MSIが発表した最新GPU搭載ノートのうち、今回は15.6インチノート「PS63 Modern」を紹介します。「MSIといえばゲーミングPC」ですが、その中でPSシリーズは「ビジネス&クリエイターノート」という位置づけで、性能を追求するだけでなく、携帯性にも優れた薄型・軽量な製品群です。
1.スペック
もともとPS 63 Modernはモバイル用のCPUであるCore i7-8565Uに外部GPU「GeForce GTX1050 Max-Q」を搭載する製品で、今回紹介する「PS63-8SC-035JP」は「モデルチェンジ」ではなく「モデル追加」となります。
CPUはWhiskey LakeのCore i7-8565Uで、ゲーミングノートによく使われるCoffee Lake(Core i7-8750H、Core i7-9750Hなど)ではありません。GPUはTuring世代のGeForce GTX1650 Max-Qです。このGPUはゲーミング用としてはエントリークラスであるGTX1050の後継モデルと言えるもので、処理性能は「GTX1050より最大70%の高速化(NVIDIA公式サイトの説明)」となります。ただし、この製品では薄型・軽量な設計の「Max-Qデザイン」となっているため、「Max-Qがつかないもの」よりも多少処理性能は劣ると思われます。
RAMは標準で16GB、MSI指定販売店で購入する場合に限り最大32GBまでの増設が可能です。ストレージも標準で512GB NVMe SSDですが、M.2 SATA3の空きスロットがあり、やはりMSI指定販売店で購入する場合に限り増設できます。
ディスプレイは15.6インチのFHD解像度で、リフレッシュレートについて特に説明がないのでおそらく標準的なもの(60Hzくらい)だと思います。「IPS」という表記もありませんでしたが、過去のウインタブのPSシリーズのレビュー経験上、ほぼ間違いなくIPS(IPS相当)でしょう。
また、ネットワーク関連では、MSIの他のゲーミングノートとは異なり、KILLERのパーツは搭載されておらず、有線LANポートもありません。ただし、薄型・軽量な製品であるにもかかわらず、特にUSBポートの数と種類はかなり充実しています。
バッテリー稼働時間はなんと最大16時間!ただこれ、「JEITA 2.0」による測定値で、ウインタブではこの規格を全く信用しておらず、経験上「せいぜいこの半分くらい」しかバッテリーが持たないだろうと思いますし、GTX1650が仕事をするような使い方だとさらに稼働時間は短くなるでしょう。
サイズは外部GPUを搭載する15.6インチノートとしては抜群にスリムでコンパクト、そして軽量です。重量が1.6 kgですから、毎日持ち歩くのは少し大変だと思いますが、ディスプレイサイズも大きく、GeForceの恩恵も受けられることを考えれば非常に魅力的なサイズ感だと思います。
2.筐体
この製品の筐体は基本的に従来モデルと同一です。従来モデルに関しても紹介記事を掲載していますので、こちらも合わせてご覧ください。
MSI PS63 MODERN(PS63-8RC-001JP)- GeForce GTX1050を搭載する15.6インチ「ビジネス・クリエイターノート」
15.6インチで横幅356.8 mmというのは「ほぼ最小レベル」です。そのため、ベゼルが非常に細く、スタイリッシュなデザインになっています。
天板です。MSIのノートは「黒」のイメージがありますが、この製品は「カーボングレー」となります。表面にサンドブラスト加工が施され、エッジ部分のダイヤモンドカット加工はブルーです。素材は開示されていませんが、この説明だと明らかに金属製でしょうね。
さらに、この製品は「ドロップダウンヒンジ」が採用されています。画像の通り、ヒンジを開口すると筐体後部がせり上がり、キーボードに適度な角度がつきますし、底面にも空洞ができるため、冷却効率もアップします。
キーボードです。15.6インチサイズですがテンキーはつきません。この画像は英語配列になっていますが、日本向けには日本語配列のものが装備されます。バックライトもつきますが、RGB(カラフルなもの)ではなく、シングルカラー(ホワイト)です。
また、タッチパッドがかなり大型になっています。MSIによれば従来のノートPCよりも35%サイズアップし、なめらかな手触りによって操作性を大きく改善しているとのこと。「Silky Smooth タッチパッド」と呼ばれます。
高性能なノートPC、特にGeForceを搭載するようなゲーミングノートの場合、ACアダプターもかなりの大型になることが多く、場合によっては「ACアダプターだけで1キロ弱」とかになってしまうのですが、PS63のACアダプターはかなりコンパクトです。出先で長時間作業する場合などはACアダプターも一緒に持ち出す必要がありますので、この点は歓迎したいところですね。
MSIのゲーミングノートは冷却系の評価が高いと思います。PS63もコンパクトサイズに仕上げながら、しっかりと「Cooler Boost 3」という冷却システムを搭載しています。
3.価格など
MSI PS63 Modern(PS63-8SC-035JP)は5月17日の発売予定で、MSI指定販売店(RAMやストレージのカスタマイズが可能)のPCショップアークでは予約注文を受け付けており、5月9日現在の価格は税込み179,064円となっています。ちなみにGTX1050を搭載する従来モデルだとRAM8GB版が税込み150,984円、RAM16GB版が税込み159,624円です。
この製品はMSIの他のゲーミングノートとは異なり、高性能な外部GPUを搭載しているとはいえ、「もっぱらゲームに使う」ということだと少し不満が出るかもしれません。実際、14インチ版のPS42 Modernの実機レビューでは、GTX1050搭載機としては各種ベンチマークスコアが控えめなものとなっていました。GTX1650に換装され、さらなるパフォーマンス向上が確実だとは思いますが、ゲーミングノートとして見る場合は過度の期待はしないほうがいいでしょうね。もともとMSIでも「ゲーミングノート」とは言ってませんし。
ただし、高性能なノートPCを持ち歩きたいというビジネスマンのニーズには十分応えてくれると思いますし、画像や動画の加工などをするクリエイターのニーズにも合うと思います。
4.関連リンク
PS63 Modern:MSI公式サイト
MSI PS63 Modern:PCショップアーク
コメント
GTX1050tiとほぼ同等のGTX1650を搭載しながら、従来のPSシリーズの軽量さを持ちつつ、GPU搭載のノートPCとしては非常に小型なACアダプターにするとは。
MSIだからこそ出来る製品な気がします。メモリがデュアルチャンネルなのか分からないので手を出せないのが残念です。