
ThinkPad トラックポイント キーボード IIの実機レビューです。レビュー機はウインタブが購入したものです。このキーボードは2020年1月のCESで発表され、同年5月に国内販売が開始されていますので、「全然新製品ではない」です。とは言え、ノートPC最強のキーボード (異論は認めます)であるThinkPadのキーボード構造はそのままに外付けのキーボードにした、ThinkPadユーザーにとっては非常に魅力的な製品であることは間違いなく、私自身も「いつか購入したい」と思っていました。
・ThinkPad (ノートPC)キーボードの「完コピ」と言える仕上がり
・トラックポイントとクリックボタンでマウスいらず
・USB無線とBluetooth接続に対応
ここはイマイチ
・素材感に高級さはない
・配列に一部クセあり (特に非ThinkPadユーザーには気になるかも)
1. スペック
スペック表
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| キー構造 | シザーリフト キー |
| 接続I/F | USB2.4GHz無線/Bluetooth5.0 ※USBレシーバーはUSB Type-A |
| 接続先切り替え機能 | 対応 (USB無線:1台、Bluetooth:1台) |
| キーボード配列 | 日本語配列(89キー) トラックポイント搭載 |
| キーピッチ (X方向、Y方向) | 19.05 mm |
| キーストローク | 約1.8 mm |
| 角度調節機能 | あり |
| 電源 | 充電式 (満充電で約2カ月程度) バッテリー容量 500 mAh バッテリー充電時間 約97.8時間 |
| 対応OS | Windows 10、Windows 7 Android 8.0以上 |
| サイズ | 305.5×164×13.7 mm ※スタンド含まず |
| 重量 | 516 g (実測値514 g) |
特徴
冒頭に書きましたが、ThinkPad トラックポイント キーボード IIは発売から5年を経過し、まもなく6年になろうとしている、決して新しくはない製品です。上記のスペック表を見ても、対応OSにWindows 11が含まれていなかったり、Bluetoothのマルチペアリングに対応していなかったりと、やや古さを感じます。
とは言え、モノがキーボードなので発売後時間が経っているからといって、使いにくいということはありません。最新のキーボードとの大きな相違点はせいぜい「Copilotキーがない」というくらいでしょうか?個人的にはCopilotキーは不要、むしろ邪魔なので、この点はプラスポイントにこそなれ、マイナスポイントにはなりません。
また、この製品には「日本語キーボード」と「英語キーボード」の2モデルがありますが、今回は日本語キーボードのレビューなので、英語キーボードについては触れません。
2. 外観と使用感

同梱物です。スタートガイドと安全のしおり、USBレシーバー、充電用のUSB Type-A ー USB Type-Cケーブルが入っていました。スタートガイドは図解説明がされていますが、内容はあまり親切とは思えません。また、安全のしおりについては日本語すらありませんでした。このペーパー類で「よくわからない」という場合はLenovoのサポートサイトにマニュアルが置いてありましたので、そちらをご覧ください。

キーボード面です。タッチパッドはありませんが、見た感じ「完全にThinkPadのキーボード」です。赤いデベソ (トラックポイント)と左右・中央クリックボタンもあります。この形状に慣れている人なら「マウスいらず」で使えますね。慣れていない人も多くの場合「タッチパッドよりは使いやすい」と思います。また、左下の「Fn」と「Ctrl」の位置が逆なのもノートPCのThinkPadと同じです (最新のThinkPadシリーズではこの配置が変更され、「普通」になっています)。そのため、ThinkPadユーザー以外の人にはちょっと慣れが必要かもしれません。
素材は樹脂と思われます。安っぽいとまでは言いませんが、ThinkPadの上位モデルのようなカーボンだのアルミだのといった質感ではありません。個人的にはこの質感で全く問題はないと思います。

キートップが大きく凹んでいるのもThinkPadキーボードの特徴です。この形状は好みの問題ではありますが、個人的にはThinkPadのキーボードが高く評価されている要因でもあると思っています。
ノートPCのThinkPadシリーズのキーボードはデザインに統一性があり、見た目はほぼ同じ (テンキーの有無などの違いはあります)が、打鍵感は微妙に異なります。ストロークが少し浅い/深いとか、押下圧 (キーの重さ)が大きい/小さいとか。そのため、ThinkPad トラックポイント キーボード IIの打鍵感が全てのThinkPadと同じとは言えませんが、現在ThinkPad X13 Gen 4を使っている私の感覚だと「違和感ゼロ」です。「ThinkPad トラックポイント キーボード IIのほうが気持ちストロークが深いかな」くらいは感じましたが、まあ「同じ」ですね。
…すなわち、私にとっては「神」です。

底面です。ここは特に記載することもありませんが…、

角度調整用の脚がついています。角度調整は「脚を畳む」か「脚を出す」かの2種類のみ。

脚を畳んだところ (画像上)と脚を出したところ (画像下)です。私は脚を出した状態のほうが使いやすかったですが、ここはお好みの問題だと思います。なお、この画像は右側面で、電源ボタンがこの側面にあります。左側面にはなにもありません。

上側面です。こちらにはポート類とスイッチ類があります。画像左端がBluetoothとUSB無線の切替スイッチ、その右がWindowsとAndroidの切替スイッチです。さらにその右に充電用のUSB Type-Cポートがあります。この画像ではUSBレシーバーが刺さった状態になっていますが、USBレシーバーの収納口 (ポートではなく、ただの収納口です)もあります。

下側面にはポートやボタン、スイッチはありません。

サイズ感を見ていただくために、ロジクール MX KEYS MINIと並べてみました。横幅は両者ほぼ同じですが、奥行き (短辺の長さ)はThinkPad トラックポイント キーボード IIのほうが大きいです。私の印象としては、奥行きが大きいという点で、一般的なテンキーレスのコンパクトキーボードとしては「大きいサイズ」であると感じられました。
メーカー公称値に基づくサイズ比較をしてみます。MX KEYS MINIのほか、先日レビューしたエレコム Precisionist miniのサイズも掲載します。
レビュー機:305.5×164×13.7 mm / 514 g
MX KEYS MINI:296✕132✕21 mm / 506 g
Precisionist:313×119×16mm / 390 g
「テンキーレスキーボード」の場合、モバイルノートPCやスタンダードノートPCのように「標準的と言えるサイズ」をウインタブが明示するのは難しいです。もちろん携帯性を考慮するなら小さくて軽いほうがいいのですが、ThinkPad トラックポイント キーボード IIもMX KEYS MINIも決して軽量なほう、とは言えないです。折りたたみ式のモバイルキーボードだと200 g台のものが多いですし。

次に本物の…というか「ノートPCのThinkPad」のキーボードと比較してみます。比較したノートPCは私が所有しているThinkPad X13 Gen 4です。X13 Gen 4はキーボード面の左右にスピーカーがあるため、ThinkPad トラックポイント キーボード IIよりもやや左右の幅が狭いです。そのため、特に両端のキー、例えば左右のShiftキーや右端のEnterキーなどはThinkPad トラックポイント キーボード IIのほうがサイズが大きくなっています。また、最上段と最下段についてはX13 Gen 4のほうがやや窮屈そうに見えます。とはいえ、私が使ってみた感じ、「同じ使用感」ですね。
3. アプリ
ThinkPad トラックポイント キーボード IIにはアプリが用意されています (ダウンロードはこちら)。私もインストールしてみましたが、インストール後に「アプリアイコンが見当たらない」ので、「あれ?おかしいなあ…」と思ったのですが…
Windowsのコントロールパネルにある「キーボードのプロパティ」にタブができていました。ここで設定できるのはトラックポイントのポインター速度、ThinkPadスクロール(中クリックボタンを押しながらトラックポイントを動かしてスクロールする機能)の有効/無効、ユーザー定義キーの機能割り当て (Webサイトを開く、アプリやファイルを開く、定型テキストを入力するの3種類)のみです。キーボードマッピングの変更などはできません。よって、ThinkPadユーザー以外が戸惑うであろう「左下のFnキーとCtrlキーの入れ替え」もできません (ノートPCのThinkPadでは設定アプリで機能の入れ替えが可能です)。
ただ、機能が少なめとは言え、最低限必要な設定はできますので、ThinkPad トラックポイント キーボード IIを購入されたら、このアプリは入れておくほうがいいでしょう。あと、繰り返しになりますがアプリアイコンなどはありませんので、インストール後は「コントロールパネルのキーボードのプロパティ」を開いて設定してください。
4. まとめ
Lenovo ThinkPad トラックポイント キーボード IIはLenovo公式サイトなどで販売中です。この記事を執筆している12月17日現在だと公式サイトでの価格は15,950円なのですが、この価格なら楽天やAmazonのほうが安く購入できますね。ウインタブでは毎週Lenovo製品のセール価格を確認しており、公式サイトでは確か11,000円が最安値だったと記憶しています。また、12月17日現在の楽天での最安値は11,980円、Amazonでは13,500円でした。そのため、ぴったり11,000円で買うには「タイミングが相当シビア」になると思いますが、11,000円~12,000円くらいをターゲットに購入検討されると良いと思います。
近日中にウインタブでコンパクトキーボードの比較記事を書こうと思っていまして、そのための検証目的でこの製品を購入した(建前です)のですが、現時点でデスクトップ用のメインキーボードになってしまいました。記事中にも書きましたが、ThinkPadキーボードに親しんだ身としては、この製品は「神」です。私と同様に、ノートPCのThinkPadが好きな人には問答無用でおすすめですね。また、ThinkPadファンではない人にもぜひ使っていただきたいキーボードだと思います。
5. 関連リンク
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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