いわゆるBTOメーカー(ドスパラやマウスコンピューター、FRONTIERなど)について、一般的な定義である「BTO=Build to Order(直訳すると受注生産となりますが、現在では、注文時に構成を細かくカスタマイズできる営業体制のことを指します)」よりも、個人的にはむしろ「街のパソコンショップが成長し、昔と同様に細かいカスタマイズに対応しながら営業している」みたいなイメージを持っています。
これらBTOメーカー製品の特徴は「極めて実用本位に作られている」ということだと思います。ドスパラのGALLERIAはゲーミングノートとして極めて堅牢な筐体(特に強打仕様のキーボード)を持っていますし、マウスコンピューターは現在では少数派となった着脱式のバッテリーを採用し続け、11.6インチサイズの製品を含むほぼ全モデルにD-subを装備しています。HP Spectre 13のような超薄型筐体とか工芸品レベルの筐体の美しさ、というのとは少し方向性が異なりますね。
マウスコンピューターの最新モデル「m-Book Fシリーズ(2018年1月モデル)」は、びっくりするようなギミックもなく、従来モデルからの変更点も多くはないのですが、マウスらしい真面目で実用本位な製品だと思います。なお、この製品の従来モデルはウインタブでも実機レビューをしていますので、参考にしてください。
マウス m-Book F - プレーンな15.6インチスタンダードノート、末永く使えそうな「真面目さん」の印象(実機レビュー)
1.スペック
この製品はOS、CPU、RAM、ストレージ構成、光学ドライブなどを注文時にカスタマイズすることができます。ベースモデルは4種類ありますので、この4種類から自分の予算や希望するシステム構成に近いものを選択し、それをカスタマイズして希望通りのスペックに仕上げていく格好ですね。
CPUは第8世代のCore i5もしくはi7、RAMは最低でも8GBから、ということなので、製品の格としては「上位」に位置すると言えるでしょう。RAMはカスタマイズにより最大で32GBまで、ストレージはSSD + SSDやSSD + HDDのデュアル構成にすることもできます。
ディスプレイは15.6インチでFHD解像度ですが、2017年にウインタブがこの製品の従来モデルを実機レビューした際、IPS液晶ではなくTN液晶だったので、この最新モデルでもそれは引き継がれていると思われます。
入出力ポートは「さすがマウス」という感じです。Type-Cを含み、合計で4つのUSB、HDMIとD-subという2つの映像出力ポート、そして当然のように有線LANポートを備えます。ディスプレイがTN(だと思います)だったり、ポート類が非常に充実していたり、という点で、この製品がビジネス利用を強く意識しているのがわかるような気がしますね。
あと、従来モデルからの変更点として、CPUの世代が上がった点と「バッテリー稼働時間が若干伸びた(5時間から6時間に)」ことが挙げられます。逆に言うと、それ以外はほぼ変更なし、です。
2.筐体
製品画像とサイズの確認をしましたが、従来機と全く同じだったので、おそらく筐体は変更されていないと思います。
クセがなく、高い実用性を誇るキーボードです。だだし、打鍵感とか打鍵音が突出して気持ちいいい、というわけでもないです。「必要十分で不足なし」って感じですね。キーピッチは18 mm、キーストロークは1.8 mmという数値になっています。
筐体デザインは「シンプル」です。高級感はあまり感じられませんが、安っぽさもありません。
また、最近だとスタンダードノートでもあまり見かけなくなった着脱式のバッテリーを装備します(画像は従来機です)。ノートパソコンを数年使い倒す、ということであればバッテリーは交換できたほうがいいに決まってますが、マウスの製品はほとんどの製品がバッテリー着脱式となっています。
そして、豊富な入出力ポートです。単にポートが多いだけでなく、しっかり光学ドライブも内蔵しているのがいいですね。最近は15.6インチの製品でも光学ドライブなし、というのが目立ちますから。
3.価格など
マウス m-Book Fシリーズはマウスコンピューター公式サイトで販売中で、ベースモデルの価格は89,800円(税込み96,984円)からとなっています。ちなみにこの最低価格のベースモデルの構成は
Core i5/RAM8GB/240GB SSD/FHDディスプレイ
となっていて、「全然このままでもいいじゃん!」と思います。
この製品は割とそっけない筐体デザインで、いまどきの狭ベゼル設計であるとか、コンパクトサイズであるとかでもないです。そのかわり、高い拡張性と、着脱式バッテリーなどの「実用的で長く使える品質」を確保していると思います。本気でパフォーマンスを追求するなら外部GPU(GeForceなど)も欲しくなりますが、この製品がCore i5とかi7を搭載しているのは、より高い処理性能を狙っているのはもちろんとしても、「陳腐化せずに長く使える」という狙いもありそうですよね。