マウスコンピューターが新しい8インチのWindows タブレット「WN803」を発売しました。2014年頃に流行した8インチサイズの低価格Windowsタブレットはいまや絶滅寸前と言ってよく、国内メーカーだと「KEIAN」と「ONKYO」で販売されていますが(各ショップによる在庫品販売は除きます)、ドスパラでさえもワコムデジタイザー搭載の「raytrektab」のみの販売となっています。そんな状況でマウスが8インチタブレットを発売したというのは朗報だと思いますが、以前からウインタブを読んでくれている人にしてみれば「なぜ今このスペックで…」と言いたくなるような製品でもあります。
小型のWindowsタブレットのことをよく知らない、という人も多いですし、スペックが劣っているということも言えないんですけど、数年前からWindowsタブレットをウォッチしている人にしてみれば、ちょっと新鮮味に欠けると感じるかもしれません。
1.スペック
Windowsタブレットは小さくともパソコンです。パソコンなら、スペック表で最初にチェックするのは「CPU、RAM、ストレージ」、ノートPCなら「ディスプレイ」も見ますね。
この製品のCPUはCherryTrail世代のAtom Z8350、RAMは2GB、ストレージは32GB eMMCです。つまり、2015年末~2016年くらいに発売された8インチタブレットのものと同じということです。なので、以前の8インチタブレットを知っている人なら、新しい製品だからといって大幅な性能向上は見込めない、ということがわかります。
ただし、OSが32ビット版なので、システムへの負荷は比較的小さめとなりますから、軽めの用途に使うのであれば問題はなさそうです。ご存知の通りAtomは開発が終了し、後継と言えるのは2018年現在だと「Gemini Lake世代のCeleron」ということになりますが、いまのところ8インチタブレットへの搭載実績はなく、やはり発熱対策やマザーボード対応という点で8インチタブレットへの搭載が困難なのだろうと思います(GPD PocketやOne Netbook One MixのようなUMPCだと冷却ファンを搭載できる余地がありますので、少し話が変わってきます)。
ディスプレイもWXGA(1,280 × 800)と標準的なものにとどまりますが、8インチサイズであれば決して悪い解像度ではありません。また、この製品はディスプレイの形式(IPSかTNか)について開示していませんが、最近は商標使用の問題で「IPS」という表記をしないメーカーが増えていますので、おそらくこの製品の液晶はIPS(IPS相当)だと思います。
入出力ポートは依然として8インチタブレットの弱点です。microUSBが1つだけ、他にmicroHDMIとオーディオジャックがありますが、microUSBは充電端子も兼ねているため、ずーっと前から指摘されていた「充電しながら周辺機器を使う」というのが難しいです。「どっちかにしたらいいじゃん」というのはあるんですけどね。
サイスですが、この製品の前身機である「WN802」と比較してみます。
WN803: 210 × 122 × 10 mm / 315 g
WN802: 210 × 121.5 × 9 mm / 314 g
WN802は2015年末にCherryTrail搭載の8インチタブレットとして、トップを切って発売された製品で、筐体サイズは当時の8インチタブレットとしては最小クラスでした。そのWN802と比較してほぼ同等、しかし若干厚みを増してしまった、ということになります。ただ、そうは言っても8インチのWindowsマシンとして315 gというのはごく軽量な部類となります。
2.筐体
WN802からサイズが変わっていないとは言え、ベゼル幅も細くなっていますし、Windowsタブレットとしてはごくスタイリッシュな部類に入ると思います。Windowsタブレットの場合、筐体前面にWindowsのロゴが入ったセンサーボタン(Windowsボタンとして使います)がついていることが多いですが、この製品にはそれがありません。
背面です。おそらくプラスティック製でしょう。エッジ部分がラウンドした形状になっていて、中華タブなんかで見かけるデザインに近いです。
参考までに前身機WN802の背面画像を掲載します。WN802の筐体素材はウインタブ的には「不明」でしたが、こうして見ると、おそらく部分的に金属が使われていたのだろうと思います。筐体の厚さに差が出ているのは素材の違い(金属製のほうが薄くできます)だと思われます。
「横持ちした際」の左右側面です。つまり、短辺のほうです。入出力ポートに関しては上に記載したとおりですが、Windowsボタンがここに物理ボタンとして装備されます。なので前面にはなにもない、ということです。
とりわけこの製品が、ということではありませんが、やはり8インチタブレットは取り回しがラクで、手の小さい人でなければ片手で掴めます。これで中身はWindows PCなわけですから、本来はもっといろいろな使いみちを開拓できそうなんですけどね。
3.価格など
マウス WN803はマウスコンピューター公式サイトで販売中で、8月4日現在の価格は24,800円(税込み、送料込み26,784円)です。
冒頭に書いたとおり、この製品は2014年頃からWindowsタブレットに関心を持っている人、すでに8インチWindowsタブレットを使っている人には、正直なところあまり新鮮味が感じられないでしょう。しかし、そういうバックグラウンドがなく、これからWindowsタブレットを使ってみたい、と考えている人には素晴らしい製品だろうと思います。というかですね、選択肢がどんどん消えていく中で、Gemini Lakeでないとダメ、とかストレージを64GBにしろ!とかの贅沢は言いにくいものがあります。
この記事を書きながらちょっと考えてみました。高性能なCPUの搭載が難しいのであれば、オススメの小型キーボード、マウス、ハブなど、周辺機器をわかりやすく製品ページに配置するなどして、「小さくてもいろいろな使いみちがありますよー」みたいなアピールをすれば人気が出るんじゃないか、と思います。デザインに統一感のある、専用の周辺機器を同時発売するのが理想ですけど、さすがにコスト面とか販売リスク面で難しいでしょう。
ウインタブはもともと8インチタブレットに関する記事を書こうと思って開設したサイトなので、8インチタブレットに対する思い入れは深いです。現状だと8インチは本当に肩身が狭くなっていますが、より便利な使い方提案をすることによって、息を吹き返すチャンスはあるかもしれないですね。
コメント
8インチのWindowsタブレットには興味があるのですが、Androidと比べるとスペックが微妙で中々購買意欲が湧かず見送ってきました。
正直、この機種を買おうと思えるなら、とっくの昔にドスパラの8インチを買ってたでしょうね。
Core m3だと5万以上するし小型Windowsタブレットはますます辛くなるな。
8インチタブレットは中華で当時価格が1万円中頃から後半でしたからねえ。
・・・で、今回のはスペック据え置き。
CPUはこのサイズでの限界でしょうね。
今出すならストレージは最低でも64GB欲しいところですね。
ChuwiHi8とインテル入ってるタブレットが秀逸です。
現在も現役だったりしますw
8インチ良いよ~。片手でしっかりホールド出来るギリギリの大きさだしね~。
UIのダメさがWindowsファブレットの欠点だと思いました。
ソフトの資産こそがWin機の利点なのに、使いたいソフトは大概、UIが8インチとかの小画面には向いてないという…
ツールバーメニューバーだのは小さすぎて押せない、
表示拡大したらボタンが画面外に逃亡するのもザラ。
だったら最初から小画面向けのUI設計されてるほうがマシな
なんとも言えない感じの…
3年くらい前の主流って感じですかね~
ならもう少しアップグレードしてくれてもと思いますね
8インチはatomで限界だしねぇ
いやまあ厳密には頑張れば作れなくはないけど
そういうのはユーザーの方がついていけないでしょうね
UMPCのように財布の緩いコア向けジャンルというわけでもないですし
とは言えそこまでの価値は見いだせないとしてもatomがあの値段
安さと小ささだけでも十分でした
お値段据え置きでこの貧弱なスペックではねぇ
ちょっと高くなっても良いからメインメモリ4GBストレージ64GBだったらまだ救いは有るんだけど
用途を考えると、メモリ2GBはまだわかるとしても、ストレージ32GBにこだわるのはなぜなんだろう? メモリに比べて、ライトユーザーこそ苦しむ部分だと思うのだけど。
2014年に中華で買ったタブレットとほぼスペック変わらないのが辛い。
ベゼルはだいぶ細くなったけどそれだけだもん。
その当時で2万でwin8.1でOffice365付いててFHDだった。
国内はマウスが頑張っているけどそれでもこれだもの。
色んな物が進化しているのに完全に小型Winタブレットは止まっちゃったよね。
インテルが低価格CPU作るの辞めたのが大きいのかな。
8インチのwindws tabって利用価値あるんですか
使う状況が全く思い浮かばないのですが
ゲー厶しないからですか
老眼なので画面読めないし
androidなら8インチでもいいんですが
数年前の8インチブームは、間違いなくゲームの影響があったでしょうね。
その手のゲームをまったくやらない、けれど、10インチ2in1のTransbookと、8インチタブレットVivotab Note8→7インチGPD Pocketを実際に使用している経験からすると、やはり、もっとも活躍するのは出先での仕事です。
Androidスマホ、7~8インチWindows、10インチWindows 2in1と、それぞれメリットデメリットがあり、使い分けています。汎用的に使えるサイズではないので、もともとの需要がニッチなのは間違いないでしょう。だから、大手メーカーの多くが撤退してしまったわけで。
私のように、必要な人には一定の需要はあると思いますよ。ただし、誰でも持っておいて損はないという製品には、残念ながらならないと思います。つまり、買う前にどういう風に使うかがイメージできない場合、興味本位で買ってみても、無用の長物となる可能性は高いと思います。
ロマン&ニッチなサイズですね。
個人的にWindows10mobileの変わりで1809に実装されるらしいyour phone用に使えないか?思案中です。