マウスコンピューターの主力ノートPCブランド「m-Bookシリーズ」の最上位に位置する「Tシリーズ」がリニューアルされ、2018年モデルとなりました。マウスコンピューターでは「G-Tune」「DAIV」というのもありまして、G-Tuneの製品は基本的にゲーミングPC、DAIVのほうはクリエイターPCとなっています。そのため、G-TuneとDAIVの製品は基本的に外部GPUを搭載する高性能モデルばかりなのですが、m-Bookシリーズのほうはエントリークラスからハイエンドクラスまで、汎用PCとしてワイドバリエーションを誇っています。
今回紹介する「Tシリーズ」はG-TuneでもなければDAIVでもないのですが、パフォーマンスという点ではG-TuneやDAIVの製品と比較しても全く見劣りしません。なので、本来G-Tuneブランドを冠してもおかしくないような製品です。
1.スペック
マウスコンピューターはBTO(Build to Order)パソコンメーカーなので、注文時に構成をカスタマイズすることができます。この製品の場合、主要構成だとOSのバージョン(HomeかProか)、RAMの容量、ストレージ構成を好みに合わせて変更できます。また、あらかじめいくつかのベースモデルが用意されていて、予算を考えながら気に入った構成のものを選ぶことも可能です。
CPUはカスタマイズ対象ではなく、Coffee Lake世代のCore i7-8750Hのみとなります。また、外部GPU「GeForce GTX1060」も搭載します。こちらもカスタマイズ対象ではありません。Core i7-8750HとGTX1060の組み合わせは中上位クラスのゲーミングノートの構成と同じです。つまり、m-Book TはCPUとGPUに関してはゲーミングノートと同等かそれ以上のスペックになっています。
この構成だと、ビジネスやプライベートでの一般的な用途はもちろん、重量級のオンラインゲームをプレイすることも可能ですし、高度な画像加工や動画編集などのPC負荷の高い作業もこなすことができます。
RAMは標準(ベースモデル最下位の構成)で8GB、ストレージは標準で1TB HDDですが、CPUとGPUの性能から考えて、RAMとストレージはカスタマイズしたほうがいいかもしれません。特にこの製品の場合ストレージはSSDが必須だと思います。この製品は物理ストレージを2基搭載することが可能で、SSD + HDDやSSD + SSDという構成にすることもできますので、最低限1基はSSDを選択したほうがいいと思います。注文時にSSDを指定すれば、Windows OSはSSDにインストールしてくれると思いますので、操作の快適性が格段に向上します。
ディスプレイは15.6インチでFHD解像度になっており、中級クラス以上のノートPCとしては悪くありません。しかし、ディスプレイに関してはゲーミングノートの場合「リフレッシュレート(画面遷移の速さの指標)」、クリエイターノートの場合「解像度(4Kなど)と発色(Adobe RGBなどの指標)」が重要になってきていて、高リフレッシュレートや4K解像度に対応するものが増えていますが、この製品の場合はディスプレイ品質に関して情報の開示がなく、「一般的なもの」という評価しかできません。
入出力ポートは充実しています。もともとマウスコンピューターは、筐体の薄型化や軽量化を追求することなく、実用性を優先して入出力ポートは十分な種類と数を確保しています。この製品の場合も同様ですが、「D-sub」はないですね…。
2.筐体
15.6インチのスタンダードノートとして、サイズは「全然小さくありません」。というか、2018年現在、むしろちょっと大きめといったほうが良さそうです。15.6インチでも重量が2 kgを切っていたり、横幅が360 mm程度に抑えられているものが増えていますので、それらの製品と比較してしまうと厳しい感じです。
ただし、小さければいいというものでもなく、この製品も角ばった形状が個性的で、ゆとりのある筐体デザインになっていると思います。
筐体色はブラックのみで、天板もこのようにシンプルな形状です。高性能マシンらしく、ちょっとハードな印象もありますが、ゲーミングノートのように凝ったデザインではありません。
キーボードです。バックライトが装備され、バックライト色は「ホワイト」なのですが、キートップが薄いブルーに彩色されていますので、バックライトを点灯させると青く見えると思います。
それと、製品ページには「VR」とか「動画のエンコード」とか、際どいことは書かれていますが、「ゲーミング」という文字はありません。でも、この画像を見るとしっかり「W,A,S,D」がハイライトされてますよねw
キーピッチは18 mm、キーストロークは1.8 mmということなので、ノートPCとしては若干深めで、しっかりとした打鍵感を得られると思います。
側面です。こうしてみると、かなりスクエアというか、丸みのない尖った形状であることもわかりますね。また、光学ドライブを装備する余地がなく、代わりに大きな通気口がありますが、これもシステムスペックを思えばやむを得ないところでしょう。
入出力ポートの構成は、一般の利用シーンであれば不足はないと思います。しかし、イヤホンジャックとマイクジャックが兼用になっているのはゲーミング用途を考慮した場合には少しマイナスになるかもしれません。
3.価格など
マウス m-Book T(2018)はマウスコンピューター公式サイトで販売中で、9月6日現在の価格は139,800円(税込み150,984円)から、となっています。ちなみに最低価格の構成は「Core i7-8750H/GTX1060/RAM8GB/1TB HDDもしくは256GB SSD」です。とりあえずSSDモデルの方を選べば十分使えそうな気がしますが、大量の画像データや動画データ、もしくはゲームをインストールするということだと256GBよりも大きなストレージのほうがいいかもしれませんね。あと、RAMも16GBにしておいたほうが安心かと思います。
ここのところHPだと「OMENとPavilion Gaming」、DELLだと「ALIENWAREとGシリーズ(G3、G5、G7)」という具合に、ゲーミングノートのトップに位置する製品ブランドをあえて使わず、別の製品ブランドでゲーミングにも使える高性能なノートPCを販売するケースが目立ちます。マウスでは「G-Tuneとm-Book T」の関係がこれに当てはまると思います。
そして、ゲーミングのトップブランドの名称を使わない製品の場合、「ゲーミングとグラフィクス」つまり、ゲーマーだけでなくクリエイターにも適していますよ、という打ち出しがなされていて、それもm-Book Tに当てはまります。
オンラインゲームをプレイするからと言って、また動画のエンコーディングをするからと言って、それ以外の用途に使うことが一切ない、という人はむしろ少数派でしょう。趣味ゲーマー、趣味クリエイターだってたくさんいるし、むしろそういう人のほうがずっと多いはずですから。その意味で、マウスに限らず、製品イメージが尖っていて、用途が限定されそうなイメージがあるゲーミングのトップブランドの名称を使うよりも、汎用PCというイメージを残しつつ高性能なPCを探している人のニーズに合わせるという作戦は賢いと思います。
この先VRコンテンツが充実してきたり、eSportsがよりメジャーになっていくことを考えると、私達一般ユーザーも外部GPUを搭載し、その気になればオンラインゲームもサクサク、というPC選びを考えるのもありでしょう。
コメント
SSD+SSDは物理的には可能なのでしょうけど、今の所、カスタムメニューにその選択肢は有りませんね。標準のHDDを外す選択やSSDに変更する選択は有りませんでした。