Lenovoはドイツ・ベルリンで開催されているIFA2018にて、13.3インチのコンバーチブル2 in 1「Yoga C630 WOS」を発表しました。「WOS」というのは「Windows on Snapdragon」を意味します。つまり、この製品のCPUはIntelとかAMD製ではなく、Qualcomm Snapdradonの最新鋭・ハイエンドCPUである「Snapdragon 850」です。
Snapdragonを搭載するWindows PCは2017年12月にHP、ASUS、Lenovoから相次いでリリースされたものの、その後はあんまり話を聞かなくなってしまいました。「チャンス!」と思えたのは6月に「HP ENVY 12 x2」が発売されたときです。この製品はIntel版とSnapdragon版があり、日本発売の際に激しく期待したものの、結局Intel版のみの発売となってしまいました。
ということで、未だ日本では発売されていないSnapdragon搭載のWindowsマシンですが、この製品が日本発売第1号となるのか注目したいところです。
1.スペック
OSは「Windows 10 S」です。しかし、Windows 10 Sというのはもはや「エディション」ではなく「モード」に過ぎません。なので、「親」となるエディションがあるはずなのですが、海外ニュースサイトの動画などを確認すると、どうやら「Windows 10 Pro」のようです(確証はありません)。そのため、Sモードを解除すればWindows 10 Proにすることができます(無料)。
ただ、Snapdragon版の場合はSモードを解除しても、Windows Store以外からのアプリインストールは可能となるものの、「32ビットのアプリしかインストール不可」という制限があります。ExcelとかWordなどのOfficeアプリは現在でも32ビット版が主流ですし、その他のアプリでも32ビット版が用意されていることが多いのですが、64ビット版しかないものもあると思いますので、そういうアプリが必須という人は注意が必要ですね。なお、この辺のところは下記のFAQに説明があります。
Windows 10 (S モード) に関してよくあるご質問:マイクロソフト
CPUはQualcommの最新鋭「Snapdragon 850」です。もちろんSnapdragonとしては最高性能となり、Lenovoの説明によれば「前世代のSnapdragon版Windowsデバイスから30%性能アップ」ということです。ここで言う「前世代」とはSnapdragon 835搭載デバイスを指しています。
GPUについて補足説明させてください。ウインタブで掲載しているスペック表で「GPU」とは外部GPUを指します。なので、GeForceとかAMD Radeonなどを搭載した製品の場合のみこの欄に記載していますが、CPU内蔵のGPU(Intel HD Graphicsなど)は記載しません。この製品の場合、CPU(SoC)がSnapdragonなので、AdrenoがGPUとして搭載されていると思われますが、この記事では便宜的に内蔵GPUとして取り扱い、「なし」と記載しています。それともう一つ、米国Lenovoの製品ページには「Intel HD 620 graphics」を搭載している、と堂々と記載されています。実際そうである可能性が絶対にないとは言いませんが、とりあえず「記載ミスでしょ」と思いますので、この記事では「なし?」という記載にしました。
RAMは4GB/8GB、ストレージは128GB/256GBで、eMMCでもなくSSDでもなくUFSが使われています。UFSというのはフラッシュメモリの一種で、高性能なスマホに使われています。eMMCよりも高速と言われていて、この製品はUFS2.1規格です。UFSについては下記のリンクをご参照ください。
UFSとは:ケータイWatch
ディスプレイは13.3インチ、つまりモバイルノートとしては最もよく使われているサイズで、タッチ対応のFHD解像度です。IPSという表記はありませんが、「wide-angle viewing」という説明がありましたので、IPS相当と考えていいと思います。別売りのスタイラスペンを使えば筆圧対応の手書き入力が可能です。
Snapdragon版のWindowsは「起動やスリープからの復帰が爆速」「スマホ同様の常時LTE接続」「驚異的なバッテリー稼働時間」がメリットとなります。この製品も当然LTEモデルですが、対応バンドについては不明です。しかし、日本で発売されることになれば日本の主要な通信バンドはしっかりカバーされるはずなので、この点は心配無用でしょう。
また、バッテリー稼働時間も期待通りというか期待以上で、最大25時間です!話半分としても、終日充電なしで使うことができそうですね。
入出力ポートは、うーん、ちょっと少なめかな…。USB Type-Cが2つだけです。HDMIなどの映像出力専用端子はないく、どうやらSDスロットもありません。なので、ハブは一つ持っておいたほうがいいでしょう。
サイズはSnapdragon版だとかではなしに、Windowsの13.3インチモバイルノートとして見ても非常に優秀です。13.3インチというのは激戦区なので、最小・最軽量・最薄とは言えないのですが、それでもかなり小さく、薄く、軽い方ではあります。特に厚さ12.5 mmというのがいいですね。もともとSnapdradon版Windowsマシンは「持ち歩いてなんぼ」だと思いますので、重かったりデカかったりしたら困りますもんね。
2.筐体
上に書いたとおり、13.3インチとしてはかなりコンパクトな部類に入りますので、ベゼルも細く、スタイリッシュです。それと、従来のSnapdragon版WindowsPCは「デタッチャブル 2 in 1」がほとんどだったので、よりノートPCに近い形状であるコンバーチブル 2 in 1スタイルを採用しているのは、それだけで新鮮です。
筐体素材は「a premium, polished aluminum cover」という表記がなされていますので、アルミ製ですね。「プレミアム」なので、きっと高級感もあるんでしょう。筐体色は「アイアングレー」
です。
「YOGA(Lenovoがコンバーチブル2 in 1に使用する名称です)」という製品名なので、このようにタブレットモードやテントモードに変形して使うこともできます。
キーボードです。まだ日本発売が決定していないので、日本語配列の設定があるのかは不明です。キーボードにはバックライトが装備され、左右にステレオスピーカーも配置されます。
側面とポートの配置です。コンバーチブル2 in 1なので、電源ボタンは側面にあります。しかし、ポートの数はやっぱり足りない感じですね…。
3.価格など
Lenovo Yoga C630 WOSはEMEA(ヨーロッパ、中東及びアフリカ)で11月に発売される予定で、価格は999ユーロ(約129,000円)から、となっています。なお、日本での発売は未定ですが、一応日本のLenovo公式サイトでもこの製品は紹介されています。
とりあえずSnapdragon版のWindowsがどんな使用感なのか、結局今日に至るまで試せていないので、Snapdragon 835が850になったことによる挙動の変化なんかはわかりませんしイメージすることもできません。ただ、13万円以上の価格なのであればIntel CPUだとCore i7搭載機も視野に入ってきます。処理性能ということだけで考えるのであれば、わざわざSnapdragon搭載機を選ぶ必要はないですよね。それよりも「電源ボタンを押したら瞬時にスリープから復帰する」とか「バッテリーがめちゃめちゃ長持ちする」とか、そういう部分を早く体験してみたいです。
4.関連リンク
Yoga C630 WOS:Lenovo米国公式サイト
コメント
日本語版出るって正式発表ありましたね。
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1146315.html