Microsoftがモバイルノート(クラムシェル)「Surface Laptop 3」を発表しました。この製品は「Surface Laptop 2」の後継モデルですが、「2」が13.5インチサイズのみだったのに対し、「3」では13.5インチのほか、15インチ版も追加されています。さらに15インチ版はCPUにAMD Ryzenを搭載します。「えええーっ、『ウインテル』って言われてたじゃん!」と思ったのは私だけではないでしょう。
1.スペック
Microsoftの製品ページが1つにまとめられていたので、ウインタブの紹介記事も1本にまとめてしまいましたが、「別々に書いたほうがよかったかなあ」と少し後悔しております。
13.5インチ版のCPUは第10世代、Ice LakeのCore i5とCore i7なのですが、この記事に先立ってご紹介したSurface Pro 7に搭載されているCore i5とは型番が微妙に異なります。Surface Pro 7は「Core i5-1035G4」で、Laptop 3は「Core i5-1035G7」です。私もこの違いがよくわからず、IntelのARKをガン見しましたが、動作周波数(クロックスピード)が異なり、「1035G4」は1.1GHz(ブースト時3.7GHz)、「1035G7」は1.2GHz(ブースト時3.7GHz)となっていました。ということは「G7」のほうが処理性能に優れる、と言えなくもないですけど、まあ、あんまり気にするようなものでもないかな、と思います。
一方で15インチ版のほうはRyzen 5 3580UとRyzen 7 3780Uが搭載されます。こっちの型番も初めて見るなあ、と思ったら、なんと「Microsoft Surface エディション」とのこと。通常のRyzenよりも内蔵GPU(Radeon Vega)が強化されているそうです。
RAMとストレージは、8GB/16GB(15インチのみ32GBの設定あり)、128GB/256GB/512GB/1TB SSDとなります。ただし、好き勝手にRAMとストレージの組み合わせを選べるわけではなく、下記の組み合わせから選ぶことになります。
13.5インチ:
Core i5/8GB/128GB
Core i5/8GB/256GB
Core i7/16GB/256GB
Core i7/16GB/512GB
Core i7/16GB/1TB
15インチ
Ryzen 5/8GB/128GB
Ryzen 5/8GB/256GB
Ryzen 5/16GB/256GB
Ryzen 7/16GB/512GB
Ryzen 7/32GB/1TB(※未発売です)
まあ、これくらいフレキシブルに選べるのであれば、BTOパソコンとたいして変わらないですね。なお、Ryzen 7のRAM32GB版はまだ予約がスタートしていません。
ディスプレイは13.5インチ、15インチともアスペクト比3:2(通常のノートPCよりも縦に少し長いです)のPixelSenseというのは同じですが、解像度は異なります。13.5インチ版のほうは従来モデルから変更がなく、15インチ版はサイズが大きいぶんだけ、と言うんでしょうか、やや高い解像度になっています。いずれもタッチ対応し、筆圧対応のSurfaceペンが使えます。
なお、ウインタブの過去の実機レビュー経験上、この製品のペン入力性能は非常に高いということが言えますが、クラムシェルノート形態なので、本格的なイラストやマンガの制作には向きません。いやこれホント、いくらPCの性能がよくても、筐体構造がボトルネックになって絵は描きにくいんですよ…。
通信まわりでもちょっと注意が必要です。13.5インチのほうはWi-Fi 6(ax規格)に対応しますが、なぜか15インチは対応しません。ここはちょっと不思議ですよね…。
入出力ポートは「相変わらずダメ」ですね。13.5インチ、15インチとも共通ですが、モバイルノートとしては話にならないです。おそらくSurface Connectという専用ポートを使って純正の周辺機器を接続してもらう、というコンセプトなんでしょうけど、言いなりにならない一般ユーザーにしてみれば、「USBポートが2つあるだけでSDカードすら使えない」ということになります。純正品を使うかどうかはともかく、多機能ハブを用意すべきでしょう。
サイズは13.5インチがほぼ変わらず(従来モデルとはコンマ何ミリか違います)です。おそらく同一筐体と言っていいと思います。一方15インチのほうは非常にコンパクトですね。一般的な15.6インチノートとはアスペクト比が異なることもあり、横幅がかなり小さくなっていますし、重量も1.5 kg強なので、人によっては「モバイルノート」として十分に使える水準に収まっていると思います。
2.筐体
すみません、この記事では特に15インチ版の筐体について詳しくご説明したかったのですが、製品画像が十分に入手できませんでした。13.5インチ版については従来モデルのSurface Laptop 2とほぼ同じ筐体になっていると思いますので、ウインタブの実機レビュー記事でご確認いただければと思います。
Microsoft Surface Laptop 2 レビュー - 13.5インチ、Surfaceシリーズのクラムシェルノート、新色ブラックを試す!(実機レビュー)
こちらは13.5インチ版のキーボードです。これまで「ほぼ同一筐体」と書いてきましたが、キーボードに関しては若干変化がありました。Surface Laptopのキーボード面は初代モデルから「アルカンターラ素材」が貼り付けられ、ちょっとスウェードっぽい雰囲気だったのですが、「3」ではアルカンターラ素材とメタル素材が併存します。筐体色「マットブラック」「サンドストーン(ゴールドっぽい色です)」を選ぶとメタル素材に、「コバルトブルー」「プラチナ(シルバー)」を選ぶとアルカンターラ素材になります。
一方で15インチ版のほうは筐体色「マットブラック」「プラチナ」の2色で、キーボード面はメタル素材のみです。テンキーはつかず、13.5インチとほぼ同一のデザインになっています。また、この画像では13.5インチ、15インチとも英語キーボードになっていますが、「2」では日本語配列になっていましたので、おそらく「3」でも日本語配列のものに変更されると思います。
13.5インチ、15インチとも筐体デザインは共通で、筐体素材はアルミニウムです。
3.価格など
Microsoft Surface Laptop 3は10月22日の発売予定で、Microsoftストアではすでに予約販売がスタートしています。10月4日現在の価格は13.5インチ版が税込み139,480円から、15インチ版が161,480円から、となっています。
従来モデルのSurface Laptop 2はウインタブでも実機レビューをしていて、とにかく薄型で美しい筐体デザインが魅力でした。クラムシェル筐体ということで、モバイルノートとしての使い勝手も抜群だったと思います。ただ、記事中に指摘した通り入出力ポートの数と種類は十分とは言えず、たくさんの周辺機器を接続するような使い方だとハブが必要になる、ということは注意して下さい。
それと、「やっぱり」Office Home & Business 2019が強制的に付属してしまいます。この製品の価格帯から考えて、メインのノートPCとして購入する人が多いと思いますので、Officeが付属すること自体は悪くないと思いますが、私のようにOffice 365 Soloを契約している場合は、はっきり言って「無駄にお金を払う」ことになってしまいますので、この点だけは少し残念ですね。
しかし、Surface EditionのRyzen(Radeon)、どのくらいの実力になっているのか、ぜひレビューしてみたいものです!
コメント
Core i5-1035G4と、Core i5-1035G7の違いは内蔵グラフィックの差ですよ。G7の方がグラフィック性能が良いそうです。
既にコメントされている方と同じ内容になりますが、Ice LakeはGxのxの数字によりiGPUのグレードが分かるようです。
ASCII.jpに分かりやすい記事がありました。
https://ascii.jp/elem/000/001/908/1908032/