」に則れば、ほとんどの製品がUSB無線とBluetoothに両対応すると思います。一方で大型キーボードはUSB有線接続のものが多く、ゲーム用のキーボードの場合はわずかな操作ラグも許せないということであえて有線のみ、というものもあります。
USB無線とBluetooth、どちらがいいかはお好みの問題ですが、Bluetooth接続の場合「PCがスリープ中にキーボードのキーを押してもスリープ復帰しない」というデメリットがあるものの、「マルチペアリング (マルチポイント)接続」が可能なものが多く、お手持ちのPCとスマホ、タブレットなどを簡単な操作でシームレスに切り替えることができます。
それと、USBにせよBluetoothにせよ、無線で接続できるということはキーボードに電源が必要である、ということです。つまり「乾電池式もしくは充電式」ということです。1万円前後の製品の場合は充電式であることが多いです。
コンパクトキーボードの購入にあたっては、念のため「乾電池式か充電式か」「USB無線かBluetoothか、あるいはその両方に対応するのか」をチェックされることをおすすめします。
アプリ

この画像はロジクールのビジネス系製品のほとんどで使える設定アプリ「Logi Options+」です。この画像に移っているのはテンキー付きキーボードですが、MX KEYS MINIでも使えますし、ロジクール製のマウスでも使えます。製品により異なりますがおおむね機能性は非常に高く、キーボードマクロを含む特定の操作をキーに割り当てたり、ショートカットの登録もできます。

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一方で、ThinkPadトラックポイントキーボードⅡは「一応アプリはある」のですが、その機能はミニマムですし、アプリのアップデートも行われていません。また、エレコムのPrecisionist miniには設定アプリがありません。
コンパクトキーボードの場合、配列にクセがあったり、キー数が減らされたりしているので、自分流にキーマッピングを変更したり、ショートカットを登録したり、といったことを望む人も多いと思います。購入時にキー配列をできるだけよく確認するのと同時に、設定アプリはあるのか、また設定アプリの機能はどのくらい充実しているのかを確認しておくほうがいいでしょう。
5. 打鍵感とキーボードの思想
この記事で「おおむね500 g以下」という縛りを入れましたので、ほぼほぼメカニカルキーボードや静電容量無接点キーボードは除外されます。ウインタブでもレビューをしたロジクールのMX MECHANICAL MINIはメカニカルキーボードながら薄型で重さも600 g強なのですが、ここでは除外します。
そうなると主役は「パンタグラフ式」ということになります。
ノートPCのキーボード仕様はほとんどの場合きちんと開示されていません。しかし、ウインタブの推測ではやはりパンタグラフ式が大多数を占めていると思います。
パンタグラフ式のキーボードは「パチパチ」と爽快な打鍵感になるものが多いですが、「どれも似たようなもの」とも言えません。この記事で引き合いに出しているThinkPadトラックポイントキーボードⅡは必ずしも爽快とは言えない打鍵感ですが、あまりにもノートPCのThinkPadのキーボードを見事に再現しているので相当期間ThinkPadユーザーである私にとってはそれだけで気持ちいいです。また、ロジクールのMX KEYS MINIの打鍵感は他のパンタグラフ式キーボードと「一線を画する」くらいに爽快です (以上、私の私見です)。
そもそもキーボードに気持ちよさを求めるのか、そのために高いお金を支払えるのか、というのは人それぞれで、実際のところ、非常に安価なコンパクトキーボードは2,000円を切るものもありますし、このBuffaroの2,000円前後で買えるキーボードはBluetooth接続には対応しないものの、パンタグラフ式で基本機能は問題なく使えるように思われます。一方でMX KEYS MINIはセールでも13,000円~14,000円くらいはしますし、エレコムのPrecisionist Miniも7,000円から8,000円くらいです。
メカニカルキーボードも価格のレンジはかなり広いですが、価格水準は総じてパンタグラフ式のキーボードよりも上です。また、静電容量無接点方式のキーボードは価格のレンジはやや狭く、その水準はメカニカルキーボードよりもさらに上です (例外も多数あります。目安としてお考え下さい)。ウインタブの経験に基づく見解だと、メカニカルとパンタグラフのキーボードに関しては「高い製品のほうが多機能」でもありますが、それだけで価格差を説明できるわけではなく、やはり「気持ちよさ」へのこだわりが価格に反映されていると思っています。
6. まとめ - コンパクトキーボードはこんな人におすすめ
コンパクトキーボードはこんな人におすすめです
デスクスペースを確保したい人

サイズが小さいので、設置スペースを取りません。この画像はミニPCの実機レビューの際に撮影したものですが、ミニPCに27インチのPCモニター、外付けスピーカー、キーボード (MX KEYS MINI)、ワイヤレスマウスを接続したところです。
この画像を見ていただければ多くを語る必要はないですよね。
ノートPCをメインに使っている人

私はこのパターンです。この画像には上部に私が持っているThinkPad X13 Gen 4、下部にThinkPadトラックポイントキーボードⅡが写っています。私としては「これがメインキーボードを静電容量無接点方式のものからThinkPadキーボードに乗り換えた最大の理由」です。
ここまで「実在するノートPCのレイアウトに寄せた」外付けキーボードは非常に少ないのですが、コンパクトキーボードはサイズ感やキーストロークの浅さなど、ノートPCのキーボードによく似た使用感なので、できるだけ感覚を変えずにノートPCとミニPC (デスクトップPC)を使いまわしたいという人にはとても魅力的かと思います。

画像出所:HHKB
「ノートPCの使用感に寄せる」のではなく、逆に「手持ちのノートPCのキーボードの使用感がイマイチ」なので、外付けのコンパクトキーボードを乗せて使う、というのもアリでしょう。
キーボードを持ち歩きたい人

この画像はエレコムのPrecisionist miniの製品ページにあったものです。デスクトップPCやノートPC、タブレット、スマホなど接続デバイスを切り替える必要性があり、かつ外出先でタブレットやスマホに接続して使いたい人にコンパクトキーボードはおすすめです。この記事では「メインで使うキーボードとなりうること」を前提としていますが、この前提に則れば、どこでもメインキーボード環境にできるわけです。これは折りたたみ式キーボードや超小型キーボードにはできないことですよね。
キーボードはPCなどの使用感を大きく左右する周辺機器です。奮発して数万円のメカニカルキーボードや静電容量無接点キーボードを購入するのも悪くありませんが、現在「デスクトップPCに付属していたキーボードをそのまま使っている」「ノートPCのキーボードをそのまま使っている」「接続デバイスごとに異なるキーボードを使っている」という人は、この機会に「コンパクトキーボードですべて賄う」ことを検討してもいいのではないかと思います。この記事ではウインタブの好みで前提条件を設けましたが、「重くてもいいので打鍵感や機能性にこだわる」のであればより高価で重いメカニカルキーボードや静電容量無接点キーボードも選択肢に入ると思います。
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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